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対話型AIとは?導入のメリットと企業での活用事例を紹介

最終更新日:2026/09/03

対話型AIとは?

対話型AIは、チャットや音声を通じてユーザーと自然にやり取りできるAIです。カスタマーサポートや社内ヘルプデスク、予約受付など、さまざまな場面で活用されています。近年は生成AIの普及により、従来のチャットボットと何が違うのか、どこまで自動化できるのかが分かりにくくなってきました。

実際、対話型AIは単に質問に答えるだけではありません。問い合わせ対応の効率化や顧客満足度の向上、社内業務の負担軽減など、企業にさまざまなメリットをもたらします。一方で、製品ごとの機能差も大きく、導入目的に合わないツールを選ぶと期待した成果が出ないこともあります。

この記事では、対話型AIの意味や仕組み、生成AIやチャットボットとの違い、主な活用事例を解説します。導入メリットや選び方、よくある質問まで紹介するので、導入や見直しの検討にお役立てください。

対話型AIとは

対話型AI(Conversational AI)とは、人が入力したテキストや音声を理解し、自然な会話形式で応答するAI技術のことです。

IBMは対話型AIを、「ユーザーが会話できるチャットボットやバーチャルエージェントのような技術」と位置づけています。その中核には、自然言語処理(NLP)や機械学習、音声・テキスト理解といった技術があります。

従来のFAQやシナリオ型チャットボットとの大きな違いは、あらかじめ決めた分岐だけに頼らない点です。ユーザーの意図をくみ取りながら、柔軟に会話を進められます。

現在は、決まった手順に強いフロー型と、自然な応答に強い生成AI型を組み合わせたハイブリッド構成が主流です。

Google CloudのConversational Agentsでも、同様の設計思想が採用されています。生成AIのプレイブックやデータストアと、明示的に制御しやすいdeterministic flowsを組み合わせることを前提とした設計です。

対話型AIの主な種類

対話型AIは、応答の仕組みによって大きく3つのタイプに分けられます。

ルールベース型

あらかじめ用意したシナリオや辞書に沿って回答する方式です。決まった手順の問い合わせには強い一方、想定外の質問には対応しにくいという弱点があります。

生成AI型

大規模言語モデル(LLM)を用いてユーザーの意図を理解し、柔軟な文章を生成して応答する方式です。自然な会話が可能な反面、事実と異なる内容を回答してしまう「ハルシネーション」のリスクもあります。

ハイブリッド型

正確さが求められる定型処理はルールベースで、柔軟な応答が必要な場面は生成AIで対応する組み合わせ方式です。2026年時点の主要プラットフォームの多くが、この構成を採用しています。

また、やり取りの手段によって「テキスト型(チャットボット)」と「音声型(ボイスボット)」にも分けられます。電話対応の自動化には、主に音声型(ボイスボット)が使われます。

対話型AIとチャットボット・生成AIの違い

人とコンピューターが会話する仕組みと聞くと、チャットボットを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。対話型AIはチャットボットに活用されるケースが多いものの、両者は同じものではありません。

チャットボットとの違い

チャットボットは、ユーザーとやり取りするための会話インターフェースを指すことが多い言葉です。対話型AIは、その中で自然な会話を実現する技術を指します。

対話型AIを活用したAI型チャットボットは、ユーザーの意図や文脈を理解しながら、より柔軟で自然な対話を行える点が特徴です。現在は、ルールベースの正確さと生成AIの柔軟さを組み合わせたハイブリッド型が主流になっています。

チャットボットは大きく3種類に分けられる

「シナリオ型」「辞書型」「AI型」の3種類それぞれの概要は次のとおりです。

シナリオ型チャットボット

人が作成したシナリオに沿って回答するチャットボットです。たとえば、ユーザーからの問い合わせに対して「商品Aについて・Bについて・Cについて」などの選択肢を提示し、選んでもらいながら回答へ導きます。

辞書型チャットボット

ユーザーが入力した質問文を解析するチャットボットです。あらかじめ登録した辞書に含まれるキーワードがあれば、それを基に回答を表示します。

たとえば、「壊れた商品を修理したい」という質問には修理受付センターのURLや電話番号を、「東京にある店舗は?」という質問には東京にある店舗の連絡先を表示します。

AI型チャットボット

AI型チャットボットは、対話型AIを指すものです。シナリオ型や辞書型と違い、人があらかじめシナリオや辞書を作成する必要はありません。AIが自然言語処理や機械学習を用いて自動で回答します。

生成AIとの違い

生成AIは、文章や画像、音声、コードなどを生成する技術全般を指します。一方の対話型AIは、会話を通じて問い合わせ対応や案内、業務支援を行う仕組みです。

現在は、対話型AIに生成AIを組み込むことが一般的です。ただし、企業で運用する場合は、自然な応答だけでなく、フロー制御やナレッジ参照、権限管理、監査性まで含めた設計が重視されます。

最新トピックはAIエージェント化

近年の対話型AIは、単に質問へ答えるだけではありません。外部ツールや社内データと連携し、複数ステップの業務を実行する「AIエージェント」へ進化しています。

ServiceNowやOpenAIの公式発信でも、自律的に情報を集めて判断し、必要なアクションまで進める方向性が明確になっています。対話型AIは「話すAI」から「会話しながら仕事を進めるAI」へと広がりつつあります。

対話型AIが注目されている理由

背景にあるのは、顧客接点の多様化とAI基盤の進化です。

市場規模の面でも成長は顕著です。Fortune Business Insights(2026年8月更新)によると、世界の対話型AI市場は2026年に約179.7億米ドル規模と推計されます。2034年には824.6億米ドル(年平均成長率21.0%)まで拡大する見込みです。

出典:Conversational AI Market Size|Fortune Business Insights

顧客は、メール・チャット・電話・SNS・アプリなど、複数のチャネルを使って問い合わせを行います。そのため企業には、どのチャネルでも一貫した品質で迅速に対応することが求められるようになりました。

現在のGoogle CloudのConversational Agentsは、音声・テキスト・画像に対応しています。40以上の言語を前提としたマルチモーダルな運用へと、対応範囲が広がっています。

また、導入価値が見えやすくなっていることも大きな理由です。Zendeskの2026年版CXトレンドレポート日本調査によると、日本のCXリーダーの71%が、過去12か月のAI投資でROIを実感したとしています。

顧客側でも、24時間利用可能で、すばやく正確に解決できる体験への期待が高まっています。

対話型AIでできること

対話型AIの役割は、FAQ回答だけにとどまりません。ナレッジ検索や問い合わせ内容の要約、担当者への振り分け、情報取得、人へのエスカレーションなどが、現在の主要プラットフォームでは標準機能になりつつあります。公開サイトや社内文書を読み込んで回答できる点も特徴です。

Google Cloudでは、データストアが公開・非公開のコンテンツを理解し、Generatorsが要約や質問応答、顧客情報の取得、有人対応への引き継ぎなどを担えるとされています。

さらにServiceNowは、AIエージェントがインシデント対応やケース管理、部門横断ワークフロー、自動オンボーディング、情報検索支援などを実行できる例を公開しています。

つまり対話型AIは、「話すAI」から「会話しながら業務を進めるAI」へと変わりつつあります。

対話型AIを導入するメリット

対話型AIを導入する主なメリットは、次の4つです。

  • 24時間対応
  • 顧客満足度向上
  • 人員不足解消
  • 業務効率化

それぞれ詳しく解説します。

24時間対応が可能になる

対話型AIを導入すれば、24時間いつでも顧客に対応できます。従来もメールやフォームから問い合わせを受け付けることはできましたが、営業時間外に届いた問い合わせへの回答は翌営業日まで待ってもらう必要がありました。

対話型AIであれば、問い合わせの内容にもよりますが、営業時間を問わず即座に回答できるため、顧客の待ち時間を減らせます。

顧客満足度の向上につながる

雑誌「月刊コールセンタージャパン」を発行する株式会社リックテレコムが実施したアンケート調査では、「利用したコールセンターのサービスに対する不満」として、もっとも多かった回答は「待ち時間が長い(62.5%)」でした。

次いで多かった回答は「話中が多い(33.3%)」で、電話がつながりにくいことが顧客の不満を高めていると分かります。

対話型AIを導入すれば、コールセンターの担当者が不在でも、問い合わせにすぐ回答できます。「待ち時間が長い」「話中が多い」といった不満を軽減でき、顧客満足度の向上につながるでしょう。

人員不足の解消につながる

対話型AIの活用は、人員不足の解消にも効果を発揮します。顧客満足度を下げる要因の一つである長い待ち時間は、コールセンターの人員不足によって生じます。

対話型AIを活用すれば、オペレーターが対応する件数を抑えながら、全体の対応件数を増やせるため、人員不足の緩和につながります。

また、対話型AIは、顧客対応を置き換えるだけでなく、人の仕事を支援する用途でも効果を発揮します。Google Cloudは、Agent Assist がリアルタイム支援や通話要約を提供すると説明しており、Zendeskも通話後要約やルーティング、自動化による生産性向上を挙げています。

結果として、担当者は難易度の高い相談や判断業務に集中しやすくなります。

業務の効率化につながる|データを改善に生かせる

対話型AIは、社内業務の効率化にも役立ちます。ある企業では、自社製品に関する営業部からの問い合わせが多く、担当者が本来の業務に集中できないことが課題となっていました。

そこで、過去の問い合わせと回答をまとめたマニュアルやFAQをチャットボット化しました。その結果、営業社員からの問い合わせに対応する体制を、導入前の3分の1まで縮小することに成功しています。

対話ログは、顧客の不満や要望、つまずきやすい導線、よくある問い合わせを把握する重要な材料です。

Google CloudのCX Insightsのように、会話データを分析して品質改善や商品改善につなげる仕組みも広がっています。対話型AIは、応対の自動化ツールであると同時に、VOC収集と改善の基盤にもなります。

拡張しやすい

人員採用や教育には時間がかかりますが、AIは問い合わせ量の増減に応じて拡張しやすいのが強みです。特にキャンペーン時や繁忙期、災害・障害時など、問い合わせが急増する局面で効果を発揮します。

ServiceNowも、AIエージェントの利点として効率化やスケーラビリティを挙げています。

対話型AIの活用事例

対話型AIは、シナリオ型や辞書型に比べるとまだ普及の途上にありますが、すでに導入して成果を上げている企業も少なくありません。ここでは、7社の事例を紹介します。

カルビー

主にスナック菓子を製造・販売するカルビー株式会社では、顧客から寄せられる問い合わせや意見、感想を貴重なコミュニケーションと捉え、すべて自社の社員が対応しています。

より気軽に声を寄せてもらう機会を増やし、営業時間外の問い合わせにも対応するため、チャットボットを導入しました。

導入後の大きな変化は、若年層からの問い合わせが増えたことです。以前は電話を利用する高齢層からの問い合わせが中心でしたが、気軽に利用できるチャットボットを導入したことで、幅広い年代の声を集められるようになりました。

青山商事

全国で「洋服の青山」や「THE SUIT COMPANY」などを展開する青山商事株式会社は、新規事業の創出を目的に、他社の新入社員を集めた座談会を開催しました。そこで、コロナ禍における仕事や人間関係の悩みが数多く寄せられました。

また、内閣府の調査でも、働く若者の多くがストレスや悩みを抱えていることが示されていました。そこで、若い社会人の悩みを聞くサービスには需要があると判断し、オンライン上にAIチャットボットスナックママ「よしこ」をオープン。いつでも悩みを相談できるAI「よしこママ」を開発しました。

同サービスは、公開からわずか2か月で累計相談数8万件を突破しました。寄せられた悩みを集計・分析し、新たなサービスの開発にも役立てています。

ヤマト運輸

宅配便事業を手掛けるヤマト運輸株式会社は、2020年11月から、法人顧客による電話での集荷依頼にAIオペレーターボイスボット)を導入しました。顧客がヤマト運輸に電話をかけ、自動音声ガイダンスの「集荷」「再配達」「その他お問い合わせ」から「集荷」を選ぶと、AIオペレーターにつながる仕組みです。

AIオペレーターの活用によって、集荷を依頼する顧客の待ち時間が短くなり、ストレスの軽減につながると好評を得ました。これを受け、2021年4月23日からは個人向けにも同サービスを開始し、さらなる顧客サービスの向上を目指しています。

プレミアムウォーター

プレミアムウォーター株式会社 ディレクション部 課長代理 奥村 哲弥 氏

ミネラルウォーターを中心に飲料水を製造・販売するプレミアムウォーター株式会社は、ウォーターサーバーの契約者や契約を検討している方からの問い合わせに効率よく対応するため、AIチャットボットを導入しました。

Webサイト上のすべての問い合わせ導線にAIチャットボットを配置した結果、入電率を20%削減し、2021年4月以降の対応満足度は約52%となりました。さらに、AIチャットボットの回答率は約97%を達成しています。

最近では、ボイスボット『AIコンシェルジュ®』をカスタマーセンターに導入し、電話による再配達受付サービスを開始しました。荷物を受け取っていない顧客に電話でリマインドし、希望する再配達日時をAIが受け付けます。荷物をスムーズに受け取れるようにすることで、顧客満足度の向上を目指しています。

阪急電鉄

都市交通事業や不動産、エンタテインメント事業などを手掛ける阪急電鉄株式会社は、2021年7月7日から同年10月31日まで、実証実験として改札口外のコンコースに音声対話技術を活用した非接触型AI案内端末を設置しました。

案内サービスの向上に加えて、非接触型による感染症対策も図り、将来の本格導入に向けて検討を重ねています。

NTTデータ

データ通信やシステム構築事業などを手掛ける株式会社NTTデータは、2021年3月22日から、東京電力エナジーパートナー株式会社の電力供給サービス受付関連業務において、株式会社NTTドコモが提供する「AI電話サービス」の利用を開始しました。

AI電話サービスは、NTTドコモの高度な音声認識技術によって自然な会話を実現するサービスです。問い合わせ対応やサービスの予約、荷物の再配達といった受電業務に加え、商品の案内、在宅確認、災害時の一斉連絡などの架電業務にも対応します。

同社は、2020年8月から11月に東電EP社内で業務検証を実施しました。その結果、電力供給サービス受付業務の応対件数の約75%をAI電話サービスだけで完結できたことから、本格導入を開始しました。

従来は、オペレーターが電話対応をしながらパソコンを操作していました。電話対応をAIに任せることで、顧客の受付待ち時間を大幅に短縮できるようになりました。

アートネイチャー

各種毛髪製品の製造・販売や、増毛・育毛サービスの提供などを手掛ける株式会社アートネイチャーは、機会損失の防止と顧客の待ち時間短縮を目的に、2022年6月7日から自動音声対話エンジン「BEDORE Voice Conversation」を導入しました。

この自動音声対話エンジンは、オペレーターが顧客からの問い合わせにすぐ対応できない場合に、「予約対応」「カタログ請求」「その他の要件ヒアリング」に活用されています。営業時間外で対応できなかったケースや、営業時間内でも人員不足によって顧客を待たせていたケースの解消につながり、顧客満足度の向上が期待されています。

対話型AI導入で失敗しないための「4つの注意点」

対話型AI(生成AI)は非常に強力ですが、導入するだけで成果が出る魔法のツールではありません。実際の業務で活用するには、次のようなリスク管理と運用設計が欠かせません。

ハルシネーションを前提とした防御設計

生成AIを利用する以上、誤情報を出力するリスクをゼロにすることはできません。特に契約、医療、金融など、正確性が求められる領域では、自社のFAQやマニュアルだけを根拠に回答させる「RAG(検索拡張生成)構成」や、AIの回答範囲を厳密に制御する仕組みが必要です。

エンタープライズ水準のセキュリティと権限管理

AIが社内の機密文書や顧客データにアクセスする場合、情報漏洩リスクへの対策が最重要課題となります。部署ごとの閲覧権限などのアクセス制御や通信の暗号化に加え、「AIがいつ、どのデータを使い、どのように回答したか」を後から追跡できる監査ログの仕組みも欠かせません。

有人対応(エスカレーション)へのシームレスな連携設計

対話型AIは万能ではありません。イレギュラーな処理や感情的なクレームへの対応では、人間のオペレーターへスムーズに引き継ぐ必要があります。「何%を自動化できたか」だけでなく、「AIの回答に対する確信度が低い場合」など、人間に引き継ぐ条件を細かく設計することが、顧客満足度を維持するポイントです。

導入をゴールにしない「継続的な運用改善」体制

AIの価値を左右するのは、導入後の運用です。顧客の問い合わせログを分析し、解決率や離脱率を確認しながら、AIが回答できなかった領域のナレッジを継続的に追加・補強する体制(MLOps)を、あらかじめ構築しておくことが重要です。

対話型AI活用における社会的影響と法規制の動向

対話型AIの活用が広がるにつれて、プライバシー保護やAIガバナンスに関するルール整備も進んでいます。導入担当者は、社内の運用設計だけでなく、社会的なルールの動きも押さえておく必要があります。

総務省・経済産業省は「AI事業者ガイドライン」を継続的に改定しており、2026年3月31日公開の第1.2版では、AI開発・提供・利用の各主体が取り組むべき事項が整理されています。対話型AIを社内外に提供する企業は、このガイドラインに沿ったリスク管理体制の構築が求められます。

出典:AI事業者ガイドライン(第1.2版)|総務省・経済産業省

また、2026年に成立した改正個人情報保護法では、統計作成やAI開発を目的とする場合に限り、本人同意なしで一部の個人情報を取得・提供できる「統計特例(AI特例)」が新設されました。対話ログや問い合わせ内容をAIの学習データとして活用する企業にとっては、目的外利用の禁止や情報の事前公表など、透明性を確保した運用が一段と重要になります。

対話型AIは、技術面の精度だけでなく、こうした法規制やガイドラインへの対応も含めて選定・運用することが、長期的に安心して使い続けるための鍵になります。

失敗しない対話型AIの選び方

数ある対話型AIツールの中から自社に最適な製品を選ぶ際は、以下の5つの基準で比較検討することをおすすめします。

自社データと安全に連携できるか

現在の対話型AIでは、AI単体の性能だけでなく、「自社の社内文書、FAQ、CRM(顧客管理システム)の情報をどれだけ正確に参照できるか」が重要です。データストアとの連携機能や、安全なRAG環境を容易に構築できるかを確認しましょう。

チャットにとどまらないオムニチャネル展開と有人連携

最初はWebサイトのチャットボットから導入しても、将来的にはLINEや社内のTeams/Slack、さらに音声(電話)へとチャネルを広げるケースがあります。

テキストと音声の両方に対応しているか、会話履歴を引き継いで有人オペレーターへスムーズに連携できるかを確認しましょう。

回答だけでなく業務実行まで完結できるか

2026年現在、対話型AIを比較するうえで大きな差が生まれるのが、業務を実行する機能です。単に質問へ答えるだけでなく、「注文のキャンセル処理」「会議室の予約変更」「社内システムへのチケット起票」など、API連携やMCP対応によって実際の業務システムを操作できる製品ほど、高い投資対効果が期待できます。

費用対効果を可視化する「分析・ダッシュボード機能」

導入後のPDCAを回すためには、会話の品質を可視化する機能が必須です。解決率、有人転送率、顧客の感情分析、FAQの不足箇所などを直感的に把握できるダッシュボードやレポート機能が充実している製品を選びましょう。

日本語のニュアンス対応と厳格なガバナンス管理

日本企業が実際に運用するうえでは、敬語や業界用語の調整を含め、自然な日本語を生成できることが重要です。さらに、金融・公共分野や大企業で利用する場合は、部署や役職に応じた細かなアクセス権限の設定、ログの保全機能など、必要なガバナンス要件を満たしているかを優先的に確認する必要があります。

対話型AIのおすすめ製品

ここでは、対話型AIを導入する際に検討したい代表的な8製品を紹介します。まずは全体像を比較一覧表で確認し、自社の目的に近い製品から詳細を見ていくのがおすすめです。

製品名 提供企業 得意領域 主なチャネル 特徴
Zendesk AI Zendesk カスタマーサービス全般 Web/メール/SNS等オムニチャネル 実データ学習済みAIで即戦力、OpenAI連携
Customer Experience Agent Studio Google(Gemini Enterprise) 大規模・多言語対応 音声/テキスト/画像 40言語以上の音声、10言語のリアルタイム音声翻訳
Agentforce 360 Salesforce 業務実行の自律化 Web/音声(コンタクトセンター連携) Agentforce Voiceで音声チャネルもネイティブ統合
AI Agents ServiceNow バックオフィス業務の自動化 会話型ポータル 返品受付(RMA)など業務フローを会話で完結
Fin(旧Intercom) Fin カスタマーサポート特化 Webチャット/音声/メール/SNS 2026年5月に社名をIntercomからFinへ変更
Copilot Studio Microsoft 社内データ連携・音声対応 音声/IVR/Teams等 Dynamics 365 Contact Center向けリアルタイム音声エージェント
Freddy AI Agent Freshworks 中堅・中小企業向け Web/社内ポータル AI Agent StudioとMCP Gatewayでノーコード拡張
Cloud Agentic Virtual Agent Genesys コンタクトセンターの自動化 音声中心 LAM(大規模行動モデル)で自律的なアクションを実行

Zendesk AI

Zendeskは、世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。数十億件の実データで学習したAIが、自然な対話で問い合わせに自動対応します。問い合わせ内容に応じてラベルを付け、優先順位の設定やルーティングを効率化できる点も特徴です。OpenAIとの連携により、回答の要約や情報の補足、トーンの変更など、生成AIを活用した機能も備えています。

Zendesk AIの詳細を見る

Google(Gemini Enterprise)「Customer Experience Agent Studio」

Googleが提供する対話型AI基盤です。旧称「CX Agent Studio」は、生成AI基盤「Gemini Enterprise」傘下の「Customer Experience Agent Studio」へと再編されました。35種類の構築済みテンプレートを使い、低コードで数日単位のエージェント構築が可能です。40言語以上の音声対応、10言語間のリアルタイム音声翻訳、MCP対応も備えており、大規模な顧客対応基盤を構築したいエンタープライズ企業に適しています。

出典:Customer Experience Agent Studio|Google Cloud

Salesforce「Agentforce 360」

Salesforceの「Agentforce」は、顧客への対応や必要な処理を自律的に実行するAIアプリケーションです。2026年には、統合ブランド「Agentforce 360」として刷新されました。自社データやFlow、MuleSoftと連携し、システム上で処理を直接実行できます。また、新機能「Agentforce Voice」は、Amazon ConnectやFive9、Genesys、NiCEなどのコンタクトセンタープラットフォームとネイティブに統合され、音声チャネルでも自然な対話を実現します。Service Cloud上でAIエージェントと人間の担当者を一元管理できる点も強みです。

出典:Agentforce 360 Announcements|Salesforce

ServiceNow「AI Agents」

ITサービス管理大手のServiceNowが提供する、自律的な業務遂行を前提としたAIエージェントです。2026年3月に更新されたCustomer Service向け機能「RMA AI Agents」では、返品受付から保証確認、解決策の提示、人間への引き継ぎまで、一連の業務フローを会話ベースで完結できます。これにより、バックオフィス業務の省力化に貢献します。

Fin(旧Intercom)

「Fin」は、カスタマーサポートに特化したAIエージェントです。提供企業の「Intercom」は、Finが主力事業になったことを受け、2026年5月12日に社名をFinへ変更しました(プロダクト名は引き続き「Intercom」)。ヘルプセンターのナレッジや対応手順を学習し、Webチャット・音声・メール・SNSなど、複数のチャネルで一貫した対応を提供する点が特徴です。

出典:Intercom Rebrands to Fin|CX Today

Microsoft「Copilot Studio」

Microsoftの「Copilot Studio」は、自社の安全な業務データに接続しながら、独自のAIエージェントを作成・公開できる統合基盤です。2026年には「Dynamics 365 Contact Center」向けのリアルタイム音声エージェント機能が追加され、IVR(自動音声応答)から有人オペレーターへの引き継ぎまで、一貫して構築できるようになりました。Dynamics 365 Customer Serviceなど、Microsoft製品をすでに導入している企業にとっては、ガバナンスを効かせやすい選択肢です。

出典:Microsoft Copilot Studio Launches Realtime Voice Agents for Dynamics 365 Contact Center|CX Today

Freshworks「Freddy AI Agent」

中堅・中小企業から支持を集めるFreshworksの「Freddy AI Agent」は、「応答するだけでなく行動するAI」をコンセプトに掲げています。2026年5月には、ノーコードでカスタムエージェントを作成できる「Freddy AI Agent Studio」と、外部ツールと連携するための「MCP Gateway」が発表されました。これにより、問い合わせ対応に加え、レコードの更新や返金処理などの実務も担えるようになりました。

出典:Freshworks Unveils AI Agent Studio in Freshservice|Freshworks

Genesys「Cloud Agentic Virtual Agent」

コンタクトセンターシステムの世界的リーダーであるGenesysが、2026年2月に発表した仮想エージェントです。大規模行動モデル(LAM)を活用し、会話の文脈を理解したうえで、必要なアクションまで自律的かつシームレスに実行します。既存のコールセンター業務を抜本的に自動化・高度化したい企業にとって、有力な選択肢の一つといえるでしょう。

対話型AIに関するよくある質問(FAQ)

最後に、対話型AIの導入を検討する際によく寄せられる質問にお答えします。

対話型AIとチャットボットは何が違うのですか?

チャットボットは、ユーザーとやり取りするための「会話インターフェース」そのものを指す言葉です。一方、対話型AIはその中で自然な会話を実現する「技術」を指します。したがって、対話型AIを搭載したチャットボット(AI型チャットボット)もあれば、シナリオ型や辞書型のように対話型AIを使わないチャットボットもあります。

対話型AIの導入費用はどのくらいかかりますか?

製品や契約形態によって大きく異なり、月額固定制のほか、Google CloudのCX Agent Studioのように「1セッションあたり0.5米ドル」といった従量課金制を採用するサービスもあります。自社の問い合わせ件数や必要な機能に応じて、複数社から見積もりを取って比較することをおすすめします。

対話型AIは日本語にも問題なく対応していますか?

主要な製品の多くは日本語に対応していますが、敬語表現や業界特有の言い回しの精度には製品ごとに差があります。導入前には無料トライアルやデモを利用し、自社が想定する質問に対して自然な日本語で回答できるかを確認することが重要です。

対話型AIとAIエージェントは同じものですか?

両者に明確な境界はありません。一般的に、対話型AIは「会話を通じてユーザーに応答する技術」を指します。一方、AIエージェントは、対話型AIの能力を土台として外部ツールや社内システムと連携し、複数の工程からなる業務を自律的に実行する、より発展した概念として使われます。

対話型AIは今後カスタマーサービスの主役になる!

対話型AIは、人とコンピューターが自然に会話できる仕組みです。問い合わせ対応だけでなく、一斉連絡や予約確認など、定型的な架電業務にも活用できます。問い合わせ対応の時間短縮による顧客満足度の向上や、コールセンター業務の効率化など、企業と顧客の双方にメリットをもたらします。

以前は、人がシナリオや辞書を作成・登録する必要がありました。しかし、AIの自然言語処理や機械学習を活用することで、こうした手間を大幅に軽減でき、人員不足の解消にも貢献します。

AIを活用したチャットボットボイスボットは、すでに多くの企業から提供されています。そのため、導入を検討する際に、どの製品を選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

AIsmileyでは、業界別に分類したチャットボットカオスマップや、電話自動応答と音声対話に分類したボイスボットカオスマップを公開しています。それぞれ資料としても提供していますので、対話型AIを導入する際の参考にしてください。

チャットボットについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
チャットボットとは?意味やメリット、活用事例を徹底紹介

アイスマイリーでは、対話型AI のサービス比較と企業一覧を無料配布しています。課題や目的に応じたサービスを比較検討できますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。

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