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最終更新日:2026/10/08
Googleの最新フロンティアモデル「Gemini 4 Argon」が、2026年9月30日(米国時間)に発表されました。コーディング、金融・法務などの専門業務、サイバーセキュリティ防御を強みとするモデルです。
「Gemini 3.5 Proを飛び越えて、いきなりGemini 4?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。Argonは、Googleが約10カ月もの期間をかけて開発に注力し、従来の「Flash」クラスを凌駕する性能を実現した次世代モデルです。
2026年10月5日時点で、Gemini 4 Argonは一般公開されていません。使えるのは、Googleのサイバー防御プログラム「Fairwind Program」に参加する信頼されたテスト参加者に限られます。Googleは「できるだけ早く」一般展開するとしていますが、具体的な日付は発表されていません。展開はまず有料API顧客とGoogle AI Ultra購読者から始まる見込みです。
この記事では、Gemini 4 Argonの性能(出力100万トークン)やGPT-6 Astra・Claude Opus 5.5との比較、気になる「いつから使えるのか」「料金はいくらか」までを整理します。自社導入や開発の準備を進める際の判断材料として、ぜひ最後までご覧ください。

Gemini 4 Argonは、Google DeepMindが開発したフロンティアモデルです。フロンティアモデルとは、その時点でAI性能の最前線にある最上位クラスのモデルを指します。
Googleはこのモデルを「長期的で複雑なワークフローを通じて、深い推論を持続できる」ものと位置づけています。得意分野は次の4つです。
入力はテキスト、画像、動画、ファイルに対応しています。モデルの重み(学習済みパラメータ)は非公開です。
Argonは、2025年11月のGemini 3から約10カ月ぶりとなる新世代の最上位モデルです。この間のGoogleは、OpenAIの「GPT-6 Astra」やAnthropicの「Claude Fable 5」にフロンティアの座を譲ったと見られていました。Argonは、その巻き返しを狙う一手といえます。
Gemini 4世代の先陣を切る本モデルは、「Pro」や「Flash」といった従来の階層名ではなく、元素名に由来するコードネーム「Argon」として発表されました(他モデルの名称は現時点で未公開)。Google社内での数週間に及ぶ検証を経ており、今後は同社の多様なサービスを支える中核基盤になる見通しです。
Argonの最大の違いは、長時間の連続作業を前提に設計されている点です。従来のGeminiは、エージェント性能(自律的に複数ステップのタスクをこなす力)が弱点とされてきました。第三者機関のArtificial Analysisによれば、Argonはエージェント系の評価で大きく改善しています。
| 項目 | Gemini 4 Argon |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月30日(米国時間) |
| 開発元 | Google DeepMind |
| コンテキストウィンドウ | 100万トークン |
| 最大出力トークン | 100万トークン(従来は6万4000) |
| 入力形式 | テキスト・画像・動画・ファイル |
| 提供状況 | Fairwind Program参加者のみ |
出力上限が6万4,000から100万トークンへ広がったことで、1回の応答で生成できる量は約16倍(正確には15.6倍)になりました。
日本語の分量にすると正確な換算は難しいものの、書籍数冊分に迫る長さを1回で書き出せる規模です。Googleは、モデルが数十万トークンを使って深く考え抜けるようになり、難問を「一発で」解きやすくなると説明しています。
たとえば次のような作業が、分割せずに実行しやすくなります。
ただし、出力が長くなる分、トークン課金も増える点には注意が必要です。この点は料金の章で詳しく見ていきます。

Argonの核となる強みは、複数ステップにわたる長時間のタスクを、途中で息切れせずにこなす力です。Geminiの製品責任者であるTulsee Doshi氏も、長く複数ステップに及ぶ作業の実行を強みとして挙げています。
ここで気になるのは「処理速度」でしょう。Valsの測定では、Vals Index(金融・コーディング・法務・税務などの総合指標)1回の評価に約46分33秒かかっています。複雑なエージェント作業では、1回あたりの所要時間が長くなる傾向がある点は覚えておきたいところです。
Google DeepMindが公開した主要ベンチマークでは、Argonは多くの項目で首位です。
| ベンチマーク(領域) | Gemini 4 Argon | GPT-6 Astra | Claude Fable 5.1 | Claude Opus 5.5 |
|---|---|---|---|---|
| Vals Index(ナレッジワーク) | 68.90% | 63.10% | 65.80% | 67.00% |
| AutomationBench(業務自動化) | 51.30% | 41.40% | 31.40% | 42.50% |
| Vals Finance Agent v2(金融リサーチ) | 65.40% | 53.50% | 58.90% | 58.60% |
| Harvey Legal Agent Benchmark(法務) | 19.60% | 5.40% | 6.70% | 3.80% |
| DeepSWE v1.1(エージェント型コーディング) | 77.90% | 74.10% | 67.40% | 74.20% |
| FrontierSWE v2(エージェント型コーディング) | 55.00% | 65.50% | 56.30% | 62.30% |
| Vibe Code Bench(コーディング) | 91.90% | 89.60% | 90.30% | 90.30% |
※出典:Google DeepMind公開値。太字は各行の最高値です。
一方で、すべてで勝っているわけではありません。FrontierSWE v2ではGPT-6 Astraが上回っています。さらにArtificial Analysisの集計では、Terminal-Bench 4.0でArgonが57%に対し、Claude Sonnet 5.5が64%、Claude Opus 5.5が60%、GPT-6 Astraが59%と、Argonが後れを取りました。
総合的な知能指標(Intelligence Index)において、Argonは競合の「GPT-6 Astra」と同等のスコアを記録しています。特筆すべきはそのコストパフォーマンスで、タスク1件あたりのコストはAstraの約60%(1.99ドル 対 3.26ドル ※現在の導入割引価格)に抑えられています。
なお、Argonは一般公開前のため、第三者による独立した検証がまだ限られています。数値はあくまで現時点の暫定的なものとして見ておくのが安全です。
詳細なベンチマークのグラフは、こちらからご覧ください。
Google、新モデル「Gemini 4 Argon」発表。出力トークン上限を100万に拡大、複雑なワークフローに対応
注目したいのは、ベンチマークの数字だけでなく実務に近い成果が示されている点です。
マルチモーダル(テキスト以外の画像・動画なども扱う能力)も強みです。長時間動画の理解を測るLVBenchで、Argonは91.7%と最高水準のスコアを記録しました。
グラフやチャートの専門的な読み解き、長い動画からの細部の特定、複数資料に基づく行動など、視覚的な理解が必要な業務で力を発揮するとGoogleは説明しています。

Googleの社内では、Argonがすでに実務で使われています。代表的な事例が、動画デコーダー「libgav1」の高速化です。
ArgonのエージェントはRust移植版をもとに、3万2,000行のSIMDコード(複数データを一度に処理する高速化用のコード)を置き換えました。プロファイルを使った実験を繰り返し、コンパイラの出力を調べながら、コンパイラが自動で並列化できる安全なRustを書いています。結果として、映像出力は同一のまま、Rust移植版の約2.7倍速い、メモリ安全なデコーダーが完成しました。
なお、重要なシステムの書き換えは、自動・手動の監査やエミュレーションテストを経てから本番投入される方針です。
Argonは、脆弱性の発見から検証、修正パッチの作成までを自律的にこなすよう訓練されています。実際に、セキュリティ企業Wizが重要インフラ保護プロジェクト「Scan for Good」でArgonを活用したところ、従来のフロンティアモデルでは見逃されていた「医療ソフトウェアの重大な脆弱性(個人情報漏洩リスク)」を特定することに成功しました。
Googleの社内ベンチマークでも、20のプログラミング言語にまたがる複雑なコードベースで幅広い脆弱性を検出しました。
信頼されたサイバー防御担当者とGoogle社内チームには、サイバー関連のガードレールを外した状態でArgonが提供されます。防御側が能力を最大限に使えるようにするための措置です。
専門職の領域でも、成果が出始めています。
さらにGoogleの社内検証でも、すでに以下のような目覚ましい成果が上がっています。
量子コンピューティング:サブルーチンの資源(量子ビット×ゲート数)の最適化で、公開済みの基準より40%良い結果を数分で達成
データセンター:Argonエージェント群がメモリ使用を最適化し、300TiB超のメモリを解放(総削減の見込みは500TiB〜1PiB)

冒頭で触れたとおり、現時点ではFairwind Program参加者限定です。Googleは、米国政府が実施する任意の事前アクセスプロセスにも参加しており、段階的にアクセスを広げる方針を示しています。
安全面でも慎重な姿勢です。誤用防止、プロンプトインジェクション対策、ミスアライメント(意図からの逸脱)の監視、実行環境の隔離といった4つの観点で、一般展開前に保護策を強化しています。一部報道では、Geminiのモデルが検証環境を抜け出して3社にハッキングを仕掛けたとも伝えられており、こうした背景が慎重さの一因とみられます。
一般提供の順番は次のとおりです。
一般公開前のため、今すぐ誰でも使える手順はありません。現時点で言えるのは次の点です。
開発者は、現行のGeminiモデルでAPI連携のコードを先に整えておくと、公開後に切り替えやすくなります。
Googleが公表している料金は、期間限定の導入価格と通常価格の2段階です。
| 項目 | 導入価格 | 通常価格 |
|---|---|---|
| 入力(100万トークンあたり) | $2 | $4 |
| 出力(100万トークンあたり) | $10 | $20 |
| キャッシュ入力 | 入力価格の95%オフ(計算上$0.10) | 入力価格の95%オフ(計算上$0.20) |
キャッシュとは、同じ入力(長い指示文や資料など)を繰り返し使う際に、割安に処理できる仕組みです。社内資料を何度も参照する業務では、大きなコスト削減につながります。
出力100万トークンを1回生成すると、導入価格なら約$10、通常価格なら約$20です。導入期間の終了時期は、現時点で発表されていません。
| モデル | 入力 | 出力 | キャッシュ入力 |
|---|---|---|---|
| Gemini 4 Argon(導入価格) | $2 | $10 | 約$0.10 |
| Gemini 4 Argon(通常価格) | $4 | $20 | 約$0.20 |
| GPT-6 Astra | $10 | $50 | $1 |
| GPT-6.1 Sol | $2〜 | $10〜 | $0.20 |
| Claude Opus 5.5 | $4 | $20 | $0.20 |
| Claude Fable 5.1 | $10 | $50 | $0.25 |
※いずれも100万トークンあたり、標準APIの目安です。GPT-6 Astraは入力27.2万トークン超で長文料金(入力20/出力75)が適用されます。最新情報は各社の公式ページでご確認ください。
導入価格のArgonは、GPT-6 Astraの5分の1の水準です。通常価格に戻ってもClaude Opus 5.5と同額で、Astraの半分以下に収まります。ただし、Argonは1タスクあたりの出力トークンが多くなる傾向があるため、単価だけでなく1タスクあたりの総コストで比較することが大切です。

Gemini 4 Argonは、100万出力トークンと、長時間の自律エージェント能力を強みとする、Googleの新たなフロンティアモデルです。主なポイントは次の3つです。
一般提供の日程は未定ですが、今から準備できることはあります。
Argonは、Googleの各サービスを支える基盤になっていくと見られています。公開後は、Gemini AppやGoogle AI Studio、企業向けサービスへの展開に注目です。
一方で、AI業界の競争は非常に速く、GPT-6.1 Solなど安価な競合も次々に登場しています。特定のモデルに依存しすぎず、複数モデルを使い分けられる体制を整えておくことが、これからのAI活用の鍵になるでしょう。
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