生成AI

最終更新日:2026/10/13
「AI導入の予算が下りない…」とお悩みの担当者様へ。最大450万円が支給される国の補助金が強力な味方になります。
2026年、旧「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に刷新され、AIツールの対象要件や賃上げルールが大きく変わりました。
本記事では「自社のAIツールは対象になる?」「新ルールで損をしない方法は?」という疑問に、最新の公募要領をもとにわかりやすくお答えします。

制度そのものは2017年から続いていますが、2026年に名称と一部の要件が変わりました。2025年以前の情報をそのまま当てはめると、補助額や条件を読み違えることになります。この記事の数値は、すべて2026年の各枠の公募要領に基づくものです。
「デジタル化・AI導入補助金」は、2025年まで実施されていた「IT導入補助金」の後継にあたる制度です。令和7年度補正予算で措置された事業で、正式な事業名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」といいます。
中小企業庁が公募要領を公開したのは2026年3月10日、交付申請の受付が始まったのは同年3月30日です。中小企業庁は事業の内容を「中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、デジタル化やDX等に向けたAIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援します」と説明しています(中小企業庁)。
名称に「AI」が加わったのと同時に、支援の対象が「AIを含むITツール」であることも公募要領に明記されました。ただし、これは補助の対象が広がったという意味ではありません。AI機能を持つソフトウェアは、旧制度でも補助を受けられました。
この補助金が掲げているのは、労働生産性の向上です。労働生産性とは、働いた時間あたりにどれだけの付加価値を生み出しているかを示す指標です。したがって補助されるのは、生産性を高めるためにITツールを導入する費用であって、事業拡大のための設備投資そのものではありません。
この目的があるため、通常枠などでは労働生産性の数値目標を含む事業計画の提出が求められます。求められる水準は枠によって異なりますが、ツールを導入したいという理由だけでは要件を満たさず、導入によって業務がどう変わるかを計画として示すことになります。
この補助金は、申請者が単独で手続きを進める制度ではありません。申請から補助金の受け取りまでに、次の4つの立場が関わります。
| 立場 | 役割 |
|---|---|
| 中小企業庁・中小機構 | 制度を所管し、事業を採択して監督する。公募要領や採択結果を公表する |
| 事務局(TOPPAN株式会社) | 申請の受付・審査・交付決定を担う |
| IT導入支援事業者 | ツールを提供し、申請者と共同で交付申請を行う |
| 申請者(中小企業・小規模事業者等) | ツールを導入し、実績報告と効果報告を提出する |
このうちIT導入支援事業者は、あらかじめ事務局に登録された事業者に限られます。導入するITツールも同じく事前登録制で、登録されていない製品は補助の対象になりません。
制度の骨格は旧制度から引き継がれています。過去に申請経験があるなら、差分だけを押さえれば全体を把握できます。
2026年からは、ITツールの登録時にAIの搭載有無を申告する仕組みが導入されました。これにより、利用者もITツール検索からAI機能の有無を確認できます。
なお、AI機能を持つツール自体は旧制度でも補助対象となり得たため、AIが新たに補助対象へ追加されたという意味ではありません。
もう一つの変更が、賃上げに関する要件です。通常枠では補助金申請額が150万円以上になる場合、これまで加点の扱いだった賃上げの計画が、新規の申請者であっても必須の要件になりました。
求められるのは2つです。1つは、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準にすること。もう1つは、1人当たりの給与支給総額を年平均3%以上のペースで増やす計画を立てることです。
ここでいう事業場内最低賃金とは、その事業場で最も低い賃金を指します。都道府県ごとに定められた地域別最低賃金より30円以上高い水準を、計画として掲げる必要があります。150万円という金額が要件の分かれ目になっているため、申請額をどこに置くかで準備の重さが変わります。
一方で、次の点は旧制度のまま引き継がれています。
対象は日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等です。判定に使うのは資本金の額と常時使用する従業員の数で、どちらか一方の基準を満たしていれば中小企業者に該当します。両方を満たす必要はありません。
業種の判定は、登記上の目的ではなく実際に営んでいる事業で行います。複数の事業を営んでいる場合は、直近の決算書で売上高が最も大きい事業を主たる業種として判断します。
中小企業者に該当するかは、業種ごとに次の基準で判定します。
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(下記を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ゴム製品製造業(一部を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
このうちソフトウェア業・情報処理サービス業とゴム製品製造業は、サービス業や製造業の基準ではなく、個別の基準が設けられています。自社が該当する場合、一般的なサービス業の基準で判断すると対象かどうかを取り違えます。
小規模事業者の区分は従業員数だけで決まり、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下です。小規模事業者に該当すると、枠によって補助率が引き上げられます。
上の表に載らない組織形態も対象になります。公募要領は、医療法人・社会福祉法人・学校法人・特定非営利活動法人・商工会・商工会議所などについても、それぞれ従業員数などの基準を定めています。ただしこれらの組織形態は小規模事業者には該当せず、補助率の引き上げは受けられません。
日本国内で事業を営む個人事業主も対象です。法人であることは要件ではないため、屋号のみで事業をしている場合でも申請できます。
ただし申請時には、事業を営んでいる事実を示す書類の提出が必要です。直近の確定申告書と納税証明書が求められるため、開業から一度も確定申告をしていない段階では申請できません。
ここまでの規模の基準を満たしていても、事業者の属性と拠点によっては対象から外れます。
属性の面では、次に当てはまる事業者が対象外です。
もう一つの拠点については、法人と個人事業主で条件が異なります。法人は、日本国内で法人登記され、日本国内で事業を営み、なおかつ国内に本社と補助事業の実施場所を持つことが求められます。個人事業主は、国内に補助事業の実施場所があれば条件を満たします。
なお、大企業であっても、インボイス枠の電子取引類型に限っては申請できます。
申請枠は、導入したいツールがどんな機能を持つかで絞り込まれます。会計や受発注に関わるならインボイス枠、セキュリティサービスならセキュリティ対策推進枠が候補です。複数の枠の要件を満たす場合は、申請者がどの枠で申請するかを選べます。
各枠の補助額と補助率は次のとおりです。
| 申請枠 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 5万円〜150万円未満(1〜3プロセス)/150万円〜450万円以下(4プロセス以上) | 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内) |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | ソフトウェアは下限なし〜350万円/パソコン・タブレット等は10万円まで/レジ・券売機は20万円まで | ソフトウェアは50万円以下の部分が3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分が2/3以内。ハードウェアは1/2以内 |
| インボイス枠(電子取引類型) | 下限なし〜350万円 | 中小企業・小規模事業者等は2/3以内、その他の事業者等は1/2以内 |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万円〜150万円 | 中小企業は1/2以内、小規模事業者は2/3以内 |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 基盤導入経費と消費動向等分析経費で合計3,000万円まで/その他経費は算式による上限額と200万円のいずれか低い額 | 基盤導入経費は50万円以下の部分が3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分が2/3以内。消費動向等分析経費とその他経費は2/3以内 |
補助率は枠によって1/2から4/5まで幅があり、同じ金額を投じても戻ってくる額は大きく変わります。会計ソフトのように複数の枠にまたがりうるツールでは、どの枠で申請するかが自己負担に直結します。
業務の効率化に使う一般的なソフトウェアが対象になる枠です。補助額の区分は、導入するツールが「業務プロセス」をいくつ満たすかで分かれます。
業務プロセスとは、公募要領が定めている業務の分類のことです。
次の7つがあり、どのプロセスに当てはまるかは、ツールを登録する時点で事務局が判定しています。
このうち1つから3つを満たすツールなら5万円から150万円未満、4つ以上を満たすなら150万円から450万円以下が申請できる範囲です。150万円以上を申請するには4つ以上を満たす必要があります。
そのため、複数のソフトウェアを組み合わせるか、複数の業務プロセスに対応したITツールを導入する方法が考えられます。なお、4つ以上を満たしていても、申請額を自主的に150万円未満にすることはできます。
7つのうち「汎用・自動化・分析ツール」だけは扱いが異なります。この分類しか持たないITツールは単独では申請できず、他6つの条件いずれかを満たすツールと組み合わせることで、1プロセスとして数えられます。
補助率には、最低賃金の近くで働く従業員を多く雇用している事業者向けの特例があります。
対象になるのは、地域別最低賃金以上かつ令和7年度改定後の地域別最低賃金未満の水準で雇用している従業員です。この従業員が全体の30%以上を占める月が、令和6年10月から令和7年9月までの間に3か月以上あれば、補助率が2/3以内に引き上げられます。該当するかどうかは給与台帳で確認できます。
会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトウェアを導入する場合の枠で、通常枠より補助率が高く設定されています。
上限額はツールの機能数で変わります。ソフトウェアの上限は350万円ですが、会計・受発注・決済のうち1機能しか持たないツールの場合は50万円までです。2機能以上を備えたツールを選ぶかどうかで、上限が7倍変わる計算です。
この枠では、パソコン・タブレット等が10万円まで、レジ・券売機が20万円までハードウェアとしても申請できます。インボイス制度への対応にあわせてレジを入れ替える場合は、この枠が候補になります。
受発注のシステムを導入する発注側の事業者が、取引先にアカウントを無償で供与する形の枠です。補助対象になるのはクラウドの利用料で、最大2年分が対象になります。5つの枠のうち、大企業が申請できるのはこの枠だけです。
補助対象経費の計算方法にも特徴があります。契約する受注側のアカウント総数のうち、取引先である中小企業・小規模事業者等に供与するアカウント数の割合を乗じた額が対象になるため、取引先の構成によって補助される額が変わります。
サイバーセキュリティ対策のサービスを導入する枠です。対象になるサービスは限定されています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、なおかつ事務局に事前登録されたものだけが対象です。市販のセキュリティソフトを購入しても、リストに載っていなければ補助は受けられません。
補助対象経費はサービスの利用料で、こちらも最大2年分が対象になります。
商店街や中小企業のグループが、共通の基盤をまとめて導入するための枠です。グループの構成員は10者以上である必要があり、代表事業者になれるのは中小企業・小規模事業者等のほか、商店街振興組合などの団体、商工会、商工会議所です。
補助対象は、会計・受発注・決済の機能を持つ基盤の導入にかかる基盤導入経費と、消費動向分析システムやAIカメラなどの消費動向等分析経費に分かれます。基盤導入経費は構成員1者あたり1機能で50万円、2機能以上で350万円が上限で、消費動向等分析経費は50万円に構成員数を掛けた額が上限です。
両者を合わせた補助額の上限は3,000万円です。
これとは別に、代表事業者が取りまとめに要する事務費と、外部専門家の謝金・旅費も申請できます。こちらの上限は200万円ですが、無条件ではありません。基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計に10%と補助率2/3を掛けた額を計算し、200万円と比べて低いほうが上限になります。
なお、IT導入補助金2025の通常枠・インボイス枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12か月以内はこの枠に申請できません。
対象になるのは、ITツールを導入して使える状態にするまでの費用と、その利用にかかる所定期間分の費用です。同じ導入プロジェクトの中でも、自社の担当者が動いた分の人件費や、対象として登録されていないサービスの費用は含まれません。
対象になる経費は、ソフトウェアそのものの費用、導入作業の費用、ハードウェアの費用の3つに分かれます。このうちハードウェアは、対象になる枠が限られます。
買い切り型のソフトウェアであれば購入費が、サブスクリプション型であればクラウド利用料が対象です。クラウド利用料は初年度分だけでなく最大2年分がまとめて申請できるため、月額課金のサービスでも一定の規模になります。ただし複数者連携枠の消費動向等分析経費に含まれるクラウド利用費だけは、1年分が対象です。
たとえば月額3万円のクラウドサービスなら、2年分で72万円が補助対象経費です。通常枠の補助率1/2であれば36万円、インボイス対応類型で小規模事業者の場合は50万円以下の部分に4/5が適用されます。
ソフトウェアを使える状態にするまでにかかる費用も対象です。導入コンサルティング、初期設定やデータ移行の作業、操作マニュアルの作成、導入後の保守サポートなどが含まれます。
これらはIT導入支援事業者が提供する役務として、ソフトウェアとあわせて申請します。
ハードウェアが対象になるのは、インボイス枠のインボイス対応類型と複数者連携枠に限られます。パソコン・タブレット・プリンター・スキャナーなどが10万円まで、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機が20万円まで、いずれも補助率1/2以内です。
ハードウェアだけを単独で申請することはできません。会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトウェアと組み合わせて導入することが条件です。パソコンの買い替えだけを目的とした申請は認められないため、業務システムの導入計画とセットで考える必要があります。
一方で、次の費用は補助対象外と明記されています。
このうち申請代行費が対象外である点は、支援会社に手続きを任せる場合に影響します。代行手数料は自己負担になるため、補助される額と手数料を差し引きで見比べておく必要があります。
補助の対象になるのは、事務局に登録されており、さらにITツール検索に掲載されているツールだけです。登録の状況は締切回ごとに更新されるため、検討している製品が対象かどうかは、公式の検索で確かめるのが確実です。
事務局サイトのITツール・IT導入支援事業者検索から探せます。画面には「ITツールを探す」と「IT導入支援事業者を探す」の2つのタブがあり、ツールから探すことも、相談先の事業者から探すこともできます。
検索に使える条件は次のとおりです。
検索結果には、ツールの名称・価格・提供するIT導入支援事業者の名称・該当する業務プロセスなどが表示されます。名前順と価格順で並べ替えも可能です。
導入したい製品が決まっている場合はツール名で検索し、未定の場合は支援枠や地域から候補を絞り込むとよいでしょう。
候補の当たりをつける段階では、AI SaaSカオスマップのような一覧で製品の全体像を見てから検索する方法もあります。補助金を使わずに導入する場合の相場感は、AI・人工知能の導入費用相場も参考になります。
検索で見つからないからといって、対象外とは限りません。事務局は、次のものが検索結果の一覧に含まれないと案内しています。
導入したい製品が検索に出てこない場合は、提供元やIT導入支援事業者に直接問い合わせて、登録の予定があるかを確認しておきましょう。
AIを搭載しているという理由で補助の対象から外れることはなく、他のITツールと同じ条件で申請できます。ただし、AIを搭載しているかどうかをどう確かめるか、そして汎用の生成AIサービスをそのまま契約できるかという2点は、事前に押さえておく必要があります。
2026年からは、AIを搭載したソフトウェアについて、ITツールの登録申請時にその旨を申告することが求められるようになりました。申告されたツールには、ITツール検索の結果に「生成AI」または「生成AI以外のAI」のタグが表示されます。ベンダーの説明ではなく、この表示で判別できます。
タグが2種類あるのは、補助金がAIを2つに分けて定義しているためです。それぞれの定義は次のとおりです。
後者には、需要予測・画像による検品・文字起こし・レコメンドといった機能が含まれます。生成AIだけがAIとして扱われるわけではないため、文章生成の機能がなくてもAI搭載のツールとして表示されることがあります。
AIを使ったサービスであれば、どの製品でも補助されるわけではありません。補助対象となるには、事務局にITツールとして登録され、申請する枠の要件を満たしている必要があります。
その前提で、たとえば次のようなAI機能を持つ業務システムは補助対象となり得ます。
通常枠では、こうしたソフトウェアが「顧客対応・販売支援」「供給・在庫・物流」「会計・財務・経営」などの業務プロセスを持つことがポイントです。AI機能そのものではなく、どの業務を改善するITツールなのかによって申請可否が決まります。
なお、同じ種類のAIサービスでも、製品によって登録状況は異なります。導入候補が決まったら、必ず事務局のITツール検索で対象製品として登録されているか確認してください。
生成AIを業務に取り入れたい場合に、汎用のサービスを単体で契約する形は補助の対象になりません。事務局に登録されていないサービスは、AIかどうか以前に対象外だからです。
登録済みのツールであっても、通常枠にはもう一つ制約があります。特定の業務に紐づかない汎用の生成AIツールは「汎用・自動化・分析ツール」に分類されることが多く、この分類だけでは単独で申請できません。会計や顧客対応など、他の業務プロセスを満たすツールと組み合わせる必要があります。
対象事業者に該当していても、それだけでは申請できません。事業計画のなかで一定の目標を掲げることと、申請の前に済ませておく手続きがあります。求められる水準は枠と補助金申請額によって変わるため、確認すべきは自分が申請する枠の公募要領です。
通常枠では、労働生産性を向上させる計画の提出が求められます。目標の水準が4%に上がるのは、過去に対象の補助金を受給している場合です。
IT導入補助金2023の通常枠とデジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)、IT導入補助金2024・2025の通常枠と複数社連携IT導入枠が、これに該当します。
労働生産性の計算式は、営業利益・人件費・減価償却費を足した額を、年間の事業者当たり総労働時間で割ったものです。売上そのものではなく、時間あたりの付加価値で測ります。
求められる水準は枠ごとに違います。
| 申請枠 | 労働生産性の目標 |
|---|---|
| 通常枠 | 1年後3%以上、年平均成長率3%以上(過去の該当受給者は4%以上) |
| セキュリティ対策推進枠 | 年平均成長率1%以上 |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | グループ全体で年平均成長率5%以上(過去の該当受給者を含む場合は6%以上) |
| インボイス枠(両類型) | 労働生産性の目標は設定されていない |
いずれの枠も、交付申請の時点で計画として提出し、導入後は事業実施効果報告で実際の数値を報告します。
通常枠の賃上げの扱いは、補助金申請額と過去の受給歴の組み合わせで4通りに分かれます。ここでいう過去の受給歴とは、IT導入補助金2022からIT導入補助金2025までの間に交付決定を受けたことを指します。
| 補助金申請額 | 新規の申請者 | 過去に受給した事業者 |
|---|---|---|
| 150万円未満 | 加点項目(必須ではない) | 給与支給総額の年平均成長率3.5%以上が必須 |
| 150万円以上 | 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上、かつ給与支給総額の年平均成長率3%以上が必須 | 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上、かつ給与支給総額の年平均成長率3.5%以上が必須 |
150万円を境に必須要件が発生するため、申請額をどこに置くかは賃上げ計画とあわせて検討することになります。なお、計画を提出したあとに未達となった場合は補助金の返還を求められる可能性があるため、達成の見込みがない水準を掲げるのは避けておきましょう。
保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業や更生保護事業を行う事業者、学校教育法に基づく学校などには、この賃上げ要件の適用除外が定められています。該当しそうな場合は、公募要領の除外規定にあたっておきましょう。
交付申請には、GビズIDプライムのアカウントと、SECURITY ACTIONの宣言が必要です。GビズIDプライムは行政サービスに共通で使える法人・個人事業主向けのアカウントで、SECURITY ACTIONは情報セキュリティ対策への取り組みを自己宣言する制度です。
SECURITY ACTIONは★一つ星または★★二つ星のいずれかを宣言すれば要件を満たします。どちらも手続きに日数がかかるうえ、この2つが揃っていないと交付申請そのものに進めません。

申請要件を満たしていても、必ず交付決定を受けられるわけではありません。通常枠では、経営課題とITツールの導入効果が合っているか、継続的な生産性向上につながる計画になっているかなどが審査されます。
採択を保証する方法はありませんが、公募要領に示された審査項目と加点項目を確認したうえで申請内容を整えておくことが重要です。
事業計画では、「AIを導入して業務を効率化する」といった抽象的な説明だけでなく、現在の課題と導入後の変化が分かるようにしてください。
たとえば、「請求書の入力に毎月80時間かかっているため、AI-OCRを備えたシステムを導入して入力時間を削減する」のように、現状の業務・課題・導入する機能・期待する効果を一続きで説明すると、導入目的が明確になります。
通常枠の審査では、自社の経営課題を把握しているか、その課題に対して導入するITツールの機能と期待される効果が合っているかなどを審査されます。売上や作業時間など、自社で把握できる数値を使って導入前後の変化を記録・明示しておくと、事業計画を具体化しやすくなります。
通常枠には、要件を満たすことで審査上の加点を受けられる項目があります。2026年の主な加点項目には、次のようなものがあります。
ほかにも加点項目が設けられているため、自社が無理なく満たせるものがないか、公募要領の最新版を確認しておきましょう。
ただし、加点を目的に達成の見込みがない賃上げ計画を掲げるのは避ける必要があります。加点を受けて採択された後に要件を達成できなかった場合、今後の中小企業庁所管の補助金申請で大幅な減点を受けることがあります。
事業計画の内容だけでなく、提出情報に相違や不足がないかを確認することも重要です。事務局は提出された書類をもとに審査し、不備がある場合には事業者へ訂正を求めることがあります。
申請者が入力する経営情報と、IT導入支援事業者が入力するツール情報や事業計画値に食い違いがないか、提出前に双方で確認しておきましょう。また、過去に補助金を利用している場合などは減点対象となるケースもあるため、自社の申請履歴も確認してください。

締切はおおむね1か月ごとに設定されており、いずれかの回に間に合わなければ次の回に申請できます。ただし事務局が公表するのは確定した募集回だけで、それ以降の日程は随時追加されます。この記事の日程も、閲覧時点で事務局サイトの最新の表と照らし合わせておくと確実です。
2026年8月時点で事務局が公表している締切は次のとおりです。
| 締切回次 | 締切日時 | 交付決定日 |
|---|---|---|
| 5次締切分 | 2026年9月29日(火)17:00 | 2026年11月9日(月)(予定) |
この日程は通常枠・インボイス枠(両類型)・セキュリティ対策推進枠に共通します。複数者連携デジタル化・AI導入枠は募集回が少なく、10月30日が3次締切分にあたります。
事業実施期間は交付決定から2027年4月30日(金)17:00まで、事業実績報告の期限も同日です(いずれも予定)。
1次締切は2026年5月12日で採択の公表が6月18日、2次締切は6月15日で公表が7月23日でした(中小企業庁)。締切からおよそ1か月半で結果が出る流れです。
6次以降の日程は、確定するまで事務局が公表しません。次の回を待つ場合は、事業スケジュールのページを定期的に確認しておきましょう。
交付決定を受けてから事業実施期間が始まり、その期間内にツールの契約・支払い・導入を終えて実績報告を提出します。
実績報告が受理されて補助額が確定すると、確定通知を経て補助金が振り込まれます。その後も、交付申請で提出した事業計画の期間にわたって、労働生産性の伸びなどを報告する事業実施効果報告の提出が必要です。
事務局は、GビズIDプライムの取得におおむね2週間かかるとしています。SECURITY ACTIONの宣言はおおむね2〜3日が目安です(デジタル化・AI導入補助金2026 申請手続きフロー)。ただしGビズIDは、マイナンバーカードを使ったオンライン申請なら最短で即日発行される場合もあります。
より時間がかかるのは、IT導入支援事業者との打ち合わせやツールの選定、事業計画の作成のほうです。こちらに要する期間は導入するツールの規模によって変わるため、締切から逆算して余裕をもって着手しておきましょう。
手続きは、交付決定の前後で大きく分かれます。以下では、申請準備から補助金の受け取りまでを順に確認します。
最初に済ませるのが、この2つの手続きです。GビズIDプライムのオンライン申請には、マイナンバーカードと、カードの読み取りとSMSの受信ができるスマートフォンが必要です。GビズIDの公式サイトでは、この方法なら最短で即日発行できるとしています。
SECURITY ACTIONは、IPAのサイトで情報セキュリティへの取り組みを自己宣言する手続きです。★一つ星は基本的な対策に着手することを宣言するもので、対策を実施する前でも申し込めます。
自社の課題を洗い出したうえで、それを解決できるITツールと、そのツールを扱うIT導入支援事業者を選びます。ITツール検索で候補を絞り込み、複数の事業者から見積もりを取るのが一般的な進め方です。
この段階で、どの申請枠を使うかもあわせて決まります。ツールの機能によって枠が定まるため、枠を先に決めてからツールを探す順序にはなりません。
IT導入支援事業者から申請マイページへの招待を受け取ったら、申請者側で基本情報と必要書類を入力します。提出が必要な書類は法人と個人事業主で異なります。
| 区分 | 提出書類 |
|---|---|
| 法人 | 履歴事項全部証明書(発行から3か月以内)/直近分の法人税納税証明書(その1またはその2)/直近分の貸借対照表および損益計算書 |
| 個人事業主 | 運転免許証・運転経歴証明書・住民票のいずれか/直近分の所得税納税証明書(その1またはその2)/税務署受領済みの直近分確定申告書の控え/青色申告決算書または収支内訳書 |
納税証明書は税務署での発行手続きが必要なため、早めに取得しておくと安心です。
続いてIT導入支援事業者がITツールの情報と事業計画値を入力し、申請者が最終確認と宣誓を行ったうえで事務局へ提出します。共同での作業になるため、締切直前に着手すると入力が間に合わない場合があります。
交付決定の通知を受け取ってから、はじめてツールの契約と発注ができます。支払いも交付決定後に行い、事業実施期間内に導入を完了させます。
支払方法にも決まりがあります。公募要領では、支払いの事実に関する客観性を担保するため、原則として銀行振込とクレジットカードの1回払いのみが認められています。金融機関の窓口やATMを使った場合でも現金による支払いは認められず、クレジットカードの分割払い・リボルビング払いも対象外です。
銀行振込は、補助事業者名義の口座からIT導入支援事業者名義の口座への振込である必要があります。支払いの証憑は実績報告で提出するため、請求書・振込明細・契約書はまとめて保管しておきましょう。
導入が完了したら、事業実績報告を提出します。報告では、ツールの導入が完了したことと、対象経費を支払ったことを証憑で示します。
事務局の確認を経て補助額が確定し、確定通知の後に補助金が振り込まれます。ここまでが交付までの一連の手続きです。
補助金を受け取ったあとも、事業計画期間にわたって効果報告を提出する義務が残ります。報告する内容は、労働生産性の実績値や、賃上げ計画を掲げた場合はその達成状況です。導入から数年にわたる手続きになるため、担当者が交代する場合も含めて社内で引き継いでおくと確実です。
手順どおりに進めていても、資金繰りと期日の管理を誤ると補助を受けられなくなります。特に立て替えの負担と交付決定のタイミングは、申請を決める前に社内で共有しておくべき点です。
補助の対象になるのは、交付決定の通知を受けた後に契約・発注・支払いをした費用だけです。申請中に見切りで発注してしまうと、採択されてもその費用は補助されません。
社内の稟議や購買のスケジュールは、交付決定日に合わせて組んでおきましょう。
補助金が振り込まれるのは、ツールの導入と支払いが終わり、実績報告が受理された後です。導入の時点では、全額を自社で立て替えます。
締切から交付決定まで1か月半、そこから導入と実績報告を経て入金までを考えると、立て替えの期間は数か月に及びます。この間の資金を自社で用意できるかどうかは、申請を決める前に確認する項目です。
申請要件を満たしていても、審査の結果、不採択になる場合があります。不採択となった場合でも、同一年度内に後続の締切回があれば、申請内容を見直して再申請できます。
ただし年度末に近い回で不採択になると、再申請の機会が残らない場合があります。早い回で一度出しておくほうが、修正して再挑戦する余地を確保できます。
補助金は交付されて終わりではありません。実績報告の期限に間に合わなければ交付そのものが取り消され、効果報告を提出しない場合や賃上げ計画が未達の場合は、交付済みの補助金の返還を求められることがあります。
ただし返還の条件と免除の規定は枠ごとに違います。通常枠とセキュリティ対策推進枠には、付加価値額が増えておらず事業計画期間の過半で営業赤字だった場合や、天災など事業者の責任によらない理由がある場合の免除規定が置かれています。
導入したツールを途中で解約する場合も報告が必要になるため、契約期間と報告義務の関係もあわせて確認しておきましょう。
デジタル化・AI導入補助金2026は、旧IT導入補助金の枠組みを引き継ぎつつ、AIを含むITツールの導入支援であることを明確にした制度です。申請枠は5つあり、導入するツールの機能によって上限額と補助率が変わります。締切はおおむね月に1回のペースで設定され、交付決定が出るまでにはおよそ1か月半かかります。
申請を検討する場合は、まず次の3点を確認しましょう。
このとき、補助金の枠に自社を合わせるのではなく、解決したい業務課題からツールを選ぶ順序をおすすめします。制度の内容は年度ごとに見直されるため、申請の前には最新の公募要領で数値と要件を確かめておきましょう。
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申請できます。日本国内で事業を営んでいることが要件で、法人であるかどうかは問われません。 ただし直近分の確定申告書の控えと所得税納税証明書の提出が求められるため、開業してから一度も確定申告をしていない場合は申請できません。あわせて運転免許証や住民票などの本人確認書類も必要です。
インボイス枠のインボイス対応類型と複数者連携枠に限り、対象になります。補助の上限はパソコン・タブレット等が10万円まで、レジ・券売機が20万円までで、補助率は1/2以内です。 通常枠とセキュリティ対策推進枠では対象外です。またハードウェアだけでは申請できず、対象のソフトウェアとあわせて導入する形になります。
事務局に登録されているITツールであれば対象です。生成AIを搭載したソフトウェアは登録時にその旨を申告することになっており、ITツール検索の画面でAI搭載の表示を確認できます。 一方、汎用の生成AIサービスを単体で契約する形は対象になりません。登録されたITツールであることが前提になるためです。
勤怠管理や情報共有などの機能を持ち、ITツールとして登録されているものであれば対象になります。業務プロセスとしては、総務・人事・給与・労務などの分類で登録されている製品が中心です。 なお、テレワーク専用の申請枠は設けられていません。どの枠で申請するかは、そのツールがどのプロセス・機能で登録されているかによって決まります。
会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つ場合は、インボイス枠のインボイス対応類型が候補になります。補助率が通常枠より高く、POSレジもハードウェアとして20万円まで申請できるためです。 会計以外の機能も含めて幅広く導入する場合は、通常枠で4プロセス以上を満たして150万円以上を申請する選択肢もあります。どちらが有利かは導入するツールの構成で変わるので、見積もりの段階でIT導入支援事業者に相談するのがおすすめです。
まとめて申請できます。通常枠で4プロセス以上を満たす場合も、1本の統合型ツールで満たす形と、複数のソフトウェアを組み合わせる形のどちらでも申請できます。 注意が必要なのは、過去に補助を受けたツールとの関係です。IT導入補助金2024またはIT導入補助金2025で交付決定を受けたソフトウェアと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複する場合は減点の対象になります。プロセスが完全に一致する場合は不採択です。
公募要領では、国や中小機構をはじめとする独立行政法人の他の補助金等と重複する事業は、補助事業の対象に含めないと定められています。判定の単位は経費ではなく事業なので、同じ取り組みを別の補助金にも出すことはできません。 一方、この補助金の中では、同じ期間に通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠・複数者連携枠を申請し、それぞれ交付決定を受けられる組み合わせがあります。ただしインボイス枠の2つの類型を同時に申請することはできず、過去の受給歴によって一定期間申請できない枠もあります。組み合わせて使いたい場合は、申請する枠それぞれの公募要領で条件を確かめておきましょう。
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