Web接客ツールとは?チャットなど様々な機能を利用したCVR改善の活用事例
最終更新日:2024/03/01
近年のスマホ普及率の増加に伴い、PCだけでなくスマートフォンでオンラインショッピングを楽しむユーザーが多くなってきています。そのような中で、ECサイトを運営する企業が「WEB接客ツール」を導入する流れが加速しているのをご存知でしょうか。近年は少子高齢化に伴う人手不足が深刻化していることもあり、AIを活用したチャットツールなどで接客の効率化を図るケースが多くなってきているのです。
そこで今回は、Web接客ツールの種類やCVR改善の活用事例などをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
WEB接客について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
WEB接客ツールはECサイト以外でも使える!活用法とツールの種類を紹介
Web接客ツールとは
Web接客ツールとは、ECサイトや企業ホームページなどで、サイト訪問者向けにキャンペーンの案内やおすすめ商品などを表示するツールです。実店舗と異なり販売員がいないECサイト上では、こうしたWEB接客ツールがCVR(コンバージョン率)の向上につながるとして積極的に活用されています。
そんなWeb接客ツールは、表示する商品をユーザーによって出し分けたり、レコメンドしたり、購入を迷っているユーザーに対して適切なタイミングでクーポンを表示するなどして、離脱防止、購入率(CVR)アップ、売上高アップといった具体的な成果をあげていきます。このような成果をあげるサイト上の様々な施策を、人に替わって自動で行ってくれるのが魅力です。
ECサイトでのCVRとは?
CVRとは、WEBサイトへのアクセスのうちどれくらいがコンバージョン(成約・購入)に至ったかを示す指標です。商品購入だけでなく資料請求なども含める場合もあります。要するに、サイト訪問者をどれくらいの割合で「お客様」に出来たかを示しています。
CVRを向上するには、顧客心理を知り、最適なWEB接客を行うことが大切です。
チャット型だけではない!WEB接客ツールは3種類ある
WEB接客ツールは、大きく分けて3種類存在します。クーポンやおすすめ商品を表示する「ポップアップ型」、チャット画面で問い合わせ対応をする「チャットボット型」、そしてポップアップ型とチャットボット型の特徴を併せ持つ「ハイブリッド型」です。
ポップアップ型では、訪問者の滞在時間やECサイトの閲覧状況、導線などをチェックしながら最適なタイミングでメッセージを表示します。例えば、アパレルの通販サイトで、商品ページを行ったりきたりしながら、なかなか購入に至らないユーザーがいた場合、割り引きクーポンを表示することでユーザーを購入に至るアクションへと促します。
一方、チャットボット型は、販売員の代わりにユーザーの疑問を解消します。ECサイトへの問い合わせフォームやメールではリアルタイムでの回答が難しい上、入力項目が多すぎて煩雑です。その点、チャットであれば質問したいことだけを入力すればよく、「よくある質問(FAQ)」であればその場で回答を得ることが可能です。ユーザーは、不満や疑問があるとすぐにページから離脱してしまう傾向があるので、チャットボットでサポートしてCVRの向上につなげるのです。とくに昨今は高齢者のネット通販利用も増えており、こうした不慣れなユーザーをサポートするために、WEB接客ツールを活用する企業も増えています。
そしてハイブリッド型は、チャット型とポップアップ型の特徴を併せ持ったWeb接客ツールのため、自社で抱えている課題に応じて柔軟にチャットとポップアップのバランスを変えることが可能です。ただし、チャット型とポップアップ型の特徴を併せ持っていることもあり、費用は高額になりやすい傾向にある点がデメリットといえます。そのため、初期費用やランニングコストを抑えたい企業にとっては不向きなタイプといえるでしょう。
ECサイトのWeb接客ツールによるCVR改善の活用事例4選
最近では、さまざまなECサイトでWeb接客ツールが導入され始めており、実際にCVR改善につなげているECサイトも多く存在しています。ここからは、ECサイトのWeb接客ツールによるCVR改善の活用事例を4つご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
Web接客ツール「SPARK」の活用事例|サムソナイト(アパレル)
スーツケース、ビジネスバッグ、カジュアルバッグなどの販売を手掛けるサムソナイト・ジャパンでは、公式販売サイトでWEB接客ツールを導入し、CVRが約10%向上しました。サムソナイトでは、多い時は5~6つのキャンペーンを同時開催しているため、それらの効果的な訴求方法を模索していました。WEB接客ツールの導入で告知用のバナー配信ができるようになり、キャンペーン対象商品に絞った情報提供や購入プロセスに合わせたキャンペーン告知が可能になりました。
サムソナイトの主力商品はスーツケースであり、宿泊数に合わせたサイズの提案が重要です。実店舗であれば販売員が知識をもとにおすすめの商品を紹介できますが、ECサイトではそうした接客ができませんでした。しかし、対話型で顧客にアプローチできるチャットボットを設置したことで、実店舗と同様の接客ができるようになったのです。いまでは、約3割のユーザーがチャットを利用して商品を検討し、購入するまでに至っているとのことです。
また、WEB接客ツールは施策の効果測定をしやすい点もポイントです。施策の効果測定がスムーズにできれば、それだけPDCAの改善に役立ちます。すみやかな改善も、CVRを向上させるためのポイントです。
(参照:時事ドットコム 【導入事例】スーツケースなどのアパレル商品を展開するサムソナイト・ジャパン「SPARK」の導入でECサイトのコンバージョン率が約10%向上 )
Web接客ツール「WhatYa」の活用事例|ZOZO(アパレル)
ZOZOが運営しているファッションECサイトの「ZOZOTOWN」では、2021年1月12日より、Web接客ソリューション「WhatYa(ワチャ)」を活用したオンライン接客の実証実験を開始しました。ZOZOTOWNを利用するユーザーは、同実験のトライアル参画ショップにおいて、「WhatYa」によるオンライン接客を体験することができるといいます。
この実証実験における支援の利用対象は、「ZOZOTOWN」内のトライアル参画ショップの商品詳細ページであり、2021年3月31日までの支援期間中は「WhatYa」の提供に加え、オンライン接客運用面での支援が行われるそうです。
この実証実験が行われることになった背景としては、新型コロナウイルスの影響があるといいます。アパレル業界では、2020年だけでも退店数が3,100店舗以上に及ぶなど、新型コロナウィルスによる影響は決して小さなものではありませんでした。アパレル企業にとって、店舗は「さまざまな体験を通じてブランド価値や商品へのこだわりを最も伝えることができる顧客接点の場」と言っても過言ではありません。そのため、消費者にとって身近な場所から店舗が退店することは、「顧客とアパレル企業との重要な接点が減少してしまう」ということでもあるのです。
また、近年のアパレル業界では、店舗スタッフの活躍の場をデジタルに拡大することの必要性も高まっています。店舗の売上減少を補うための新たな方法を検討する必要があるわけです。そのような中で、「WhatYa(ワチャ)」のようなWeb接客ソリューションによってオンライン接客の質を高められるかどうかという点は、極めて重要なポイントになるでしょう。
Web接客ツールの活用事例|earth music&ecology(アパレル)
earth music&ecologyでは、2019年度の事業計画の目玉に、AIを活用したデータ分析の強化による仕入れ高の大幅削減を掲げています。2018年に主力ブランドの「earth music&ecology」でAIによる在庫最適化の検証を実施したところ、値引き率が大幅に改善され、利益が2倍に跳ね上がったといいます。
この結果を受けて、2019年以降は全ブランドでAIによる需要予測や発注の適正化、値引きの適正化を実施し、仕入れ高のさらなる削減を目指しています。無駄な在庫を持たないことで、値引き率を抑制し、粗利の向上も見込めるという点は注目すべきポイントといえるでしょう。
同社は2018年、ソフトバンクと合弁でECサイトを立ち上げました。百貨店で売られているファッションブランドを中心に、600ブランドの商品6万点の販売をスタート。小売りのノウハウを持つ三越伊勢丹ホールディングスの大西洋前代表取締役社長を社外取締役に迎えるなど、事業強化に乗り出しており、今年は1200ブランドまで取り扱いを広げる計画を立てています。
同サイトでは、WEB接客ツール(リモート接客ツール)やチャットボットを活用。顧客のサイト閲覧履歴や購入履歴をもとに需要予測や顧客対応に生かします。加えて、衣料品の試着サービスやパーソナルスタイリングサービスなどの特色あるサービスもとりそろえ、顧客の利便性向上を図っていくそうです。
Web接客ツールの活用事例 | WEGO(アパレル)
WEGOでは、AIチャットボットの「りんな」と「ObotAI」を活用しています。それぞれどのような形で活用しているのか、詳しくみていきましょう。
AIチャットボット「りんな」の活用事例
WEGOでは、「女子高生りんながウィゴーでアルバイトしてみた」という設定で、Eコマース上にりんなを登場させています。
ユーザーのコーディネート画像にコメントする「りんなのファッションチェック」や、ファッションへのアドバイスなどもしてくれます。ウィゴーではりんなに、ファッションという知識を学習させて、10代の女の子が持つファッションに関する感性や興味をキャラクター性に取り込む狙いがあると説明しています。「意外と鋭くて深い」と評判の高いりんなの会話技術をもとにEコマース上でユーザーとの対話を展開して、新たなファンの獲得を目指しているようです。
AIチャットボット「ObotAI」の活用事例
WEGOの公式オンラインストアでは、2020年8月から株式会社ObotAIが開発したAIチャットボットサービス「ObotAI」を導入しています。顧客からの問い合わせに即座に回答できるAIチャットボットを設置することで、より利便性に優れたスムーズな顧客対応を実現することが可能です。
「あなたのファンであり続ける事」を目的に、さらなる顧客満足度の向上を目指すための取り組みの一環として導入されたObotAIは、顧客に寄り添ったサービスを実現するためのツールとして大きな期待が寄せられています。
WEB接客ツールでBtoB、BtoCの顧客と関係構築
WEB接客ツールはBtoCサイトだけでなくBtoBサイトでの活用も可能です。WEB訪問者のIPアドレスによって会社名がわかるツールもあるので、将来の見込み客作りにも役立ちます。
サイト訪問者とよい関係を築き、将来的な顧客とするためのツールとして、WEB接客ツールを活用してみてください。
チャットボットについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
チャットボットとは?意味やメリット、活用事例を徹底紹介
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