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医療現場の課題をAIが救う?チャットボットがつなぐコミュニケーション

最終更新日:2024/04/04

医療をはじめとする個人情報へのハードルが高い業界は、なかなかAIやデータを用いたイノベーションが起きにくいとされてきました。そうした中、患者や医療関係者をつなぐコミュニケーションツールとして、チャットボットの存在にスポットライトが当たりつつあります。今回は、チャットボットがつなぐ医療現場のコミュニケーションの未来についてまとめました。

電子カルテのチャットボット「ドクターQ」がブロックチェーン対応

医療系AIスタートアップのNAMはこのほど、2017年に開発したチャットボット型電子カルテ「ドクターQ」をイーサリアムネットワークと同期する形でブロックチェーン化したと発表しました。

「ドクターQ」は、患者はLINE上で同アカウントを追加することで、医師に代わってチャットボットから問診を受けたり、自分自身のカルテを閲覧したりできます。一方、医師は「ドクターQ」のサービスサイトにアクセスして患者の経過を確認するほか、ボットを通じて患者に接触できるというコミュニケーションツールです。

同社によると、2018年11月の発表時点で「ドクターQ」に加えた改良は3つ。「ドクターQに貯蓄されたデータをイーサリアムネットワークと同期することで、プライベートかつパブリックでもあるハイブリット型のブロックチェーンを実現した」と説明しています。

さらに、これまでのボタン型からよりコミュニケーションをとりやすい自然言語型に改良したほか、LINE以外にFacebook messengerやTwitterなど国内でポピュラーなSNSプラットフォームにも順次対応していく予定です。また、今後医療現場の中心ターゲットになっていくであろう団塊の世代以上のシニアでも使いやすいよう、スマートスピーカーに対応した音声ベースでのチャットも開発していくと述べています。

(参照:PR TIMES 医療用緊急性判断チャットボット「ドクターQ」のブロックチェーン化へ)

 

中外製薬、抗インフルエンザウイルス剤タミフル®の情報をチャットボットで提供

中外製薬、抗インフルエンザウイルス剤タミフル®の情報をチャットボットで提供|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

※記事内容と画像は異なります

2019年初頭は、インフルエンザの爆発的流行が世間を震撼させました。こうした中、大手製薬メーカーの中外製薬では、抗インフルエンザウイルス剤タミフル®を対象として、AI対話型プログラムで製品に関する問い合わせに対応するチャットボットを開発しました。

同社のメディカルインフォメーション部に寄せられる問い合わせは約60,000件。このうち、約2割の約12,000件がタミフルに関係するものだといいます。また、問い合わせはインフルエンザが流行する冬場に集中します。

同社のチャットボット「MI chat」は、フェアユース株式会社のビジネスチャットをベースにしたもので、ユーザーからの問い合わせ内容をチャットボットのAIが理解し、事前に登録された数百件のQ&Aから適切な回答を選び出します。チャットボットなら、普段のコミュニケーションのようにスマホから気軽な口語文で問い合わせができるため、より利便性が向上するのです。

また、チャットボットで情報提供することで、医療従事者がこれまで情報検索にかかっていた時間を短縮して効率化でき、対応チャネルの広がりも期待できます。同社ではタミフルでのチャット対応を皮切りに対象製品を広げ、2021年までに全商品でチャットボット対応を進める計画です。

(参照:中外製薬 AIを用いた医療従事者向け製品情報問い合わせチャットボット 「MI chat(エムアイチャット)」の運用を本日より開始)

 

英国では4万人が医療チャットボットを利用

英国・ロンドンでは、すでに約4万人が医師に代わって患者を診断するチャットボットを利用しているといいます。国民皆保険で体調が悪くなればすぐに一律料金で民間・公立の病院にかかれる日本とは違い、欧州では公立病院は医療費が無償である代わりにサービスレベルが低い、医療機関に予約を入れてから長期間待たされることもある、民間病院は高額という事情の違いはありますが、それでも医療現場の効率化にチャットボットが一役買っていることは間違いないででしょう。

ブロックチェーンの活用などでセキュリティーとプライバシーが保護されれば、日本でも活用の場が広がる可能性があります。

(参照:MIT Technology Review 利用者の半数が受診をやめた AIチャット・ドクターは医療費抑制の切り札になるか)

 

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