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ボイスボットとは?導入のメリットや導入事例をわかりやすく解説

最終更新日:2024/05/29

ボイスボットは、AI音声認識自然言語処理などの技術を利用し、自動での電話対応を実現するシステムです。有人オペレーターだけで電話対応を行うことに限界を感じている企業などは、ボイスボットの導入に強い関心を持っているのではないでしょうか。

この記事ではボイスボットの概要や仕組み、活用シーン、メリット、デメリット、導入事例などについて解説します。

ボイスボットとは

ボイスボットとは、対話型AIや音声認識、自然言語処理などの技術を活用して、電話対応を自動で行うシステムのことです。高度なAI技術や音声認識技術を利用することで、人間と会話をしているような自然な電話対応が可能になります。

ボイスボットとチャットボットの違い

ボイスボットと似た用語として、チャットボットがあります。チャットボットとは、テキストを使ったチャット形式で自動会話を実現するための仕組みです。

ボイスボットが音声を駆使したコミュニケーションであることに対し、チャットボットはテキストを利用する点で違いがあります。音声とテキストではコミュニケーションの性質が異なるため、利用に適したシーンもそれぞれ異なります。たとえば、電話での問い合わせを好む顧客にとっては、ボイスボットのほうが適しているといえます。

ボイスボットとIVRの違い

IVRとは「Interactive Voice Response」の略であり、コンピューターを使った自動音声応答システムのことです。IVRではあらかじめ録音したガイダンスにしたがって顧客を誘導するため、シナリオの準備や管理が簡単ではあるものの、顧客に対して一方的なコミュニケーションとなります。

一方でボイスボットでは、顧客との会話内容に応じて会話の流れを柔軟に展開できるため、より顧客視点に立ったコミュニケーションが可能です。

ボイスボットの仕組み

ボイスボットの仕組み
ボイスボットの仕組みとしては、顧客が電話で問い合わせを行うと、まずボイスボットが事前に設定したシナリオに従って電話を受け付けます。そして顧客が問い合わせ内容を発話すると、発話内容が音声認識によってテキスト化されます。

その後、テキスト化されたデータは自然言語処理によって解析され、問い合わせ内容に近い回答文が抽出されます。そして抽出された回答文は最終的に音声合成技術によって音声化され、ボイスボットが顧客に対して自動で回答を行う仕組みです。

ボイスボットの活用シーン

ボイスボットは、主に以下のようなシーンで活用されています。

  • 企業のコールセンター業務
  • オフライン上での注文の受付
  • ホテルなど宿泊施設での予約受付

ボイスボットの代表的な活用シーンとして、企業のコールセンターが挙げられます。ボイスボットを活用することで、有人オペレーターの業務負担の軽減や問い合わせ対応時間の拡大を図ることが可能です。

また、ECサイトなどオンライン上で商品注文を受け付ける際も、ボイスボットを活用することで業務効率化や対応スピードの向上が期待できます。他にも、ボイスボットは多言語対応しているケースもあり、ホテルなど宿泊施設での予約受付に活用することで、外国人観光客を含めた顧客とのスムーズなコミュニケーションが図れると考えられます。

ボイスボットを導入するメリット

  • コスト削減
  • 業務の効率化
  • 人材不足の解消
  • 顧客満足度の向上
  • 機会損失の防止

上記のようなメリットを活かして、販売機会の増加や利益向上などにつながります。

コスト削減

ボイスボットを導入することで、オペレーターの人件費などのコスト削減につながります。たとえば、定型的な問い合わせについてはボイスボットが代行し、有人オペレーターの業務量を減らすことが可能です。それにより、必要なオペレーターの人員数も見直すことができます。

また、カスタマーセンターでは退職による人材流動が大きな課題のひとつですが、ボイスボットであれば人材流動の影響も低減できます。新たな人材の採用コストや教育コストを抑制できる点もメリットであるといえます。

業務の効率化

ボイスボットを導入するメリットには、業務の効率化も挙げられます。ボイスボットを導入することで、有人オペレーターが対応する問い合わせ業務の一部または全部をボイスボットが代行することが可能です。

たとえば、オペレーターが1日50件の問い合わせ対応を行っていた場合、そのうちの30件をボイスボットで完結させられるケースもあるでしょう。オペレーターは有人対応が必要な残りの20件に注力することで、効率的な業務遂行ができます。

人材不足の解消

ボイスボットの導入により、人材不足の解消も見込めます。慢性的な人材不足の課題を抱えているコールセンターなどにおいて、ボイスボットで問い合わせの代行を行うことで、オペレーター1人あたりの業務量を減らすことが可能です。それにより、現在の人員数だけで十分に業務を回せる可能性も高まります。

また、入電の最初の誘導などをボイスボットが代行することで、電話対応に伴うオペレーターのストレス軽減も図れます。その結果、人材定着率が高まり、人材不足の解消につながることも期待できます。

顧客満足度の向上

ボイスボットを導入することで、顧客満足度の向上を図れる点もメリットです。有人オペレーターが対応できる問い合わせ数には限界があるため、ピーク時間帯などはすべての入電に迅速に対応できないケースも多くなります。顧客にとっては電話がつながるまで長い時間待つことになるため、顧客満足度の低下につながります。

一方でボイスボットであれば、顧客からの入電に対してタイムリーに応答できるため、顧客の順番待ちストレスを軽減することが可能です。また、IVRのようにガイダンス音声を最後まで聞く必要もないため、スムーズな問い合わせ対応ができ、顧客満足度の向上を図れます。

機会損失の防止

ボイスボットの導入により、機会損失の防止も期待できます。有人オペレーターの場合、平日日中の問い合わせ対応が中心となり、祝休日や夜間の対応は手薄になりがちです。

一方でボイスボットであれば24時間365日いつでも電話対応ができるため、顧客のタイミングに合わせることができます。オペレーターが多く稼働する平日日中帯は、顧客も仕事などで忙しいケースが多いといえます。そのため、祝休日や夜間の問い合わせニーズは高く、ボイスボットで祝休日や夜間の問い合わせ対応をカバーすることは機会損失の防止に大きく役立つと考えられます。

ボイスボットを導入するデメリット

デメリット画像ボイスボットには前述したメリットがある一方で、以下に示すようなデメリットもあります。

  • 複雑な問い合わせには対応できない
  • コストがかかる

ボイスボットを導入する際は、対応する問い合わせ範囲の見極めや事前の予算確保が大切です。

複雑な問い合わせには対応できない

ボイスボットはAI技術や音声認識技術を活用した便利な仕組みであるものの、複雑な問い合わせには対応できない点はデメリットです。たとえば、問い合わせ内容の表現が複雑であったり、騒音が入っていたりする場合、顧客の要件をボイスボットが正しく認識できないケースも出てくるでしょう。

うまく聞き取れないケースをあらかじめ想定し、問い合わせ内容を繰り返す設定などを行い、顧客との認識相違を防止する工夫が重要です。

コストがかかる

ボイスボットを導入する際は、初期費用やメンテナンス費用などのコストがかかります。ボイスボットを効果的に活用していくためには、導入後も運用を続けながらシナリオの修正やシステムのメンテナンスなどを行っていくことが必要です。

ボイスボットの導入にあたっては、イニシャルコストやランニングコストがかかることを事前に理解し、予算を確保しておくことが求められます。

ボイスボット導入事例

ここでは、ボイスボットの導入事例として、2つの企業事例を紹介します。

事例①

まずはヤマト運輸株式会社の事例です。同社は2021年4月より、法人向けだけでなく個人の顧客向けの集荷依頼に対しても、ボイスボット(AIオペレーター)サービスを導入しました。同社は、集荷依頼の入電の増加に伴って有人オペレーターにつながるまでの待ち時間が長くなり、顧客満足度の低下につながるリスクを課題としていました。

そこで、すでに法人向けに展開していたAIオペレーターが好評であったこともあり、本サービスを個人の顧客向けにも拡大することを決断したのです。

集荷依頼のダイヤル番号を押すだけでAIオペレーターにつながるため、顧客の待ち時間を大幅に短縮し、顧客満足度の向上につなげています。

参照:ヤマト運輸、AI集荷依頼を個人にも対象拡大。電話の待ち時間短縮でストレス軽減狙う

事例②

2つ目は日本ロードサービス株式会社の事例です。同社は、新型コロナウイルスの流行などを背景にテレワークを促進していくなかで、コールセンターのオペレーション方法やシステム面などに課題を抱えていました。

そこで、コールセンターを含む社員のテレワーク移行や問合せ急増時の体制構築にあたり、ボイスボットを活用していくことを決断しました。そしてボイスボットの導入によって、資料請求や解約受付などに関する電話の一次対応の自動化を実現し、オペレーターの電話対応時間を60%削減することに成功したのです。

電話の一次対応の自動化により、繁忙期の業務負担軽減やテレワークの促進効果も生み出しています。

ボイスボットの導入手順


ここでは、ボイスボットの導入手順を解説します。手順としては、以下のようなものになります。

  1. 自社の課題やニーズを明確化
  2. 適切なボイスボットの選定
  3. 導入の受け入れ計画・スケジュール
  4. 計画・体制に沿った導入と運用開始
  5. システムの運用状況の確認や不具合対応、シナリオ修正

自社の課題やニーズを明確化

ボイスボットを導入する際は、まずは自社の課題やニーズを明確にすることが大切です。自社の課題やニーズを具体的に洗い出し、ボイスボットの導入によってどのようなビジネス上の変化を目指していくのか、関係者でしっかりと話し合うようにしましょう。

適切なボイスボットの選定

自社の課題やニーズを具体化できたら、課題・ニーズに合った適切なボイスボットサービスを選定します。

導入の受け入れ計画・スケジュール

ボイスボットの選定後は、導入のための予算確認や具体的なスケジュールなどを決めて、プロジェクトとして推進する準備を整えます。

計画・体制に沿った導入と運用開始

導入・運用開始にあたっては、自社の要件を踏まえたシナリオ設計やシステム設定、動作確認などを行っていきましょう。

システムの運用状況の確認や不具合対応、シナリオ修正

導入後においても、システムの運用状況の確認や不具合対応、シナリオ修正などを継続的に実施していくことが重要です。

まとめ

職場環境を快適に!オフィスにおけるAI・人工知能の活用事例|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディアボイスボットは、AIや音声認識、自然言語処理などの技術を活用し、自動で電話対応を行うシステムを指します。ボイスボットを導入することで、オペレーターの業務効率化やコスト削減、人材不足の解消が図れるでしょう。また、顧客満足度の向上や機会損失の防止といったビジネス上のメリットにもつながります。

ボイスボットを導入する際は、はじめに自社の課題やニーズを明確化することが重要です。そのうえで、適切なボイスボットサービスを選定し、導入スケジュールや予算、体制を確保するようにしましょう。また、ボイスボットは導入して終わりではなく、導入後の継続的なシナリオ修正や不具合対応なども大事なポイントです。

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AIsmiley編集部

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