生成AI

最終更新日:2026/07/09
動画作成は専門スキルが必要だと思われがちですが、ChatGPTを使えば企画から台本、画像素材までを自分の手で短時間に整えられます。本記事は、動画作成の外注コストや作業時間を抑えたい中小企業の担当者や個人クリエイターに向けて、無料の範囲でできる具体的な手順をまとめました。

最初に押さえておきたいのは、ChatGPT単体では、完成した動画を自動生成できないという点です。映像のコマを動かしたり、音声と映像のタイミングを合わせたりする処理は、ChatGPTの標準機能には含まれていません。
ただし、動画作成の前半工程ではChatGPTが大きな力になります。
なお、OpenAIはかつてChatGPTのサブスクリプション内で動画生成AI「Sora」を提供していましたが、2026年4月26日にWeb版・アプリともにサービスを停止した経緯があります。
「できないこと」と「できること」を以下の表で整理しました。
| 区分 | 内容 |
| できないこと | 動画の自動生成・モーション制作・映像クリップの編集・音声と映像の同期調整 |
| できること | 企画案・構成案の作成、台本・ナレーション原稿の生成、テロップ・字幕の下書き作成、画像素材の生成、動画テーマのアイデア出し |
ChatGPTは「動画制作を全自動でこなすツール」ではなく、「動画作成のうち言葉に関わる作業を担うアシスタント」と捉えるのが正確です。この前提を持てば、ChatGPTと他ツールの役割分担がしやすくなります。
ChatGPTは文章の組み立てに強みがあるため、構成や台本が制作の中心となるジャンルで特に力を発揮します。
一方で、映像表現そのものが完成度を左右するジャンルでは限界があります。
得意・苦手なジャンルを次の表にまとめました。
| 区分 | 具体的なジャンル例 |
| 得意なジャンル | How-to動画・マニュアル動画・SNS向け情報系ショート動画・採用動画の構成案・営業提案動画の台本 |
| 苦手なジャンル | 高度な3Dアニメーション・キャラクターの滑らかなモーション・実写映像の色調補正・長尺ドラマ動画 |
苦手なジャンルに取り組む場合は、ChatGPTで台本の骨格だけを先に作成し、その後の制作は専門ツールや編集者に任せるという役割分担を意識すると、無理なく品質を保てます。
台本という土台部分をChatGPTで整え、映像の表現力が問われる部分は人や専用ソフトに渡す、という分業の考え方が動画制作全体を効率化する鍵になります。
ChatGPT本体の標準機能だけでは動画は生成できませんが、GPTsという拡張機能を追加すると、動画生成に対応した外部ツールをChatGPTの会話上から呼び出せるようになります。
代表的な動画生成系のGPTsには次のようなものがあります。
「CapCut VideoGPT」は、ユーザーが指定したトピックをAIが文章に展開し、その内容から動画を生成するGPTsです。生成前にはアスペクト比を指定でき、生成後もテキストの拡張・短縮やアスペクト比の変更が可能です。動画・画像のテンプレートをキーワードで検索する機能も備えています。
「Video Maker GPT by Visla」は、テキストや画像、URLなどを伝えると台本作成・映像素材の選定までを自動で行うGPTsです。ChatGPT上で動画リンクとクレームコードが発行され、ダウンロードや追加編集をする際にはVislaのアカウントが必要になります。
こうしたGPTsのなかには商用利用を制限しているものもあるため、ビジネス目的で使う場合は導入前に各GPTsの利用規約を確認する必要があります。規約は更新される場合があるので、利用開始時に最新の内容を見ておくと安心です。

ChatGPTを使った動画作成は、「企画→台本→素材作成→動画化」という4段階で進めると効率的です。
無料プランでも①〜③の工程はすべてカバーできます。④の動画化は、外部の編集アプリと組み合わせることで完結させられます。
動画作成の最初のステップは、「何を達成したいか」「誰に向けた動画か」「何秒・何分の動画か」という3点をChatGPTに伝えることです。
この3点が明確であるほど、後に出てくる構成案や台本の質が安定します。
具体的なプロンプトの例は次のとおりです。
「中小企業の経営者向けに、SaaSサービスのPR動画(30秒)の構成案を作成してください。目的は問い合わせ件数の増加です」というように、対象・尺・目的をセットで伝えます。
ターゲットを曖昧なまま台本生成を依頼すると、内容がありきたりになりがちです。職種・年代・抱えている課題まで具体的に設定することで、視聴者に刺さる構成案が出やすくなります。
目的とターゲットが固まったら、台本・ストーリーライン・ナレーション原稿・テロップ文言をChatGPTに生成させます。この段階で出力形式を指定しておくと、後の編集作業が楽になります。
たとえば「シーン番号・ナレーション・画面表示・おおよその秒数を記載した表形式で作成してください」と依頼すれば、編集者が見てすぐ作業に移せる台本になります。
また「ナレーションは句読点を使いすぎず、自然な会話に近い読みやすい文体にしてください」と添えると、聞き取りやすい原稿になります。
生成された台本は、動画の尺に対して長すぎないか・短すぎないかを必ず確認してください。尺と内容がずれている場合は、ChatGPTに修正指示を出して調整します。
台本が完成したら、シーンごとに必要な静止画素材をChatGPTの画像生成機能で作ります。
2026年4月にOpenAIが発表した「ChatGPT Images 2.0」(モデル名:gpt-image-2)は、日本語のテキスト描画精度が大きく向上し、最大2K解像度での出力に対応しています。
複数の画像を生成する際は、テイストを統一することが重要です。スタイルは「やわらかい水彩画風」「ビジネス向けのシンプルなフラットデザイン」「高解像度のリアリスティックな写真」のように具体的に指定します。
縦横比も「16:9(横長)」「9:16(縦長/スマホ向け)」など、動画用途に合わせて指定すると、そのまま編集ソフトに取り込みやすくなります。
すべてをAIで生成する必要はありません。自社のロゴや実績画像など実際の素材とAI画像を組み合わせることで、動画全体の信頼性が高まります。
ChatGPTで作成した台本・画像・ナレーション素材を、CapCutやCanvaなどの動画編集ツールに持ち込み、最終的な動画に仕上げます。
ChatGPTとCapCutを連携させる「CapCut VideoGPT」を使う場合の流れは次のとおりです。
CapCut以外にも活用できる無料ツールがあります。用途別の組み合わせ例を以下の表にまとめました。
| 用途 | 活用できる無料ツール例 |
| 動画編集 | CapCut・Canva(動画編集機能)・InVideo |
| 音声読み上げ | 音読さん・VOICEVOX |
| 字幕・テロップ生成 | Vrew・CapCut(自動字幕機能) |

PC環境がなくても、スマホアプリだけでChatGPTによる動画作成の企画・台本工程は完結できます。
コストを最小限に抑えるには、各工程に最適な無料ツールを選ぶことが重要です。
iPhoneまたはAndroidのChatGPTアプリで台本や企画案を生成し、スマホ版CapCutに渡して動画に仕上げる、という流れであれば、PCを使わずに一連の作業を完結できます。
スマホでの動画作成に向いているのは、TikTokやInstagramリール、YouTubeショートのような縦型ショート動画です。
注意したいのは、動画の書き出し処理がスマホのスペックに依存する点です。長尺の動画になるほど処理が重くなりやすく、書き出しに時間がかかったり途中で止まったりすることがあります。短い尺の動画から試すのが無難です。
なお、ChatGPTの無料プランでも台本・企画案の生成はすべて対応できるため、まずはコストをかけずに台本作りから始められます。
ChatGPTと連携せず、単体で動画生成ができる外部AIサービスもあります。
代表的なサービスを比較表にまとめました。
| サービス名 | 特徴 |
| Vrew | 音声認識AIにより動画の音声を自動で字幕に変換。字幕は100ヶ国語以上への翻訳に対応し、テキストや原稿を入力するだけで動画自体を生成する機能も |
| pictory AI | 台本や記事などのテキストを読み込み動画を自動生成。クラウドベースのためインストール不要 |
| Pika | 英文プロンプトを入力すると、テキストから直接動画クリップを生成。独自のVFXエフェクト機能が豊富 |
最も効率的な組み合わせ方は、ChatGPTで企画・台本を作成したあと、これらのサービスにその文章を読み込ませて動画化する流れです。
文章作成と映像化の工程をそれぞれ得意なツールに任せることで、作業全体の手戻りが少なくなります。

ChatGPTは動画を「作る」だけでなく、すでに完成した動画の文字起こしや改善分析にも活用できます。
既存の動画コンテンツの品質改善や再編集の効率化にも役立つ場面が多くあります。
「Video Insights」というGPTsを使うと、ChatGPTに動画を読み込ませて文字起こしできます。具体的な手順は次のとおりです。

出力された文字起こし内容は、そのままテロップや字幕の素材として活用できます。手作業で書き起こす時間を省けるため、既存動画の再編集や多言語化を考えている場合に特に役立ちます。
再生数が伸びない動画の改善点をChatGPTに分析させる方法は、大きく2通りあります。
1つ目は、Video InsightsでYouTube動画のURLを読み込ませ、「この動画がよりアクセスされるための改善点を教えてください」と依頼する方法です。
2つ目は、Chrome拡張機能の「ChatGPT for Google」を使い、Google検索画面上で動画を表示させたままChatGPTに分析を依頼する方法です。
プロンプトに「あなたは人気YouTuberです」など、動画に関連する職業をあらかじめ設定すると、分析の精度が上がりやすくなります。役割を与えることで、より実務的な視点からの改善提案が返ってくる傾向があります。

ChatGPTによる動画作成は効率化に有効ですが、公開後のトラブルを防ぐために、事前に把握しておくべきリスクがいくつかあります。
AI生成素材を使った動画には、主に3つのリスクが存在します。
リスクの種類と対処法を以下の表にまとめました。
| リスクの種類 | 具体的な内容 | 対処法 |
| 著作権・肖像権侵害 | プロンプトに有名人・キャラクター名・特定商標を含めて生成した素材を商用利用すること | プロンプトには架空の人物・抽象的な表現・一般的なモチーフのみ使用する |
| ブランド毀損リスク | クリエイターが主要顧客の業界でAI動画を広告に使用することでブランドイメージが失墜する可能性 | クリエイター向け業界ではAIは企画補助の「裏方」に留め、完成品には慎重な判断をする |
| 利用規約違反 | 使用したGPTsや動画生成ツールが商用利用を禁止している場合がある | ビジネス利用前に各ツールの最新の利用規約を必ず確認する |
特に著作権・肖像権侵害は、意図せず発生しやすいリスクです。プロンプトに具体的な人物名やキャラクター名を入れていなくても、似た特徴を持つ画像が生成される場合があるため、生成結果を公開前に必ず目視で確認する習慣をつけておくと安心です。
ChatGPT Images 2.0(gpt-image-2)のThinking Modeには、1回のプロンプトで最大8枚まで同一キャラクター・同一スタイルを保った画像を一括生成できる機能が搭載されています。同じシーンの人物を複数枚作りたい場合は、この機能をまとめて活用するのがおすすめです。
ただし、別のタイミングで生成し直す場合や、会話をまたいで「先ほどのキャラクター」を再現させる場合は、顔立ちや服装が微妙にずれることがあります。重要なシーンでは実写素材を使うか、CapCutなどでレタッチして仕上げる対処法が現実的です。
もう一つ気をつけたいのが、文章の冗長化です。ChatGPTが生成する文章は親切さゆえに回りくどくなりがちで、そのまま台本に使うと動画の尺が伸び、視聴者の離脱につながるリスクがあります。
冗長化を防ぐには、プロンプトの段階で指示を入れておくのが有効です。
「会話形式で結論を先に述べるように」と伝えれば、要点が前に出た文章になります。「テロップとして使いやすいよう、文章を短く区切ってください」と添えれば、字幕に流用しやすい短文に整います。
ChatGPTは動画そのものを自動生成するツールではありませんが、企画・台本・画像素材という制作の土台部分を大幅に効率化できるアシスタントです。
GPTsを活用すれば、構成案からそのまま動画化まで進める選択肢も広がります。
無料プランでも企画から画像素材作成までを完結できるため、まずはコストをかけずに台本作りから始めてみてください。著作権や利用規約のリスクを事前に押さえておけば、安心して動画作成にChatGPTを取り入れられます。
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