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デジタルリテラシーとは?意味・高め方・AI時代の実践法を解説

最終更新日:2026/08/25

「デジタルリテラシーとは何か」「ITリテラシーやDXリテラシーと何が違うのか」と感じたことはありませんか。DX生成AIの活用が広がる一方、社員教育の進め方や、自分自身が何を学べばよいか迷うケースも少なくありません。

本記事では、デジタルリテラシーの意味や必要とされる背景、低い場合のリスクを整理します。そのうえで、企業がデジタルリテラシーを高める7つのステップと、個人が今日からできる実践法を解説します。あわせてセキュリティ対策や役立つ資格・学習リソースも紹介するので参考にしてみてください。

デジタルリテラシーとは?意味をわかりやすく解説

デジタルリテラシーとは、デジタル技術や情報の特徴を理解する力のことです。目的に応じて安全かつ適切に活用するための知識・判断力・スキルも含みます。

デジタルリテラシーの定義

デジタルリテラシーは、機器の操作方法を覚えることだけを意味するわけではありません。情報の真偽を見極める判断力や、変化の速いデジタル技術に対応し続ける姿勢まで含む、幅の広い概念として捉えられています。

たとえば、社内チャットツールで必要な情報を的確に共有することが挙げられます。クラウド上のデータを整理して業務に活かすことも実践例の一つです。生成AIへの指示文(プロンプト)を工夫し、より良い回答を引き出すことも含まれます。特別な資格や専門知識がなくても、日々の工夫の積み重ねによって高めていける点が特徴といえます。

日本のビジネス領域で参考になる指針の一つが、IPA(情報処理推進機構)が策定した「DXリテラシー標準(DSS-L)」です。DSS-Lでは、全てのビジネスパーソンに必要なDXの素養を、次の4つの要素で整理しています。

  • Why:DXの背景・必要性の理解
  • What:データ・技術に関する知識
  • How:データ・技術の実際の活用方法
  • マインド・スタンス:新たな価値創造に向けた姿勢

なお、DSS-Lはデジタルリテラシーそのものの公式な定義というより、日本企業がリテラシー教育を設計する際の実践的な指針です。この違いを踏まえたうえで参考にするとよいでしょう。

出典:DXリテラシー標準(DSS-L)概要|IPA(IPA、2026年8月時点)

ITリテラシー・DXリテラシーとの違い

「デジタルリテラシー」と混同されやすい言葉に、「ITリテラシー」「DXリテラシー」があります。三者に明確な統一定義はなく、企業や団体によって使い分けが異なるのが実情です。一般的には、次のように整理されることが多いといえます。

用語 主な範囲 重視するもの
ITリテラシー パソコンやソフトウェアなど、情報技術の操作 技術的な操作スキル
デジタルリテラシー ITリテラシーを含む、より広い情報活用力 情報の評価・安全な活用・判断力
DXリテラシー デジタル技術を使ったビジネス変革への理解 DX推進に必要なマインド・知識

採用や研修の場面で「ITに詳しい人材」を求めることがあります。しかし実際に必要なのは、判断力を含む「デジタルリテラシーの高い人材」だった、というすれ違いも起こりがちです。用語の境界にこだわるより、「自社・自分にどのスキルが不足しているか」を意識する方が実務では重要です。

自分・自社の現在地を確認する簡易チェック

以下の項目で、自分や自社の現在地を確認してみましょう。編集部独自の目安であり、公的な診断基準ではありません。

  • 情報の出典や更新日を確認してから利用している
  • 生成AIなど新しいデジタルツールの特徴と注意点を説明できる
  • パスワードの使い回しを避け、多要素認証を利用している
  • データや個人情報をどこまで共有してよいか判断できる
  • 業務課題に応じて適切なデジタルツールを選べる

チェックが付かなかった項目がある方は、その項目に対応する後述の実践方法から取り組んでみてください。ほとんどの項目に当てはまった方も、次章以降で紹介する資格やAI時代の動向を、知識のアップデートに役立ててみましょう。

デジタルリテラシーが求められる背景

デジタルリテラシーが重視される背景には、主に3つの潮流があります。社会・業務のデジタル化、企業のDX推進、そして生成AIをはじめとする技術の急速な普及です。

第一に、インターネットやスマートフォン、クラウドサービスが生活と仕事に浸透しました。情報収集からコミュニケーション、意思決定まで、デジタル技術を介する場面が増えています。テレワークやオンライン会議が定着したことも、この流れを後押ししたといえるでしょう。

第二に、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を経営課題として掲げています。DXを形だけのツール導入で終わらせてはいけません。業務や事業モデルの変革につなげるには、現場の従業員一人ひとりがデジタル技術を理解し、使いこなす必要があるでしょう。

第三に、生成AIの登場により、業務の進め方は大きく変わりつつあります。文書作成やデータ整理、アイデア出しなど、これまで人手をかけていた作業の一部をAIが担えるようになりました。AIを使いこなすだけでなく、AIの出力を鵜呑みにせず適切に判断する力も求められるようになっています。

情報を正しく評価する力は、すでに大きな課題になっています。総務省の令和7年版情報通信白書に、参考になる調査結果があります。2024年度調査は、13〜79歳の男女1,800人を対象に実施されました。この調査で、オンライン上の情報の信頼性を確認していると回答した人は、日本では約19.1%にとどまりました。デジタル技術に触れる機会が増える一方で、オンライン情報の信頼性を確認する行動が十分に定着していないことがうかがえます。

あわせて、労働人口の減少にともなう業務効率化のニーズも、デジタル技術を使いこなせる人材の重要性を高める一因となっています。

出典:令和7年版 情報通信白書|デジタルサービスの活用状況|総務省(総務省、2024年度調査分)

デジタルリテラシーが低いことで生じるリスク

デジタルリテラシーが不足すると、企業では生産性やDX推進、情報セキュリティに影響が及びます。個人でも、情報の判断や業務上の選択肢に影響が生じる可能性があるでしょう。

企業への影響

企業がデジタルリテラシー不足を放置すると、次のようなリスクを抱えることになります。せっかく高価なツールを導入しても、使いこなせる人材がいなければ投資が無駄になりかねません。

リスク 内容
生産性の低下 デジタルツールを使いこなせず、手作業や確認漏れによる非効率が生じる
DX推進の遅延 現場の理解が追いつかず、新しいツールや業務改革が浸透しない
競争力の低下 市場や顧客ニーズの変化に迅速に対応できなくなる
セキュリティインシデントの発生 情報漏えいや不正アクセスなどのリスクが高まる

これらのリスクは互いに関連しており、一つの課題が別の課題を引き起こすことも珍しくありません。

個人への影響

デジタルリテラシー不足によるリスクは、企業だけの問題ではありません。個人にとっても、次のような影響が考えられます。

情報の真偽を見極める力が不足していると、誤情報やフィッシング詐欺の被害に遭うリスクが高まります。SNSやメールを悪用したフィッシングは継続して確認されており、デジタルサービスを利用する誰もが注意する必要があるでしょう。また、デジタルツールを活用する力が不足していると、担当できる業務の幅が狭まりかねません。結果として、キャリア形成や業務上の選択肢に影響する可能性もあるでしょう。転職や社内異動の際に、基本的なデジタルスキルを求められる場面も増えています。

出典:利用者向けフィッシング詐欺対策ガイドライン 2026年度版|フィッシング対策協議会(フィッシング対策協議会、2026年6月公開)

企業がデジタルリテラシーを高める方法【7ステップ】

企業がデジタルリテラシーを高めるには、研修を単発で終わらせないことが重要です。目的設定から評価改善までを、一連の仕組みとして回す必要があります。

  1. 目的を明確にする:「業務効率化のため」「DX推進のため」など、何を目指すのかを具体的に設定します。目的があいまいなままだと、施策が形骸化しやすくなるので注意しましょう。
  2. 現状を把握する:部署や役職ごとに、現在のデジタルスキルを確認します。前述の簡易チェックは、課題に気づく入口として活用しましょう。育成計画を作る際は、業務内容や職種に応じた評価項目をあらためて設定するとよいでしょう。
  3. 必要なスキルを整理する:業務に応じて求められるスキルを洗い出します。営業部門であれば顧客情報の取り扱い、経理部門であればデータ分析ツールの活用が重要になります。製造部門であれば生産管理システムの操作など、部署ごとに優先度は異なるでしょう。
  4. 教育・研修を実施する:座学だけでなく、実務に即した演習を取り入れると定着しやすくなります。外部研修やeラーニングの組み合わせも効果的です。
  5. 実務で活用できる環境を整える:学んだスキルを実践できるよう、必要なツールやソフトウェアを整備しましょう。困ったときに相談できるサポート体制も用意します。せっかく学んでも実務で使う機会がなければ、知識は定着しません。
  6. 継続的に学習する:デジタル技術は変化が速いため、一度の研修で終わらせず、継続的な学習の機会を設けることが大切です。定期的な勉強会や情報共有の場を設けるのもよいでしょう。
  7. 効果を評価し改善する:研修の効果を定期的に評価し、内容をアップデートしていきます。現場からのフィードバックを反映することで、実効性の高い取り組みに近づくはずです。

出典:デジタルスキル標準|経済産業省(育成プラン策定の参考として)

個人がデジタルリテラシーを高める5つの方法

デジタルリテラシーは、資格取得だけでなく、日々の情報収集やデジタルツールとの向き合い方を見直すことでも高められます。企業の取り組みを待たずとも、個人で始められることは数多くあるものです。

  1. 分からない用語は一次情報で確認する:ニュースやSNSで見かけた情報をそのまま鵜呑みにしないことが大切です。公式サイトや一次情報にあたって確認する習慣が、情報を正しく評価する力を養います。
  2. 生成AIや業務ツールを実際に使ってみる:使わず敬遠するより、実際に触れてみることが近道です。得意・不得意が分かり、業務での活用イメージも具体的になるでしょう。
  3. 発信元・更新日を確認する:ビジネスで数値や制度情報を扱う際は、発信元と更新時点を確認する癖をつけましょう。
  4. セキュリティ・個人情報保護の基本を身につける:具体的な対策は次章で紹介するとおりです。
  5. 資格や学習サービスで体系的に学ぶ:おすすめの資格は後述の章で詳しく取り上げます。

いずれも大がかりな準備をせず、日常の中で少しずつ始められる方法です。無理なく続けられるものから取り入れてみましょう。

今日からできる実践的なデジタルセキュリティ対策

デジタルリテラシーには、安全にデジタル技術を使う力も含まれるといえるでしょう。ここでは、個人・組織単位ですぐに実践できる対策を3つ取り上げます。

  1. パスワードを使い回さない:一つのパスワード流出が、他サービスへの不正アクセスにつながることがあります。パスワード管理ツールの利用や、可能な限り多要素認証の設定もおすすめです。
  2. メール・SMS内のリンクは開かない:心当たりのない請求や緊急を装うメールやSMSには注意しましょう。本文中のリンクをそのまま開かないことが大切です。サービスへのログインが必要な場合は、あらかじめ登録したブックマークや公式アプリからアクセスする方法が安全です。
  3. OSやソフトウェアを最新の状態に保つ:古いバージョンのまま放置すると、既知の脆弱性を突かれるリスクが高まります。パソコンやスマートフォンのOS、各種ソフトウェアには、修正プログラムを適用しましょう。自動更新の設定も活用しながら、常に最新の状態を保つよう心がけてください。

これらは比較的取り組みやすい基本的な対策です。一つずつ実践し、アカウントや端末を安全に利用する習慣をつけることが、被害リスクの低減につながります。

出典:IPA|安心相談窓口だより(不正ログイン対策)(IPA、2026年8月時点)/利用者向けフィッシング詐欺対策ガイドライン 2026年度版|フィッシング対策協議会(フィッシング対策協議会、2026年6月公開)/日常における情報セキュリティ対策|IPA(IPA、2026年8月時点)

デジタルリテラシー向上に役立つ資格・学習リソース

資格取得は、デジタルリテラシーを体系的に学ぶ近道の一つです。デジタルリテラシー協議会は、IPA・データサイエンティスト協会・日本ディープラーニング協会の3団体が運営しています。同協議会が推奨する「Di-Lite」という枠組みでは、次の3領域に対応する資格の一覧が示されています。

資格名 主な対応領域 試験の特徴 こんな人におすすめ
ITパスポート試験 ITソフトウェア領域 ITの基礎知識を問う国家試験。通年でCBT方式にて実施 職種を問わず、ITの基礎から学びたい方
G検定 AI・ディープラーニング領域 AI・ディープラーニングの知識を問う検定 AI活用の企画・推進に関わる方
データサイエンティスト検定 リテラシーレベル 数理・データサイエンス領域 データ活用の基礎知識を問う検定 データに基づく意思決定に関わる方

3つの試験は、それぞれIT・AI・データサイエンスの基礎や活用リテラシーを体系的に学ぶ際の目安になります。出題範囲や必要な学習量は試験ごとに異なります。公式シラバスを確認したうえで、自分の目的に合う試験から取り組むとよいでしょう。

ITパスポート試験は、IPAの発表によると令和7年度の応募者数が307,266人となり、2年連続で30万人を超えました。合格率は48.6%です。非IT系企業からの応募が多くを占めており、業種を問わず幅広く活用されていることがうかがえます。

出典:令和7年度「iパス(ITパスポート試験)」の年間応募者数等について|IPA(IPA、2026年4月時点)

3つの試験すべてに合格すると、申請により最上位のデジタルバッジ「DX推進パスポート3」の発行を受けられます。1試験合格では「DX推進パスポート1」、2試験合格では「DX推進パスポート2」をそれぞれ申請できます。段階的にキャリアの証明として活用できる仕組みです。

出典:DX推進パスポート|Di-Lite啓発プロジェクトサイト(デジタルリテラシー協議会、2026年8月時点)

体系的に学べる学習リソースとしては、IPAが案内する「マナビDX」も参考になります。デジタルスキルを学べる講座やコンテンツの一覧が紹介されているほか、DXリテラシー標準に沿った学習内容も掲載されています。

出典:デジタルリテラシー向上への取り組み|IPA(IPA、2025年1月更新分)

【2026年版】AI時代に求められるデジタルリテラシーの変化

生成AIの普及により、デジタルリテラシーの重心は変わりつつあります。「ツールを操作する力」から、「AIの出力を鵜呑みにせず、根拠を確認しながら適切に活用する力」への変化です。

2026年4月16日、経済産業省とIPAは「デジタルスキル標準ver.2.0」を公開しました。大きく改訂されたのは、主に専門人材向けの「DX推進スキル標準(DSS-P)」側です。データの品質やルール遵守を担う「データマネジメント」関連の役割が新設されました。また、AIの実装・運用やAIガバナンスに関するスキルも追加されました。

一方、全てのビジネスパーソン向けの「DXリテラシー標準(DSS-L)」は、大枠が維持されています。IPAは、Excel版についてver.1.2とver.2.0が同内容だと明記しています。ただし公式発表では、「デザインマネジメント実践」に関するスキルが追加されました。DSS-Lへの記載の追記・修正や、補足資料の追加も行われています。基準が全面的に刷新されたわけではなく、大枠は維持しつつ一部領域が更新された、と捉えるのが正確でしょう。

専門人材に求められるAI・データ関連のスキルの拡充は、企業の人材育成の方向性を考えるうえで押さえておきたい変化です。

実務では、生成AIへの指示の工夫に加え、出力内容の根拠確認や社内ルールの順守も重要です。AIは「使えるか」だけでなく、「出力を評価し、安全かつ適切に使えるか」が重要になります。それが、AI時代のデジタルリテラシーの核心といえるでしょう。専門部署だけの課題とせず、全社的なリテラシー教育の中に取り入れる企業も増えています。

出典:プレス発表 デジタルスキル標準ver.2.0を公開|IPA(IPA、2026年4月16日)/資料ダウンロード|IPA(IPA、2026年7月9日更新。DXリテラシー標準Excel版の版数比較の根拠)

なお、ITパスポート試験を含む情報処理技術者試験制度も、2027年度から新試験制度へ移行が予定されています。変更の可能性があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

出典:試験制度の見直しについて|IPA(IPA、2026年8月時点)

デジタルリテラシーに関するよくある質問

Q1. デジタルリテラシーとは簡単にいうと何ですか?

デジタル技術や情報を理解し、目的に応じて適切かつ安全に活用するための知識・判断力・スキルのことです。単なる機器操作にとどまらない、幅広い概念として捉えられています。

Q2. デジタルリテラシーとITリテラシーの違いは何ですか?

明確な統一定義はありません。一般的にITリテラシーは技術的な操作スキルを指します。一方でデジタルリテラシーは、情報の評価や安全な活用まで含む、より広い概念として整理されることが多いです。

Q3. 個人がデジタルリテラシーを高めるにはどうすればよいですか?

一次情報を確認する習慣をつける、生成AIや業務ツールを使ってみる、セキュリティの基本を身につける。こうした日常的な行動の積み重ねから高められます。資格取得のような大きな一歩でなくても構いません。

Q4. デジタルリテラシー向上に役立つ資格はありますか?

デジタルリテラシー協議会は、3つの資格試験を推奨しています。対象はITパスポート試験・G検定・データサイエンティスト検定 リテラシーレベルです。IT・AI・データサイエンスを体系的に学びたい方の目安になるでしょう。

Q5. AI時代にはどのようなデジタルリテラシーが必要ですか?

AIを操作するだけでなく、AIの出力を鵜呑みにせず、根拠やデータを確認しながら適切な用途で活用する力が重要になっています。プロンプトの工夫やファクトチェックの習慣も、今後ますます求められるでしょう。

まとめ|デジタルリテラシーを高めてDX推進につなげよう

本記事では、デジタルリテラシーの意味・必要性から、高め方、セキュリティ対策、関連資格、AI時代の動向までを解説しました。

デジタルリテラシーとは、デジタル技術や情報を理解し、適切かつ安全に活用する力です。まずは本記事冒頭のチェックリストで、自社・自分の現在地を把握することから始めてみましょう。そのうえで、企業であれば7ステップに沿った育成計画を進めましょう。個人であれば、日々の小さな実践を積み重ねることが、デジタルリテラシー向上への近道になります。

生成AIをはじめとするデジタル技術は、今後も更新され続けていきます。デジタルリテラシーも一度学んで終わりにせず、制度や技術の変化に応じて知識をアップデートし続けることが重要です。

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