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最終更新日:2023/12/20
澤田光の行政×AI最前線 第10回
人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになるSociety5.0を目指して、行政の情報化が進められています。しかし、自治体の現場では、「実際何に取り組んだら良いのか?」、「やれと言われてもどうしたらよいか分からない」、「そもそも何から手を付ければよいのか?」など、戸惑う声も多く聞かれます。どうしたら自治体でAIの活用が進むのでしょうか。
【澤田光の行政×AI最前線】では、実際にAIを活用した取り組みを行っている自治体の事例をご紹介し、そうした疑問に答えていきます。

昨年11月にChatGPTが発表されて以来、行政で生成系AIの活用を模索する自治体も現れ始めました。これからAIを行政でどのように活用していくか、AI活用の仕方次第で、行政の仕事のやり方は大きく変わっていくでしょう。今回はその一つの事例として、自治体で初めてオリジナルAIアバターを職員として採用するメタバース課を窓口とした鳥取県の事例をご紹介します。
鳥取県は、中国地方の北東部に位置し、東西約120km、南北約20~50kmと、東西にやや細長い県です。 北は日本海に面し、鳥取砂丘をはじめとする白砂青松の海岸線が続き、南には、中国地方の最高峰・大山をはじめ、中国山地の山々が連なっています。美しい日本海に面し、緑豊かな山々や豊かな自然に囲まれた、人口約54万人の県です(鳥取県HPより)。
鳥取県交流人口拡大本部東京本部の、中井拓也(なかいたくや)副主幹に、お話を伺いました。

鳥取県交流人口拡大本部東京本部 中井拓也 副主幹
――「メタバース課」を設置された経緯について教えてください。
――中井さん
鳥取県は、人口が最も少ない県で戦後初めて人口が55万人を下回るという人口問題を抱えており、また、新型コロナの影響により国内外の観光客が大きく減少している状況で、今後どういったPRしていこうかという戦略の一環として、メタバースを取り入れたという背景がございます。
その経緯としては、J&J事業創造株式会社から、協業しているNOBORDERZ社が開発を行っているメタバースプロジェクト「XANA*」においてNFTトレーディングカード(以下「NFTカード」)を活用した地域活性化を目指しており、自治体のパートナーを探しているとのことでこちらにお話がありました。こちらはNFTカードの背景となる観光地等の画像を提供するという形で協力し、販売金の一部を協賛として鳥取県にいただけるということでしたのでむしろプラスになるという点もあり、また全国で第一弾ということでしたので、ぜひ一緒にやりましょうということになりました。
NFTカードには、手塚プロダクションも参加して世界的に人気のある鉄腕アトムのキャラクターも描かれており、昨年5月に発売したところ日本国内の方がだけではなく、海外からも90か国の方から購入エントリーがあるなど発売と同時にほぼ完売となるほど人気でした。売上は、約2,100枚、約2,700万円で、そこから5%の約138万円を鳥取県に協賛いただきました。
このような経緯があったので、引き続き「XANA」のメタバース空間で何かできないかということで話を進めさせていただき、メタバース空間内にNFTカードギャラリーとAIアバター「YAKAMIHIME」を製作することになり、2月2日にメタバース課立ち上げ発表会を行うこととなりました。
メタバース課を作った目的としては、東京本部ではこれまでも首都圏の方々に向けにPRしてきましたが、今までリーチすることができなかった若い層等に向けて鳥取県を知ってもらうためメタバースを使った取り組みを行いました。広告効果として、全国の新聞や全国ネットのテレビなどでも報道していただき、約3億円の効果がありました。
そういった意味では、全国初でやったことの意義はかなり大きかったと思いますし、当初の目標は達成されたのではないかと考えています。また、その後もテレビや様々なメディア、自治体などから取材の依頼があり、皆さんもこの分野に関心をもっていらっしゃるのだなと感じました。
*XANA:NOBORDERZ(ノーボーダーズ)が、メタバース用にカスタム構築した AI 主導の Web 3.0 インフラストラクチャ
提供:鳥取県
©Tezuka Productions
――メタバース課、AIアバター職員、それぞれの特徴を教えてください。
――中井さん
メタバースの中に先述したNFTカードを展示した空間(ルーム)があります。訪れた人がアバターを作って、ルームの中で自由にアバターを動かしたりすることができます。また、カードをタップすることでそれぞれの背景画像の情報が出てくるので、鳥取県の観光地を勉強してもらうことができます。
提供:鳥取県
©Tezuka Productions ©XANA
――中井さん
AIアバター職員の方は、「XANA GENESIS」というAI搭載NFTアバターを元に、特別にカスタマイズしたものを「YAKAMIHIME」と命名し、メタバース課の職員第一号として採用しました。
「YAKAMIHIME」は、ブラウザ上でチャットをすることができますが、鳥取県東京本部のホームページのリンクやメタバース空間の「YAKAMIHIME」の写真をタップしてもらうことで、遷移して利用いただけます。
「YAKAMIHIME」の特徴は、感情表現と音声表現ができることです。実際に利用していただければわかりますが、アバターが表情豊かに応答するので、会話を楽しんでもらうことができます。3月末時点での数字ですが、約3万件を質問していただいたと見込んでおります。
提供:鳥取県
©XANA
YAKAMIHIMEの名刺
提供:鳥取県
東京本部メタバース課はこちら
YAKAMIHIMEへの直接リンクはこちら
――「YAKAMIHIME」とのチャットをしたことがきっかけで、実際に鳥取県に観光に来たというようなことはありますか?
――中井さん
まだ具体的な事例は把握しておりませんが、利用者からは鳥取に関心を持っていただいて鳥取に行ってみたいという反応もあると聞いておりますので、そういったことになるように期待しています。
――メタバース課の拠点が東京にある意図はありますか?
――中井さん
東京本部で首都圏へのPRを行っておりましたのでその延長線として考えており、幅広く全国や世界の方々に鳥取県を知ってもらうというという観点で今回の取り組みを行いました。
――これからの取組みや課題について教えてください。
――中井さん
これからは、メタバース空間やAIアバターを活用してリアルに繋げていくような事業が展開できればと考えています。例えば、メタバース空間を活用して県産品の紹介や販売を行う物産展を開催したり、ツアーとして「YAKAMIHIME」に質問しながら実際に鳥取県の観光地を回るといった使い方です。「YAKAMIHIME」については、回答の精度が不十分なところがあってまだ勉強が足りないということころもありますので、引き続き検討しています。
自治体で初めて感情表現や音声表現ができるAIアバターを職員として採用し、メタバース空間を活用した「メタバース課」を立ち上げたという鳥取県の斬新なアイデアは、今後、様々な可能性を秘めています。例えば、生成系AIのChatGPTの活用も、考えられるかもしれません。ChatGPTを活用すれば、もっと自然な会話ができるようになるでしょう。
しかし、現状では、ChatGPTは、アイデアを尋ねたりする場合は有効ですが、事実と異なる内容が含まれていたり、内容の正確性には問題があるので、正しい情報を提供しなければならない行政機関の情報提供サービスで利用するためには、さらなる改善が必要な段階にあると考えています。
また、どのように質問するかによって、回答の良し悪しが左右されるため、だれが、どのように質問をしても、正しい回答が得られるようにしなくてはなりません。平井知事は4月に、ChatGPT等について、予算編成や政策策定、議会の答弁作成などの業務での使用を禁止すると発表しましたが、今後ChatGPTを活用できるか検討し、ガイドラインを策定するとしており、中井さんの部署も、今後の対応を考えているところだということです。AIアバター職員が、今後どのように進化していくのか目が離せません。
本連載で取り上げて欲しいテーマや事例がございましたら、お問い合わせフォームにご意見をお寄せください。読者の皆様に寄り添った連載を目指して参ります。
編集:AIsmiley 編集部
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