生成AI

最終更新日:2026/07/29
「社内に散らばったドキュメントを探すのに時間がかかる」「ChatGPTに機密情報を入力するのは不安」といった悩みを抱えるDX推進担当者は少なくありません。
Box AIは、クラウドストレージ「Box」に組み込まれたAI機能で、既存のアクセス権限を保ったまま安全に生成AIを活用できる点が特徴です。
本記事では、Box AIでできること、料金プランとAIユニットの仕組み、セキュリティ対策、導入時の注意点までを網羅的に解説します。

Box AIとは、クラウドストレージ・コンテンツ管理サービス「Box」に標準搭載されたAI機能です。特別なツールを別途導入しなくても、Boxを利用しているだけでコンテンツの生成・要約・分析・翻訳をAIに任せられます。
基本機能はBusiness以上の有償プランで利用でき、ファイルのプレビュー画面からAIを呼び出して、要約や分析、内容の整理をワンクリックで手軽に依頼できます。
Box AIの大きな特徴は、単一のAIモデルに依存しない「マルチLLM」構成にあります。OpenAI、Anthropic(Claude)、GoogleといったAIモデルを状況に応じて使い分け、要約や回答の精度、インサイトの抽出精度を高める設計になっています。タスクの性質に応じて各プロバイダーの最新モデルから最適なものを選べるため、特定ベンダーへの依存(ベンダーロックイン)を避けられる点も評価されています。
ChatGPTのような汎用的な生成AIチャットと違い、Box AIは「Box内に保存された自社のファイルを、既存のアクセス権限のまま情報源にできる」点が最大の違いです。この点については後ほど詳しく比較します。

Box AIは、日常業務で誰でも使える「基本機能」と、業務に合わせてカスタマイズする「高度なエージェント機能」の2階層で構成されています。主な機能は以下の6つです。
| 機能名 | できること | 主な対象プラン |
| Box AI for Documents | ドキュメント・画像・スプレッドシートの要約、分析、翻訳 | 全有償プラン(単一ファイル) |
| Box AI for Notes | Box Notes上でのコンテンツ生成・ブラッシュアップ | 全有償プラン |
| Box AI Home | Box内コンテンツ全体を自然言語で横断検索・分析するAIエージェント「Box Agent」の窓口 | Enterprise Plus以上 |
| Box AI for Hubs | Hub内の複数ドキュメントを横断して質問・比較・要約 | Enterprise以上 |
| Box AI Studio | 業務特化のカスタムAIエージェントを作成 | Enterprise Advanced |
| Box Extract | AIエージェントによるメタデータの一括自動抽出 | 抽出エージェントAPIはBusiness以上/カスタム抽出エージェント・UI自動入力はEnterprise Advanced |
Box AI for Documentsは、文書だけでなく画像やExcelファイルにも対応しています。手書きの表をExcel形式に変換したり、ホワイトボードの写真から会議メモをまとめたりする使い方も可能です。
Box AI Homeは、いわばBox AIエージェントの窓口です。専用画面から質問すると、ユーザー自身がアクセス権を持つ範囲でBox全体のコンテンツを検索・分析し、最適なファイルや回答をまとめてくれます。
また、Box AIには「スプレッドシートに対するクエリ」機能もあり、「過去3年間の財務動向を説明してください」「顧客調査からNPSスコアを計算してください」といった問いかけに対し、単なる要約ではなく計算を伴う分析まで行えます。対応形式は.XLS/.XLSXで、順次すべてのプランで利用可能になる予定です。
Box AI Studioでは、業務の目的に合わせてAIの振る舞いをカスタマイズできます。例えば標準のBox AIは出張申請書の「項目が埋まっているか」程度しか確認できませんが、社内規定に沿った専用エージェントを用意すれば、申請内容の適合性まで自動判定させることが可能になります。
2026年4月、Boxは新しい「Box Agent」を導入しました。自然言語での指示だけで、単なるファイル検索にとどまらず、複数のファイルを横断して情報を組み合わせ、最終的な成果物までまとめて生成できる点が特徴です。
複雑な目標を実行可能なステップに分解し、進行状況をToDoリストとして可視化する「事前計画」機能や、状況に応じて検索・抽出・カスタムエージェント呼び出しなど適切な手段を自動選択する仕組みも備えています。
従来は複数ドキュメントを人が手作業で行き来していたような調査・分析・作成のワークフローを、ひとつの流れに置き換えられる点が大きな進化です。なお、Box Agentおよびその会話型インターフェース「Box AI Home」はEnterprise Plus以上のプランが対象で、より高度な「Proモード」「拡張モード」はEnterprise Advancedプランでのみ利用できます。
出典:Box AIとは?|Box/新しいBox Agentの導入(2026年4月)|Box Support

Box AIの基本機能は、Business以上のすべての有償プランで利用できます。ただし、AI機能の利用量は「AIユニット」という指標で管理されており、プランごとに毎月の割当数が異なります。まずはプラン全体像を整理しましょう。
| プラン | 月額目安(年払い・1ユーザー) | 月間AIユニット数 | 主なAI機能の違い |
| Business | $15〜 | AIユニット購入が必要 | Box AI Q&A(単一ファイルのみ) |
| Business Plus | $25〜 | AIユニット購入が必要 | Box AI Q&A(単一ファイルのみ) |
| Enterprise | $35〜 | 1,000 | Box AI Q&A(単一ファイル)、Extractエージェント |
| Enterprise Plus | $50〜 | 2,000 | 複数ファイルのQ&A、コンテンツ生成の強化、Box Agent統合 |
| Enterprise Advanced | 個別見積もり | 20,000 | Box AI Studioでのカスタムエージェント作成、プロモードのBox Agent |
上記の価格はBox公式サイトのオンライン購入時の目安(2026年7月時点)です。代理店経由で契約する場合は異なる価格体系が適用されるため、日本国内での正式な料金は代理店やBox担当者への問い合わせで確認することをおすすめします。
AIユニットとは、Box AI機能の使用量を測るための共通の指標です。トークン数やモデルの処理負荷といった技術的な要素を、1つのわかりやすい数値にまとめたものと考えるとイメージしやすいでしょう。消費量は操作の種類や、標準モデル・プレミアムモデルどちらを使うかによって変わります。運用時に押さえておきたいポイントは次の通りです。
AIユニットによる従量課金は2025年10月に導入された比較的新しい仕組みで、プラン構成自体も同時期に見直しが進みました。契約前には必ず最新の公式情報を確認しましょう。
出典:プランと価格|Box/BoxのAIユニットについて|Box Support

生成AIの導入で企業が最も気にするのが、入力した情報がAIモデルの学習に使われてしまわないかという点でしょう。Boxはこの点について、明確な原則を公表しました。
Box AIの原則では、顧客の重要なコンテンツについて、セキュリティとプライバシーを守りながらAIを誠実に利用することをBoxのミッションの中核に据えています。具体的な柱は次の3つです。
学習利用については、顧客からの事前の承認なしに、AIモデルの提供元が顧客データをAIの学習(トレーニング)に利用することはないと明言されています。無料の生成AIツールでは入力内容が学習に使われるケースもあるため、機密情報を扱う業務では大きな安心材料になるでしょう。
もう一つの重要な仕組みが「権限継承」です。Box AIでの検索は既存のBoxのアクセス権限をそのまま引き継ぐため、対象となるのはユーザー自身が閲覧権限を持つコンテンツのみです。権限のない他部署の機密ファイルをAIが勝手に参照して回答に含めてしまうようなリスクは、仕組み上起こりません。
出典:Box AIの原則:責任あるAIの開発とガバナンス|Box/Box AI Trust|Box

Box AIは便利な一方、技術的な制限もあります。導入を検討する際は、以下のポイントを事前にチェックしておくとトラブルを防げます。
ファイルサイズや処理対象の制限値は今後のアップデートで変更される可能性があります。導入直前には公式サイトやBox Supportで最新の仕様をご確認ください。特にスプレッドシート業務が多い経理・法務部門などでは、事前に対象ファイルの構造を確認しておくと安心です。
出典:今からでも遅くない!Box AI活用術|丸紅ITソリューションズ

「すでにChatGPTを使っているのに、Box AIも必要なのか」という疑問を持つ担当者も多いはずです。両者は競合というより、役割が異なるものと捉えるのが実態に近いでしょう。
| 観点 | Box AI | ChatGPTなど汎用生成AI |
| データの学習利用 | 事前の承認なく学習に利用しない | サービスにより既定で学習利用されることがある |
| アクセス権限 | Boxの既存権限をそのまま継承 | 権限管理は別途構築が必要 |
| 利用場所 | ファイルのプレビュー画面から直接呼び出せる | 別ツールへのアップロードや貼り付けが必要 |
| 向いている用途 | 社内文書に基づく要約・検索・分析 | 汎用的な文章生成、アイデア出し、コーディング支援など |
最大の違いは、業務フローを分断しない点にあります。Box AIはファイルのプレビュー画面やモバイルアプリからワンクリックで起動でき、「アクセス権のある実務文書」そのものを情報源にできるため、実務に直結した回答をスピーディーに得られます。ファイルを外部ツールへアップロードする手間がなく、機密文書を社外サービスへ渡す心配もありません。
一方でWeb上の最新情報検索や、Box外の一般的な相談ごとは汎用生成AIチャットが適しています。社内文書はBox AI、それ以外はChatGPTなど、目的に応じた使い分けが現実的です。
出典:Box AI:AIによるインサイトでインテリジェントコンテンツ管理をさらに強化|Box

Box AIは、契約書・議事録・RFP(提案依頼書)など非構造化データの多い業務ほど効果を実感しやすい傾向があります。代表的な活用シーンは次の通りです。
実際の導入企業としては、電気・ガス・水道・エネルギー業界の沖縄電力、食品・飲食業界のアサヒグループジャパン、製造業のヤンマーパワーテクノロジーやプロテリアルなど、業種を問わず活用が広がっています。特にアサヒグループジャパンでは、Box AIやBox Hubsを組み合わせ、全社の“コンテンツハブ”としてBoxを位置づける取り組みが進められています。
自社に近い業種・規模の事例を確認したい場合は、Box公式サイトの事例ページで詳細を参照することをおすすめします。

Box AIは、管理コンソールから有効化するだけで使い始められ、エンドユーザー側の追加設定はほとんど必要ありません。基本的な流れは次の通りです。
なお、Box AI Studioを利用できるのはEnterprise Advancedアカウントのみである点に注意してください。以前はEnterprise Plusでも一部利用できるとする情報もありますが、2026年7月時点の公式ドキュメントではEnterprise Advanced限定と明記されているため、プラン選定時には最新情報を確認しましょう。
出典:Box AI Studioの有効化とエージェントの管理|Box Support
Box AIは、Boxに保存された社内コンテンツを、既存の権限管理を保ったまま安全に活用できるAI機能です。ポイントを振り返ります。
アイスマイリーでは、生成AI のサービス比較と企業一覧を無料配布しています。課題や目的に応じたサービスを比較検討できますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。
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