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最終更新日:2026/05/01
SaaS比較完全版
ビジネスの場で「SaaS」という言葉を見聞きする機会が増えています。SaaSは、ソフトウェアの導入方法や運用のあり方を変える提供形態です。国内市場は拡大が続いており、近年はAI機能を組み込んだサービスも増えています。
本記事では、SaaSの基礎知識はもちろん、「自社に最適なサービスの選び方」や「最新のAI活用トレンド」までを網羅。 導入後の「使いこなせない」「コストが見合わない」といった失敗を防ぎ、ビジネスを加速させるための判断材料を提供します。

まずはSaaSの定義と仕組みを解説します。
SaaS(サース、サーズ)とは「Software as a Service」の略で、日本語では「サービスとしてのソフトウェア」を意味します。
ベンダー(サービス提供事業者)がクラウド上でソフトウェアを提供し、ユーザーはインターネット経由でその機能を利用します。従来のようにソフトウェアを端末ごとにインストールして管理するのではなく、必要な機能をサービスとして使える点が特徴です。
SaaSでは、アプリケーションはクラウド基盤上で稼働し、ユーザーはWebブラウザや専用アプリ、APIなどを通じて利用します。
アップデートやインフラの保守は主にベンダー側が担うため、利用者は端末やサーバーごとに更新作業を行う負担を抑えられます。
多くのSaaSは共有基盤上で複数企業のデータを論理的に分離して扱う構成を取っており、利用者は他社のデータを見ることなく、同じ基盤のサービスを共有できます。
オンプレミス、ASP、クラウドサービス、PaaS、IaaSなど似た言葉があります。それぞれの違いを確認しておきましょう。
SaaSと対比される概念がオンプレミスです。オンプレミスとは、自社が所有するサーバーやPC上にソフトウェアをインストールして運用する方式です。
| 比較項目 | SaaS | オンプレミス |
|---|---|---|
| 初期コスト | 低め(月額・年額課金が中心) | 高め(ライセンス購入や環境構築が必要) |
| 導入スピード | 比較的早い | 環境構築や設定に時間がかかりやすい |
| カスタマイズ性 | 制約がある場合が多い | 個別要件に合わせやすい |
| インフラ保守 | ベンダーが主に担当 | 自社で対応 |
| データ保管 | クラウド上 | 自社環境内 |
どちらが向いているかは、予算、カスタマイズの必要性、社内の運用体制によって異なります。標準機能で素早く使い始めたい場合はSaaS、個別要件に合わせて細かく作り込みたい場合はオンプレミスが候補になります。
なお、SaaSを導入してもアカウント管理や権限設定、利用ルールの整備までベンダーに任せられるわけではなく、自社で管理する範囲が変わると捉えておくことが大切です。
ASP(Application Service Provider)は、インターネット経由でアプリケーションを提供する事業者やその形態を指す言葉です。日本ではSaaSとほぼ同じ意味で使われることも多く、両者を明確に区別せず説明される場合もあります。
クラウドサービスは、インターネット経由で提供されるITサービス全般を指す上位概念です。SaaSはその一種であり、PaaSやIaaSもクラウドサービスに含まれます。
SaaS・PaaS・IaaSはいずれもクラウドサービスですが、利用できる範囲と利用者が管理する範囲が異なります。
| 項目 | SaaS | PaaS | IaaS |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | Software as a Service | Platform as a Service | Infrastructure as a Service |
| 利用できるもの | 完成したソフトウェア | アプリの開発・実行基盤 | サーバーやストレージなどの基盤 |
| 主にベンダーが管理する範囲 | アプリケーション、実行基盤、インフラ | 実行基盤、インフラ | 基盤インフラ |
| 主に利用者が管理する範囲 | データ、アカウント設定 | アプリケーション、データ | OS、ミドルウェア、アプリケーション、データ |
| 代表例 | Gmail、Salesforce | Google App Engine、Heroku | AWS EC2、Google Compute Engine |
| 利用者像 | 一般的な業務部門 | アプリ開発者 | インフラ担当者 |

SaaSは業務のさまざまな領域で使われています。ここではジャンル別に代表的なサービスを紹介します。自社がどの業務課題を解決したいかと照らし合わせながら読むと、導入候補を考えやすくなります。
社内外のコミュニケーションをリアルタイムで行えるチャットツールです。テキストのやり取りに加え、ファイル共有や外部ツール連携で業務の流れを一つの画面に集約できます。
Slack
チャネル単位でトピックごとに会話を整理でき、外部ツールとの連携機能が豊富です。開発やマーケティングなど、複数のツールを使い分ける業務との組み合わせで利用されています。
Chatwork
国内企業向けに設計されたビジネスチャットで、タスク管理機能を備えている点が特徴です。中小企業を中心に広く利用されています。
Microsoft Teams
チャット、Web会議、ファイル共有をMicrosoft 365とまとめて利用できます。WordやExcelを業務で多用する企業との親和性が高いツールです。
オンライン会議や商談、社内打ち合わせに使われるカテゴリです。拠点や在宅勤務を含む働き方と組み合わせて利用されます。
Zoom
代表的なWeb会議ツールで、少人数の打ち合わせから大規模なウェビナーまで対応しています。接続の安定性と操作のわかりやすさが特徴です。
Google Meet
PCのブラウザから参加しやすく、アプリのインストールを求められない場面が多いツールです。Google Workspaceのカレンダーやドキュメントとの連携がしやすい点も利点です。
Microsoft Teams(Web会議)
Microsoft 365の一機能としてWeb会議に対応しています。社内のチャットや資料共有と同じ画面から会議に入れる点が特徴です。
営業活動の管理(SFA)や顧客関係管理(CRM)を支えるSaaSは、案件管理や顧客情報の一元化に役立ちます。
Salesforce
世界的に利用されているCRMで、IDCの「Worldwide Semiannual Software Tracker」(2025年4月発表)で12年連続首位、シェア20.7%を獲得しています。拡張機能やAI分析を含む幅広い機能を備えています。
HubSpot
無料で始められるCRMを提供しており、まず試してから有料プランへ切り替えられる点が特徴です。マーケティングや営業、カスタマーサポートの機能を1つのプラットフォームで利用できます。
Sansan
名刺情報をきっかけに、企業情報や営業履歴を全社で共有できるビジネスデータベースです。SFAやCRMと連携して活用されるケースもあります。
会計や人事労務は、SaaSの代表的な活用領域です。法改正への対応や、バックオフィス業務の負担軽減を目的として導入されています。
freee
会計、人事労務、会社設立関連のサービスを展開しており、中小企業のバックオフィスを幅広くカバーします。確定申告や給与計算など、経理担当者以外でも扱いやすい設計が特徴です。
マネーフォワード クラウド
銀行口座やクレジットカードとの連携に対応しており、入出金データの自動取得や仕訳候補の自動作成に対応しています。会計・経費・請求書など、目的別にサービスが分かれている点も特徴です。
SmartHR
人事労務領域に特化したSaaSで、入社手続き、給与明細、年末調整などの機能を提供しています。紙のやり取りが多い人事業務をオンライン化しやすい点から、多くの企業で導入が進んでいます。
ネットショップの構築・運営をSaaSで行えるサービスです。専門知識がなくても、テンプレートや管理画面からネットショップを立ち上げられます。
Shopify
世界各国で利用されているECプラットフォームで、テーマやアプリで機能を拡張できる点が特徴です。国をまたいだ販売や多言語対応を必要とする事業者にも利用されています。
BASE
初期費用・月額費用を抑えながらネットショップを開設できるサービスで、個人事業主や小規模事業者を中心に利用されています。デザインテンプレートや決済機能が標準で用意されています。
STORES
BASEと同様に、初期費用を抑えてネットショップを開設できるサービスです。実店舗向けのPOSレジや予約機能と組み合わせて利用できる点が特徴です。
SaaSの料金モデルは一様ではありません。主な3つの体系を理解しておくと、コストを比べやすくなります。
月額または年額の固定料金を支払うことで、契約期間中はソフトウェアを利用できるモデルです。
料金はユーザー数やプランのグレードによって変わることが多く、必要な機能や利用人数に合わせてプランを選びます。年額払いで割引が適用されるケースもあります。SaaSでもっとも広く採用されている料金体系です。
基本機能を無料で使え、より高度な機能や上位の機能を使いたい場合に有料プランへ切り替える仕組みです。
無料で始められるため、操作感や使い勝手を確かめてから本格導入を判断できる点が特徴です。HubSpotのように、無料プランから段階的に有料プランへ移行できるサービスもあります。
使った分だけ料金が発生する仕組みです。
API呼び出し回数やデータ処理量、送信メール数など、利用量に応じて課金されるサービスで多く見られます。利用量の変動が大きい業務や、繁忙期と閑散期の差がある業務で採用されるケースがあります。
たとえば「基本料金は月額定額、API利用量に応じて従量課金が加算される」といった組み合わせも一般的です。
導入前には月額費用だけでなく、次の項目も含めて確認しておくと安心です。
SaaSには、従来のパッケージ型ソフトウェアと異なる特徴があります。ここでは代表的な3つの特徴を紹介します。
クラウド上で提供されるため、インターネット接続があれば場所を問わず利用可能です。アカウント単位で利用するサービスが多く、オフィス以外の場所からも同じデータや機能にアクセスしやすくなります。
ソフトウェア本体はベンダー側の環境で動作するため、利用者側で大がかりなインストール作業やサーバー構築が不要なケースが多く見られます。アカウントの発行だけで使い始められるサービスも多く、導入までの時間を短くしやすいのも特長です。
文書作成やグループウェア系のSaaSでは、複数人が同じファイルや情報を同時に扱えるものがあります。たとえばGoogleドキュメントやMicrosoft 365では、複数人が同じ文書を編集し、その変更をほぼリアルタイムで共有できます。メール添付で版を送り合う運用と比べ、更新漏れや重複管理を減らせる点が利点です。

SaaS導入が広がっている背景には、業務やコストに関わる利点があります。
サブスクリプション課金が中心のため、パッケージソフトのような高額ライセンス費用やサーバー構築費が不要なケースが多くあります。月々の利用料で始められるため、中小企業やスタートアップでも導入しやすい点がメリットです。
オンラインでアカウントを作成するだけで利用を開始できるSaaSも多くあります。環境構築や個別開発に時間をかけずに導入できるため、新しい部署や新規業務でも取り入れやすい点が特徴です。
バージョンアップやセキュリティパッチの適用、サーバー運用などはベンダー側が担うことが一般的です。そのため、自社でインフラを保守する負担を抑えられます。

利点の多いSaaSですが、導入前に理解しておきたい注意点もあります。
データがクラウド上に保管され、通信もインターネットを経由するため、導入前にはベンダーの安全対策を確認する必要があります。確認項目としては、ISO/IEC 27001やSOC 2などの第三者評価の有無に加え、以下が挙げられます。
EU・EEAの個人データを扱う場合は、GDPRの適用有無や契約終了時のデータの取り扱いも確認しておくと安心です。
参考:データガバナンスとは?データマネジメントとの違いや企業にとってのメリット・注意点を解説
標準化されたサービスであるため、自社独自の業務フローに合わせた細かなカスタマイズが難しい場合があります。特殊な要件がある場合は、設定範囲、API連携の可否、外部システムとの接続方法を事前に確認しておくことが大切です。
ベンダーのインフラに依存するため、サーバー障害やサービス障害が発生した際、復旧の進め方を自社で直接コントロールすることはできません。重要な業務に使う場合は、SLAの内容や障害時の告知方法、代替手段の有無を確認しておくと安心です。

SaaSは選択肢が多く、導入後に使いづらさが見えてくることもあります。以下の5つを事前に確認しておくと、自社に合ったサービスを比較しやすくなります。
機能一覧の比較だけでは、実際の使い勝手まで判断できません。無料トライアルやデモを活用し、現場の担当者が日常業務で無理なく使えるかを確認しましょう。
カタログスペックには表れない操作感や画面の見やすさは、導入後の定着率を左右します。可能であれば、実際にサービスを使う部署のメンバーに触ってもらい、意見を集めることをおすすめします。
業務データを扱う以上、セキュリティ面の確認は欠かせません。確認しておきたい主な項目は次のとおりです。
個人情報や機密情報を扱う場合は、ISO/IEC 27001やSOC 2などの第三者認証の取得状況、データ保管場所(国・リージョン)も確認しておくと安心です。
月額料金だけを見て比較すると、導入後に想定外のコストが発生することがあります。次の項目もあわせて確認しましょう。
特にユーザー数が増減しやすい企業では、人数に応じた料金シミュレーションを事前に行っておくと、後からの見積もり変更を抑えられます。
SaaSは単体で使うよりも、既存のシステムと連携して使うケースが大半です。連携ができないと、同じ情報を複数のシステムに手入力する二重入力が発生し、かえって業務の負担が増えてしまいます。
確認しておきたい連携手段は次のとおりです。
契約前にはあまり意識されませんが、導入後のサポートや解約時の条件は、長く使ううえで重要なポイントです。
導入後については、初期設定の支援があるか、日本語でのサポートを受けられるかを確認しましょう。解約時については、データをどの形式でエクスポートできるか、解約後にデータがどのくらいの期間保持されるかを事前に把握しておくと、別のサービスへ切り替える際の負担を抑えられます。
SaaSを取り巻く環境は、市場の拡大とAI技術の進展によって変化しています。ここでは国内外の市場動向と、今後の変化について解説します。
国内市場については、One Capitalの「Japan SaaS Insights 2025」で、2024年に1.4兆円、2028年に2兆円規模へ拡大する見通しが示されています。また、スマートキャンプが引用する富士キメラ総研では、国内SaaS市場はCAGR11.6%で拡大し、2029年度に3.4兆円に達すると予測しています。
企業の利用状況について、BizteXの「エンタープライズにおけるSaaS導入状況調査レポート2024年度」では、導入率50%、1社あたり平均4.9サービスと報告しています。ただしこの調査は、売上高500億円以上の上場企業1,451社を対象に公開情報ベースで集計したものであり、国内企業全体の傾向を示す数字ではない点に注意が必要です。
参照
One Capital「Japan SaaS Insights 2025」
BizteX「エンタープライズにおけるSaaS導入状況調査レポート2024年度」
「SaaS is Dead」という言葉が注目を集めたきっかけは、2024年12月にMicrosoftのサティア・ナデラCEOがポッドキャストで語った発言です。ただし、この言葉はSaaSそのものがなくなるという意味で受け取るのは適切ではありません。IDCは2025年末に公開したブログ記事で、「SaaSは死んだのではなく、変容している(metamorphosing)」という見方を示しています。
実際、SalesforceのEinstein、MicrosoftのCopilot for Microsoft 365、GoogleのGemini for Google Workspaceなど、主要サービスでAI機能の組み込みが進んでいます。One Capitalでも、AIを活用したSaaS企業は前年比2倍超の90サービスまで拡大したとまとめています。
・参照
IDC「Is SaaS Dead? Rethinking the Future of Software in the Age of AI」(2025年末公開のブログ記事)
One Capital「Japan SaaS Insights 2025」
AI機能の延長線上で注目されているのが、AIエージェントの活用です。One Capitalでは2025年の予測として「Agent as a Service」の台頭を挙げており、AIエージェントがユーザーの指示を受けてデータベースや業務システムと連携する姿が想定されています。今後は、画面の使いやすさだけでなく、API連携のしやすさや、AIが扱いやすいデータ構造になっているかも、SaaSを選ぶ際の判断材料になりそうです。
SaaSとは、ベンダーがクラウド上で提供するソフトウェアを、インターネット経由で利用する形態です。初期費用を抑えやすく、導入までの時間を短くしやすい一方で、セキュリティ、権限管理、解約時のデータ移行などは事前に確認しておく必要があります。
まずは自社の課題を明確にし、無料トライアルやデモを通じて、使いやすさと連携のしやすさを確認しながら候補を絞っていくとよいでしょう。
アイスマイリーでは、生成AIのサービス比較と企業一覧を無料配布しています。課題や目的に応じたサービスを比較検討できますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。
クラウドサービスはインターネット経由で提供されるITサービス全般を指す上位概念で、SaaS・PaaS・IaaSのすべてを含みます。SaaSはその中でも、完成されたソフトウェアをそのまま利用できる形態を指します。
無料プランや無料トライアルを用意しているSaaSは多数あります。ただし、業務で本格的に使う場合は、ストレージ容量、権限管理、セキュリティ機能、連携機能などの理由で有料プランが必要になることもあります。まず無料で操作感を確かめてから、有料プランを検討すると判断しやすくなります。
安全性はサービスごとに異なります。導入前には、ISO/IEC 27001やSOC 2などの第三者評価の有無に加え、暗号化、多要素認証、監査ログ、データ保管場所、障害時の対応方針を確認してください。利用者側でも、パスワード管理やアクセス権限の設定は欠かせません。
初期投資を抑えたい企業、複数拠点や在宅勤務を含む働き方に対応したい企業に向いています。一方で、高度な個別開発や独自要件がある場合は、オンプレミスやPaaSも含めて比較するとよいでしょう。
最初に、自社が解決したい課題を具体的にすることが大切です。課題が明確になれば、必要なカテゴリや比較すべき機能が見えてきます。そのうえで、無料トライアルやデモを使って、操作感、権限設定、既存システムとの連携を確認しながら判断すると進めやすくなります。
サービスによって、データをCSVやAPIで出力できるものもあれば、解約後は一定期間で削除されるものもあります。個人データを扱う場合は、契約終了時のデータ返却や削除の扱いも確認が必要です。導入前に、エクスポート方法、保持期間、移行にかかる費用の有無を確認しておきましょう。
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