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Lumada(ルマーダ)とは?日立の強み・導入事例とAIで進化する「Lumada 3.0」を徹底解説

最終更新日:2026/07/03

Lumada(ルマーダ)とは

自社の経営課題を解決するためにDXを進めたいものの、デジタル技術をどのように活用すればよいかわからず悩んでいるDX推進担当者の方も多いのではないでしょうか。

汎用的なデジタルツールだけでは、自社の業務や現場の課題に合わないと感じるケースも少なくありません。特に製造・エネルギー・交通・社会インフラのように、現場の知見や既存システムとの連携が重要な領域では、ツールを導入するだけでは十分な成果につながりにくいこともあります。

この記事では、日立が展開するLumada(ルマーダ)の基本的な意味から、事業分野・歴史・強み・最新のLumada 3.0の特徴、活用事例までを網羅的に解説します。

Lumadaとは?

Lumadaとは?

Lumada(ルマーダ)とは、特定の製品やソフトウェアの名前ではありません。顧客のデータから価値を引き出し、デジタル化によるビジネスの変革(DX)を支援する、日立の事業モデル(ソリューション・サービス・テクノロジーの総称)です。

「illuminate(照らす・輝かせる)」と「data(データ)」を掛け合わせた造語で、「埋もれている顧客データに光をあて、新たな知見を引き出したい」という想いが込められています。

顧客の課題に合わせて必要な技術やサービスを柔軟に組み合わせられるのがLumadaの最大の特徴です。具体的には、以下の4つの要素を統合し、データから価値を生み出します。

  • デジタルエンジニアリング(データの分析・全体設計)
  • システムインテグレーション(システムの構築)
  • コネクテッドプロダクト(センサーなどのIoT機器)
  • マネージドサービス(運用・保守)

つまりLumadaとは、単なるツール導入にとどまらず、日立の持つ総合力を結集して現場の課題解決を支援する「仕組みそのもの」を指します。

Lumadaの事業分野

Lumadaの事業分野

日立は、以下の4つの事業セクターを中心に事業を展開しており、Lumadaはこれらのセクターを横断して、データから価値を生み出す事業モデルとして活用されています。

項目 概要
Energy 持続可能なエネルギーを世界中の人々に届け、脱炭素社会の実現に貢献する
Mobility 車両・保守・運行など鉄道インフラ全体を網羅し、多様な交通手段で安全・快適かつグリーンな移動を提供する
Connective Industries ミッションクリティカルなプロダクトとOTを生かし、現場の生産性向上を支援する
Digital Systems & Services 中核となるデジタル技術で各事業をつなぎ、顧客と社会のDXを加速させる

これらのセクターでLumadaが提供するのは、特定の単体製品ではありません。データの分析や設計を担うデジタルエンジニアリング、システムを構築するシステムインテグレーション、センサーなどを搭載したコネクテッドプロダクト、運用を支えるマネージドサービスなど、現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を力強く推進する幅広いサービスを柔軟に組み合わせて提供します。

過去に蓄積したユースケースをアセットとして登録・再利用できる「Lumada Solution Hub」のような仕組みもあり、顧客は実績のある手法を活用しながら、デジタル化を進められます。

日立は社会の変化を捉え、各事業の強みや先進的な技術を結集することで、エネルギー・交通・産業・金融など幅広い分野の社会課題の解決に貢献する方針を示しています。

Lumadaが生まれた背景

Lumadaが生まれた背景

1990年代のデジタル家電市場では、メーカーが技術を先行開発して標準化し、ライセンスビジネスや製品販売によって利益を得る方法が広く見られました。

しかし、2000年代にインターネットが普及すると、市場の状況は大きく変化しました。メーカーが製品単体を販売するだけでなく、Webを通じたサービスやソフトウェアで価値を提供するビジネスが広がりました。

さらに、2008年に起きたリーマンショックによる世界的な需要の落ち込みや円高の直撃を受け、日立は2009年3月期決算で連結最終損益が7,873億円の赤字となり、深刻な経営危機に陥りました。これは当時の国内製造業の中でも大規模な赤字でした。

この経験を通じて日立は、メーカーとして優れた製品を作るだけではなく、顧客のビジネスや社会課題を理解したうえで価値を提供する重要性を強く認識しました。

その後、日立は自社の総合力を結集する考え方として「One Hitachi」を掲げました。日立の協創に関するインタビュー記事でも紹介されているように、部門を横断して顧客の課題発見から開発・運用まで一貫して責任を持つ事業モデルとして生まれたのがLumadaです。

Lumadaの歴史

Lumadaの歴史

Lumadaは2016年に誕生し、2026年に10周年を迎えました。その間にも、日立の事業環境やデジタル技術の変化に合わせて進化を続けています。

ここでは、Lumadaの10周年記念サイトで示されている流れをもとに、Lumada 1.0・Lumada 2.0・Lumada 3.0の3段階に分けて説明します。

Lumada 1.0

Lumadaは、2016年にIoTプラットフォームとして誕生した取り組みです。

当時のLumadaには、他のIoTプラットフォームとは異なる次のような特徴がありました。

項目 概要
オープン(Open) オープンで柔軟性の高い構造で設計されているため、顧客との協創やオープンイノベーションによるソリューション開発がしやすい
適応性(Adaptable) 利用目的に合わせて必要な構成要素を選べるため、カスタマイズやソリューション構築を進めやすい
高信頼(Verified) 信頼性が高く、すでに実用化されているセキュリティやデジタル技術で構成されている

Lumada 1.0において、日立はIoTで現場から集めたデータを分析し、顧客とともに仮説・検証を繰り返すことで得られた知見や成果を「アセット」として蓄積していきました。

こうして、日立全体でアセットを蓄積・共有し、別の顧客や領域にも活用していくLumadaの基礎が形成されました。

Lumada 2.0

2021年に、日立グループに米国のデジタルエンジニアリング企業GlobalLogicが加わりました。

GlobalLogicは、もともと顧客との協創スキームを持ち、2024年にはISG Provider Lens™ Generative AI Services Reportで「Leader」に選出されるなど、デジタルエンジニアリングの有力企業です。

GlobalLogicの強みは、幅広い技術力とスピード、そして試行から素早く学び改善する企業文化にあります。この文化は、日立がLumadaを進化させるうえでも大きな影響を与えました。

GlobalLogicがグループに加わったことで、Lumada 2.0では、製品の開発から販売・サービスまでつながる顧客のバリューチェーン全体をデジタルで進化できるようになりました。顧客の経営課題やエンドユーザーのニーズを深く理解し、新しい価値を提案・具現化する力をグローバルで高めています。

Lumada 3.0

日立は、2025年に発表した中期経営計画「Inspire 2027」の中で、AIを活用してLumada 3.0の成長を進める方針を示しました。Lumada 3.0は、これまで蓄積してきたデータ・技術・ドメインナレッジとAIを組み合わせ、社会インフラの変革を目指す取り組みです。

詳しい特徴は次章で取り上げます。

Lumada 3.0の特徴

Lumada 3.0の特徴

これまでのLumadaが顧客の業務やバリューチェーンをデジタルで進化させてきたのに対し、Lumada 3.0ではAI活用を中核に据え、社会インフラそのものの変革を目指す点が特徴です。

ここでは、Lumada 3.0で注目したいポイントを3つに分けて説明します。

社会インフラそのものをAIで変革する

Lumada 3.0は、日立が各事業領域で長年培ってきたドメインナレッジ(特定の業界や現場に固有の深い知識や経験)とAIを組み合わせ、社会インフラそのものを進化させていく取り組みです。

熟練者の退職が進むなかで、言葉にしにくい暗黙知をマニュアルやデータなどで共有できる形式知へと変換し、人手不足が深刻な現場を支えることをめざしています。

フィジカルAIと次世代ソリューション群HMAX

この考え方を体現するのが、次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」です。HMAXは、物理空間とデジタル空間の両方から得られるデータと日立のドメインナレッジを組み合わせ、AIによって社会インフラの運用を高度化するソリューション群です。

日立は2024年に、NVIDIAのAI技術を活用した鉄道事業者向けのHMAXを発表しました。列車・信号・インフラ管理を最適化する一連のデジタルアセットマネジメントソリューションとして提供し、鉄道事業者が保守・運用の予測や最適化を進めやすくします。

その後、HMAXはモビリティ・エネルギー領域での展開が進み、産業領域にも広げる方針が示されています。現実世界の設備や機器に直接関わるフィジカルAIを通じて、人とシステムが協調しながら現場の安全性や効率性を高めることをめざしています。

外部のAI企業との協業

Lumada 3.0では、外部のAI企業との協業も進んでいます。HMAXでのNVIDIAとの連携に加え、2026年にはAnthropicとのパートナーシップも発表されました。

この提携により、AnthropicのClaudeモデルを活用しながら、電力・交通・製造・金融などのミッションクリティカルな領域でAI活用を強化していく方針です。

Lumadaの強み

Lumadaの強み

Lumadaの強みは、日立が持つIT・OT・プロダクトの知見を組み合わせ、顧客の課題発見から開発・運用まで一貫して支援できる点にあります。ここでは代表的な強みを3つ紹介します。

日立の総合力を牽引する存在

新しい事業を開発したい企業にとって、日立の価値は、IT・OT・プロダクトまで含めた幅広い領域を支援できる総合力にあります。

日立の総合力を結集する思想が「One Hitachi」であり、それを実現するために部門を横断して顧客の課題発見から開発・運用まで一貫して行う事業モデルがLumadaです。

Lumadaは、日立の社内に蓄積されたナレッジ・スキル・ビジネスアイデアを顧客向けの価値創出に生かしやすくする仕組みとして機能しています。

協創とデザインシンキングを生かす仕組み

日立では、ある業種部門の赤字をきっかけに、デザインシンキング(顧客が抱える本質的な課題やニーズを理解し、価値ある解決策を創造するための体系的な思考法)を活用した協創活動を行うようになりました。

当時、デザインシンキングは広く知られている概念ではなく、実績のある取り組みでもなかったため、すぐにプロジェクト化するのは難しい状況でした。しかし、三井不動産グループが手掛ける「柏の葉スマートシティ」プロジェクトへの参画で流れが変わり始めます。

「柏の葉スマートシティ」プロジェクトにおいて、三井不動産グループと日立は、中核街区「ゲートスクエア」内のオフィスで3カ月間に10回以上のワークショップを実施しました。

このワークショップでは、今後必要となるサービスアイデアが数多く抽出され、デザインシンキングを活用した協創活動が新しい価値やサービスの創出につながることが示されました。

顧客のデータに焦点をあてることで新たな知見を引き出すというLumadaの考え方は、顧客との協創を進めるうえでも重要な役割を担っています。

Lumada事業の売上規模と経営目標

2028年3月期を最終年度とする日立の中期経営計画「Inspire 2027」では、Lumada事業の売上収益比率を日立全体の50%、収益性を示す調整後EBITA率を18%とすることを目標に掲げています。

Lumada事業の売上収益比率は、2025年3月期時点で約31%でした。2026年4月公表の進捗資料では、2026年3月期に40%まで伸びたことが示されています。

さらに日立は、より長期の目標として「LUMADA 80-20」を掲げています。これは、Lumada事業の売上収益比率を80%、調整後EBITA率を20%まで高めるという長期目標です。

この目標に向けて、日立はLumada 3.0やHMAXの拡大、事業ポートフォリオの変革を進める方針を示しています。Lumadaは、日立の成長を支える中核事業としての位置づけを強めています。

Lumadaの活用事例

Lumadaの活用事例

Lumadaは、製造業から社会インフラまで幅広い分野で活用されています。ここでは代表的な活用事例を3つ紹介します。

製造業:大みか事業所の高効率生産モデル

「自社で使えないものを顧客に勧めることはできない」という考えのもと、日立は自社工場でもLumadaを実践してきました。代表例は、電力や鉄道などの社会インフラ向けに情報制御システムを生産する大みか事業所(茨城県日立市)です。

大みか事業所では、約8万枚のRFIDタグ(電波で情報をやり取りする小型のタグ)と約450台のRFIDリーダーを導入し、人やモノの動きをリアルタイムに把握しました。これを既存の生産管理システムのデータと組み合わせて分析することで、製造現場全体を見渡しながら生産計画を最適化し、制御盤組み立てラインの生産リードタイム(受注から完成までにかかる時間)を50%短縮しました。

この高効率生産モデルは、Lumadaの生産現場全体最適化事例として他の企業にも提供されています。また大みか事業所は2020年に、世界経済フォーラム(WEF)が選ぶ先進的な工場「Lighthouse」に、日本企業として初めて選ばれました。

食品・物流:サプライチェーン計画業務の効率化

AIを活用した業務効率化を推進する場面でもLumadaが活用されています。日立は、ニチレイフーズグループのニチレイ・アイスに、AIでサプライチェーン(原材料の調達から生産・在庫・輸送・販売までのモノの流れ)の計画業務を最適化するシステムを導入しました。

ニチレイ・アイスが扱う包装氷は、季節によって需要が大きく変動するため、生産・輸送・在庫の計画を立てるのに多くの手間がかかっていました。日立とニチレイ・アイスは、包装氷のサプライチェーン計画をAIで最適化するシステムを本格運用し、計画立案にかかる時間を約70%削減しています。

エネルギー:米国の電力網が抱えた課題の解決

アメリカでは、AI活用の拡大やデータセンター需要の増加により、電力網への負荷が高まっています。

こうした状況の中、米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)が認可する地域送電機関(RTO)の一つであるSouthwest Power Poolは、発電事業者からの接続申請に対する審査に時間がかかり、今後の電力供給に影響を及ぼす可能性があるという課題を抱えていたのです。

日立はこの課題を解決するために、7つの事業体の総力を結集したOne Hitachiのチームを編成し、上流構想からAIインフラまで一貫してソリューションを提供する体制を整えました。

具体的には、デザインシンキングによる業務プロセスの再設計まで踏み込み、OT領域で培った知見をもとに、現実の電力網でも安全で高精度に動作する物理ベースAIを実現しています。

発電事業者の相互接続時には系統連系解析が不可欠なため、Southwest Power Poolは「解析時間の80%削減」を目標に掲げました。日立は、Lumadaによってその目標を上回る成果が見込まれる段階まで進めています。

この事例は、日立の米国電力網の課題解決に関するインタビューでも取り上げられており、同社の総合力とデザインシンキングによる共創が社会インフラの課題解決に生かされた代表例です。

まとめ

Lumadaとは、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称です。

経営危機からの復活を支えた事業モデルとして生まれ、現在ではAIを前面に押し出したLumada 3.0へと進化しています。2026年3月期にはLumada事業の売上収益比率が40%まで伸びており、日立の成長を支える中核事業としての存在感も高まっています。

今後もフィジカルAIや外部企業との協業を通じて、社会インフラ全体の変革を支える取り組みとして広がっていくでしょう。

アイスマイリーでは、生成AIのサービス比較と企業一覧を無料配布しています。課題や目的に応じたサービスを比較検討できますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。

よくある質問

Lumadaは製品名ですか?

いいえ、Lumadaは特定の製品やサービスの名前ではありません。顧客のデータから価値を生み出し、デジタルイノベーションを進めるための日立のソリューション・サービス・テクノロジーをまとめて指す言葉であり、事業モデルでもあります。 提供する内容は業種や課題に応じて変わるため、「Lumadaという1つのソフトウェア」が存在するわけではない点が、分かりにくさにつながっています。

Lumadaの読み方と名前の由来は?

「ルマーダ」と読む言葉です。「illuminate(照らす・輝かせる)」と「data(データ)」を組み合わせた造語で、顧客のデータに光をあてて隠れた知見を引き出す、という想いが込められています。

Lumada 3.0は何が新しいのですか?

これまでのLumadaが顧客の業務やバリューチェーンをデジタルで進化させてきたのに対し、Lumada 3.0ではAIを前面に押し出し、社会インフラそのものの変革をめざしている点が特徴です。 日立が各分野で培ってきたドメインナレッジとAIを組み合わせ、次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」やフィジカルAIを軸に展開しています。2026年にはAnthropicとパートナーシップを締結するなど、AI活用をさらに強化しています。

Lumadaの売上規模はどれくらいですか?

Lumada事業の売上収益比率は、2025年3月期時点で日立全体の約31%を占めていました。その後、2026年3月期には40%まで伸びています。 中期経営計画「Inspire 2027」では2028年3月期に50%、長期目標「LUMADA 80-20」では80%まで高める方針を掲げており、日立の成長を支える事業として拡大が進んでいます。

AIsmiley編集部

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