AIで音質向上!ハイレゾ相当のクリアな音を実現する人工知能とは?
最終更新日:2024/04/11
急速な進化を続けるAI・人工知能は、さまざまな業界で革新を起こす重要な存在となっています。それは、音楽業界においてもいえることで、最近ではハイレゾ相当のクリアな音を実現する技術に多くの注目が集まっているのです。
では、AIがどのような役割を果たすことによって、ハイレゾ相当のクリアな音を実現しているのでしょうか。今回は、ハイレゾ相当の音を実現するAIの仕組みや特徴について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
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ソニー株式会社:AI・人工知能活用でハイレゾ相当の音を実現するヘッドホンを開発
(参照:WH-1000XM4 | ヘッドホン | ソニー)
音楽業界におけるAI・人工知能活用事例として特に多くの注目を集めているのは、ソニー株式会社が開発したワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM4」です。このワイヤレスヘッドホンは、ハイレゾ〜ション・オーディオ(ハイレゾ)相当の音を実現できるという特徴を持っており、そこにAI技術が活用されています。
この「WH-1000XM4」は、「1000Xシリーズ」として古くから注目されてきたシリーズの最新作であり、これまで同様に「業界最高峰のノイズキャンセリング機能を搭載」という大きな特徴があります。ただ、今回の「WH-1000XM4」はノイズキャンセリングに加えて、ユーザーに合わせた音楽体験を自動で最適化する機能も備わっているのです。その「音楽体験の最適化」を実現するための手段として、AIが各機能に導入されているといいます。
AIが活用されている機能は複数あり、たとえば「DSEE Extreme」と呼ばれる機能では、再生中の楽曲のタイプをAIが判別し、楽曲本来の高音域の周波数スペクトルを従来よりも忠実に復元することができるそうです。そのため、CD音源やMP3音源などをハイレゾ相当のクリアで躍動感のある音源にアップスケーリングすることができるといいます。
また、「アダプティブサウンドコントロール」という機能では、自宅や職場、カフェといったユーザーが頻繁に訪れる場所をAIが認識し、場所ごとに最適なノイズキャンセリング機能を自動調節することができます。
さらに、「スピーク・トゥ・チャット」という機能では、ユーザーが声を発した場合にヘッドホンが自動で認識し、音楽が一時停止されます。このとき、ユーザーは「音楽を聴く」という行動ではなく「人と会話する」という行動を優先していることが予想できるため、ノイズキャンセリングから外部の音を取り込む機能に切り替わる仕組みになっているのです。
このような認識の精度を高めることができているのも、機械学習によってユーザーの声と周囲の音を区別できているからに他なりません。
リアルタイムでのノイズキャンセリングにも対応
ソニーの「WH-1000XM4」には、ヘッドホン内外に配置した2つのセンサーによって効率的にノイズを集音する「デュアルノイズセンサーテクノロジー」という技術と、ソニーが独自に開発した「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1」という技術が搭載されており、これによってリアルタイムでのノイズキャンセリングに対応することが可能となっています。
これまで以上に高性能化したBluetoothオーディオSoCと、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」が連携することで、ノイズキャンセリング性能のアルゴリズムが進化したのです。
音楽信号と騒音信号、そしてドライバーと耳の間の音響特性を「毎秒700回以上」という頻度で計測することによって、よりリアルタイムでのノイズキャンセリング処理が行えるようになっています。このノイズキャンセリング機能は、「WH-1000XM4」の最大の魅力といえるのではないでしょうか。
性能を最大限に引き出しながらも消費電力を抑える革新的技術
ここまでご紹介してきたソニーのワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM4」は、AIを搭載しているからこそ高い性能を発揮できているということがお分かりいただけたでしょう。ただ、ソニーは「WH-1000XM4」を開発する前から、音楽にAIを活用する試みを行っています。それが、WALKMANなどにも搭載されているソニー独自の高音質技術「DSEE HX」です。
この「DSEE HX」は、楽曲データが本来持つ情報を予測し、復元することによって、CDや圧縮音源にハイレゾ相当の臨場感を持たせることが可能になるというもの。2018年にAIが組み込まれたことによって、さらなる進化を遂げたのです。
ただ、このAI搭載に至るまでには相当な苦労があったといいます。というのも、AIを駆使しようとすると、どうしても消費電力が上がってしまうという問題があったからです。はじめに消費電力を度外視して作成した「究極版」では、ソニーグループの知見をふんだんに盛り込むことによって音質的に最高レベルのものを実現することができたものの、やはりモバイル機器でも使えるレベルの消費電力ではなかったといいます。そのため、その「究極版」をモバイル機器でも使えるレベルの低消費電力にすべく、まずは情報量に制限をかけるという施策を講じていたそうです。
また、開発時に参考にしていたAIの論文は、基本的に画像を対象にしたものだったため、その部分にも改善の余地があったといいます。画像とオーディオでは信号の特徴に大きな違いがあるからです。そのため、オーディオに特化したDNNに変更するというアプローチによって大幅な消費電力の削減を実現することができたといいます。
このような改善を行うことで、結果的に最新の「DSEE HX」を内蔵したウォークマンも、従来のモデルと同じ連続再生時間を実現できるようになったのです。
■AI・人工知能の活用が音楽業界の発展に貢献
今回は、ハイレゾ相当のクリアな音を実現するAI・人工知能の仕組みについて詳しくご紹介しました。ワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM4」においては、AIを活用することで初めて実現できる機能が数多く備わっているということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
また、AIを活用すると消費電力が増してしまうという課題に関しても、ソニーの知見を駆使することによって改善することができたといいます。そのため、今後さらに革新的な機能が搭載されていく可能性も高いのではないでしょうか。
より高音質で利便性の高いオーディオ機器の開発に、AI技術がどのような形で貢献していくのか、今後の動向にも目が離せません。
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