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最終更新日:2026/09/11
Anthropicが2026年9月に発表した最上位AIモデル「Claude Mythos 5.1」が、AI業界で大きな注目を集めています。しかし「名前は聞いたことがあるが、一般的なClaudeとは何が違うのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
実はMythos 5.1は、招待制でしか利用できない特別なモデルです。サイバーセキュリティの脆弱性発見や、生命科学分野の高度な研究開発を支援することを目的に、限られた組織にのみ提供されています。
本記事では、Claude Mythos 5.1の基本概要から、Fable・Opus・Sonnetといった従来モデルとの違い、具体的な活用シーン、提供形態やアクセス方法までを詳しく解説します。読み終える頃には、Mythos 5.1の実力と、自社の業務にどう関わってくるのかが明確になるはずです。

Claude Mythos 5.1とは、Anthropicが2026年9月1日にリリースした最上位クラスのAIモデルです。同時に発表された「Claude Fable 5.1」と全く同じベースモデルを共有していますが、適用される安全対策(セーフガード)のレベルが異なる点が特徴です。
Fable 5.1は一般提供されるのに対し、Mythos 5.1はサイバーセキュリティおよびライフサイエンス分野の研究開発を支援するため、より許容度の高い安全対策を備えたバージョンとして、招待制のプログラムを通じてのみ提供されます。
Mythos 5.1は、コーディングや長時間にわたる問題解決タスクにおいて新たな基準を打ち立てるモデルとされています。エージェント型コーディングを評価するTerminal-Bench 4.0では60.9%を記録し、同じベースモデルであるFable 5.1(55.8%)をも上回りました。
これは、Fable 5.1に適用されているサイバーセキュリティ関連のセーフガードが一部のタスクに介入した結果生じたスコア差であり、両モデルの素の能力自体はほぼ同等と考えられます。
また、推論能力の指標であるHumanity’s Last Examではツールなしで60.9%、ツールありで65.0%を記録するなど、複雑な推論・分析タスクへの対応力も高い水準にあります。
Mythos 5.1が一般公開されない最大の理由は、サイバーセキュリティ領域における極めて高い能力にあります。セーフガードを外した状態でのテストでは、これまでにAnthropicがリリースしたどのモデルよりも強力なサイバー能力を示したと報告されています。
脆弱性の発見だけでなく、攻撃コード(エクスプロイト)の作成にまで踏み込める性能を持つため、悪用されれば深刻なリスクにつながりかねません。そのためAnthropicは、侵入テストやエクスプロイト生成、バイナリベースの脆弱性スキャンといったデュアルユース(善用・悪用の両方が可能)なタスクについては、引き続きOpusクラスのモデルへ自動的に振り分ける仕組みを採用しています。
なお、Mythosという名称のモデル自体は2026年4月の「Claude Mythos Preview」からスタートしており、当初から一般提供の予定はないと説明されてきました。この初代Mythosがなぜ封印されるほどの能力を持つのか、詳しい経緯やベンチマーク結果を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
最強モデル「Claude Mythos」はなぜ一般開放されない?異次元のコーディング・推論性能
Mythos 5.1の立ち位置を理解するには、同時期にリリースされている他のClaudeモデルとの違いを把握しておくことが重要です。ここでは仕様面とベンチマーク面の両方から比較します。
| モデル | 位置づけ | 主な用途 |
|---|---|---|
| Claude Mythos 5.1 | Fable 5.1と同一モデル。安全対策を緩和した招待制版 | サイバー脆弱性の分析、生命科学分野の研究開発 |
| Claude Fable 5.1 | 一般提供される最上位モデル | 高度なコーディング、知識労働、長時間の自律タスク |
| Claude Opus 5 | 汎用フロンティアモデル | 複雑な推論、業務アプリケーションの中核処理 |
| Claude Sonnet 5 | バランス型モデル | 日常的な業務利用、コストと速度を重視するタスク |
Anthropicの公式ドキュメントによると、Mythos 5.1とFable 5.1は仕様・価格ともに完全に一致しています。
| 項目 | Mythos 5.1 / Fable 5.1 | Opus 5 | Sonnet 5 |
|---|---|---|---|
| コンテキストウィンドウ | 100万トークン | 100万トークン | 100万トークン |
| 最大出力 | 12万8千トークン | 12万8千トークン | 12万8千トークン |
| 料金(入力/出力・100万トークンあたり) | 10ドル/50ドル | 5ドル/25ドル | 2ドル/10ドル |
| レイテンシ | 遅い | 中程度 | 速い |
| 思考モード | 適応型(常時オン) | 適応型 | 適応型 |
| 知識カットオフ | 2026年6月 | 2026年5月 | 2026年1月 |
Mythos 5.1は、テキストと画像を入力として処理できるマルチモーダル対応モデルです。コーディング面では、開発現場に近いエージェント型タスクへの対応力が向上しており、Fable 5.1・Mythos 5.1ともに複数サービスをまたぐ複雑なコード変更や、長時間の自律的な作業に耐えられる設計となっています。
サイバーセキュリティの観点では、良性のリクエスト(正当な防御目的の利用)に対する誤検知が、旧バージョンのFable 5と比較して大幅に減少しました。これにより、脆弱性発見のような防御的用途ではFable 5.1でも利用しやすくなった一方、攻撃コードの生成など踏み込んだ分析はMythos 5.1の管理下でのみ許可される設計になっています。
代表的なベンチマークでのスコアは以下の通りです(Mythos 5.1はセーフガードを外した状態での評価)。
| ベンチマーク | Fable 5.1 | Fable 5 | Opus 5 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench-Science 0.1(科学研究) | 52.6% | 24.7% | 29.0% |
| Terminal-Bench 4.0(エージェント型コーディング) | 55.8%(Mythos 5.1は60.9%) | 42.0% | 52.3% |
| GDPval-AA v2(知識労働) | 1853 | 1723 | 1824 |
| CursorBench 3.2.0(エージェント型コーディング) | 73.4% | 70.5% | 70.0% |
いずれの項目でも旧モデルを大きく上回るスコアを記録しており、特に科学研究分野での伸びが顕著です。

Mythos 5.1がどのような場面で力を発揮するのか、3つの観点から紹介します。
Mythos 5.1は、コードベースの脆弱性をスキャンし修正案を提示する「Claude Security」の中核モデルとして採用されています。セーフガードを外した評価では、これまでのAnthropicのモデルの中で最も高いサイバー能力を示したとされており、脆弱性の発見だけでなく攻撃手法の理解にも役立ちます。
一方で、侵入テストやエクスプロイト生成のような踏み込んだタスクは、信頼された専門家(Cyber Verification Programの参加者)による利用に限定されており、野放図に攻撃コードが生成される設計にはなっていません。
Terminal-Bench 4.0やCursorBench 3.2.0といったベンチマークで高いスコアを記録していることからも分かるように、Mythos 5.1(およびFable 5.1)は大規模なコードベースを横断した解析やリファクタリングに強みを持ちます。
複数のサービスや複数のコードベースをまたぐ変更を、呼び出し元のサービスからデータベースのテーブル単位まで正確に追跡しながら実行できる点は、大規模な既存システムを扱うエンジニアリング組織にとって大きな価値になるでしょう。
Mythos 5.1は、生命科学分野での活用でも成果を上げています。オープンソースのタンパク質設計・フォールディングツールを用いた検証では、12種類の標的タンパク質に対するヒット率(有効な結合設計の割合)が約50%に達しました。これは一般的な10〜15%を大きく上回る数値です。さらに一部の標的では、外部の設計コンペティションに提出された最良の設計よりも10倍高い結合親和性を記録しています。
また計算生物学の分野では、Mythos 5.1が独自のGPUカーネルを作成し、オープンソースの深層学習モデル7種類の処理速度を最大2.5倍に高速化しました。これにより、ゲノムワイドな解析にかかるGPUコストを最大60%削減できる可能性が示されています。通常であればパフォーマンスエンジニアのチームが数週間かけて行うような最適化を、数日で完了させた点も注目に値します。

Claude.aiの個人向けプランでは、Mythos 5.1は提供されていません。一般ユーザーが最上位クラスのモデルを使いたい場合は、同じベースモデルを持つFable 5.1が代わりに利用可能です。Fable 5.1は2026年9月1日から、Claude Code・Claude Cowork・Claude.aiを含む各種プラットフォームで一般提供が始まっています。
Mythos 5.1は、Anthropicが主導するサイバーセキュリティ強化の取り組み「Project Glasswing」の一環として提供されています。具体的には、以下2つの信頼アクセスプログラムを通じてのみ利用できます。
現時点では、米国内の一部組織のみが利用可能な状況です。Anthropicは今後、米国政府と協力しながら、国内外のパートナーへ段階的にアクセスを拡大する方針を示しています。
Mythos 5.1はClaude API、Amazon Bedrock、Google Cloud(Vertex AI)、Microsoft Foundryを通じて利用でき、料金体系はFable 5.1と共通です。
データ保持に関しては、Anthropicが新たに導入する「Enterprise Frontier Safeguards(EFS)」により、顧客が管理するクラウド基盤上にデータを保存しつつ、ゼロデータリテンションと同等のプライバシーを確保できる仕組みが今秋以降段階的に展開される予定です。EFSが利用可能になるまでの間、対象となるエンタープライズ顧客はゼロデータリテンション契約でMythos 5.1・Fable 5.1を利用できます。
利用を希望する企業は、AnthropicまたはAWS・Google Cloudの担当営業チームに問い合わせることでアクセス申請が可能です。

Mythos 5.1は自由に申し込めるセルフサービス型のモデルではありません。厳格な審査を通過した、限られたパートナー・エンタープライズのみが利用できる点は、導入検討時に必ず押さえておくべきポイントです。
高性能なモデルであっても、出力が常に正確とは限りません。特にMythos 5.1では、侵入テストやエクスプロイト生成、バイナリベースの脆弱性スキャンなど一部のタスクについて、セーフガードの判断によってOpusクラスのモデルへ自動的に処理が振り分けられる仕組みが組み込まれています。想定した挙動と異なる結果が返ってきた場合、こうした安全対策の介入が影響している可能性も考慮する必要があります。
Anthropicは、Mythos 5.1に対して外部研究機関を含めた大規模なレッドチーム評価やプロンプトインジェクション対策の検証を実施しており、重大な脆弱性(クリティカルなジェイルブレイク)は確認されていないと報告しています。また、モデルの能力を不正に抽出する「蒸留(ディスティレーション)」への対策も強化されており、新規APIアカウントでは思考過程を含む会話履歴を改変して抽出する手法が使えなくなっています。
商用利用にあたっては、こうした安全対策の内容を理解した上で、自社のセキュリティポリシーやデータガバナンス方針と整合性が取れているかを事前に確認しておくことをおすすめします。

Claude Mythos 5.1は、Anthropicが2026年9月にリリースした最上位クラスのAIモデルです。一般提供されるFable 5.1と全く同じベースモデルを持ちながら、サイバーセキュリティと生命科学分野の研究開発に特化した、より許容度の高い安全対策を備えている点が最大の特徴です。
Terminal-Bench 4.0でのエージェント型コーディング性能や、タンパク質設計におけるヒット率の大幅な向上など、ベンチマーク・実証実験の両面で高い実力を示しています。一方で、利用できるのはCyber Verification ProgramやLife Sciences Verification Programを通じて審査を通過した組織に限られ、現時点では米国内の一部組織が対象です。
企業や開発現場においては、今後Project Glasswingの拡大とともに国内外へのアクセス拡大が進む可能性がありますが、当面は「限定的に提供される専門特化モデル」という位置づけが続くと考えられます。
一般ユーザーや、すぐにAIを試したい企業には、Mythos 5.1と同じベースモデルを持つFable 5.1、またはコストと速度のバランスに優れたSonnet 5の利用がおすすめです。まずはこれらのモデルで自社の業務に合うかを検証し、より専門的なセキュリティ・研究開発ニーズが明確になった段階で、Mythos 5.1のアクセス申請を検討するとよいでしょう。
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