生成AI

最終更新日:2026/06/29
「Copilot API」を調べると、Microsoft 365の情報とGitHubの情報が混ざって出てきて、混乱した経験はないでしょうか。実は「Copilot API」と呼ばれるものには、大きく2つの種類があります。
本記事では、まず2種類のCopilot APIをすっきり整理します。そのうえで、機能・無料で使えるのか・導入手順までを、DX担当者の方にもわかりやすく解説します。読み終えるころには、自社が選ぶべきAPIと次の一歩が見えているはずです。

「Copilot API」には目的の異なる2種類があります。混同されやすいため、最初に切り分けておきましょう。
1つはMicrosoftが提供する「Microsoft 365 Copilot API」です。もう1つはGitHubが関わる「GitHub Copilot API」です。前者は社内データを使ったAIアプリづくり、後者はコード開発の支援が主な用途です。
| 種類 | 提供元 | 主な用途 | 想定ユーザー |
| Microsoft 365 Copilot API | Microsoft | 自社のMicrosoft 365データを使ったAIアプリ・社内エージェント開発 | DX担当・社内システム開発者 |
| GitHub Copilot API | GitHub | コード補完・開発支援の管理やモデル利用 | 開発チーム・エンジニア |
社内文書をAIに活用したいならMicrosoft 365 Copilot APIです。コード開発を効率化したいならGitHub側と整理できます。
本記事では、法人での利用ニーズが多いMicrosoft 365 Copilot APIを中心に解説します。GitHub Copilot側については記事後半で扱うため、ご自身の目的に近い方から読み進めてください。
出典: Microsoft 365 Copilot APIs overview|Microsoft Learn

Microsoft 365 Copilot APIは、Copilotを支える機能を「部品」として外部から呼び出せる仕組みです。自社アプリや社内エージェントから、安全にCopilotの能力を利用できます。
これらはMicrosoft Graph上のREST APIとして提供されます。REST APIとは、HTTP経由でデータをやり取りする標準的な仕組みのことです。基本のエンドポイントは「graph.microsoft.com/v1.0/copilot」です。プログラミング言語を問わず呼び出せます。Microsoft Graphへの統合により、既存のMicrosoft 365環境と無理なくつながる点も特徴です。
主要なAPIを一覧で整理しました。提供状況(一般提供=GA、プレビュー)もあわせて確認しましょう。
| API | できること | 提供状況 |
| Retrieval API | 社内データ(SharePoint・OneDrive・コネクタ)から関連情報を取得し、RAGに使う | 一般提供(GA) |
| Chat API | 自社アプリにCopilotの会話機能(出典付き回答)を組み込む | 一般提供(GA)※Work IQ API |
| Search API | OneDrive内をセマンティック検索する | プレビュー |
| Meeting Insights API | Teams会議のAI議事録やアクション項目を取得する | 提供中 |
| 利用状況レポートAPI | 組織のCopilot利用状況を取得する | 提供中 |
※提供状況は公式ドキュメント(2026年6月時点)に基づきます。プレビュー機能は今後変更される可能性があります。
Retrieval APIは、最も実用的なAPIの1つです。RAGの中核を担っています。RAGとは、社内文書などを根拠にAIが回答を生成する仕組みのことです。
このAPIの強みは、データを外部に持ち出さない点にあります。SharePoint or OneDriveのデータをそのままに、既存のアクセス権限や機密ラベルを尊重して関連情報を取得します。情報漏えいのリスクを抑えながらAIを活用できるため、法人にとって価値が高いとされています。
Chat APIは、Copilotの回答をそのまま自社アプリに埋め込めるAPIです。出典付きの応答を返せます。なお、Chat APIは2026年6月16日に、後述する「Work IQ API」の一般提供(GA)に伴い正式提供されました。Search APIは、自然な文章でOneDrive内の文書を検索できます。
一方、Search APIは2026年6月時点ではプレビュー段階です。本環境での利用は、最新の提供状況を公式サイトで確認することをおすすめします。
出典: Microsoft 365 Copilot APIs overview|Microsoft Learn / Retrieval API overview|Microsoft Learn

Copilot APIとよく混同されるのが、Microsoft Graph APIです。両者は役割が明確に異なります。
Graph APIは「データを操作・取得する」ために使用します。Copilot APIは「そのデータをAIに推論させる」ために使用します。
| 比較項目 | Microsoft Graph API | Copilot API |
| 主な役割 | Microsoft 365データの作成・取得・更新・削除 | データをAIで推論・要約・検索 |
| 必要なライセンス | 標準のMicrosoft 365ライセンス | Microsoft 365 Copilotライセンス |
覚え方はシンプルです。データを取りたいだけならGraph API、AIに考えさせたいならCopilot APIと整理しておきましょう。ライセンス要件も異なるため、導入前の確認が大切です。
出典: Microsoft 365 Copilot APIs overview|Microsoft Learn

Microsoft 365 Copilot APIは、さらに大きな枠組みへと進化しています。それが「Work IQ API」です。Microsoftは2026年6月16日、このWork IQ APIを一般提供しました。
Work IQ APIは、AIエージェント向けに設計された新しいAPI群です。主にChat、Context、Tools、Workspacesといった機能で構成されます。従来の「データ取得」が中心だった段階から、エージェントが業務の文脈を理解し、行動するための基盤へと広がっています。
たとえばToolsは、メール送信や会議設定といった操作をエージェントに任せられる仕組みです。エージェントが定型業務を自動で実行できるようになります。Workspacesは、エージェントが作業の途中経過を安全に保存する領域とされています。
料金には「Copilot Credits」を消費する従量課金モデルが採用されています。利用量に応じて費用が変わる仕組みです。Copilot Creditsは、Copilot Studioなど他のサービスとも共通の消費通貨とされています。
なお、独自エージェントや第三者製アプリからの利用が従量課金の対象です。Microsoft製アプリをCopilotライセンスで使う場合、追加の利用料はかかりません。あわせて、Microsoft 365管理センターにはコスト管理ダッシュボードが用意されています。
ポイントは、今後のCopilot APIがエージェント前提で進化していくという方向性です。新しい機能のため、最新の提供状況は公式サイトでご確認ください。
出典: Announcing the new Work IQ APIs|Microsoft 365 Blog

よくある質問が「Copilot APIは無料で使えるのか」です。Microsoft 365 Copilot APIに恒久的な無料利用はありません。ただし、必要なライセンスは利用するAPIによって変わります。
必要なライセンスは、次の2つです。
一方、2026年6月16日にGAした「Work IQ API」は、Microsoft 365 Copilotライセンスがなくても利用できます。アクセスがCopilotライセンスから独立しており、Copilot Creditsによる従量課金で使えるためです。Copilotライセンスを持たないユーザーも、利用量に応じて課金されます。必ずしも全員分のライセンスが必須ではなく、用途や対象ユーザーに合わせた柔軟な導入が可能です。
なお、まったく試せないわけではありません。公式にはInteractive Demo(プレビュー)が用意され、コードを書く前に挙動を確認できます。またRetrieval APIには、Copilotアドオンライセンスがなくても使えるプレビューがあります。従量課金で利用できる仕組みです。
「無料で使いたい」という需要は高まっています。しかし現実には、無料で試せるのは体験版的な範囲にとどまります。本格的な導入は有料が前提と考えておくと、計画を立てやすくなります。
前述のWork IQ API系は、Copilot Creditsによる消費課金です。利用量によって費用が変動します。
そのため、いきなり大規模に導入するのではなく、PoCから始めるのが現実的です。PoCとは、小さく試して効果を検証する取り組みのことです。まず小規模に試し、コストを見積もってから拡大する進め方をおすすめします。
※料金体系は変動する可能性があります。最新の条件は公式サイトをご確認ください。
出典: Microsoft 365 Copilot APIs overview|Microsoft Learn / What’s new|Microsoft Learn

ここからは、もう1つの「Copilot API」であるGitHub側を見ていきます。GitHub Copilotには、外部アプリ向けに公開された汎用のチャット・補完APIは公式に提供されていません。
一部のツールが利用する内部エンドポイントを、汎用のモデル提供元として使う行為は、GitHubの利用規約に反するとされています。アカウント停止のリスクもあるため、注意が必要です。
一方で、公式に用意されている仕組みもあります。
検索結果で見かける第三者製のプロキシツールも、あくまで非公式です。利用規約違反やアカウント停止のリスクがあると報告されています。導入は慎重に判断してください。
コード開発向けにAI APIが必要な場合は、各モデル提供元の公式APIを直接使うのが基本的な選択肢です。
出典: Using your LLM provider API keys with Copilot|GitHub Docs / REST API endpoints for Copilot|GitHub Docs

Microsoft 365 Copilot APIの導入は、大きく4つのステップで進みます。エンジニアでなくても、全体像を掴んでおくと社内検討に役立ちます。
連携の方法は、APIを直接使う以外にもあります。プラグイン、コネクタ、エージェント、Copilot Studioといった選択肢です。ノーコードに近い形で作るならCopilot Studio、細かく作り込むならAPI直接利用が向いています。目的に応じて使い分けましょう。
出典: Microsoft 365 Copilot APIs client libraries|Microsoft Learn / Extend Microsoft 365 Copilot|Microsoft Learn

Copilot APIは、社内データとAIを安全に結びつける仕組みです。そのため、機密性の高い業務ほど効果を発揮しやすいとされています。
具体的な活用例を業界別に見てみましょう。
検討の起点になるのは「自社のどのデータをAIに任せたいか」という視点です。まず活用したい業務とデータを洗い出すと、必要なAPIが見えてきます。
出典: Retrieval API overview|Microsoft Learn

Copilot APIは「使えるはず」という思い込みで進めると、つまずきやすい面があります。前提・権限・データ整備の確認が、成否を分けます。
よくある失敗例と対策を整理しました。
導入前のチェックリストとして、次の5項目を押さえておくと安心です。
| チェック項目 | 確認のポイント |
| ライセンス | Copilotライセンスとサブスクリプションは揃っているか |
| 対象データ範囲 | どのデータをAIに使わせるか定まっているか |
| 権限設計 | アクセス権限・機密ラベルは適切か |
| コスト試算 | 従量課金を踏まえた費用見積もりがあるか |
| PoC計画 | 小さく試す検証の段取りができているか |
出典: Microsoft 365 Copilot APIs overview|Microsoft Learn
本記事では、Copilot APIの全体像を解説しました。要点を振り返ります。
次のアクションとして、自社のMicrosoft 365ライセンス状況と、AIに任せたいデータを棚卸ししてみましょう。PoCから検討を始めると、無理なく導入を進められます。
自社に最適なAI活用や導入方法を相談したい方は、ぜひAIsmileyにご相談ください。導入事例やサービス資料もご用意しています。
アイスマイリーでは、生成AI のサービス比較と企業一覧を無料配布しています。課題や目的に応じたサービスを比較検討できますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。
Microsoft 365 Copilot APIに恒久的な無料利用はありません。Retrieval APIなど従来のAPIにはCopilotライセンスが必要ですが、Work IQ APIはライセンスなしでもCopilot Creditsの従量課金で利用できます。
前者は社内データを使ったAIアプリ開発、後者はコード開発の支援が目的です。用途がまったく異なります。
Copilot Studioを使えば、ノーコードに近い形でエージェントを作れます。本格的な作り込みには開発知識が必要です。
Microsoft 365 Copilot APIは、社内データに安全にアクセスできる点が強みです。権限や機密ラベルを尊重したまま回答を生成します。
一般提供(GA)済みで実用的なRetrieval APIから試すのが現実的です。社内文書を根拠にした回答づくりに向いています。
基本はライセンス費用が前提です。Work IQ API系は、Copilot Creditsによる従量課金がすでに採用されています。
業務の課題解決に繋がる最新DX・情報をお届けいたします。
メールマガジンの配信をご希望の方は、下記フォームよりご登録ください。登録無料です。
AI製品・ソリューションの掲載を
希望される企業様はこちら