生成AI

最終更新日:2026/08/28
Z.aiが2026年8月14日に発表した「GLM-5.3」は、GLM-5.2と同じベースモデルを使ったAIモデルです。ポストトレーニング(後学習)の強化だけで、コーディングや長時間タスクの性能を高めました。APIとGLM Coding Planではすでに利用できますが、モデルウェイトは2026年8月20日時点で未公開です。
この記事では、GLM-5.2との違いやベンチマーク性能、料金、使い方に加え、企業が導入前に確認したいポイントまで整理します。

GLM-5.3は、中国のAI企業Z.aiが2026年8月14日に発表したAIモデルです。コーディングとサイバーセキュリティに強みを持ちます。最大の特徴は、前モデルのGLM-5.2と同じベースモデルのまま、ポストトレーニング(後学習)の強化だけで性能を引き上げた点です。
GLM-5.3は、コーディング支援と脆弱性診断の用途を意識した設計になっています。コンテキストウィンドウは100万トークン、最大出力は12.8万トークンで、大量のコードや複数ファイルを同じコンテキストに含めやすい仕様です。
まずは、GLM-5.3の要点を一覧で押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
| 発表日 | 2026年8月14日 |
| 開発元 | Z.ai |
| 主な強化点 | コーディング性能、長時間タスク、サイバーセキュリティ |
| ベースモデル | GLM-5.2と同一(ポストトレーニングの強化のみで性能向上) |
| コンテキスト長 | 100万トークン |
| 最大出力 | 12.8万トークン |
| 利用方法 | GLM Coding Plan/API(ZCode・Claude Code等から接続可) |
| オープンウェイト | 2026年8月20日時点では未公開。公開時期は後述 |
※契約・仕様に関わる項目は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
出典:GLM-5.3 – Overview|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT

GLM-5.3とGLM-5.2の最大の違いは、ベースモデルを変更せず、ポストトレーニングの強化だけで性能を引き上げた点です。AIモデルの性能向上は通常、一から学習し直す「事前学習」の拡大で実現されます。しかしGLM-5.3は、学習環境の多様化や強化学習への計算投資を増やす「事後学習(ポストトレーニング)」の強化のみで、コーディング性能を大きく伸ばしました。
ベースとなるGLM-5.2は、MoE(Mixture of Experts)構成を採用した約753B(7,530億)パラメータのモデルで、推論時のアクティブパラメータは約40Bとされています。この数値はNVIDIAの公式モデルカードや第三者ベンチマークのArtificial Analysisで確認できます。ただしGLM-5.3自身の公式ドキュメントにはパラメータ数の記載がなく、GLM-5.2の仕様として広く確認されている数値である点は押さえておいてください。
移行時に注意したいのが、思考モード(reasoning)の仕様変更です。GLM-5.3ではreasoning自体を無効化できなくなり、low・high・maxの3段階から選ぶ方式になりました。既存システムでthinking.type: 'disabled'を使っている場合、アップグレード時の見直しが必要です。
出典:GLM-5.3 – Overview|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT/GLM-5.2 Model Card|NVIDIA(GLM-5.2のパラメータ数の一次情報)

Z.aiは、自社の社内ベンチマーク「Z.ai Code Bench」において、GLM-5.3がGLM-5.2比で約50%のコーディング性能向上を記録したと発表しています。この「50%」はあくまでZ.ai自身の社内評価による数値である点には注意してください。エージェント型のコーディングタスクを想定した複数のベンチマークで、軒並みスコアが伸びています。
| ベンチマーク | GLM-5.2 | GLM-5.3 |
| Terminal-Bench 3.0 | 4.6 | 28.3 |
| DeepSWE v1.1 | 46.2 | 66.9 |
| Agents’ Last Exam(CLI) | 23.8 | 28.5 |
※公式ドキュメント(2026年8月時点)に基づきます。
出典:GLM-5.3 – Overview|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT
自社評価だけでなく、第三者機関の評価も見ておきましょう。ベンチマーク集計サイトのArtificial Analysisによる評価では、Intelligence IndexというスコアがGLM-5.2の53点からGLM-5.3では60点に上昇しました。これは同価格帯のモデルの中央値を上回る水準です。
一方で、すべての指標で最上位というわけではありません。Z.ai公表値でも、Terminal-Bench 3.0はGLM-5.3の28.3に対しGPT-5.6 Solが34.6、DeepSWE v1.1は66.9に対しGPT-5.6 Solが72.7と、上位モデルが依然として先行している項目もあります。ベンダー自身の発表と第三者評価の両方を確認したうえで、過度な期待も過小評価もしない目線を持つことが大切です。
出典:GLM-5.3 (max)|Artificial Analysis(第三者評価サイトによるベンチマーク。Z.ai公式発表とは別の第三者機関による評価です)

GLM-5.3は、Z.ai公表のCyberGymで比較対象モデル中最高の84.5%を記録しました。ただし、これはあくまで脆弱性の「発見」に関する評価です。サイバー性能は「発見」と、より深い推論・悪用能力を問う「悪用(実証)」の工程を分けて見る必要があります。
ExploitBenchでのGLM-5.3のスコアは54.4%にとどまり、Mythos 5(78.0%)やGPT-5.6 Sol(76.5%)には及んでいません。つまり、GLM-5.3は脆弱性発見では高いスコアを示す一方、より深い悪用能力を測るExploitBenchでは上位モデルとの差が残っています。
| 評価項目 | GLM-5.3 | 比較対象モデル |
| CyberGym(脆弱性の発見) | 84.5%(比較対象中トップ) | — |
| ExploitBench(脆弱性の実証) | 54.4% | Mythos 5:78.0%/GPT-5.6 Sol:76.5% |
出典:GLM-5.3 – Overview|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT
実績面では、Z.aiは269のオープンソースプロジェクトを対象に、2,436件の潜在的な脆弱性を発見したと公表しています。このうち53件は公開済みで、残る2,383件は2026年8月20日時点でエンバーゴ(非公開)状態です。この取り組みはGLM-5.2の時代から継続しており、GLM-5.3単独の成果とは言い切れません。また「公開済み」は、第三者による独立検証の完了を必ずしも意味しない点にも注意が必要です。
このほか、Z.aiの担当者が、GLM-5.3による複雑なリバースエンジニアリングタスクでコードエディタ「Cursor」の「潜在的に深刻な脆弱性」を発見し、非公開で報告したと説明したことが海外メディアで報じられています。Cursor側と連携して修正を進めているとのことですが、2026年8月20日時点で詳細は非公開です。確定情報とは分けて捉えてください。
出典:GLM-5.3 is here with advanced cyber capabilities|VentureBeat(Z.ai担当者の発言を報じた二次情報)
サイバー能力の高さは、後述するオープンウェイト公開の見通しにも関わってきます。

GLM-5.3は、月額制の「GLM Coding Plan」またはAPIの従量課金のいずれかで利用できます。API単価そのものはGLM-5.2から据え置かれています。
GLM Coding Planは、Lite・Pro・Maxの3ティアに分かれています。
| プラン | 月額(通常) | 年払い時の月額換算 |
| Lite | 18ドル | 12.6ドル |
| Pro | 80ドル | 56ドル |
| Max | 168ドル | 117.6ドル |
※2026年8月20日時点のZ.ai公式ページ表示に基づきます。キャンペーンや契約期間によって表示額が変わる可能性があるため、契約前に公式サイトで最新価格をご確認ください。
GLM Coding Planは、利用量に応じた「ポイント制」の枠組みを採用しています。Z.ai公式は「透明で予測しやすい利用量管理」を目的とした仕組みだと説明しており、ピーク時間帯以外の利用は消費ポイントが通常の50%になります。
週あたりのクレジット数(Liteが10,000クレジット、Proがその6倍、Maxが14倍など)は第三者情報源では確認できるものの、2026年8月20日時点でZ.ai公式ページ(landing-page/subscribe)上での直接確認はできませんでした。正確な割当量は変更されうるため、契約前に必ず公式ページでご確認ください。
出典:GLM-5.3 – Overview|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT(ポイント制・オフピーク割引の一次情報)
API従量課金の単価は、次の通りです。
出典:Pricing|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT
ここで見落としやすいのが、単価が同じでも実際のコストが同じとは限らない点です。第三者評価サイトArtificial AnalysisのIntelligence Indexでは、GLM-5.2は評価時に約140Mトークンを出力し、1タスクあたりの加重平均コスト(Weighted average cost per Intelligence Index task)が0.44ドルだったのに対し、GLM-5.3は約170Mトークンを出力し0.68ドルまで上昇しました。
一方、Z.ai自身の社内評価「Z.ai Code Bench」では逆の傾向も見られます。公式ドキュメントによると、Max設定時にGLM-5.3は約7.5万トークンの出力で34.5%のスコアを記録したのに対し、GLM-5.2は約9.6万トークンで23.4%でした。Artificial Analysisとは評価対象・条件が異なるため単純比較はできませんが、実効コストの増減は評価条件やワークロード次第だといえます。
「単価が同じだから総コストも変わらない」と決めつけず、自社の業務でPoC(小規模検証)を行ってコストを確認しましょう。
出典:GLM-5.3 (max)/GLM-5.2 (max)|Artificial Analysis(第三者評価サイトによる実測データ)/GLM-5.3 – Overview|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT(Z.ai Code Benchの一次情報)

GLM-5.3の利用方法は、大きく3つに分かれます。スキルレベルではなく利用目的で選ぶのがポイントです。
| 利用方法 | 向いているケース |
| ZCode | Z.ai公式の開発環境でGLM-5.3をすぐに試したい |
| Claude Codeなど対応ツール | 既存の開発ワークフローを維持したまま使いたい |
| API | 自社サービスや業務システムに組み込みたい |
ZCodeは、Z.aiが公式に提供するエージェント型の開発環境です。ファイル操作やターミナル、Git、デバッグ、テストといった開発ワークフローを一体で扱えます。すでにClaude Codeを利用している場合は、Z.ai公式ガイドに従い、利用するプランに対応したエンドポイントやAPIキーなどを設定することで接続できます。
関連:Claude(クロード)とは?料金・使い方・ChatGPTとの違いを解説
APIを直接利用する場合は、OpenAI Chat Completion・OpenAI Responseのほか、Anthropic Message形式にも対応しており、既存のAPI連携から移行しやすい設計です。ただし公式ドキュメントには例外があります。過去にGLM Coding Planを契約したことがあるアカウントは、期限切れの契約を含め、2026年8月20日時点ではOpenAI Chat Completion互換プロトコルからのみモデルAPIを利用できると案内されています。アカウントによって条件が異なるため、移行前に公式ドキュメントでご確認ください。
出典:GLM-5.3 – Overview|Z.AI DEVELOPER DOCUMENT/ZCode Docs|Z.ai

GLM-5.3は、発表と同時にはモデルウェイト(モデル本体)を公開せず、安全性評価を経て発表からおよそ2週間後、2026年8月28日ごろの公開を予定しています。2026年8月20日時点ではまだ公開されていませんが、予定日を過ぎたわけではなく、当初からこのスケジュールで発表されている点は押さえておきましょう。
海外メディアの報道によれば、GLM-5.3は、Z.aiが発表と同時のウェイト公開を見送った初めてのGLMシリーズのモデルとされています。Z.aiは、ポストトレーニングを進める過程でサイバー能力が想定より速く伸びたと説明したうえで、安全性評価とセキュリティ強化(hardening)を完了させてから公開する方針を示しています。
モデルウェイトが公開されれば、技術的には自社環境でのセルフホスト(オンプレミス運用)を検討できるようになる見込みです。ただし、公開時のライセンス条件や必要なGPU環境、商用利用の可否は別途確認が必要で、現時点ではGLM Coding PlanまたはAPI経由の利用に限られると理解しておいてください。公開状況は変わりやすい情報のため、最新の状況は必ず公式サイトでご確認ください。
出典:GLM-5.3: Frontier Coding with Emergent Cyber Capabilities|Z.ai公式発表(2026年8月14日)/Z.ai Delays GLM-5.3 Weights After CyberGym Score Tops Mythos|implicator.ai(初の公開見送りである旨の報道)
GLM-5.3が特に力を発揮しやすいのは、既存コードベースの大規模な修正、脆弱性の早期発見、複数ステップにまたがる開発タスクの自動化です。
開発部門ではコードレビューの一次チェック、セキュリティ部門では脆弱性調査の初期スクリーニングへの活用が考えられます。ただし下書き・一次スクリーニングを効率化するツールと位置づけ、最終判断や修正は人によるレビューを前提としてください。

GLM-5.3の導入を検討する際は、性能だけでなく、供給の安定性やセキュリティガバナンス、実効コストまで含めて評価する必要があります。特に次の4点は事前に確認しておきましょう。
自社の開発環境やセキュリティ要件に合う生成AIを選ぶには、GLM-5.3だけでなく複数のサービスを比較検討することが重要です。AIsmileyでは、用途や課題に合ったAIサービスの資料をまとめて比較できます。導入候補を絞り込みたい方は、ぜひご活用ください。

GLM-5.3は、ベースモデルを変えずポストトレーニングの強化だけで性能を引き上げた点が最大の特徴です。API単価は据え置きでも実効コストは変動しうること、オープンウェイトの公開はまだ予定段階であることなど、導入前の論点も少なくありません。
まずは自社のユースケースに照らした小規模なPoCから始め、性能とコストを確認しましょう。思考モードの仕様変更やデュアルユース性への対応方針も、社内で早めに整理しておくと安心です。生成AI選びで迷ったら、他の主要サービスとあわせて比較するのも一つの方法です。
アイスマイリーでは、生成AI のサービス比較と企業一覧を無料配布しています。課題や目的に応じたサービスを比較検討できますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。
GLM-5.3を継続的に無料で使える常設プランは、2026年8月20日時点の公式情報からは確認できません。基本的には月額プランかAPI従量課金への申し込みが必要です。ZCode等で新規ユーザー向けの試用枠が案内される場合もあるため、最新の提供条件は公式ページでご確認ください。
発表から約2週間後、2026年8月28日ごろが目安です。ただしこれは予定であり、確定した公開日ではない点にご注意ください。
ベースモデルは同じで、ポストトレーニングの強化のみで性能を引き上げている点が最大の違いです。思考モードを無効化できなくなるという仕様変更もあります。
公式ドキュメントではテキストの入出力に対応していることは確認できますが、対応言語の一覧は明示されていません。日本語での利用可否や業務上必要な精度については、導入前に実際の日本語データで検証することをおすすめします。
Z.aiはGLM Coding PlanをClaude Codeなど対応ツールから利用できるようにしています。利用する契約に応じて、公式ガイドに従いエンドポイントやAPIキーなどを設定してください。
業務の課題解決に繋がる最新DX・情報をお届けいたします。
メールマガジンの配信をご希望の方は、下記フォームよりご登録ください。登録無料です。
AI製品・ソリューションの掲載を
希望される企業様はこちら