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最終更新日:2026/10/13
2026年8月20日、SlackはAIコーディングエージェントとチームが共同作業できる新機能「Slack Code」を発表しました。対応するAIエージェントを呼び出すと専用の「コードチャンネル」が作成されます。計画の確認からコードの差分レビュー、承認までをSlack上で進められる仕組みです。
「自社のSlackでも今日から使えるのか」「セキュリティ面で何を確認すればよいのか」と気になる情シス・IT管理者の方も多いでしょう。Slack Codeは対応エージェントさえあればSlackの全プランが利用対象ですが、2026年8月時点では段階的なロールアウト中です。利用するAIエージェントによっては、提供元との契約が別途必要になる場合もあります。
本記事では、Slack Codeの仕組み・対応エージェント・料金体系・使い方から、情シスが導入前に確認しておきたいセキュリティ・統制ポイントまで、Slack公式情報をもとに整理します。

Slack Codeとは、Slackが2026年8月20日に発表・提供開始した新機能です。AIコーディングエージェントとチームメンバーが「コードチャンネル」という専用スペースで共同開発を進められる仕組みです。エージェントをメンションすると、そのタスク専用のチャンネルが自動的に立ち上がります。会話・計画・コード差分・実行結果などを1か所で確認しながら作業を進められる点が特徴です。
Slackはこの機能の狙いを「AIと1人だけで作業していると、チームが途中から関与できない」という課題への回答だと説明しています。従来のAIコーディングツールはエディタやターミナルの中で完結しがちで、進捗をチームと共有しにくいという課題がありました。Slack Codeは作業プロセスをSlack上に開き、非エンジニアを含むチーム全員がリアルタイムに参加できるよう設計されています。
提供元はSlack(Salesforceの子会社)です。2026年8月時点ではFreeを含むすべてのSlackプランが利用対象ですが、詳しい料金・提供状況は後述の「料金・対応プラン」で解説します。
出典:Slack Code: Where Your Team and Agents Build Together|Slack公式ブログ(Slack/2026年8月20日)
「Slack Code」というキーワードで検索すると、名称が似ている別の機能・製品が検索結果に混在し、混乱しやすい状態になっています。代表的なのが、Slackに従来からある「コードスニペット」機能と、Anthropicが提供する「Claude CodeのSlack連携」です。この3つは目的も提供元もまったく異なるため、以下の表で整理しておきましょう。
| 項目 | Slack Code(本記事のテーマ) | コードスニペット(Slack既存機能) | Claude CodeのSlack連携 |
| 提供開始 | 2026年8月20日 | Slackの初期からある既存機能 | Anthropicが提供するClaude Code側の機能 |
| 提供元 | Slack | Slack | Anthropic |
| 目的 | AIエージェントとチームが専用チャンネルで共同開発する | メッセージ内にコードを整形して貼り付け・共有する | Claude Code(AnthropicのAI開発ツール)をSlack経由で呼び出す |
| AIエージェントの関与 | 前提(Claude・Devin・GitHub Copilot等) | なし | Claudeのみ |
| 主な用途 | タスク単位の共同開発・レビュー | コードの引用・共有 | SlackからClaude Codeのセッションを操作する |
出典:Slack でコードスニペットを作成またはペーストする|Slack公式ヘルプ/Slack での Claude Code|Claude Code Docs

Slack Codeの中核は「コードチャンネル」です。ここでは、コードチャンネルがどのように作られ、どんなことができるのかを解説します。
コードチャンネルは、対応エージェントをメンションすると自動的に生成されるほか、デスクトップアプリの「Agents & tools(エージェントとツール)」タブから手動で作成することも可能です。公開・非公開を選択でき、通常のSlackチャンネルと同じ信頼基盤・可視性の仕組みがそのまま引き継がれます。
チャンネル内で確認できる成果物は、会話・計画・コードの差分・Canvas形式のドキュメント・HTMLプレビューなどです。ただし、成果物の名称や種類は利用するエージェントによって異なるとSlack公式ヘルプが明記しており、「必ず4種類のタブが表示される」といった固定的な仕様ではありません。
作業完了後は、利用者がチャンネルを閉じる、またはアーカイブできます。7日間操作がなかったコードチャンネルは、サイドバーから自動的に外れる仕組みです。アーカイブ後もメッセージは検索・閲覧できます。
出典:Build with AI as a team using Slack Code|Slack公式ヘルプ(Slack/2026年8月24日確認)
Slack Codeの最大のメリットは、AIエージェントの作業プロセスをチーム全体に開くことで、非エンジニアを含む関係者がリアルタイムに進捗を追い、フィードバックできる点です。コードの中身が分からないメンバーでも、HTMLプレビューを見ながら「ここのデザインを直してほしい」といったコメントを残すことができます。
Slackは自社での利用実績として、「コードチャンネルの70%以上が、着想からプルリクエストのマージまで1日以内に完結している」と紹介しています。ただし、この数値はあくまでSlack社内での利用実績であり、導入企業すべてで同様の効果が得られることを示すものではない点には注意が必要です。
一方で、限界も指摘されています。海外メディアのTechRepublicは、コードを可視化できることが自動的に成果物の品質向上を意味するわけではないと指摘しています。AIが生成したコードは、他の貢献物と同様にレビュー・テスト・理解を経てから本番環境に反映する必要があるでしょう。加えて、エージェントからの通知やメッセージが増えることで、チャンネル内のノイズが増加する懸念も挙げられます。導入にあたっては、便利さだけでなく、レビュー体制やコミュニケーション設計もあわせて検討することが重要です。
出典:Slack Code: Where Your Team and Agents Build Together|Slack公式ブログ(Slack/2026年8月20日)/Slack Code: AI Coding Agents Get Shared Channels for Review and Oversight|TechRepublic(TechRepublic/2026年8月21日)

2026年8月時点でSlack Codeに対応済みのAIエージェントは4種類です。加えて、ChatGPTが近日対応予定として発表されています。
| エージェント | 提供元 | 2026年8月時点の対応状況 | 特徴 |
| Claude | Anthropic | 対応済み | Claude Tagからコードチャンネルを呼び出せる |
| Devin | Cognition | 対応済み | バグ報告への迅速な対応などに活用されている |
| GitHub Copilot | GitHub | 対応済み | 非技術者による課題の記述にも対応 |
| Vercelエージェント | Vercel | 対応済み | ライブプレビューと共有リンクの自動生成に対応 |
| ChatGPT | OpenAI | 近日対応予定 | Slack公式が対応予定であることを明言 |
現在、コードチャンネル向けのAPIはClaude・Devin・GitHub Copilot・Vercelなどのローンチパートナーが利用する形で提供されており、Slack公式ヘルプは「今後、Slack上で開発を行うすべての開発者に公開予定」としています。一般開発者向けの公開はまだ先の話です。なお、The New Stackは、このAPIがMCP・A2Aに依存しない独自方式だとSlack担当者の取材コメントとして報じていますが、Slack公式では明言されていません。
出典:Build with AI as a team using Slack Code|Slack公式ヘルプ(Slack/2026年8月24日確認)
対応エージェントの名前だけを見ても、「今日から自社で使えるのか」は判断できません。Slack Codeを利用する前に、次の3点を確認しておきましょう。

Slack Codeの料金体系を理解するうえで、まず押さえておきたいのは次の2点です。
1つ目は、対応エージェントがインストールされていれば、Freeを含むすべてのSlackプランが利用対象だという点です。Slack Codeを使うためだけに上位プランへ変更する必要はありません。
2つ目は、Slack公式ヘルプ(英語版)が「段階的にロールアウト中で、すべてのお客様に利用いただけるよう順次展開している」と説明している点です。「対象プランである」ことと「今すぐ使える」ことは別問題であり、2026年8月時点では対象プランでも未表示のワークスペースがあり得ます。
エージェント側の費用は、公式ヘルプの表現に沿うと「利用するアプリによっては、提供元の有料アカウントが必要になる場合がある」というのが正確な理解です。Claude、Devin、GitHub Copilot、Vercelなど各サービスの契約条件は個別にご確認ください。
なお、Slack Code自体の利用可否と、EKMやDLPなど情シスが確認すべき統制機能の利用可否は別問題です。詳細は次の「セキュリティ・権限管理で情シスが確認すべき統制ポイント」で解説します。
出典:Build with AI as a team using Slack Code|Slack公式ヘルプ(英語版)(Slack/2026年8月24日確認。同ページの日本語版には本記事執筆時点で当該記述が確認できませんでした)

対応エージェントがワークスペースに導入済みであれば、Slack上からコードチャンネルを開始できます。基本的な操作の流れを見ていきましょう。
チャンネルやダイレクトメッセージで対応エージェントをメンションし、依頼内容を自然な言葉で伝えると、専用のコードチャンネルが作成され、エージェントが作業計画を提示します。計画に問題がなければ実装を進めてもらい、進捗はコード差分やプレビューとしてリアルタイムに表示される仕組みです。気になる点はその場で修正を依頼でき、完了後は内容を確認してチャンネルを閉じる、またはアーカイブします。
コードチャンネルの特徴は、エンジニアでないメンバーも参加しやすい点です。コードの行単位でコメントを残せるほか、作業中のエージェントを一時停止させたり方向性を修正したりすることもできます。
本番環境への反映など重要度の高い変更については、人へのレビュー・承認へルーティングできる仕組みも用意されています。Slack公式ブログは「高リスクな変更は、チャンネル内でそのまま人による迅速な承認に回すことができる」と説明しており、必ず発動する強制的な承認ゲートというより、チームが必要に応じて組み込める安全策です。AIエージェントに最終判断を任せきりにせず、自社の開発プロセスに合わせたレビュー体制の設計が重要です。
出典:Slack Code: Where Your Team and Agents Build Together|Slack公式ブログ(Slack/2026年8月20日)
なお、発表直後には個人開発者がDevinで試した記録も公開されており、コードチャンネルの自動生成や、コメントの参照性について改善の余地を指摘する声も見られました。提供直後の挙動である可能性があるため、実際の操作はSlack公式ヘルプの手順を優先してください。

Slack Codeは、既存のSlackチャンネルと同じ信頼基盤・可視性の仕組みをそのまま利用する設計です。新たに権限体系を作り直す必要はありませんが、AIエージェントが会話やファイルのコンテキストを読み取って動作する以上、情シスとして確認しておきたいポイントがあります。
Slack公式が説明する統制の基本は3点です。
①既存の権限・可視性をそのまま引き継ぎ新規設定が不要
②リスクの高い変更は人へのレビュー・承認へルーティングできる(必須の技術的ゲートではなく任意の安全策)
③作業履歴はSlack上に残り検索・参照できる。
この③についてSlack公式は「監査ログのように」参照できると表現していますが、Slackが正式に提供する監査ログ機能(Audit Logs/Audit Logs API)とは異なるという点に注意しましょう。なお、後述するDiscovery APIも、eDiscoveryやアーカイブ用のAPIであり、Audit Logsとは別の機能です。
出典:Slack Code: Where Your Team and Agents Build Together|Slack公式機能ページ(Slack)
情シスにとって特に重要なのは、「Slack Codeが使えること」と「必要な統制機能が使えること」は別問題だという点です。EKM・DLP・Discovery APIといった代表的な統制機能は、いずれもEnterprise系のプランを前提としています。
| 機能 | 利用可否 | 提供条件の概要 |
| Slack Code自体の利用(対応エージェント導入済みの場合) | ○(Freeを含む全プラン対象。ただし段階的ロールアウト中) | 全プラン |
| 既存のチャンネル権限・可視性の継承 | ○ | 全プラン |
| Slack EKM(Enterprise Key Management) | △ | Enterprise Grid/Enterprise+向けのセキュリティアドオン(GovSlackは標準搭載) |
| ネイティブDLP(データ損失防止) | △ | Enterpriseプラン |
| Discovery API | △ | Enterpriseプラン向けの機能 |
※本表は2026年8月24日時点でSlack公式ヘルプに基づき作成しています。最新のプラン体系は公式サイトでご確認ください。
関連記事:AIセキュリティとは?2026年版リスクと対策|情シスが押さえるべきガイドラインと導入判断の基準
出典:Slack Enterprise Key Management|Slack公式ヘルプ/A guide to Slack’s Discovery APIs|Slack公式ヘルプ(Slack/2026年8月24日確認)
Slack Codeで利用できるエージェントは、Slack Marketplaceからインストールされた対応アプリであることが前提で、誰でも無条件に呼び出せるわけではありません。
一方、複数のAIエージェントが社内で使われるようになると、契約状況・利用者・アクセス権限、そしてエージェントに渡されるコンテキスト範囲を情シスが継続的に把握する必要が出てきます。アクセス範囲だけでなく、提供元がSlackから渡された情報をどう扱うか(データの利用方針・保存期間・モデル学習への利用有無)まで確認しておきたいところです。
承認済みツールであっても、こうした把握が不十分だと管理上のリスクになります。さらに、管理外で未承認のAIツールが併用されれば「シャドーAI」のリスクも別途生じるため、承認・未承認を問わずAI利用状況を定期的に棚卸しし、社内ガイドラインを整備することが重要です。
関連記事:シャドーAIとは?企業が知るべき6つのリスクと5つの対策

ここまでの内容を踏まえて、Slack Codeを自社で有効化する前に確認しておきたいポイントをチェックリストとしてまとめました。

Slack Codeは、2026年8月20日にSlackが発表した、AIエージェントとチームが「コードチャンネル」で共同開発を進める新機能です。Claude・Devin・GitHub Copilot・Vercelに対応し、Freeを含む全プランが対象ですが、段階的ロールアウト中で、エージェントによっては別途契約が必要な場合があります。
導入にあたっては、EKM・DLPなどの統制機能がプランによって異なること、エージェントに渡す情報の範囲や提供元のデータ取り扱い方針を確認しておくことが重要です。まずは本記事のチェックリストを参考に、確認すべきポイントを洗い出してみてはいかがでしょうか。
AIエージェントを社内で安全に利用するには、個別ツールの設定だけでなく、利用状況の可視化やアクセス権限、社内ルールを含めたガバナンス設計が重要です。
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コードスニペットはコードを整形して貼り付け・共有する従来機能です。Slack Codeは、AIエージェントとチームが共同開発を進める2026年8月登場の新機能で、両者は別物です。
対応エージェントがあれば、Freeを含む全プランが利用対象で、Slack Codeのためだけに上位プランへ変更する必要はありません。ただし、エージェントによっては提供元の有料アカウントが必要な場合があります。
異なります。Claude CodeのSlack連携はAnthropic提供の既存機能で、Slack CodeはClaudeを含む複数エージェントに対応するSlack自体の新機能です。
2026年8月でClaude、Devin、GitHub Copilot、Vercelエージェントが対応済みです。ChatGPTは近日対応予定ですが、時期は明言されていません。
自社プランでEKM・DLP・Discovery APIがどこまで使えるかを確認したうえで、エージェントに渡す情報の範囲と提供元のデータ取り扱い方針を確認しましょう。
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