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AI・人工知能とは?

最終更新日:2021/10/27

AI・人工知能とは?

近年は、モノ・サービスの品質が日々向上し続けており、その品質向上に貢献する存在としてAI・人工知能に大きな注目が集まり始めています。社内の業務をAIに代行させる企業なども多くなってきているため、多くの方が「AI・人工知能」という言葉自体は聞き馴染みのあるものになってきているのではないでしょうか。

しかし、AI・人工知能の定義や仕組みまで詳しく理解できているという方は、決して多くないかもしれません。そこで今回は、AI・人工知能の定義や歴史、仕組みなどを詳しく解説するとともに、身近なAIの活用事例についても紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

■AI・人工知能とは?

AI・人工知能とは?

そもそもAI・人工知能とは、一体どのようなものなのでしょうか。まずはその定義から詳しくご紹介していきます。

AIとは、「Artificial Intelligence」を略した言葉であり、日本語に訳すと「人工知能」となります。人間の脳で行っているような作業をコンピューターが同じように模倣し、自然言語を理解したり、論理的に推測したり、経験に基づく学習を行ったりすることを目的とするプログラムを「AI」と呼ぶのが一般的です。

ただ、これはあくまでも「一般的にはそう認識されている」というレベルのものであり、AI・人工知能に明確な定義が存在するわけではありません。なぜなら、AIの研究者ごとに認識や解釈はそれぞれ少しずつ異なる傾向にあるからです。また、AIが未知の可能性を秘めている存在であり、今後どのような形で活躍していくのかが未知数であることも、AIの定義が明確に定まらない理由のひとつといえるでしょう。

AIは、「汎用型AI」と「特化型AI」という2つの種類に分けることができるのですが、現在多くの企業で研究が進められているのは「特化型AI」です。特化型AIとは、特定の作業だけを遂行するAIのことを指し、自動運転技術や画像認識技術などが該当します。一方の「汎用型AI」は、特定の作業やタスクを限定することなく、人間のように、自分の能力を応用してさまざまな物事に対応することができるものを指すわけです。

そのため、特化型AIに比べて汎用型AIは遥かに実用化が困難であり、AI研究の最終的なゴール地点といっても過言ではありません。私たちが期待する「ドラえもん」のような存在が実現されるのは、まだ先の未来になるでしょう。

 

■AI・人工知能の歴史

AI・人工知能の歴史

AI・人工知能への注目度が高まったのはここ数年であるため、AIの歴史は浅いと思われている方もいらっしゃるでしょう。しかし、実はAI・人工知能には長い歴史があり、現在に至るまでにさまざまな出来事が起きているのです。ここからは、AI・人工知能の歴史について詳しくみていきましょう。

 

●第一次AIブームは60年以上前(1950年代〜1960年代)

AIという言葉自体は60年以上前に誕生していたといわれています。1956年にアメリカ東部の都市ダートマスで行われた「ダートマス会議」というワークショップで初めて、人間のように考える機械のことを「AI(人工知能)」と呼ぶようになったのです。

このワークショップによって、AI・人工知能という概念が科学の分野として認識されるようになりました。そのため、AIの歴史を語る上で「ダートマス会議」は欠かせない出来事といえるでしょう。

ちなみに、現在に至るまでの間にAIブームは3度あったといわれており、その第1次ブームに当たるのがこの「ダートマス会議」が行われた時期です。第1次AIブームでは、「AI・人工知能は実現できる」という比較的楽観的な考えのもとで、推論と探索の研究が数多く行われました。

推論というのは、記号を用いて人間の思考過程を表現する試みのことです。そして探索は、解き方のパターンを分類し、目的となる条件を探すプロセスを指します。少しわかりにくいかもしれませんが、迷路を解くときをイメージすればわかりやすいでしょう。

基本的に人間は迷路を解くときに指やペンなどで道を指しながらゴールを目指していきます。一方のコンピューターは、分かれ道に差し掛かったときに「右に進んだ場合」と「左に進んだ場合」の2つを分類するわけです。コンピューターはこういった分類を得意としているため、分類を繰り返して答えを見つけ出すことができるのです。

この技術によって、人間では時間がかかってしまうようなパターン分けの作業も、よりスピーディーに行うことができるようになりました。囲碁や将棋、チェスといったボードゲームに用いられているAIは、この探索技術が用いられているというわけです。

ただ、この第1次AIブームで実現された技術は、あくまでも決められたルールの中で最善の答えを導き出すものにしか過ぎません。そのため、私たちの生活で直面する問題を解決に導いてくれる技術ではありませんでした。その結果、AIに対しての期待感は少しずつ薄まっていったのです。

 

●第二次AIブーム(1980年代)ではコンピューターに知識が組み込まれる

第1次AIブームが去った1970年代から10年ほどが経過した1980年代に、AIは再び勢いを増していきます。それが第2次AIブームです。この第2次AIブームでは、コンピューターに「知識」を入れるための研究が進められました。

たとえば、コンピューターに法律家の代わりをしてもらうために、法律に関する知識を組み込んでいくということです。このようなかたちでコンピューターに知識を組み込むことによって、ユーザーは法律に関する情報を簡単に得られるようになります。そのため、第1次AIブームで実現された「決められたルールの中から次の一手を探す」という作業よりも、より可能性の広がる作業を行えるようになったのです。

そして、専門分野の知識を組み込んだプログラムの「エキスパートシステム」というものが大きな注目を集めました。コンピューターに専門的な知識を入れることで、「○○○」という条件が揃えば「×××」という答えを示すようにプログラミングしていきます。こういった条件式を作っていくことで、適切な回答を行う専門家のような役割をコンピューターが担えるようになりました。

実際に医療や生産、金融、人事、会計といったさまざまな分野で「エキスパートシステム」は作成され、1980年代に存在していた大企業の約3分の2は日常業務にこのシステムを活用していたといいます。このような点からも、AIブームが起きていたということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

ただ、このエキスパートシステムも決して完璧なものではありませんでした。曖昧な事例に対しては、適切に判断することが難しかったからです。たとえば、医師の代わりにエキスパートシステムが回答しようとしても、「なんか体がだるい」といった曖昧な表現に対して、適切な回答を示すことはできません。「だるい」という曖昧な表現が具体的にどのような意味を持つのか、このシステムでは判断することができなかったわけです。

私たち人間からすれば、このような表現は当たり前に理解することができますが、当時のAI技術では理解することが非常に難しかったため、結果的に「理想的なAIを実現するのはまだ難しいだろう」という結論でAIブームも去っていくことになりました。

 

・中国語の部屋

なお、この第二次AIブームが訪れた1980年代には、AI・人工知能の研究者によく知られている「中国語の部屋」という思考実験が行われました。この思考実験は、アメリカの哲学者であるジョン・サール氏が、人工知能の批判を目的として提案したものであり、以下のような内容です。

『中国語を理解しない人(被験者)を部屋に閉じこめて分厚いマニュアルを渡す。分厚いマニュアルには、被験者の理解できない中国語が書いてあるが、そのマ ニュアルには、「これこれの文字列(被験者にはかろうじて記号であることがわかる)には、これこれの文字列を書いてわたせ」と指示を受ける。

ここに中国人がやってきて、紙切れを箱の中に入れると、(マニュアルに従って)完璧な返事が返ってくる。このことを繰り返した中国人は「ここには完璧に 中国語を理解し、私とコミュニケーションできる人がいる」と思う。しかし、中にいるのは中国人を解しないただの人である。』

上記からは、次の3点を導き出すことができます。

1.コミュニケーションという機能と「意識」は別物であり、意識にはコミュニケーションという機能が不可欠とは考えてはならない。
2.文章を組み立てられるからといって、必ずしもその文章の内容を理解しているとは限らない。
3.チューリングテストで合格できるレベルの人工知能は作成可能だが、意識を持つ人工知能を作ることはできない。

これが、ジョン・サール氏の主張となるわけですが、この主張には賛否両論があり、いまだにさまざまな論争が続いています。なぜなら、この思考実験におけるジョン・サール氏の主張は、人工知能の核心の議論だからです。「あたかも○○のような振る舞いを見せる機械」が真のAI・人工知能といえるのか、という問題になるわけですから、1つの結論を見つけ出していくのは非常に難しいと言わざるを得ないでしょう。

(参照:大阪大学「中国語の部屋」 https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/120705chinaman.html )

 

●第三次AIブームでは機械学習が登場

そして現在迎えているのが第3次AIブームです。このブームを呼ぶきっかけとなったのは、他でもなく「機械学習」でしょう。機械学習とは、AIが自ら学習していく仕組みのことです。

過去のデータを読み込ませることによってAIが学習し、そのデータに基づいた上での予測を行っていくことが可能になりました。そして、この機械学習に加えて、コンピューターがデータから特徴量を自動的に抽出できる「ディープラーニング(深層学習)」という技術も実用化されるようになり、より高い技術力を発揮できるようになったのです。

たとえば、これまでリンゴを認識させるためには、「赤い」「丸い」といった特徴を人間が教えなければなりませんでした。しかし、ディープラーニングであればコンピューターが自動的に特徴を分類した上で、人間では識別できない特徴のかたまりを形成できるようになったのです。人間が1からリンゴの特徴を教えなくても機械が自らリンゴの特徴を捉えられるようになったことは、大きな進歩といえるでしょう。

 

■AI・人工知能の仕組み

AI・人工知能の仕組み

AI・人工知能の仕組みについて詳しく理解する上で欠かせない要素となるのが、「機械学習」「ニューラルネットワーク」「ディープラーニング」の3つです。これら3つがどのような役割を担っているのか、詳しくみていきましょう。

 

●機械学習とは

機械学習とは、機械が膨大な量のデータを学習することによって自らルールを学習し、そのルールに則った予測や判断を実現する技術のことです。学習方法には、膨大な量のデータを学習して特徴を把握していく「教師あり学習」と、さまざまな次元でデータ分類などを行う「教師なし学習」、そして自ら試行錯誤して正解を求めていく「強化学習」の3種類が存在します。

AIにおける機械学習の位置付けとしては、「AIの要素技術の1つ」と表現することができるでしょう。そんな機械学習には、教師あり学習、教師なし学習、強化学習といった種類が存在します。

教師あり学習では、正解となるデータをあらかじめ読み込んだ上で、正解に紐づく結果を提示することが可能です。教師なし学習では、正解となるデータが存在しないため、入力されたデータを利用して正解を導き出していきます。一見、教師なし学習のほうが難しいように思えるかもしれませんが、適切な方法で学習を行えば、教師なし学習でも精度を高めていくことが可能です。

そして、強化学習では、データを活用せずに、設定された結果を評価するという形で最善の方法を探っていきます。バスケットボールのゲームを例にすると、パスが成功するたびに1ポイント、得点が入ると50ポイントといったアルゴリズムを搭載することで、自身で最適の方法を導いていくわけです。最近大きな注目を集めている将棋AIには、この強化学習が活用されています。これらを踏まえた上で、具体的に機械学習でできることとしては、「画像の判別」や「将来予測」といったものが挙げられるでしょう。

 

・画像の判別

Facebookなどのサービスに搭載されている人間の顔を判別する機能には、機械学習が活用されています。これは、自分自身の顔が写っている写真を自動で判別し、「○○さんと一緒にいます」と表示させることができるというものです。この「写真の判別」は、機械学習によってユーザーの顔を認識しているからこそ実現できるのです。

 

・将来予測

これまでに蓄積されたデータを機械学習することによって、将来がどのようになるのか予測することも可能です。このアルゴリズム自体は複数存在しますが、適切なものを洗濯すればより精度の高い予測を行うことが可能になります。場合によっては、スポーツの試合結果や株価なども予測できるようになるかもしれません。

 

●ニューラルネットワークとは

機械学習には多様なアルゴリズムが存在し、その内のひとつに「ニューラルネットワーク」というものが存在します。このニューラルネットワークとは、いわば「人間の脳神経の仕組み」のような機械学習アルゴリズムです。脳の回路に似た形のユニットで構成されており、「入力層」「中間層」「出力層」の3層で構成されています。そんな3層のうちの「中間層」を深くしたものがディープラーニング(深層学習)なのです。

この中間層を深くすることによって、ニューラルネットワークよりも表現力や精度を格段にアップさせることができます。つまり、ディープラーニング(深層学習)というのは、機械学習における3層のうちのひとつである「ニューラルネットワーク」をさらに発展させたものということです。

 

●ディープラーニング

ディープラーニングとは、膨大な量のデータを学習し、共通点を自動で抽出していくことによって、状況に応じた柔軟な判断を下すことが可能になる「機械学習技術の内の1つ」です。先ほどもご紹介したように、機械学習における3層のうちのひとつである「ニューラルネットワーク」をさらに発展させたものになります。従来の機械学習と異なる点としては、より高精度な分析を行うことができるという点が挙げられるでしょう。

具体的にディープラーニングでできることとしては挙げられるのは、主に以下のようなものです。

 

・画像の自動認識、自動生成

機械学習でも加増判別を行うことは可能ですが、機械学習では色などのデータから判定を行っています。一方、ディープラーニングでは色などの決められた要素だけで判定を行わず、「どこを見るか」を自動で学習していくわけです。まさに、人間が画像を見て認識する際と同じようなイメージといえるでしょう。言葉では表現できない微妙な違いも表現できるのがディープラーニングの大きな特徴です。

 

・自動運転などの作業支援

近年大きな注目を集めている自動車の自動運転も、ディープラーニングによって実現されています。自動運転は複雑なロジックであり、日本ではまだ一般的に普及されていませんが、近い将来一般的に普及される可能性は極めて高いでしょう。

また、自動運転だけでなく、医療の診断においてもディープラーニングを活用することができます。がんの転移や血管の疾患検知など、人間による診断ではミスしてしまう可能性がある難しいものでも、ディープラーニングを搭載した機械であればミスなく診断できる可能性を秘めています。

 

・創作物の作成

小説や音楽など、個人の創造力が求められるものでも、ディープラーニングであれば人間らしい抽象的な結果を創出できる可能性が秘められています。そのため、近い将来ディープラーニングによって小説や音楽が作られるようになるかもしれません。

 

■AI・人工知能の種類

 

AI・人工知能の種類AI・人工知能には、「汎用型AI」と「特化型AI」という2つの種類が存在します。汎用型AIというのは、人間と同じ感情や思考を持っている人工知能のことです。一方の特化型AIは、特定の作業のみに特化した人工知能のことを指します。現在多くの企業で研究が進められているのは「特化型AI」です。

特化型AIの代表例としては、自動運転技術や画像認識、囲碁・将棋・チェスなど、ひとつの機能のみに力を発揮するものが挙げられ、これらは別の作業を行うことができません。ただし、人間と同等もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮することができるため、さまざまな分野で活用されているのです。

ちなみに、「汎用型AI」「特化型AI」という分類方法だけでなく、「強いAI」「弱いAI」といった形で分類されることもあります。強いAIとは、人間のように「自意識」を備えているAIのことで、全認知能力が求められる作業にも対応することが可能です。フィクション映画などで描かれる「人間のような感情を持ち、物事を考えて行動するAI」をイメージすればわかりやすいでしょう。こういった「強いAI」は、人間が事前にプログラムしたり、データを与えたりしなくても、状況に応じて自ら判断を下すことができます。

一方の「弱いAI」は、与えられた仕事は自動で処理を行えるものの、事前にプログラムされていない仕事には対応できないAIのことを指します。人間の知性の一部分のみを特化させたものであり、特定のタスクだけを処理できるのが「弱いAI」に該当するわけです。現在実用化されているAIは、すべて弱いAIに該当します。

 

■AIとエンターテイメント

最近ではさまざまな業界で積極的にAIが活用され始めており、それはエンターテイメント業界でも例外ではありません。ここからは、エンターテイメント業界においてAIがどのような役割を果たしているのか、詳しく掘り下げていきましょう。

●アニメを高解像度に変換するAI技術

昨今のアニメ業界では、映像を高解像度に変換するAI技術に大きな注目が集まっています。これは、株式会社ラディウス・ファイブが2020年から提供を開始した「AnimeRefiner」というサービスであり、独自のAIモデルを活用することによってアニメを縦横4倍のサイズに高解像度化できるというものです。

この高解像度化が実現できるのは、深層学習(ディープラーニング)が活用されているからであり、これまで一般的に行われていた、従来の画像を引き伸ばして中間を補正する「アップコンバート技術」では不可能だったといいます。深層学習(ディープラーニング)を活用しているからこそ、高品質な状態での高解像度化を実現できているということです。

また、この「AnimeRefiner」の注目すべきポイントとしては、HDサイズのアニメを4Kに変換できるだけでなく、フルHDサイズのアニメを8Kに変換することもできるという点が挙げられるでしょう。「AnimeRefiner」は、AIが低解像度の映像から高解像度の映像を推定することによって映像生成が行われています。そのため、決して類似ではなくリアル4K、8Kとなるわけです。

そして、映像の生成が行われる過程において、さまざまなノイズを除去する作業も並行して行われるからこそ、高解像度かつ綺麗な映像の生成が実現できているといいます。

近年は4Kテレビの普及に伴い、4Kコンテンツの需要も高まっている状況です。ただ、4Kコンテンツの制作を行うには、撮影機材や制作機材なども4Kに対応しているものへ変更しなければなりません。そのため、どうしてもコストが膨れ上がってしまうのです。

そういった問題もあり、動画配信サービスなどでは、4Kコンテンツが不足している状態にあり、多くのコンテンツがいまだにフルHDサイズのままだったり、実際には4K品質ではない「4K相当」の映像だったりします。

その点、「AnimeRefiner」であれば、過去のアニメを手軽に4Kに変換することができます。また、今後制作されるアニメに関しても、よりコストを抑えながら4K、8Kコンテンツとして制作することが可能になるのです。そのため、今後のアニメ業界の流れを一気に変える可能性も十分にあるのではないでしょうか。

 

●AIの活用によって世界最古の映画を復活

アニメ以外にも、映像の分野においてはAIが積極的に活用されています。最近では、YouTuberとして活動するデニス・シリヤエフ(Denis Shiryaev)氏が、自身のYouTubeチャンネルで「AI活用を活用して4Kで蘇らせた100年前の東京の映像」を公開したことでニュースとなり大きな注目を集めました。

さらにシリヤエフ氏は、世界最古の映画をAI活用によって復活させたことでも注目を集めています。シリヤエフ氏が再現したのは、1888年10月14日に公開された短編無声映画の『ラウンドヘイの庭の場面』という作品です。英国のリーズ周辺のウィットレイ家の庭で、プランス氏の義理の両親とその息子が戯れている様子を撮影したものであり、現存する世界最古の映画としてギネス記録にも認定されています。シリヤエフ氏は、英国のサイエンス・ミュージアムから許可を得て、この作品のカラー化と補正を実現しました。

具体的にどのような技術が用いられているのかというと、シリヤエフ氏が独自に開発したニューラルネットワークです。これは、追加のフレームを人工的に生成することができるように、スローモーション動画を用いて学習されています。そのため、単位時間あたりのフレーム処理は、毎秒14コマから毎秒60コマまでアップグレードできているのです。

もともと20コマのみで構成されていた映画に関しては、AIのアルゴリズムを駆使する形で250コマまで増大することができ、さらにカラー化も実現できるため、よりリアルさをますことができるというわけです。

 

●人工知能が映画を作る

最近では、AI(人工知能)が映画を制作するという事例も多くなってきています。その一例として挙げられるのが「Sunspring(サンスプリング)」です。この映画は、ベンジャミンと名付けられたLSTM AIによって書かれました。LSTMとは、「long short-term memory」を略したものであり、過去の単語列をもとに、次にくるべき単語を予測するシステムのことを指します。「スマートフォンの予測変換機能をさらに発展させた技術」とイメージすれば分かりやすいでしょう。

ベンジャミンの製作者であるロス・グッドウィン氏は、「ゴースト・バスターズ」や「フィフス・エレメント」などのSF映画の脚本をベンジャミンに読ませ続け、それらをもとにSunspringの脚本を書かせたそうです。その結果、Sunspringは、「SFL 48-Hour Film Challenge」というコンテストにおいて、100以上の応募作品の中でトップ10に入る高評価を得たといいます。

さらに、ワーナー・ブラザース・エンターテイメントでも、AI専門の企業であるCinelytic社とパートナーシップを組み、今後制作する映画を選択する際にAIを活用することを発表しています。これまでは、会社の幹部が大量のデータを見た上で、1本1本の映画が利益をもたらすかどうかを判断しなければなりませんでした。

しかし、Cinelytic社のAIを活用すれば、より正確なデータを得た上で視聴者のニーズにピッタリ合う選択をすることが可能になります。そのため、映画の推定利益の試算が効率化されると期待されているのです。

 

●手塚治虫の新作「ぱいどん」がAIによって生まれた

AIは、漫画の分野でも活用され始めています。その代表例として挙げられるのが、手塚治虫の新作漫画です。2020年2月27日発売号の週刊モーニング(講談社)に、手塚治虫の新作として「ぱいどん」が掲載されました。この「ぱいどん」という作品は、2019年10月に東芝メモリ株式会社から社名変更したキオクシア株式会社のブランドキャンペーンとして生み出されたもので、AI技術を用いて新作を生み出したことから大きな注目を集めました。

「ぱいどん」は、2030年の東京・日比谷が舞台になっている漫画です。都会のど真ん中でホームレス生活を送る主人公のぱいどんが、小鳥型ロボットの「アポロ」と人型ロボットの「預言者」とともに、とある娘2人からの「失踪した父を探してほしい」という依頼を受けて捜査を進めていく物語です。

そんな「ぱいどん」では、あらすじ作りとキャラクター作りにおいて、2種類のAIが活用されているといいます。そもそもこのプロジェクトにおいては、AIがすべてのシナリオを細かく作ったわけではありません。ある程度AIを活用しながら、人も作品作りに関わっていたといいます。

そのような中でキオクシア株式会社が注目したのは「そもそもシナリオが枯渇している」という点だったそうです。昨今は、テレビドラマやソーシャルゲーム、そしてNetflixの自作品など、数多くの作品が存在しています。当然、世の中にはシナリオライターも数多く存在しているわけですが、決して潤沢に人がいるというわけでもありません。

そのため、シナリオライターと一緒に研究を続ける中で、「人間が生み出すシナリオのバリエーションはあまり多くない」という発見があったことから、このシナリオ作りという部分においてAIを活用していくことを決めたそうです。

物語には起承転結が存在するわけですが、大きな幕構成としては「発端」「展開」「結末」の3つに分けることができ、そこからさらに「日常」「事件」「決意」「苦境」「支援」「成長」といった計13のフェイズに分けることができます。

そのフェイズの各パーツを利用しながら、一貫性のあるシナリオを構築していくのは決して簡単なものではありません。そこで、13のパーツから新たなあらすじを生み出していくプロット生成の作業にAIを活用することで、より多様なプロット生成を実現することができたのです。

 

●AIがYouTubeの年齢制限動画の検出と制限を自動化

YouTubeでは、プラットフォーム上で未成年者を保護するための取り組みにAIを活用しています。これまでは、機械学習で検出を行い、人間のTrust & Safetyチームが「年齢制限が必要な動画」の判定を行っていました。しかし、AIを活用することによって、これらの作業をすべて自動化できるようになったのです。

YouTubeのポリシーには違反していない動画であっても、18歳未満の視聴者には相応しくないと判断されたコンテンツが年齢制限の対象に該当するといいます。また、18歳未満もしくはログインしていない視聴者は、制限を設定された動画を視聴できない仕組みです。

 

●スポーツ界でもAI導入が進む

福岡ソフトバンクホークスでは、AI・人工知能やIoTといった技術を積極的に活用し、より高度な分析を行っています。さまざまな技術を積極的に取り入れていますが、その中でも特に注目されているのが、ライブリッツ株式会社が提供する「Fastmoiton」という野球選手トラッキングシステムです。

この「Fastmoiton」は、福岡PayPayドームなどに設置している専用のカメラで試合を撮影し、撮影した映像をデータ化して分析していくというもの。ピッチャーやキャッチャー、バッターなど、それぞれのポジションの選手が守っている位置をキャプチャーすることで、選手一人ひとりが試合中どのように動いていたのかを細かくデータ化していきます。これにより、これまでは実現できなかった「守備」と「走塁」の分析が可能になったそうです。

これまで、守備の指導を行う際には、指導者の経験や感覚に頼らざるを得ない部分が多くありました。そのため、どうしても抽象的なアドバイスになってしまうケースが多かったのです。

しかし、守備の定量的なデータが取得できるようになったことで、被安打の結果と照らし合わせながら、戦略的な効果の検証を行うことができるようになりました。選手としても、データとして可視化されていれば、より具体的に課題を把握できるようになりますので、目標の明確化という点で大きなメリットがあるといえるのではないでしょうか。

また、「各ポジションが年間でどれだけ走ったのか」といったデータも簡単に収集できるようになったため、「センターやライトは特に走行距離が長い」「実はサードよりファーストのほうが動いている」といった点も明らかになったといいます。そのため、守備の苦手な選手がライトにつく「ライパチ」という概念も覆り始めているのです。

 

■身近なAI・人工知能の活用事例

身近なAI・人工知能の活用事例

 

AI・人工知能は、私たちの日常生活でも多く活用され始めており、身近な存在として定着しつつあります。ここからは、身近なAI・人工知能の活用事例について詳しくみていきましょう。

 

●スマートスピーカー

スマートスピーカーとは、対話型の音声操作に対応した「AIアシスタント」を利用することができるスピーカーのことです。AIスピーカーと呼ばれることもあります。AIアシスタントの一例としては、「Siri」(アップル)、「Google Assistant」(グーグル)、「Alexa」(アマゾン)などが挙げられます。これらが搭載されているスマートスピーカーを利用しているという方も多いのではないでしょうか。

「Siri」などのAIアシスタントは音声認識技術によって、「Hey Siri」や「OK Google」などと呼び掛けることで起動し、インターネットの情報を検索したり、電話をかけたり、家電を操作したりします。このように現時点でのAIアシスタントは主に個人向けに活躍していますが、今後はビジネスシーンでの導入も期待され、研究が進められています。

 

●掃除ロボット

掃除ロボットも私たちにとって身近なAIのひとつといえるでしょう。家庭用の掃除ロボットも多く販売されているため、実際に利用しているという方も多いかと思います。ただ、最近では家庭用だけでなく、ビルメンテナンス業界などでも積極的に掃除ロボットが活用され始めているのです。

ビル管理のパイオニアであるグローブシップ株式会社では、2019年にソフトバンクロボティクスの業務用AI清掃ロボット「Whiz」を試験的に導入し、実証実験を行いました。その背景には、やはり少子高齢化の加速によって深刻化している労働力不足があったといいます。このような課題を解決するためにも、いかに「省人化」と「効率化」を進められるかどうかが大きな課題となっているそうです。

そのため、グローブシップでは、2016年からさまざまな清掃ロボットを現場で試験的に運用してきました。そして、さまざまなロボットの比較・検討を通して、そのノウハウを少しずつ蓄積しているといいます。

ひとくちに清掃作業といっても、その業務自体は非常に複雑です。床の掃除やゴミ取り、水拭き、から拭きなど、状況に応じてさまざまな業務が発生します。そのため、各業務に最適なロボットを導入しなければなりません。ソフトバンクロボティクスの業務用AI清掃ロボット「Whiz」に関しては、建材の中でも特に多く利用されているカーペットやタイルのゴミ取りを得意としたもので、その作業を中心に実験が行われたそうです。

清掃ロボットにおいて特に重要なのは「現場での使いやすさ」ですが、「Whiz」はルートを手押しでティーチング(プログラム作成)することができ、記憶したルートを自動で清掃してくれるので、使いやすさという点でも大きな魅力があるロボットといえるでしょう。

また、複数のルートを記憶することも可能であるため、より多様な使い方が想定できます。現場にはパートや高齢の従業員も多く働いており、その人たちが必ずしも上手にロボットを扱えるとは限りません。しかし、「Whiz」であれば直感的な操作でルートを教えられるので、さらなる業務効率化が期待できるのです。

 

●自動運転

近年大きな注目を集めている「自動運転」も、AI(人工知能)によって実現されている技術のひとつです。自動運転とは、その名の通り「自身で操作を行うことなく自動車が勝手に走ってくれる技術」のことを指します。自動車に乗り込み、搭載されているAIに目的地を告げるだけで、自動車が勝手に出発してくれるので、人間がハンドル操作を行う必要はありません。

とはいえ、現時点ではまだ自動運転車が多く普及されているわけではないため、「自動運転車なんて不安で仕方ない」と思われる方も多いでしょう。確かに自動運転技術は決して完璧なものではなく、死亡事故を起こした事例も存在します。しかし、人間による運転と比べれば、はるかに安全なものになっているのです。

運転席に座った状態の人間の視野にはいくつかの死角が存在するため、その部分を確実に把握することはできません。もちろんドアミラーやバックミラーを使ってある程度の死角を解消することはできますが、それでも視認できない部分が多数あるのです。

では、完全には見えていない部分があるにも関わらず、なぜ大半の人は自動車を走らせることができているのでしょうか。それは、「その場所が死角になる前に『なにもないこと』を把握(記憶)しているから」に他なりません。つまり、若干ではあるものの、過去の情報を頼りに運転しているということです。

一方の自動運転車は、センサーによって自動車周辺の情報をリアルタイムに把握しながら走行します。自動車周辺に障害物が存在しないかどうか、いわばリアルタイムで目視しながら走行しているわけです。当然、記憶を頼りに運転する場合と目視しながら運転する場合では、後者の方が安全性は高くなります。

何より、人間は見ている方向以外の視覚情報を拾うことはできませんが、自動運転車はセンサーによって全方向の視覚情報を拾うことができるのです。こういった点を踏まえれば、言うまでもなく自動運転車のほうが高い安全性であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

●翻訳アプリ

多くのスマホユーザーが利用している翻訳アプリでも、AIが活用されています。Google翻訳をはじめとする機械翻訳は、自然言語処理によって実現されています。「自然言語」とは、私たちが日常的な会話で使用している言語のことだと捉えていただければ問題ありません。

ちなみに、自然言語と相反する言語としては「コンピューター言語」というものがあり、「1+2+5」といったような一通りの解釈しか存在しないようなものは、コンピューター言語に該当します。

一方の自然言語には、複数の解釈ができるケースも少なくありません。例えば、「A君は自転車で帰宅中のB君を追いかけた」という文章があったとします。この場合、「A君は自転車に乗り、帰宅中のB君を追いかけた」という解釈をすることもできますし、「A君は、自転車に乗って帰宅しているB君を追いかけた」という解釈をすることもできるわけです。

このように、自然言語は複数の解釈ができることから、これまでは適切な形で処理を行うことが難しいとされてきました。しかし、近年はAI(人工知能)の技術が発展したことにより、非常に高い精度で自然言語処理を行えるようになってきているのです。そして、最近では音声合成や文字認識と組み合わせたサービスも多くなってきています。

例えば、「あなたは将来、進歩した自然言語処理の技術を実感することになるでしょう」という日本語を英語に訳した場合には、「In the future, you will experience advanced natural language processing techniques.」となります。

しかし、この「In the future, you will experience advanced natural language processing techniques.」という文章をもう一度和訳すると、「将来的には、高度な自然言語処理技術が体験できます。」という文章になるのです。

私たち日本人は、一般的な会話の中で「あなたは~するでしょう」といった言葉の使い方をするケースは多くありません。Google翻訳はそれを理解した上で、より一般的な表現に近い言葉に置き換えることができているのです。これは、AIの技術によって的確に文脈解析と意味解析が行われ、適切な解釈のもとで自然言語処理が行われているからに他なりません。

また、Googleの翻訳アプリでは、カメラを用いて文章を映すだけで、別の言語に自動で翻訳してくれる機能も備わっています。これはまさに、画像認識技術によって実現されているものです。画像認識を活用すれば、さまざまな言語もより簡単に翻訳できるようになるため、将来的には言語の壁もどんどん少なくなっていくでしょう。

 

■ビジネスでのAI・人工知能の活用事例

AI・人工知能の種類

AI・人工知能は、ビジネスシーンでの活用も広がっている状況です。ここからは、具体的にどのような業界でAIが活用されているのか、その事例を詳しくみていきましょう。

 

●チャットボット

ビジネスシーンで多く活用されているAIツールのひとつに「チャットボット」が挙げられます。チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、ユーザーの問いかけに合わせて返事をしてくれるプログラムのことを指します。近年では、米マイクロソフトが開発したチャットボット「女子高生りんな」なども人気を集めました。

コールセンターやECサイト、公共施設など、ユーザーからの問い合わせが頻繁に発生する業種では、その問い合わせ対応に負担がかかるケースも少なくありません。特に近年は、少子高齢化に伴う人手不足が深刻化しているため、チャットボットの活用によって業務効率化を図る企業・自治体が多くなってきているのです。

また、近年はスマートフォンが普及したことにより、ユーザーがいつでもインターネット検索を行ったり、気に入った商品を購入したりできるようになりました。そのため現在は、深夜に「この商品についてもっと詳しく知りたい」と思い立つケースも少なくありません。そのようなユーザーに対して24時間365日自動対応できるようになるのは、チャットボットを導入する最大のメリットといっても過言ではないでしょう。

 

●不動産業界

地域密着型の不動産業界は、あらゆる産業の中でもIT化に立ち後れている業界といわれています。これはなぜかというと、どうしても「不動産物件」というモノが介在する取引であることに加え、さまざまな規制や要求される書類の数などが多く、IT化しにくいからです。ただ、近年は「不動産テック」と呼ばれる不動産向けのITサービスが立ち上がっているのも事実です。

その一例としては、レオパレス21の物件検索AI「バーチャルデスク」が挙げられるでしょう。この「バーチャルデスク」では、AI店員がユーザーを出迎え、店頭で相談している感覚で物件を探すことができます。同サービスの導入で、深夜や休日といった営業時間外に加え、店舗から遠いエリアで物件を探すユーザーの利便性が向上しました。また、24時間体制でAIが入居後のサポートをする「LEO SUPPORT」も提供しています。そのため、「バーチャルデスク」を導入したことで、物件探しから入居後まで一貫してAIチャットボットがサポートする体制が整ったといえるでしょう。

また、注文住宅を中心に不動産事業を手掛ける株式会社桧家ホールディングスでも、IBM Watsonを活用した「EXA AI SmartQA」というAIチャットボットの活用により、営業の生産性を向上させることに成功しています。桧家ホールディングスが構築したチャットボット「ひのくまコンシェルジュ」には、応酬話法や商材知識、不動産や法律関係の学習データなどといった情報を集約されており、導入済みの「LINE WORKS」と連携させることによって、営業担当者も使い慣れたUIで活用できているそうです。

 

●医療・ヘルスケア

医療分野のAI活用事例としては、ジェネリック医薬品の沢井製薬が挙げられるでしょう。同社は、製品情報サイトにチャットボットを導入することで、業務効率化を実現しています。

同社のウェブサイトでは、薬品の効果・効能や用法・用量といった製品に関する基本情報から、製品の写真、各種試験データまで、医療関係者向けに自社製品に関するさまざまな情報を提供していますが、製品数が700品目以上と多岐にわたることから、必要とされる情報をすぐに見つけ出すことが困難となっていました。

そこで同社では、日立システムズが提供するAIチャットボットの「CAIWA(かいわ)」をベースに、公式キャラクター「ジェネちゃん」によるWebサイト案内機能を構築しました。「CAIWA」では、入力された単語や文章そのものだけでなく、文章全体の意味や入力意図を理解し、表現の「ゆらぎ」も含めて適切な回答ができるように設計されています。

 

●金融

金融業界での代表的なAI活用事例としては、富士通のチャットボットを導入したソニー銀行が挙げられるでしょう。2017年6月、富士通は金融業界向けのエンタープライズチャットボットサービスを開発し、ソニー銀行でのトライアルが開始されました。

ソニー銀行はインターネット専業銀行であるため店舗を持たない効率性がありましたが、その反面、顧客とのコミュニケーションが課題でした。とくに、金融商品やサービスを案内するコンタクトセンターの利用は、ユーザーが仕事を終えた夕方から夜間が多く、需要のミスマッチが起きていたのです。サイト上にはQ&Aを設置していたものの操作性が悪く、検索に慣れないユーザーには不便となっていました。そこで着目されたのが、24時間365日対応が可能なチャットボットです。

ソニー銀行のウェブサイト内に顧客が一定時間滞在していると判断されると、チャットのウインドウが開く仕組みになっています。最初の問い合わせ対象となったのは、「口座開設の申し込みに関する質問」「Sony Bank WALLETの商品概要に関する質問」「パスワード・暗証番号に関する質問」の3点です。また、2018年5月からは、住宅ローンの仮審査でのAIによる自動審査なども導入されました。

 

●自治体

AI・人工知能は、自治体でも多く活用され始めており、特に人手不足が深刻化している保育園ではAIが大きな役割を果たしています。その代表例として挙げられるのが、富士通の保育園マッチングAIサービスです。

富士通の保育園マッチングサービスが導入された滋賀県草津市では、これまで毎年1,000人以上の応募者の割り振りを担当職員2名で行っていたといいます。当然、応募者全員を割り振るまでには1ヶ月以上かかっており、担当者自身の負担も極めて大きなものになっていました。この作業にかかる手間を大幅に削減するために開発されたのが、AIを活用した保育園マッチングサービスです。

富士通が開発した保育園マッチングサービスには、「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」というAIが搭載されています。このAIにより、応募者の要望や自治体の定める基準などに沿った数千人規模の保育園の割り振りが、数秒で行えるようになったのです。

 

●交通

タクシー大手5社では、ソニーペイメントサービスのAIを活用したタクシーの需要予測システムを導入しています。このAIシステムを活用することで、時間帯や場所、天候などに応じて潜在客を割り出せるようになるため、より効率的に運転できるようになるのです。

昨今は廃車アプリによる囲い込みも進んでいるため、このシステムを活用することによって新たな乗客を掘り起こす仕組みの確立が期待されています。

ちなみにこのシステムは、タブレット端末に表示された地図にマッピングされた方面を走行するといった運用方法となっているため、知識や経験が十分ではない新人ドライバーをサポートする役割としても大きく貢献しているわけです。

 

●観光・旅行

観光・旅行業会でも積極的にAIが導入され始めています。その代表例として挙げられるのが、京都南丹広域振興局です。京都南丹広域振興局では、地元初のAIスタートアップ、FKAIR(エフケアー)とともにチャットボット「ENA」が質問に答えてくれる「Kyoto Guide ENA(キョウト・ガイド・エナ)」(https://ena.fkair.jp/)を開発しました。

電柱棒(でんちゅうぼう)氏のイラストを用いたイメージキャラクターの「ENA」は、ユーザーの位置情報を取得し、「近くのおみやげ屋はどこ?」「保津川下りへの行き方は?」といった質問に答えてくれます。チャットボットを開発した目的は、ユーザー情報を収集解析しマーケティングや行動分析に役立てるためといい、AIによる施設の混雑予測などのデータにも活用される見通しです。

 

●農業・畜産業

農業・畜産業でもAI・人工知能は積極的に活用されています。その一例として挙げられるのが、農林水産省のチャットボットです。農林水産省は2019年1月、農業分野での研究成果や研究者等の情報を提供する「アグリサーチャー」の利便性を向上させる目的で、スマホ上での「対話型検索システム」チャットボットの試験導入を開始しました。

農業研究見える化システム「アグリサーチャー」は、2017年4月の稼働開始より毎月7,000件以上のアクセスを集める人気コンテンツですが、より一層の利便性の向上が求められています。

ウェブサイト上からチャット画面を開くと、ロボットがお勧めの研究成果をランダムで紹介するほか、例えば「コメ」というように検索したいキーワードを入力すると、内容に応じた行政情報を表示してくれるというものです。このチャットのベースはLINEを利用しています。

コミュニケーションツールとして親しみあるLINEと平易な会話文で検索が可能になることで、膨大な研究成果にアクセスしやすくなると期待されています。

 

●小売・飲食・サービス業

回転寿司のチェーン店「スシロー」を運営するあきんどスシローでは、レーンを流れるすべてのすし皿にICタグをつけ、売上状況や鮮度管理を行っています。どんな店で何のネタがたくさん食べられていて、どれが廃棄されてしまったのか。こういったデータを数億件蓄積し、そこに店舗の込み具合や個々の利用客の着席時間などを加味することで、1分後と15分後の需要を予測しています。

以前はプログラムで抽出したデータをExcelのマクロで分析していましたが、毎年10億件以上ずつ蓄積されていくデータを分析するとなると限界があります。そのため、同社ではビッグデータをよりフレキシブルに分析できるプラットフォームを構築し、マーケティングや商品開発に役立てているわけです。

スシローは他社よりも圧倒的にレーンを流れるすしの量が多く、キャンペーンによるメニュー変更も頻繁に行われます。年商1,100億円規模のチェーンともなると、年間の廃棄量を1%減らすだけでも年間で数億円のコスト削減につながるのです。

 

●アパレル・ファッション

トレンドの移り変わりが激しいアパレル・ファッション業界では、小ロットでの多品種生産が求められます。そのため、需要を正確に予測し、必要以上の在庫を持ち過ぎないようにしなくてはなりません。その課題を解決できるものとして、最近ではパーソナル人工知能「SENSY」という需要予測サービスに大きな注目が集まっています。

この「SENSY」は、感性工学に基づいて一人ひとりの感性を個別に解析する、自然言語処理・画像解析技術などを組み合わせたディープラーニング(深層学習)技術です。このパーソナル人工知能「SENSY」を活用した需要予測サービスは、大手アパレル企業での導入が進んでおり、セレクトショップや専門店を展開するアパレル大手約50社のうち、4分の1程度がSENSYを導入しているといいます。 中には粗利が18%向上した例があるなど、その効果が認められています。

SENSYは2019年2月、TISインテックグループのクオリカが手掛ける流通・サービス業界のファッションアパレル企業向けMD支援システムと、「SENSY-MD」を組み合わせた新プロダクトの開発に向け、アパレル大手のMARK STYLER社との実証実験を開始しました。

MARK STYLER社は、幅広い年代と嗜好に合わせたブランドを数多く展開し、約200の店舗とeコマースで提供しています。展開する商品の鮮度維持や、顧客ニーズの多様化を反映した店頭商品の陳列、売れ筋商品を見極めて在庫を適切なコントロールするスキルなど、幅広い業務に対応できる人材の育成が求められる一方で、少子高齢化による人材不足や離職といった問題も抱えていました。

これまで同社が蓄積したノウハウに加えて、AIが解析した売価変更と需要予測を組み合わせることで意思決定を迅速にし、本部スタッフの業務負担軽減を目指すとしています。

 

■AIの未来

■画像認識の仕組み|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

今回は、AIの定義や歴史、仕組み、活用事例などを詳しくご紹介しました。さまざまな業種で導入され始めていることからも、これからの社会において重要な役割を担っていく存在であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

しかし、必ずしもAIの未来は明るいとは言い切れません。というのも、AIには「2045年問題」というものが存在するからです。この2045年問題とは、AIなどの技術が人間よりも賢い知能を生み出せるようになるシンギュラリティの予測を指したものになります。つまり、2045年以降は、人間よりも賢い知能を持ったAIが現れる可能性があるということです。

そのため、この2045年問題が現実になった場合には、人間の仕事がすべてAIに奪われてしまう可能性があると指摘する専門家も少なくありません。実際にスーパーやコンビニなどのレジ業務が自動化されつつある点などを踏まえると、その可能性も否めないでしょう。

ただし、必ずしも人間の仕事が奪われてしまうとは限りません。AIの技術が進歩するのと同じように、私たち人間も能力が向上していく可能性を秘めているからです。いくら優秀なAIといえど、私たち人間が作り出したマシーンであることに変わりはありません。そのため、AIの進歩に負けないよう、私たち人間も能力を向上させていくことで、AIと人間の共存という道が見えてくるのです。

そのため、人間とAI、それぞれの不足部分を補いながら新しい関係性を築いていくということが、将来を見据える上で重要になるでしょう。もし、2045年問題が現実となった場合にも、慌てずに冷静な行動を取れるよう、ぜひこの機会にAIの知識を深めてみてはいかがでしょうか。

 

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