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RPAとは?おすすめの6つのツールと自動化できる5つの業務

最終更新日:2024/06/11

近年、少子高齢化による労働力人口の減少が懸念されています。中小企業では、人手不足による倒産を余儀なくされている企業や、経営危機に陥っている企業も存在します。そうした中、従来よりも少ない人数で業務をこなしていくためにホワイトカラーのデスクワーク(定型作業)をITの力で省力化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が注目されています。

本記事では、RPAの導入によって期待できる効果と自動化できる業務についてまとめました。

AIについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説

RPAの定義とは?

RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略であり、人間がコンピューター操作で行う定型業務をソフトウェアによって自動化する仕組みを指します。

RPAの導入により、人的リソースを確保し、生産性の向上が期待できます。定型業務はデジタル技術に任せ、人間にしか遂行できない業務に集中できるので、近年大きな注目を集めています。また、複数のシステムを横断して、入力やデータ抽出や編集、参照ができるので連携処理にも適しており、導入する企業が年々増えています。RPAの注目度が高まった背景としては、少子高齢化に伴う労働人口の減少が挙げられます。近年はさまざまな業界において人手不足が深刻化していますが、IT人材は特に人手不足が顕著であり、2030年には59万人ものIT人材の不足が予想されているのです。

このような背景から、定型業務を自動化できるRPAには、生産性向上や人手不足解消といった大きな成果が期待されています。

オフィスワークでのRPAによる効率アップについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
RPA(業務自動化)とOCR(文字認識技術)でオフィスワークの効率アップ

RPAとVBAの違い


RPAと混同されがちなものとして、VBA(Visual Basic for Application)が挙げられます。このVBAとは、マクロを作るためのプログラミング言語を指します。代表例としては、マイクロソフト社のExcelに搭載されている「Excelマクロ」が挙げられます。Excelマクロは、一連の作業手順を記憶し、自動的に実行することが可能です。つまり、一度マクロを記録しておくだけで、ワンクリックで一連の動作の再現が可能となります。

そんなVBAとRPAは、定型作業を自動化できるという点では共通していますが、異なる点も数多く存在します。大きく異なる点として挙げられるのは、自動化できる範囲です。たとえばExcelマクロの場合、基本的にExcel上での作業しか自動化は行えません。VBAを活用すれば、WordやAccessなどに範囲を広げられますが、あくまでOfficeアプリケーションに限られてしまうわけです。

その点、RPAツールはOffice以外のさまざまなアプリケーションと連携できます。また、操作を記録するだけでなく、特定の作業を定義することも可能なため、より広い範囲の操作を自動化できるのです。

RPAとEcxelマクロの違いについては下記の記事で詳しく解説をしています。
RPAとExcelマクロの違いを比較!メリット・デメリットも紹介

RPAとAIの違い

RPAとAIも混同されがちですが、これら2つは大きく異なります。そもそもAIとは「人工知能」のことであり、人間と同じような知能を搭載したソフトウェアを指すのが一般的です。

一方のRPAは、業務の自動化を行うシステムそのものを指します。つまりAIは、RPAをはじめとするシステムに組み込まれるものであり、蓄積されたデータに基づいて判断したり、作業の振り分けを行ったりする機能を指します。

そのため、AIが搭載されていないRPAのほうが、AI搭載型のRPAよりも安価な傾向にあります。逆に、AIの学習によって自律的な判断を行えるRPAは、より高度な作業を自動化できる反面、導入コストも高額な傾向にあるのです。

国内企業でのRPA導入率は69.9%

株式会社野村総合研究所の調査によると、2023年時点での国内企業におけるRPA導入率は69.9%になりました。

また株式会社グローバルインフォメーションによると、RPAの世界市場は2022年に31億米ドルに達しました。予測では2023年から2030年に28.8%で成長し、2030年には233億米ドルに達すると発表しています。

RPAは、これまで人間がパソコン上で行ってきた定型作業をソフトウェアにより自動化するものです。多くの企業で表計算ソフトやメールソフト、ERP(基幹業務システム)への対応が始まっています。

参照:株式会社野村総合研究所「大手企業を対象に「IT活用実態調査(2023年)」を実施

参照:株式会社グローバルインフォメーション「ロボティックプロセスオートメーションの世界市場-2023年~2030年

RPAの導入事例については、下記の記事で詳しく解説しています。
RPA導入成功事例5選!業界・業種別の課題や業務効率化の実績を解説

都道府県字自体のRPA導入率は94%

総務省が行った調査によると、2022年の都道府県自治体におけるRPA導入率は94%となりました。2018年時点では導入率30%だったため、4年の間にRPA活用の流れが加速していることがわかります。

特に「財政・会計・財務」 「児童福祉・子育て」 「健康・医療」「組織・職員(行政改革を含む)」の分野への導入が進んでいます。

参照:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」

RPA導入によって期待できる6つの効果


RPA導入によって期待できる効果は以下の6つです。

RPA導入の効果1:定型業務の自動化

日本の製造業では、ものづくりの面では自動化が進んでいますが、オフィス業務に関しては雇用の慣習や業務の精度、ROI(投資収益率)効果などから自動化が進められてきませんでした。しかしRPA導入をすれば、定型的な業務を自動化することができます。

RPA導入の効果2:効率化

日本企業は製造現場での効率化、自動化は推進してきたものの、ホワイトカラー業務については他の先進国に遅れを取っています。こうした労働環境が日本企業に蔓延する長時間労働の根底にあるとされてきました。政府や民間企業は一丸となって働き方改革を進めており、業務の効率化が求められています。

RPA導入の効果3:生産性向上

生産性の向上も急務です。公益財団法人日本生産性本部によると、日本の時間当たり労働生産性は49.9ドルで、OECD加盟国(38カ国)中27位です。これは米国の6割弱の水準にあたります。

生産性が低いと長時間労働でカバーしなければならないため、労働環境が改善できないばかりでなく、慢性的な疲労から創造力や社員の活力が失われ、付加価値の高い事業を興しにくくなります。そのため賃金は低く抑えられ、消費が減退し、社会全体の衰退を招くのです。

参照:公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較2022

RPA導入の効果4:人的ミスの防止

人間は、ヒューマンエラーと言って誰もがミスをします。特に短時間で大量の業務をこなす場合や、長時間にわたる業務などではミスも発生しやすくなるのです。ただ、ミスをするとその分の訂正に時間を取られてしまい、作業の遅延や品質の低下も招きかねません。その点、コンピューターはほぼミスをしないため、定型業務をRPAによって自動化し、ミスの防止や品質向上へと繋げます。

また、特定の業務を長年同じ人が独占していると、不正の温床になりやすくなります。その点、業務を自動化して透明化することで、誰もが同じ業務を同じクオリティで再現できるようになり、不正の防止にもつなげられるのです。

RPA導入の効果5:コスト削減

総務省の調査によると、ある都市銀行ではRPAを導入したところ、年間で8,000時間の事務処理作業を削減することができたそうです。これは1人1日8時間労働で計算した場合、約1000日分にあたります。従業員数人分の年間労働時間に相当するともいえるでしょう。残業や休日出勤が減って、労働環境が向上するだけでなく人件費の削減につながります。

また、新たにシステム開発をするのでは多額の費用がかかる場合でも、既存のRPAを導入するだけでかなりの業務改善につながったという例もあります。

RPA導入の効果6:人材不足の解消

終身雇用制度の下、日本では人材の流動性の低さが生産性の低さにつながっていると指摘されてきました。それが一転、少子高齢化が進む中で従業員の確保の難しさが昨今の経営課題に上がりつつあります。労働力人口が減少する中、企業はこれまでよりも少ない人数で業務に対応していかなくてはいけません。定型業務をRPAに移行し、人間はコア業務に専念することで、人材不足が解消されると期待されています。

(参照:日本生産性本部「労働生産性の国際比較」)

RPA導入によって自動化することができる5つの業務

RPA導入によって自動化できる業務として、以下5つの業務が挙げられます。

RPA導入による自動化業務1:データ分析

過去のデータを分析したり、予測したりすることで受発注業務の自動化を図れます。また、アンケート用紙のデータを入力や、集計を行うのも可能です。

RPA導入による自動化業務2:人事業務

RPAは、従業員の勤怠管理や長時間の残業に警告を出すなどの人事業務ができます。また、派遣社員・アルバイトの雇用の管理も行います。

RPA導入による自動化業務3:経理業務

会計システムに領収書や売上伝票、請求書などのデータを入力が可能です。

RPA導入による自動化業務4:顧客対応

問い合わせフォームなどの設置を行い、寄せられた質問(相談)に対して適切な回答を自動で行います。

RPA導入による自動化業務5:営業活動

名刺をスキャンしてシステムに登録したり、ライバル製品のWebサイトを循環して情報収集を行ったりすることができます。

また、これまでのユーザーのWeb上での行動などを分析して、購買意欲の高い見込み客の洗い出しを行うのも可能です。そして、その見込み客へのメッセージの作成もRPAが担います。RPAを営業現場で活用する方法については、下記の記事で詳しく解説しています。

RPAを営業現場で活用する方法とは?自動化・効率化の事例を紹介

主要RPAツールの比較

現在は、さまざまなRPAツールが存在しており、それぞれ機能や特徴も大きく異なります。ここからは、主要RPAツールがどのような機能を搭載しているのかご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

UiPath


UiPathは、2017年に日本法人が設立され、ここ数年で国内企業での採用が急増しているRPAツールです。UiPathの特徴としては、専門的な知識を備えていない人でも扱いやすいという点が挙げられます。直感的な操作が可能な「UiPath Studio」を使用すると、RPAツールが初めての方でもアプリ操作やデータ入力といった作業の自動化が図れます。

また、「UiPath Orchestrator」という管理ツールを活用すれば、社内でのロボット処理の一元管理も可能です。

そして、スモールスタートで使用開始できるという点も、UiPathの特徴の一つです。1台から導入可能なので、コストをかられない企業でも手軽に導入することができます。

もちろん、業務の拡大に伴って利用規模の拡大が可能です。台数に応じたライセンス契約が可能になっているため、「現在は小規模だが、将来的には大規模な利用を検討している」という企業にも適したRPAツールといえます。

UiPathについてより詳しく知る

WinActor


NTTコミュニケーションズ株式会社が提供するWinActorは、4,700社以上の導入実績を誇るRPAツールです。Windows端末から操作可能なあらゆるソフトウエアに対応しているうえ、国産ソフトなので完全日本語対応が可能です。

また、操作性が高く、プログラミングの知識も必要ありません。NTTデータ・パートナー企業による手厚いサポートや、PC1台にインストールするだけでも始められるというスモールスタートでも導入しやすい料金体系も魅力です。

このWinActorを活用した業務自動化では、まず「シナリオ自動記録」を行っていきます。WinActorをPCに導入すれば、通常通り業務を実施するだけで操作が自動録画されてシナリオも自動で作成してくれるため、特に難しい操作は必要ありません。

次に「シナリオ編集」を行います。もちろん、生成されたシナリオをそのまま実行させることも可能ですが、動作条件を編集すると、さまざまな場面で活用できるシナリオに仕上げられます。このシナリオ編集に関しても、専用のエディタを利用したGUI操作で比較的簡単に行うことができます。

そして、「シナリオ実行」へと移っていくわけですが、ここではWinActorが自動で業務操作を行ってくれるため、一切手をつける必要がありません。こういった操作性の高さからも、RPAツール市場の中でWinActorが高く評価されており、多くの企業にも導入されている理由が分かります。

WinActorについてより詳しく知る

おすすめRPAツール6選

ミラロボ|株式会社タイタンコミュニケーションズ

株式会社タイタンコミュニケーションズが提供するミラロボは、2つの画面しかなく、各ボタンの位置も一箇所に集約されている洗練されたつくりになっています。プログラミング知識不要で、業務担当者が自分で自分の業務を早期に自動化できます。

RPAの導入を検討する際、コスト負担と対象業務選定の2点が問題として浮上するケースは少なくありません。しかし、ミラロボは月額5万で月契約なので、気軽に始めて、少しずつ自動化範囲を広げていくことができます。

また、ミラロボマネージャーとの連携で、業務の洗い出しや対象業務選定の負担が軽減されると同時に、ユーザー業務を理解した無償サポートが受けられます。そのため、初めてのシナリオ作りでも安心して進めることが可能です。

AUTORO|オートロ株式会社

「業務に携わる人がすこしでも有意義な時間を過ごすために。」そんな想いから生まれたのが、オートロ株式会社の提供するウェブオートロボット「AUTORO」です。ウェブオートロボットとは、クラウド型のRPA(Robotic Process Automation)を指す、オートロ株式会社の商標です。誰でもかんたんに業務効率化のシステムが構築できる独自サービスとなっています。

そんな「AUTORO」は、クラウド上の業務をまとめて自動化可能です。自由に設計できるので、事業にあわせた様々な活用ができます。料金プランも「Lite」「Standard」「Pro」の3つが設けられているため、メンバー数や事業規模に応じて柔軟にプランを選択することが可能です。

AI×RPAソリューション|株式会社アンタス

株式会社アンタスが提供する「AI×RPAソリューション」は、設計計算、図面から必要部材を抽出しながらの見積もり作業など、人の判断を要する反復作業でもAIとRPAを組み合わせることで自動化を実現するソリューションです。

これまでは、「入力条件から初期値を設定する」「図面から必要な部材を抽出する」など、人の判断や意思決定がどうしても必要な作業個所があり、一連の作業をRPAだけで全て自動化することが困難でした。しかし、アンタスのAI×RPAソリューションは、人の判断が必要な部分をAI技術に置換え、他の反復作業をRPA利用することで、圧倒的な業務効率化を実現できます。

人による判断や意思決定を、AIの技術によって機械が自動でルール化します。それに加え、外部からの自動制御で複雑なオペレーションでも対応します。また、アンタス独自のオブジェクトアクセス型RPAなので、PCの画面解像度などにもとらわれずにどのPCでも同じ設定で使用することができ、業務時間の短縮を叶えます。

AI×RPAソリューションについてより詳しく知る

BPA1|NDIソリューションズ株式会社

NDIソリューションズ株式会社が提供するRPA管理ソリューション「BPA1」は、FAXや紙帳票の仕分け作業をAI-OCRとRPAを組み合わせて自動化してくれるソリューションです。たとえば、従来の請求書作業に1枚当たり9分の処理時間がかかったものが2分程度に短縮してくれます。AI-OCRとRPAの組み合わせは、伝票処理の効率化という点で非常に大きなメリットを得られるでしょう。

ロボットのブラックボックス化を防ぐためには、 対象業務全体のフローを把握しなければなりません。「BPA1」では、支援サービスによって現行の業務フローを作成・可視化し、 全体最適の視点からどの作業をRPAに置換えるのが適切か、予測される効果が大きいか、分析をサポートしてもらえます。そのため、ブラックボックス化を防ぎながら生産性向上を図ることが可能です。​

BPA1についてより詳しく知る

RPA開発サービス|株式会社ビースタイルバリューテクノロジーズ

株式会社ビースタイルバリューテクノロジーズが提供する「RPA開発サービス」は、UiPath/WinActor等のRPA開発サービスです。ツール導入・業務選定、要件定義・開発、運用保守、内製化に至るまでの研修・OJTまでを1社ワンストップで提供しています。

取引実績114社、BPA(業務自動化)・RPAでの自動化業務1,500以上、累計削減作業時間数10万時間以上と実績豊富で、且つ、コンサル・SIer対比で10-20%の稼働単価低減を実現する高いコストパフォーマンスが魅力です。

ツール・業務選定、要件定義・開発、運用保守、内製化に至るまでの研修・OJTまでを1社ワンストップで提供しているため、RPAに関する専門知識を持った従業員がいない企業でもスムーズに導入できます。

AI-OCR+RPA|株式会社キャスティングロード

株式会社キャスティングロードが提供する「AI-OCR+RPA」は、5つのOCR製品の中から最適なOCR製品を提案してもらった上で、RPAと連携して大幅な業務効率化を実現していくことができるサービスです。自社の課題や目的に合わせてデジタル化の方法を柔軟に選択できるため、課題をピンポイントで解消していくことができます。

また、株式会社キャスティングロードにはOCRとRPAの知見を持つ専門のエンジニアが在籍しており、豊富な経験とノウハウを活かしながらスムーズにAIOCRとRPAツールを連携してもらえます。業務内容に合わせて紙帳票処理のフルオートメーション化を実現できる点は、大きな魅力といえます。

働き方改革や業務改善を目指しRPAの導入を

ここまで、RPAの基本について見てきました。RPAはAI時代の知的労働者として、2025年までに事務業務の3分の1がRPAに置き換わるインパクトがあるとも言われています。

働き方改革とは、限りある労働力を有効に活用し、生産性を高めていくことに他なりません。そのため、少ない人数で業務効率化を測ることができるRPAのメリットと合致しているわけです。これが、現在RPAに多くの注目が集まっている最大の理由と考えられます。

また、単純な作業は人為的なミスが発生しやすいため、それらの作業をすべて手作業で行うのは決して効率的とはいえません。RPAの活用によって業務効率化の妨げとなる要素を排除できるという点は、企業にとっても極めて大きなメリットがあるといえるでしょう。何より、RPAによって自動化を図ることで、販売活動や戦略の設計など、より高付加価値な業務へのリソースを強化することができるのです。

人間の場合、休憩や休日を必要としますし、体調によって業務の質が低下してしまうというケースもあるかもしれません。しかし、RPAはソフトウェアであるため、休息も一切必要なく24時間365日の稼働が可能です。

何より、業務の質を均一化させられるのは最大のメリットといっても過言ではありません。まさに、働き方改革と業務改善の両面で大きく貢献する救世主といえます。ぜひ、働き方改革や業務改善を目指し、RPAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(参照:総務省「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」)

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