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今さら聞けないシンギュラリティの意味とは?2045年問題を解説!

最終更新日:2024/03/05

第三次AIブームと呼ばれる昨今、さまざまな分野で積極的にAI(人工知能)が活用されるようになりました。日本では少子高齢化に伴う人手不足が深刻化していますが、AIを活用すれば業務効率化を図りやすくなるため、多くの企業で注目されているのです。

ただ、AIの技術が進歩する反面、「人類の知能を超えることで雇用がなくなってしまうのではないか」といった心配も増しています。今後AIが発展することで、私たちにどのような影響が生まれるのでしょうか。

今回は、シンギュラリティ(AIが人間よりも賢い知能を生み出す時点)について詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

AIについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説

シンギュラリティの定義とは

シンギュラリティは、日本語では「技術的特異点」と訳される言葉です。AI(人工知能)をはじめとする技術が「人間よりも賢い知能を生み出せるようになる時点」を指します。アメリカの数学者ヴァーナー・ヴィンジ氏によって広められました。

ヴァーナー・ヴィンジ氏が1993年に発表した著書「The Coming Technological Singularity」では、「30年以内に技術的に人間を超える知能がつくられる」と表現されています。また、AI(人工知能)研究の第一人者として知られるレイ・カーツワイル氏も、「2029年にAIが人間並の知能を備えるようになり、2045年には技術的特異点が訪れる」と提唱しているのです。

AI自身が人間よりも優れたAIを生み出すことができるようになれば、2045年以降は人間が新たに何らかの発明をする必要がなくなります。これが実現された場合、人間が活躍する場を失ってしまう可能性もあることから、レイ・カーツワイル氏が提唱した「2045年問題」に注目が集まっているのです。

レイ・カーツワイル博士が唱える「2045年問題」

2045年問題とは

「シンギュラリティはいつ起きるのか」という問いに対する意見は複数存在しますが、最も多くの人に知られているものとしては、レイ・カーツワイル氏が唱える「2045年問題」が挙げられます。

レイ・カーツワイル氏は、「2030年代にはコンピューターの計算能力が人類の生物学的な知能の総容量に等しい量に達する」「2045年には1000ドルのコンピューターの計算能力が、10ペタフロップスの人類の脳の100億倍になる」という2点を主張しています。

しかし、レイ・カーツワイル氏が主張する2045年は、「汎用人工知能が初めて出現する年」「汎用人工知能が人類よりも賢くなる年」というわけではありません。これらの状況は、2029年には起こる可能性が高いと考えられているのです。

さらにレイ・カーツワイル氏は、人類の進化における最上級の理想系としてシンギュラリティを迎えるのであれば、人類の知性と機械の知性が融合し、人類が「ポスト・ヒューマン」へと進化していくと予想しています。

これらレイ・カーツワイル氏の予測は、「ムーアの法則」「収束加速の法則」という2つの法則を根拠に提唱されているものです。これら2つの法則がどのようなものか、みていきましょう。

ムーアの法則

ムーアの法則は、「集積回路に用いられるトランジスタの数が18ヶ月ごとに2倍に増える」という法則のことです。インテルの創業者ゴードン・ムーア氏が提唱した指標であり、もともとは大規模集積回路を生産するときの長期傾向指標について表すものでした。

一般的な公式は「p=2n/1.5」というもので、「n」は年、「p」はn年後のトランジスタ倍率です。そのため、18ヶ月で2倍となり、3年では4倍、15年では1024倍の容量のメモリチップが登場するということになります。

しかし、この法則に懐疑的な意見が多いのも事実です。たとえば、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は、「ムーアの法則は5年ごとに10倍、10年ごとに100倍だったが、現在では毎年数パーセントで、10年単位でおそらくせいぜい2倍だろう」と述べています。

収穫加速の法則

収穫加速の法則とは、「技術進歩において性能は直線的に向上するわけではなく、指数関数的に向上していく」という法則です。新しい技術が発明されると、複数の技術が次の発明に利用されることになるため、技術革新までの間隔が短くなっていくことを意味します。

たとえば、半導体の進化は、ムーアの法則に基づくと物理的な限界値を迎えるわけですが、収穫加速の法則に基づく考え方では「三次元分子回路をはじめとするテクノロジーの登場によってさらに発展していくこと」が予測されているわけです。

シンギュラリティは本当に起きる?いつ来るの?

さまざまな意見が飛び交うシンギュラリティですが、本当に起きるのでしょうか。また、起きるとすれば、いつ起きる可能性が最も高いのでしょうか。ここからは、著名人のシンギュラリティに関する意見について、詳しくみていきましょう。

著名人の意見

ヒューゴ・デ・ガリス氏

元人工知能研究者であり、現在はフェムトメートルの研究を行っているヒューゴ・デ・ガリス氏は、論文の中で以下のような意見を述べています。

「今世紀後半に人工知能は、人類の1兆倍の1兆倍(10の24乗)の知能を持つ可能性があります。さらに人工知性の開発に成功すれば、人類の1兆倍の1兆倍の1兆倍(10の36乗)の能力を持つことになります。」

スティーブン・ホーキング氏

イギリスの物理学者である故スティーブン・ホーキング氏(2018年3月14日没)は、「完全な人工知能の開発は、人類の終焉を意味するかもしれない」と、シンギュラリティの到来に危機感を示す発言を残しています。

孫正義氏

ソフトバンクグループ創業者の孫正義氏は、シンギュラリティについて「人類史上最大の革命(ビッグバン)」と指摘しており、シンギュラリティによって産業が再定義される可能性もあることを主張しています。

シンギュラリティ否定派の意見

ジェリー・カプラン氏

スタンフォード大学の教授であり、AI(人工知能)の権威としても知られるジェリー・カプラン氏は、「ロボットには独立した目標及び欲求がないため、AIの能力はあくまで人間のためにある」と主張しています。

現時点ではシンギュラリティが起きていないため、AIが人間と同じように「自我」を持つかどうかを科学的に証明することはできません。だからこそ、シンギュラリティ肯定派の意見もあれば、否定派の意見もみられているわけです。

シンギュラリティとAIの歴史

AI(人工知能)について詳しく知る上で、「2045問題」は非常に重大な問題であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。ただし、2045年問題だけでなく、これまでのAIの歴史や、現状のAI技術について正しく把握しておくことも大切です。ここからは、AIの歴史をみていきましょう。

第1次AIブームと呼ばれた1950年代~1960年代

AIという言葉自体は60年以上前に誕生していたといわれています。1956年にアメリカ東部の都市ダートマスで行われた「ダートマス会議」というワークショップで初めて、人間のように考える機械のことを「AI(人工知能)」と呼ぶようになったのです。

このワークショップによって、AI・人工知能という概念が科学の分野として認識されるようになりました。そのため、AIの歴史を語る上で「ダートマス会議」は欠かせない出来事といえるでしょう。

ちなみに、現在に至るまでの間にAIブームは3度あったといわれており、その第1次ブームに当たるのがこの「ダートマス会議」が行われた時期です。第1次AIブームでは、「AI・人工知能は実現できる」という比較的楽観的な考えのもとで、推論と探索の研究が数多く行われました。

推論というのは、記号を用いて人間の思考過程を表現する試みのことです。そして探索は、解き方のパターンを分類し、目的となる条件を探すプロセスを指します。少しわかりにくいかもしれませんが、迷路を解くときをイメージすればわかりやすいでしょう。

基本的に人間は迷路を解くときに指やペンなどで道を指しながらゴールを目指していきます。一方のコンピューターは、分かれ道に差し掛かったときに「右に進んだ場合」と「左に進んだ場合」の2つを分類するわけです。コンピューターはこういった分類を得意としているため、分類を繰り返して答えを見つけ出すことができるのです。

この技術によって、人間では時間がかかってしまうようなパターン分けの作業も、よりスピーディーに行うことができるようになりました。囲碁や将棋、チェスといったボードゲームに用いられているAIは、この探索技術が用いられているというわけです。

ただ、この第1次AIブームで実現された技術は、あくまでも決められたルールの中で最善の答えを導き出すものにしか過ぎません。そのため、私たちの生活で直面する問題を解決に導いてくれる技術ではありませんでした。その結果、AIに対しての期待感は少しずつ薄まっていったのです。

第2次AIブームと呼ばれた1980年代

第1次AIブームが去った1970年代から10年ほどが経過した1980年代に、AIは再び勢いを増していきます。それが第2次AIブームです。この第2次AIブームでは、コンピューターに「知識」を入れるための研究が進められました。

たとえば、コンピューターに法律家の代わりをしてもらうために、法律に関する知識を組み込んでいくということです。このようなかたちでコンピューターに知識を組み込むことによって、ユーザーは法律に関する情報を簡単に得られるようになります。そのため、第1次AIブームで実現された「決められたルールの中から次の一手を探す」という作業よりも、より可能性の広がる作業を行えるようになったのです。

そして、専門分野の知識を組み込んだプログラムの「エキスパートシステム」というものが大きな注目を集めました。コンピューターに専門的な知識を入れることで、「○○○」という条件が揃えば「×××」という答えを示すようにプログラミングしていきます。こういった条件式を作っていくことで、適切な回答を行う専門家のような役割をコンピューターが担えるようになりました。

実際に医療や生産、金融、人事、会計といったさまざまな分野で「エキスパートシステム」は作成され、1980年代に存在していた大企業の約3分の2は日常業務にこのシステムを活用していたといいます。このような点からも、AIブームが起きていたということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

ただ、このエキスパートシステムも決して完璧なものではありませんでした。曖昧な事例に対しては、適切に判断することが難しかったからです。たとえば、医師の代わりにエキスパートシステムが回答しようとしても、「なんか体がだるい」といった曖昧な表現に対して、適切な回答を示すことはできません。「だるい」という曖昧な表現が具体的にどのような意味を持つのか、このシステムでは判断することができなかったわけです。

私たち人間からすれば、このような表現は当たり前に理解することができますが、当時のAI技術では理解することが非常に難しかったため、結果的に「理想的なAIを実現するのはまだ難しいだろう」という結論でAIブームも去っていくことになりました。

第3次AIブームと呼ばれる現代

そして現在迎えているのが第3次AIブームです。このブームを呼ぶきっかけとなったのは、他でもなく「機械学習」でしょう。機械学習とは、AIが自ら学習していく仕組みのことです。

過去のデータを読み込ませることによってAIが学習し、そのデータに基づいた上での予測を行っていくことが可能になりました。そして、この機械学習に加えて、コンピューターがデータから特徴量を自動的に抽出できる「ディープラーニング(深層学習)」という技術も実用化されるようになり、より高い技術力を発揮できるようになったのです。

たとえば、これまでリンゴを認識させるためには、「赤い」「丸い」といった特徴を人間が教えなければなりませんでした。しかし、ディープラーニングであればコンピューターが自動的に特徴を分類した上で、人間では識別できない特徴のかたまりを形成できるようになったのです。人間が1からリンゴの特徴を教えなくても機械が自らリンゴの特徴を捉えられるようになったことは、大きな進歩といえるでしょう。

シンギュラリティがもたらす影響や変化

シンギュラリティが起きた場合、私たちの生活にさまざまな影響や変化が生まれることが予想されます。具体的にどのような影響・変化が生まれる可能性があるのか、詳しくみていきましょう。

ビジネス

シンギュラリティが起きた場合、テクノロジーのレベルがこれまで以上に上昇していくため、より多くの業務において「自動化」が実現されることが予想されます。そのため、労働による負担が大幅に軽減されることになるでしょう。

近年は、働き方改革によって過重労働や過労死について見直され始めていますが、場合によっては「人間の労働力を一切必要としない」というケースも出てくる可能性があります。人の手によって行われていた業務がすべてAIに置き換えられ、人間の仕事が失われてしまう可能性もあるのです。

とはいえ、すべての業務がAIに置き換えられるわけではありません。たとえば人間の想像力や独創性が求められる職業は、AIに奪われる可能性も低いでしょう。

社会制度

シンギュラリティが起きた場合、社会制度にも変化が生まれる可能性があります。シンギュラリティによってAIに仕事を奪われる人が増加した場合、これまで以上に貧困格差が広がっていくからです。そのため、最低限の所得を保障するベーシックインカム制度が導入される可能性があるでしょう。

ただし、ベーシックインカム制度を導入した場合、労働しなくても一定のお金を得られるようになるため、労働に対するモチベーションが低下してしまうリスクがあります。そのため、必ずしもベーシックインカム制度の導入がプラスに働くとは言い切れません。

シンギュラリティが起きても役立つスキル

シンギュラリティが到来すると、さまざまな分野において仕事を奪われる人が増加する可能性があります。しかし、すべての仕事がAIに奪われるわけではありません。ここからは、シンギュラリティが起きても役立つスキルについてみていきましょう。

対人ビジネススキル

AIは、私たち人間のように「心」を持っているわけではありません。そのため、業務の効率化、自動化を図ることはできても、人間と協力しながら新しいものを創造していくことはできないのです。

ビジネスでは、組織をまとめるためのリーダーシップが欠かせません。このような力を発揮できる「対人ビジネススキル」は、シンギュラリティが到来しても重宝されるでしょう。

創造力

AIは、過去の蓄積されたデータを分析し、予測する作業を得意としています。しかし、過去に起きたことのない出来事に柔軟に対応する力は持っていません。ビジネスシーンでは、これまでに起きたことのない緊急事態が発生することも予想されます。

そのような状況に対応していく柔軟性や、新しいモノ・サービスを生み出していく創造力は、今後も重宝されるスキルといえるでしょう。

AIへの知識を深めてシンギュラリティに備えよう

今回は、AIの進化によって起きる可能性があるシンギュラリティについてご紹介しました。シンギュラリティについて肯定的な意見もあれば、否定的な意見もあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

現状ではシンギュラリティが起きていないため、今後どのようにAI技術が発展していくかを確実に予測することはできません。だからこそ、仮にシンギュラリティが到来しても柔軟に対応できるよう準備しておくことが大切になるでしょう。

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