チャットボット導入までの注意点
チャットボットを導入する目的には、人件費の削減や24時間365日対応などがあります。それらの目的を果たし、企業の抱える課題を解決のための手段として、チャットボットの導入はとても有効です。折角導入をするのであれば、課題を解決するだけでなく成果を出したいと考える企業も少なくありません。そこで、チャットボット導入前~導入時に注意するとよいポイントを分かりやすくまとめました。
導入前の注意点
- 現在の社内で抱えている課題を整理する
- チャットボットを導入する目的を明確にする
- チャットボットで得たい成果を明確にする
チャットボット検討時の注意点
導入目的に合ったチャットボットを探す

チャットボットの導入の目的には、大きく分けて3つの目的があると考えられます。業務効率化、売上アップ、顧客満足度の改善の3つです。チャットボットを導入する目的を明確にすることで、お問い合わせ対応を自動化したいのか、それともマーケティング支援ツールとしての効果を期待しているのかなど、前提となる導入目的に合ったサービスから探すことが大切です。
AI型もしくはシナリオ型、どちらのチャットボットにするのかを決定する

チャットボットの導入で失敗しないためには、事前に自社の課題を整理した上で、その課題解決に必要な機能がどのようなものかを洗い出すことが肝要です。大きく分別されるのは、AI型もしくはシナリオ型のどちらのチャットボットかを選択することになるでしょう。質問の類義語や意図を理解してくれるAI型をメリットに感じるケースもありますが、より安価で決まった質問に正確に意図した回答を行うというルールに沿った対応をしてくれるシナリオ型が好ましい利用シーンも考えられます。
チャットボット導入時の注意点
ユーザーの知りたいことやメリットなどを予め把握し、ニーズに合わせて導入する
さまざまなシーンでチャットボットの需要は年々高まっています。ユーザーの知りたいことや導入シーンによってメリットデメリットは異なりますので、予め利用シーンに合わせた導入の効果を把握し、導入したサービスとユーザーのニーズが合っているかを確認することが大切です。例えば、コンタクトセンターにチャットボットを導入した場合、無人で24時間のお問い合わせ対応が可能になること、オペレーターの人件費削減につながること、これまで人で対応しきれなかったお問い合わせにも拡大し、顧客満足度が改善することなどが期待出来ます。いずれも大きなメリットですが、実際にユーザーが求めていることと合致しているかは注意して導入を検討する必要があります。
質問に沿った回答を用意する
チャットボットの質問と回答の結び付けを行い、質問に沿った回答を用意する必要があります。シナリオ型のチャットボットの場合は、ユーザーが質問すると予想されるよくある質問を分析して、なるべく短い操作で目当ての回答にたどり着けるようシナリオを作成する必要があります。一方で、辞書型の場合は、一問一答のQAデータを用意する必要があります。AI搭載型のチャットボットの中には、ある程度のよくある応答には対応できるような学習済みAI搭載のサービスもありますから、現状のFAQや既存のマニュアルなどを再利用して質問と回答を簡単に準備することを支援してくれる機能もあります。
ユーザーの目に留まる場所に設置する
チャットボットを導入するにあたっては、ユーザーが従来のお問い合わせ方法ばかりを利用しないように、ユーザーの目に留まる場所に設置するなどの工夫が必要です。例えば、ユーザーが電話やメールで問い合わせるフォームや連絡先が掲載されているWebページにチャットボットを設置することはよくあります。この他にも、紙媒体にQAコードを設置したり、実際にチャットボットを導入したことを広く認知してもらうために、プレスリリースやお知らせメールなどでの案内なども、ユーザーの利用を促すために大切な施策となります。
チャットボット比較表
アイスマイリーでは、チャットボット選びの際に役立つ「チャットボット製品の料金・機能比較表」を無料で配布しております。この資料は、チャットボットの比較や検討がしやすいよう、製品別に特徴なども一覧化しています。導入を検討の際には、是非こちらのチャットボット比較表をご活用ください。

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チャットボットのセグメント別製品一覧
数あるチャットボットの中から、自社の課題や導入の目的あったチャット選び出すのは容易ではありません。そんな時に役立つのが、目的別にセグメントされたチャットボットカオスマップです。

上記をご覧いただくと分かるように、チャットボットは大きく分けて3つにセグメントできます。この便利なカオスマップは、以下の「チャットボットカオスマップを無料でダウンロードする」ボタンより無料でダウンロードできます。
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チャットボットの選び方
チャットボットを選ぶポイントも、企業の置かれている状況・環境・課題により異なります。アイスマイリーをご活用中のお客様からのお問い合わせの多くは「数あるチャットボット中で、自社に最適なチャットボット選び・導入するのは難しい」というお声です。そんなお悩みが解決できるよう、チャットボットを選ぶ際のポイントをまとめました。チャットボット選びの際にお役立てください。
チャットボットの選び方
AIの性能や機能を確認する
チャットボットで使われているAIの性能や機能を確認しておくことで、導入の目的にあったチャットボットを選ぶのに役立ちます。
チャットボットにおいて、AIの性能とは主に回答の「精度」と「学習」について言われることがほとんどです。質問者の発話に対して、AIボットが正しい回答を導きだせるかという「精度」と、その精度を持続的に改善するために会話のやり取りなどを深層学習や強化学習の仕組みを通して「学習」することでより自然な会話の実現が期待できます。

AIの機能には、代表的なものに自然言語処理の技術を活用した「言葉の揺らぎ対応」「意図理解」「類義語の認識」等の機能のほか、用途に特化した「ファイル検索」や「サジェスト機能」など検索AI技術が活用された機能などが挙げられます。最近では、音声認識AIと連携した、ボットが自動発話機能を搭載したボイスボットというサービスが登場しています。
料金だけでなく、サービス内容が目的と合致しているのかを確認する
サービスの内容が目的と合致しているかどうかも、チャットボットを選ぶ際には重要です。大きな目的として、「業務効率化」「売上アップ」「顧客体験の改善」が挙げられますが、その他にも誰のどのような業務を自動化するためにチャットボットを導入するのかといった現場に即した目的の設定も肝要です。
例えば、「業務効率化」を大きな目的として、コールセンターへチャットボットの導入を検討しているケースでは、コールセンターのオペレーターの業務効率化が課題となります。手法としては、Webサイトの窓口にチャットボットを設置することで架電数を減少させること、オペレーターが使用するナレッジ検索ツールとしてチャットボットを活用し業効率を上げること、オペレーターとの会話自体を自動発話するロボットに代替し、緊急度の高いお問い合わせのみ有人対応させること、よくある質問にはチャットボットが対応し、有人対応を希望されるお客様にだけオペレーターが対応することなど活用方法は様々です。具体的な目的の設定が大切です。
導入の目的と利用料金をまとめた表
サービス名 |
社外問い合わせ対応 |
社内ヘルプデスク |
マーケティング支援 |
初期費用 |
月額料金 |
AI-FAQボット |
○ |
○ |
|
– |
3万円~ |
Salesforce Service Cloud |
○ |
○ |
○ |
– |
9,000円 |
CLOVA Chatbot |
○ |
○ |
○ |
– |
5,5万円 |
Benefitter |
|
○ |
|
100万円 |
40万円 |
ASBOT |
|
○ |
|
22万円 |
15万円~ |
hachidori |
○ |
○ |
○ |
10万円 |
5万円~ |
Challbo |
○ |
|
|
– |
3万円 |
Chat Plus+ |
○ |
|
○ |
– |
1,500円~ |
sinclo |
○ |
○ |
○ |
– |
9,440円~ |
OKBIX,for AI Chatbot |
○ |
○ |
|
30万円 |
8万円~ |
karakuri |
○ |
|
○ |
要問い合わせ |
要問い合わせ |
AI.BiS |
○ |
|
○ |
要問い合わせ |
2,9万円 |
チャットディーラー |
○ |
○ |
|
要問い合わせ |
要問い合わせ |
導入時期を明確にしておく(質問の量などにより、設計や準備期間に時間が異なる)
チャットボットに必ずといっても必要なのは、質問と回答のテキスト情報です。10~20の限られた質問であれば、導入の担当者でも作成は可能ですが、FAQページを別で運営をしている、膨大なマニュアルがある、ベテランスタッフが属人的な質問対応を行っているといったケースでは、既にある質問を整理したり新しく質問を作成したりと質問の寮などによっては、設計や準備期間が想定よりも大きくかかってしまうことがあります。まずは、導入時期を明確にし、質問と回答の定期的なアップデートと改善を心がけると良いでしょう。
無料トライアルがある場合は、初期設定や操作性などを試しておく
無料トライアルがあるサービスを下記の通りまとめました。まずは無料トライアルを通して、初期設定や操作性などを試しておくことをおすすめします。

・WisTalk(ウィズトーク)
・BEDORE Conversation for Workplace
・AI FAQ OHGAI
・FirstContact
・AIアシスタント チャットボット ASBOT
・対話型AIエンジン『MZbot』
・Genesys Cloud CX
・Verbex
・HUE Chatbot
・amie Helpbot
・Assistant AI Roanna -ロアンナ-
・Benefitter
・デジタルヒューマン
・チャットプラス
・QuickSolutionチャットボット
・cognigy
・AIMC AIチャットボット導入支援
・AI-FAQ ボット
・たよれーるAIチャットボットサービス
・AIチャットボット「 HiTTO 」
・mobiAgent(モビエージェント)
・ObotAI
・オンライン・コンシェルジェ
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チャットボット導入後の注意点・運用のコツ
チャットボットは導入すれば終わりというものではなく、運用していくことが重要です。運用により、回答の精度を高めたり、よりユーザーに活用していただくことができるようになります。きちんと運用していくことで、導入後の成果の維持や成果の向上が見込めます。チャットボットを検討されている方や既に導入された方向けに、導入後の注意点や運用のコツについてまとめました。
チャットボット導入後の注意点・運用のコツ
チャットボットがユーザーに活用されているかを定期的に確認する
- チャットボットが回答する範囲がユーザーに伝わっているか
- 機械的な回答以外にも話しかけやすい工夫がされているか
- チャットボットが回答できなかった時の導線の準備がされているか
はじめに、チャットボットが何について回答することが出来るのか、設置されている役割を自動発話するようなシナリオが設計されているかを確認することが大切です。具体的には「こんな質問にお答えします」「下記のように質問をしてみてください」といったように、メッセージの最初にユーザーの質問を誘導するような自動発話を設定しておくことで、ユーザーがチャットボットに何を聞けばいいのか、どのように活用すればいいのかといったマインドセットをすることが期待出来ます。
次に、チャットボットが機械的な回答ばかりをするのではなく、キャラクター性を持たせるなどの親近感を覚えてもらう工夫も効果的です。具体的には、キャラクターのアイコン画像を設定したり、スタンプ画像のような形でリアクションをしたり、想定できる雑談に返答できるようなシナリオを準備したりすることで、チャットボットに話しかけやすい、面白いと言った利用イメージを持ってもらうことが期待出来ます。
最後に、チャットボットが回答できなかった場合の導線を検討することも大切です。「分かりませんでした」という返答だけでは、利用者がまた使ってみたいという意欲が損なわれてしまいます。例えば、「質問内容が分からなかったので、このような質問をしてみてください」や「すみません分かりませんでした。お役に立てるようこれから学習していきます」など、利用者に対して回答につながりやすい質問に誘導させたり、これからも改善していくというという姿勢が伝わるようなメッセージに変更することでユーザーが離れていくことを防ぐことが期待できます。また、チャットボットで全てを回答できなかったとしても、「お急ぎの方は下記の窓口にお問い合わせ下さい」というように、次の具体的なアクションをアナウンスすることで、ユーザーが回答に必ずたどり着けるような配慮が大切です。
PDCAを回して、成果がでるような設問を追加する(定期的なメンテナンス)
チャットボットを導入した後も質問と回答のPDCAを回すことで定期的なメンテナンスを行うことが大切です。効果的なQ&Aを作成するために、下記のような視点でチェックすることが効果的です。
- ユーザー目線で質問と回答の文章を考えられているか
- 同じ質問に対して回答は複数存在しないか
- 日常で対応している担当者にヒアリングができているか
はじめに、ユーザー目線での質問と回答になっているか確認することが大切です。例えば、ユーザーの普段使っている言葉を使えているかチェックすることです。お客様、顧客、クライアント、CLなど表現のゆらぎに対応することも大切ですが、実際に使われている言葉や表現を使用することで、より自然なチャットボットとの会話体験を実現することが可能です。
次に、同じ質問に対して必要なだけの複数の回答を設計することで成果が見込めるケースがあります。例えば、似たような質問であれば回答を複数まとめて回答するような質問にすることも考えられます。また、質問するユーザーによっては同じような質問でも適切な回答が異なる場合も考えられます。複数の回答については、既にFAQページ等がある場合は、そちらに遷移させるような形で対応する場合も多いです。
最後に、日常で実際に対応している担当者にQ&Aを再設計するにあたり、業務の実態に即しているかをよく確認することも大切です。チャットボットを導入したにも関わらず、担当者の作業負担が減っていないというケースは珍しくありません。担当者がよくある質問の対応に追われるような状況になっていないか実態を確認するとともに、チャットボットの質問と回答で漏れてしまっているよくある質問がないかヒアリングすることが大切です。