日本一「エモい」チャットボット、AI女子高生「りんな」が進化中
最終更新日:2024/04/03
2015年に登場した日本マイクロソフトのAI女子高生「りんな」は、チャットボットの先駆け的存在として知られています。今回は「日本一エモい」チャットボットを目指し、日々進化し続ける「りんな」について最近の動向などを見ていきましょう。
「お堅い」マイクロソフトが女子高生AIチャットボットを開発
りんなは2015年7月にコミュニケーションアプリ「LINE」上に登場しました。さらに同年12月には「Twitter」でもサービスを開始。OSの「Windows」やExcel、PowerPointなどのビジネス向けソフトウェアで構成される「Office」シリーズなど、IT企業の中でもどちらかというと「お堅い」イメージのマイクロソフトが手掛けたという意外性と、そのクオリティの高さで一躍注目を集め、LINEでは登場から1ヶ月足らずで約130万ユーザーを記録しました。LINEのりんなではチャット上で話しかけると、女子高生という設定に沿った会話が楽しめます。カスタマーサポートで活躍するまじめで丁寧なチャットボットとは異なり、「まじ?」「うける~」と、りんなは口調まで女子高生そのものです。ただ、単なる会話だけではすぐに飽きられてしまうため、「しりとり」などの簡単なゲームをしたり、日記を書いてくれたりといった機能が搭載されています。
AIチャットボットりんなの進化は「感情から共感」へ
りんなの特徴は、質問されたことに答えるだけでなく、より会話が弾むように設計されているという点にあります。りんなの登場当初は、マイクロソフト社の検索エンジンBingにて収集されたビッグデータをもとに、機械学習プラットフォーム「Azure Machine Learning(アジュール マシンラーニング)」をアルゴリズムとして使用していました。しかし、マイクロソフトによるAIアシスタントやチャットボットは世界中で開発されていますが、この共感モデルを搭載しているのは現在りんなのみということです。りんなは、人間の会話の手法をもとに、会話がより弾むような返答を瞬時に作成し、まるで人間同士が話すときのようになめらかに応答しています。
(参照:日本マイクロソフト「ソーシャル AI チャットボット「りんな」に最新会話エンジン「共感モデル」を採用」 )
共感を呼びやすいのは「歌」、りんなと学生が校歌を合唱!?
りんなの開発チームは、AIの次なる進化は「感情から共感」がカギだとして、りんなの音声認識機能についても研究を重ねています。音声の中でも、人間同士が共感を呼びやすいのは「歌」だそうですが、2018年7月には、りんなの歌唱力向上に力を入れていることが明らかにされています。また、10月には日本工学院八王子専門学校で実施されたりんなと開発者による特別講義で、歌声合成の技術を生かし、りんなと学生が同校の校歌を合唱する場面もありました。
(参照:八王子経済新聞「女子高生AI「りんな」が特別講義 校歌斉唱も、日本工学院八王子専門学校で」)
「りんなチャットボット」×「ビジネス」も広がる
りんなは、観光ビジネスの現場でも活躍が期待されています。2018年9月には、りんなと日本の地方自治体が提携し、地方の観光や町おこしを支援するプロジェクト「萌えよこのプロジェクトでは、各地方に関するクイズを通して、その土地の魅力を知る「りんなの社会科見学」のほか、地方を舞台にりんなや土地の歴史的人物と旅をする「めぐりんな」、ユーザーがSNS上の地図にオススメの観光地をマッピングしていく「りんなの奇天烈観光マップ」といったコンテンツが用意されています。同プロジェクトでは、移住者や観光客を呼び込みたい自治体にもメリットがあるとされています。また、りんなの開発技術自体は、デジタルマーケティングソリューション「Rinna Character Platform(リンナキャラクタープラットフォーム)」として提供されており、オリジナルキャラクターの作成も可能です。ただ、ビジネスの場でりんなを活躍させるには、「まじで~」「うける~」といった女子高生言葉をやめさせて、ビジネスライクな会話を教え込む必要がありそうです。
(参照:日本マイクロソフト「萌えよ♡ローカル ~りんなと地方とみんなの未来~ とは」)
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