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Google Workspace Studioで実現する、AI時代の業務ルーティン──AIが裏で勝手に働き出す「イベント駆動型」の自動化

最終更新日:2026/07/01

Google Workspace Studio AI自動化

本記事は、2026年6月16日〜17日に開催された「AI博覧会 Nagoya 2026」内のセッション『Google Workspace Studioで実現するAI時代の業務ルーティン』を基に解説したものです。

「定型業務をもっと自動化したいけれど、プログラミングは分からない」
「AIをもっと自分たちの実務に組み込んで使いこなしたい」

生成AIを日常的に使い始めたものの、このような期待や課題を感じていませんか?

皆さんの身の回りにある「メールの受信」や「ファイルの追加」といった日常の出来事。もしこれらをきっかけにして、AIが裏で自動的に考えて動いてくれたらどうでしょうか。

人間が毎回AIにプロンプト(指示)を打ち込む働き方から、AIが私たちの業務フローに溶け込み、先回りしてサポートしてくれる時代へと進化しています。

本記事では、プログラミング知識不要の「イベント駆動型AI」の設計思想と、Google Workspaceの最新自動化ツール「Google Workspace Studio」を使った実践的な業務自動化のレシピ(GemやNotebookLMの活用法、失敗しないための裏技など)を深く解説します。

1. AIを「プロンプト駆動」から「イベント駆動」へ

普段私たちが使っているGeminiやChatGPTなどのチャットボット型生成AIは、人間が話しかけて初めて動く「プロンプト駆動」の仕組みです。これはアイデア出しや複雑な相談には向いていますが、毎日のルーティン業務を頼むには「人間が入力する」という手間(きっかけ)が必要です。

そこでこれからの時代に必須になるのが「イベント駆動型AI」という考え方です。

「新しいメールが届いた」「スプレッドシートが更新された」「毎朝8時になった」といった日常の出来事(イベント)をきっかけにして、AIが裏側で自動的に判断し、必要な処理(通知・保存・下書き作成など)を実行する仕組みです。

人が毎回指示しなくても、裏でAIが勝手に働き出して業務が進む。これが真の業務効率化です。

2. 自然言語でフローが作れる!「Workspace Studio」の基本

「Google Workspace Studio」は、このイベント駆動型AIをノーコード(プログラミング不要)で簡単に作れる強力なツールです。

自動化の構成要素は非常にシンプルで、以下の3つだけです。

  1. 開始条件(Trigger):フローが始まるきっかけ(例:特定メールの受信)
  2. アクション(Action):実行するタスク(例:Geminiに要約させる、ドキュメントに書き込む)
  3. 変数(Variable):前の手順のデータを引き継ぐ(例:届いたメールの送信者情報)

最初は「AIに自動で作ってもらう」のが一番簡単です。 入力欄に「毎朝、Chatで前日の未読メールを教えて」と自然言語で打ち込むだけで、AIが意図を汲み取り、
「①スケジュール設定(毎朝8時)→ ②Gmail(未読要約)→ ③Google Chat(通知)」というフローを自動で組み上げてくれます。

3. 最新機能フル活用!明日から使える「自動化レシピ」3選

今回の登壇では、Workspace Studioの最新機能(繰り返し処理、Gem、NotebookLM連携)を活用した、実務に直結するケーススタディを3つ紹介しました。

Case 1:イベント案内メールの完全自動化(「繰り返し」機能の活用)

指定のフォルダに「イベント開催概要」のドキュメントを置くだけで、顧客リストから送信対象者を自動抽出し、全員分のパーソナライズされた案内メールの下書きを自動作成します。

  • フローの肝:スプレッドシートの顧客リストから「送信対象列に『TRUE(チェックあり)』が入っている行」だけを取得します。そして最新の「繰り返し処理」ステップを使い、抽出した顧客1人ずつに対して順番にGeminiに宛名や内容をカスタマイズさせたメール文面を作らせ、Gmailの下書きに保存します。

Case 2:届いた情報の自動スクリーニング(Gemと条件分岐の活用)

採用の応募フォームなどから情報が届いた際、事前にカスタマイズした専門AI「Gem」が内容を読み取り、一次評価(スコアリング)を自動で行います。

  • フローの肝:Gemが算出した総合得点を元に「条件分岐(If)」を行います。
    • 7.0点以上(True):Geminiが通過メールの下書きを作成し、担当者のチャットに通知。
    • 7.0点未満(False):不採用通知は自動作成せず、「人間による確認依頼」として点数と理由だけをチャットに通知(最終判断は人間が行う)。

Pro Tip:下書き作成時のAIコントロール術

Geminiに通過メールの下書きを作らせる際、プロンプトでしっかり制御しないと「なお、本評価はAIによる一次スクリーニングの参考情報であり……」といったAIの余計な一言が顧客宛のメールに入ってしまう事故が起きます。「AI評価などの表現は含めないでください」と明記することが重要です。

Case 3:契約書のリスク自動チェック(NotebookLM連携)

これが今、最も強力な使い方の一つです。

メールで「契約書」という件名のPDFが届くと、自動的にドライブに保存され、NotebookLMがその内容を審査します。

  • フローの肝:NotebookLMには、事前に「自社の契約締結ガイドライン」や「過去のトラブル・損失事例集(例:自動更新の解約予告期限を見落として120万円損した等)」、「営業部の一発NG条件リスト」を読み込ませておきます。この自社の生々しいノウハウをベースにAIがリスク判定を行い、結果をスプレッドシートに一括記録してくれます。

4. 開発の裏側とノウハウ:「私の屍を超えていけ」

便利なWorkspace Studioですが、思い通りに動かすにはちょっとしたコツや、ハマりやすい罠(屍ポイント)があります。これから触る方のために、私の失敗談を共有します。

【罠】抽出ステップの変数がうまく渡らない

AIに文章を生成させ、その中から特定の項目(例:件名や本文)を抽出して次のステップ(Gmailの下書き等)に渡す際、カスタムコンテンツ名(変数のラベル)を「日本語」で設定すると、高確率でAIがスルーしてしまいエラーになります。

抽出ステップの変数の名前は『英語(半角英数字)』にする。これだけで動作がグッと安定します。

また、フローが途中で止まってしまった時は、必ず「アクティビティ」から実行履歴を確認しましょう。どこでどんなエラーが起きたか(例:Gemに渡す変数が間違っていた等)が一目でわかり、デバッグが容易になります。

5. まとめ:AIは「必要なときだけ」賢く使う

目的やタスクの性質に合わせて、AIを正しく使い分けることが成功の鍵です。

  • Gemini(汎用アシスタント):一般的な問い合わせ、ネット検索、文章の要約などに。
  • Gem(専門エージェント):自社の特定データに基づく生成や、独自の役割を与えたい専門的な処理に。

AIの力は「人が指示を出す」ことから、「日常のイベントに溶け込み、自動でサポートしてくれる」フェーズへと進化しています。

まずは皆さんの身近にある小さなルーティン業務から、自動化に挑戦してみてください。

執筆者・登壇者紹介

原田 彩(あやや)

株式会社コミュカル 取締役CMO / IT・AI講師

SIer企業でのエンジニア経験を経て、2021年に株式会社コミュカルを共同創業。現在は東京を拠点に、IT・AI講師として発信活動やコミュニティ事業推進に注力。

特にGoogleの技術(Google Workspace、Gemini、AppSheet、Workspace Studio等)を活用した現場主導の業務改善・自動化を得意とし、企業向け研修なども多数実施している。

YouTubeチャンネル あややのITスキルアップ塾 にて、Google Workspace や生成AIの最新情報、活用術を分かりやすく発信中。

また、今回紹介したGoogle Workspace Studioの研修も実施しています。
ご興味がある方はお気軽にご連絡ください。

AIsmiley編集部

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