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最終更新日:2026/08/13
OpenAIは2026年7月28日(米国時間)、音声文字起こしの新モデル「GPT Transcribe」「GPT Live Transcribe」を発表しました。「2つのモデルは何が違うのか」「料金はいくらか」と気になっている担当者も多いのではないでしょうか。「今使っているWhisperから乗り換えるべきか」という疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、2モデルの違いや料金、精度、使い方を解説します。あわせて、自社でAPIを組むべきかSaaSを使うべきかという導入判断のポイントも紹介します。

GPT TranscribeとGPT Live Transcribeは、OpenAIがAPI向けに提供する音声文字起こし専用モデルです。両モデルとも精度は「Highest」に位置づけられていますが、想定する用途がはっきり分かれている点が最大の特徴といえるでしょう。
GPT Transcribeは、録音済みファイルやバッチ処理、Realtime APIで確定した発話ターンの文字起こしに適したモデルです。ファイルをアップロードすると、処理完了後に全文を受け取れるほか、処理中にテキストを逐次ストリーミングで受け取ることもできます。
一方のGPT Live Transcribeは、マイクや通話音声などライブで届く音声を、その場で文字起こしするストリーミングモデルです。話者が話しているそばから、差分テキスト(デルタ)が返される設計になっています。遅延と精度のバランスを調整できる「チューナブルレイテンシ」にも対応します。
両モデルの違いを一覧にまとめました。
| 項目 | GPT Transcribe | GPT Live Transcribe |
| 主な用途 | 録音済みファイル・バッチ処理 | リアルタイム・ライブ音声 |
| 対応エンドポイント | v1/audio/transcriptions、Realtime APIの確定済みターン | v1/realtime/transcription_sessions |
| 料金(音声1分あたり) | $0.0045 | $0.017 |
| 速度 | Medium | Very fast |
| 精度 | Highest | Highest |

料金は音声の長さに応じた従量課金制です。GPT Transcribeは1分あたり0.0045ドル、GPT Live Transcribeは1分あたり0.017ドルに設定されています。1時間の会議を文字起こしする場合、GPT Transcribeなら約0.27ドル(数十円程度)で処理できる計算です。
従来モデルとの比較は次のとおりです。
| モデル | 用途 | 料金(1分あたり) |
| GPT Transcribe | ファイル・バッチ文字起こし | $0.0045 |
| GPT Live Transcribe | リアルタイム文字起こし | $0.017 |
| GPT-4o Transcribe(旧モデル) | ファイル文字起こし | $0.006 |
| GPT-4o mini Transcribe(旧モデル) | ファイル文字起こし | $0.003 |
| Whisper(旧モデル) | ファイル文字起こし | $0.006 |
| GPT-Realtime-Whisper(旧モデル) | リアルタイム文字起こし | $0.017 |
GPT TranscribeはGPT-4o Transcribeより安価に設定されています。大量の録音データを一括処理する用途では、コスト面のメリットが期待できるでしょう。なお料金は今後改定される可能性があるため、最新情報は公式サイトで確認してください。
出典:GPT Transcribe Model/GPT Live Transcribe Model

GPT TranscribeとGPT Live Transcribeは、精度を高めるための3種類のコンテキスト入力に対応しています。
なお公式ドキュメントでは、keywordsは出力を保証するものではなく、あくまで「ヒント」であると明記されています。音声に含まれていない単語を無理に出力させる機能ではない点には注意が必要です。
GPT Live Transcribe固有の機能としては、精度と速度のどちらを優先するかを調整できるチューナブルレイテンシがあります。リアルタイム字幕のように速度優先の用途と、正確な記録が求められる用途を、1つのモデルで使い分けられる設計です。

OpenAIは今回の発表にあわせて、独自のベンチマーク結果を公開しています。録音に関する文脈情報(free-form context)を与えた場合、GPT Live Transcribeの意味的な正解率はコンテキストなしの38.5%から44.6%に向上しました。GPT Transcribeも同様に、41.6%から45.2%まで改善しています。
22言語を対象としたCommon Voiceベンチマークでは、GPT Live Transcribeの文字起こし誤り率は19.70%となり、旧モデルのGPT-Realtime-Whisper(20.33%)を上回りました。9言語を対象としたReal-World Audio Recordingベンチマークでも、GPT Live Transcribeの誤り率は9.60%で、旧モデルの11.65%より改善しています。
独立系のベンチマーク機関Artificial Analysisが運営するAA-WER(非ストリーミング音声認識の誤り率ランキング)によると、GPT Transcribeの誤り率は旧モデルのGPT-4o Transcribeから改善しているものの、ElevenLabsやGoogle、Mistralなど複数の他社モデルが依然としてGPT Transcribeより低い誤り率を記録しており、業界トップの水準には届いていません。
順位は日々更新されるため、最新の数値はArtificial Analysis公式サイトでご確認ください。
なお、OpenAI公式ベンチマークとAA-WERでは使用する音声データや評価方法が異なるため、数値を直接比較することはできません。価格面でも、MistralのVoxtral Mini Transcribe V2は1分あたり0.003ドルで提供されており、GPT Transcribeよりさらに安価な水準を打ち出しています。
このように、OpenAIの発表数値はあくまで「自社の旧モデルからの改善幅」を示すものであり、業界全体で見た場合の絶対的な精度・価格の優位性を意味するものではありません。導入検討にあたっては、自社の音声データで実際に複数モデルを比較検証することをおすすめします。
※AA-WERはArtificial Analysis社が独自に運営するベンチマークであり、OpenAIの公式発表数値ではありません。参考情報としてご確認ください。

GPT Transcribeでファイルを文字起こしする場合、Python SDKから次のように呼び出せます。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
with open("meeting.mp3", "rb") as audio_file:
transcript = client.audio.transcriptions.create(
model="gpt-transcribe",
file=audio_file,
prompt="社内の進捗会議の録音です",
keywords=["スプリントレビュー", "デプロイ"],
languages=["ja", "en"]
)
print(transcript.text)
GPT Transcribeが対応するファイル形式はmp3・mp4・mpeg・mpga・m4a・wav・webmで、ファイルサイズの上限は25MBです。25MBを超える音声は分割してから処理する必要があります。
GPT Live Transcribeでリアルタイム文字起こしを行う場合は、Realtime APIのWebSocket接続を使います。セッション開始時に、以下のようなJSON設定を送信します。
{
"type": "session.update",
"session": {
"type": "transcription",
"audio": {
"input": {
"transcription": {
"model": "gpt-live-transcribe",
"languages": ["ja", "en"],
"keywords": ["OpenAI", "GPT-Live"]
}
}
}
}
}
セッション確立後は、音声データを送り続けるとtranscript.text.deltaイベントでテキストが逐次返却され、発話が完了するとtranscript.text.doneイベントで全文が返ってきます。
出典:File transcription/Realtime transcription

すでにWhisperやGPT-4o Transcribeで音声文字起こしの仕組みを構築している場合、現時点ではこれらのモデルも引き続き利用できるため、すぐに移行する必要はありません。ただし今後の提供状況や非推奨化については、OpenAIの廃止予定ページ(https://developers.openai.com/api/docs/deprecations)を定期的に確認することをおすすめします。
一方、新規に文字起こし機能を開発する場合は、ファイル処理はGPT Transcribe、リアルタイム処理はGPT Live Transcribeが公式の推奨スタートモデルとされています。
ただし、GPT Transcribe/GPT Live Transcribeでは対応していない機能もあります。用途に応じたモデルの使い分けを整理しました。
| 必要な機能 | 推奨モデル |
| 通常のファイル・リアルタイム文字起こし | gpt-transcribe/gpt-live-transcribe |
| 話者ごとに発言を分けたい(話者識別) | gpt-4o-transcribe-diarize |
| 単語ごとのタイムスタンプ、srt/vtt字幕 | whisper-1 |
| 録音を英語に翻訳したい | whisper-1(翻訳エンドポイント) |
議事録に話者名を付けたい、字幕ファイルを作成したいといったニーズがある場合は、GPT Transcribeではなく上表の専用モデルを組み合わせる必要がある点に注意してください。

GPT TranscribeやGPT Live TranscribeはあくまでAPIであり、音声をテキストに変換する機能のみを提供します。議事録の自動要約や話者名の管理、社内での共有機能などは付属しません。これらを実現するには、自社での開発が必要になります。
そのため導入を検討する際は、「APIを直接組み込む」か「Nottaなど既存の文字起こしSaaSを利用する」かという選択が生じます。両者の違いを整理しました。
| 観点 | API直接利用(GPT Transcribe等) | 文字起こしSaaS(Notta等) |
| 開発リソース | 自社でのAPI連携開発が必要 | 基本的に不要、契約後すぐ利用可能 |
| カスタマイズ性 | 業務システムへの組み込みや細かい制御がしやすい | 提供機能の範囲に限られる |
| 付加機能 | 要約・話者識別・共有機能は別途開発が必要 | 要約・話者識別・共有機能が標準搭載のことが多い |
| 導入スピード | 開発期間が必要 | 即日〜短期間で利用開始できることが多い |
専門用語が多い、多言語が混在する、自社の業務システムに深く組み込みたいといったケースでは、keywordsやlanguagesを細かく制御できるAPI直接利用が向いています。反対に、すぐに使い始めたい、要約や話者識別まで一体で欲しいという場合は、SaaSを利用したほうが、短期間で導入しやすいでしょう。

API導入を検討する際は、以下の点をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
GPT Transcribeは録音ファイルの一括処理、GPT Live Transcribeはリアルタイム文字起こしに最適化された新モデルです。料金はそれぞれ1分0.0045ドル、0.017ドルで、旧モデルより精度も向上しています。ただしElevenLabsやGoogle、Mistralなど精度・価格で優位な他社モデルもあるため、導入前に自社データでの比較検証をおすすめします。
既存のWhisper/GPT-4o Transcribeを使っている場合、すぐに移行する必要はありません。新規開発ではGPT Transcribe/GPT Live Transcribeが推奨スタートモデルですが、要約や話者識別まで一体で欲しい場合はSaaSの利用も検討してみてください。
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