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【インタビュー】求人原稿の外注コストはゼロに。ディップが実践する全社AI活用――アンバサダー制度と「点から線」の自動化

最終更新日:2026/08/20

ディップ AI活用で業務自動化

求人情報サイト「バイトル」などを運営するディップ株式会社は、RPAによる業務自動化から生成AIの全社展開まで、人材業界の中でもいち早くAI改革に取り組んできた企業です。各部署に「アンバサダー」を配置する独自の推進体制により、2025年だけで約5万時間の業務時間を削減し、求人原稿の外注コストをゼロにするなど、大きな成果を上げています。

今回は、同社の執行役員 BizOps本部 本部長として全社のAI展開を統括する進藤圭氏に、AI活用の原点から、アンバサダー制度の設計思想、AIエージェント時代の「点から線」の自動化、そして失敗から学んだツール選定の考え方まで、詳しくお話を伺いました。

RPAから始まったAI活用の原点

業務を「まるっとAI化」するのがミッション

―― 本日はよろしくお願いします。まずは、進藤さんの現在の役割について教えてください。

―― 進藤氏
全社のAI展開ですね。業務をまるっとAI化するというのが私のミッションです。業務プロセスからオペレーションまで含めて、それを「いかにAIで効率化していくか」がすべてです。

―― これまでのご経歴についても伺えますか。

―― 進藤氏
2006年に新卒で入社しまして、その後、新規事業で「ナースではたらこ」という事業を立ち上げました。それからアプリの開発企画に移り、「聖地巡礼マップ」のような新規事業をいろいろ立ち上げています。RPAで知っていただいているような社内の自動化も新規事業として始めて、その後にそれを外販する事業としてDX事業を始めました。

その商材を獲得するために、AI専門メディア「AINOW」を立ち上げるとともに、AIスタートアップを支援するアクセラレーションプログラム「AI.Accelerator」も始め、現在も継続しています。メディアの責任者を経て、今は「まるっとAIをやりたい」と思い、オペレーションとAIの責任者を務めています。

※RPA(Robotic Process Automation):これまで人がPC上で行っていた定型作業を、ソフトウェアロボットで自動化する技術。

―― AIとの最初の接点は、どこだったのでしょうか。

―― 進藤氏
一番古いのは、2006年ごろにクローラーを扱う事業に新卒として入社したことですね。自然言語処理を使っていたのですが、当時は精度が低くて、分類を間違えてしまう。それを派遣スタッフのチームが再分類してタグ付けし直していました。「これは大変だ」ということで自動化を入れたのが、私の最初のAIとの接点です。

情報がないなら自分たちで作る──AI専門メディアとアクセラレーター

RPAでの「つまずき」がメディア立ち上げのきっかけに

―― AI専門メディア「AINOW」を立ち上げた背景を教えてください。

―― 進藤氏
2014年か2015年くらいに立ち上げたのですが、きっかけはRPAで、RPAは処理に失敗することがあります。失敗した処理を復旧するために、高度な画像認識を活用できないか、判断の自動化ができないか、というところからAIの研究を始めたのですが、どこにも情報がなかった。それなら情報を集めたメディアを自分たちで作ってみよう、みんなも欲しいよね、というところから始まりました。

当時の主戦力はインターン生でした。AIで何かを作ったことがある人はほとんどいなかったので、実際に自分たちでコードを書かせながらライティングをする。ニュースを発信しつつ、経営者の方へのインタビューにも行っていましたね。

―― メディアを立ち上げて、よかったことは何でしたか。

―― 進藤氏
コミュニティができたことですね。当時はほぼエンジニアか、大学の先生などアカデミックな方ばかりの小さな世界でしたが、AIの情報を持っている方たちとの人脈ができたことが非常に大きかったです。

―― 投資事業は、どのように始まったのですか。

―― 進藤氏
AIアクセラレーターを始めたのは2017年です。メディアの取材の過程で、AIスタートアップがたくさんあることに気づいたんです。学生たちがインターンをしているのも大体そういった会社で、「これはマーケットになろうとしているんだな」と。

プロダクトは自分たちでは作れないから、スタートアップに作ってもらって、我々が営業力になろうじゃないか、という取り組みで、まずはアクセラレーションプログラムとしてスタートした形です。

人材業界でAI活用が進みにくかった背景──ディップが踏み込めた理由

成長の理由はすべてテクノロジー

―― 当時、人材業界各社のAIへの取り組みはいかがでしたか。

―― 進藤氏
早い会社はずっと前からやられていました。ただ、やはり「人」とのコンフリクトが大きくて、取り組みが途中で止まってしまうことを繰り返していた印象です。人材紹介業や派遣業など、人でマッチングしている領域を持っている会社は入りづらかった、というのは皆さん口をそろえておっしゃいます。

それに当時は、労働人口が今のように明らかに減ってはおらず、まだ横ばいくらいだった。AIで解決するよりも、人手をかける方がまだ押し切れたんですよね。今は減っているので、労働集約のままではまずいという危機感があります。

―― その中で、ディップが踏み込めたのはなぜでしょうか。

―― 進藤氏
我々は当時、人材派遣などの人が介在するマッチング領域をそれほど持っていなかったので、思い切って踏み切れた、というのがあります。それに、我々が成長した理由はすべてテクノロジーなんです。第一の波が携帯電話、第二の波が2010年代のスマートフォン、第三の波が2015年頃のアプリ。そして今がDX・AIです。新しいものを自然と試す、やってみる、という文化があります。

創業者がまだいる会社なので、新しいことや事業を作るということにカロリーを燃やせる、というのも大きいと思います。

―― 営業体制にも特徴があると伺いました。

―― 進藤氏
求人業界は代理店販売がほとんどなのですが、うちは約2,000人の直販営業を雇っている、少し変わった会社なんです。求人とDXという両商材を自分たちで売れるのが強みです。ただその分、生産性が上がらないと、我々自身が労働集約で苦しくなる。だから「自動化しないと死ぬ」というのが根っこにあります。

各部署に1人ずつ──「アンバサダー制度」でAIを全社に広げる

小さく始めて、いけそうなら仕組みにする

―― ここからは、全社的なAI推進の体制について伺います。現在の体制は、いつ頃、どのように形になったのですか。

―― 進藤氏
もともとRPAとDXの推進で「アンバサダー制度」という仕組みをやっていたんです。トレンドとなる技術を推進する人を各課に1人ずつ置くもので、一番最初はRPA、次がSlack、その後がAIです。全社で約200名くらいの制度で、始めたのは2019〜2020年くらいでした。

DXがある程度進んで、次はAIだ、というタイミングでAI推進の組織「dip AI Force」を作り始めたのですが、そこにちょうど生成AIが出てきた、という流れです。

※dip AI Force:ディップが2023年8月に始動した、AI活用による生産性向上を推進する全社横断プロジェクトチーム。

―― アンバサダーは自然発生的なものですか、それとも任命制なのでしょうか。

―― 進藤氏
2種類あります。多くの場合、まずSlackで「こういう活動を始めるよ」「こういう面白いものがあるんだけど」と勝手に始めるんです。最初に集まるのは3人とか5人の有志です。だいたい毎回顔ぶれは同じで、情報感度の高いメンバーですね。

そうやってスモールにやってみて、「これはいけそうだね」と思ったタイミングで制度化します。そこからは任命です。横展開できる部分を会社の仕組みにしていくのが、私の役割だと思っています。

―― アンバサダーには、どのような方を選んでいるのですか。

―― 進藤氏
決めているルールがあります。一つは、スマホやソーシャルゲームなどのテクノロジーが大好きなこと。もう一つは、技術を使った効率化が好きなこと。そして、コミュニティや飲み会が好きなアクティブな人であることです。アンバサダーはコミュニケーターになるので、各課の課長に「こういう人がいたら選んでください」と伝えています。

うちは営業組織の分母が非常に大きいので、アンバサダーのほとんどは営業です。技術職のメンバーについては、制度がなくても自分でやるだろう、という感覚ですね。

―― 手当のようなものはあるのでしょうか。

―― 進藤氏
ないです。やってくれている理由は、自分の組織でみんなでワイワイやる楽しさと、自分が一番最先端の技術を引っ張っているという感覚です。イベントで表彰されて、みんなから「いいね」と言われることもモチベーションになっていると思います。

それに、営業には基本的にナレッジシェアのカルチャーがあるんですよね。求人の事例共有は普段からよくやっているので、その中にテクノロジーが入っていくイメージです。

―― 任命した後は、まず何から始めるのですか。

―― 進藤氏
「アンバサダーオリエン」をやっています。集まってもらい、なぜアンバサダーが必要なのか、どんなメリットがあり、何をゴールにやっていくのかを説明します。その後は毎月15分程度の簡単な会議を行い、共通のナレッジをSlackのチャンネルに集めていきます。

チームの中で自主的に回るようになったら会議の頻度を減らして任せていきますし、役割が終わったら解散する、というくらいの感覚です。中央でずっと統制するものではありません。

―― 推進にあたって、会社としてはどのようなメリットを描いていたのでしょうか。

―― 進藤氏
一言で言うと、人がやらなくてもいいタスクをAIに移すことで、人の配置を変えられるだろう、ということです。営業の事務時間は、どの会社でも1日のうち40%くらいと言われます。本来は営業をしている時間が一番楽しいはずなのに、多くの時間が移動や事務に取られている。営業に集中できる環境を作れたら面白いだろうな、というところから始まっています。

一方でスタッフ職に対しては、2020年頃から「10年後、この仕事はないからね。次はAIという武器を持って違う仕事をしよう」と明確に伝えています。刺激的な言葉ですが、嘘をついてもしょうがないので。

求人原稿の外注コストはゼロに──2025年だけで約5万時間を削減

残ったのは「一次情報を取りに行く」仕事と「選ぶ」仕事

―― 実際の成果について、定量的に教えていただけますか。

―― 進藤氏
定量で申し上げると、2025年だけで約5万時間、人数にして20人分くらいの業務時間がなくなっています。求人原稿の制作はかつて年間4〜5億円規模で外注していましたが、この外注コストは現在ゼロになっています。ほかにも、これまで40分ほどかかっていた契約関連の作業が3分程度でできるようになるなど、さまざまな成果が出ています。

―― 原稿制作業務が大幅に減った一方で、人に残った仕事は何でしょうか。

―― 進藤氏
一次情報を取りに行く仕事が残りました。AIが原稿を作ると、誰でも同じような原稿になってしまうんです。だからこそ、お客様のところに実際に行って、本当に困っていることや現場の実態を聞いてくる。その一次情報を取りに行くところが仕事になっています。

もう一つは「選ぶ」仕事です。AIはいろいろな原稿の方向性を出してくれますが、それを選ばなければいけない。ディレクターの仕事ですね。

―― 原稿制作を担っていた方々は、どうされたのですか。

―― 進藤氏
スキルを身につけて職務を変えてもらうしかありません。うちの場合は「お客様のところに行く」という仕事があります。テクノロジーが分かって、求人が分かって、クリエイティブの制作提案や運用ができる人材に育てて、既存の営業とセットでお客様に対面する時間を増やしています。

クライアント企業のAI活用と、変わる採用の現場

中小企業には「業務の切り出し」から提案する

―― 続いて、クライアント側に目を向けます。求人を出稿する企業のAI活用は進んでいますか。

―― 進藤氏
弊社のお客様はブルーカラー領域の職場や中小企業(SMB)が中心なのですが、正直、AI活用はまだそれほど進んでいません。中小企業はスケールメリットが出ないので、何千人で一気に効率化する、ということができないんです。

また、ブルーカラーの職場では、音がうまく取れない、映像が暗すぎるなど、AIが活躍できない環境が多すぎる。フィジカルな要素が多く、それを直すくらいなら人を雇った方が安い、というのが現状です。

―― では、そうした企業の人手不足には、どう向き合っているのでしょうか。

―― 進藤氏
人を確保するのが難しいことは皆さん理解されているので、業務をどう切り分けるかを提案しています。採用する年齢層を上げてみる、シフトを変えて主婦の方に入ってもらう、昔は一人が6時間働いていたところを2〜3時間で区切って複数人で回すワークシェアリングのような形にする、といったやり方です。

普通の求人の出し方では採用できないので、我々が入って業務の切り出しを行い、「レギュラーの業務はこの人に、残る部分はスポットで」というご提案をしています。65歳でも働ける方はたくさんいますし、時間も1〜2時間でもいい、という世界になってきています。

―― 採用の現場では、AI面接なども話題です。浸透状況はいかがでしょうか。

―― 進藤氏
一番早いのは新卒採用です。人気企業では応募が集中したりしてマッチングがテーマになる領域だからですね。何千人、下手をすると万単位の応募者に対してAI面接を実施できます。もう一つは、地方の学生さんなど、対面の機会を持ちにくい方への機会提供という側面もあります。

一方で、中途採用は人手不足なので「そんなことは言っていられないから面接に来てください」と電話をかける、という企業もあり、今は混在していますね。ただ、人と話すよりAIと話す方が楽だという方も増えています。コールセンターがAIで対応するのが当たり前になってきたのと同じことが、採用の現場にも起きていくと思います。

「点から線へ」──AIエージェント時代の業務自動化

単業務のAIから、業務を完結させるAIへ

―― ここからは、現在の取り組みについて伺います。いま社内で特に注力していることは何でしょうか。

―― 進藤氏
自動化率を上げる取り組みです。2024年頃までは、いわゆる「点のAI」、単業務のAIだったんです。お客様へのヒアリング内容をまとめるAIがいて、その隣に原稿を作るAIがいる、というように。2025年から2026年にかけては、これらの作業をつなげ、業務を完結させる方向に移っています。

点のAIは、その人の業務の30%を代替する程度なので、成果が大きくなりにくい。工程をまるごとつないでしまえば、業務自体が変わります。「点から線へ」ですね。つなげる手段はAIエージェントだけではなく、RPAも使います。自動化とは、そういうものなので。

―― AIに任せてはいけない業務はありますか。

―― 進藤氏
そもそもお金に関することは任せません。あとは、分岐や処理が複雑すぎるもの、そしてルールが決まっていないものですね。逆に言えば、マニュアル化・ルール化できている業務は、どんどん自動化を進められます。

RPAと違うのは、RPAではIF(条件分岐)をきっちり書き分けないといけなかったのが、IFの揺らぎをAIで吸収できるようになったことです。多少の誤差があってもスコアが近ければこちらに進める、というように、かなり楽になりました。

―― ツール選定では、失敗もあったと伺っています。

―― 進藤氏
最初は高度なAIエージェントツールを使って作ったのですが、とてもじゃないけれどメンテナンスできないし、ブラックボックスになってどうしようもない、という話になりました。RPAのときと同じで、ブラックボックスをたくさん作ることになるからやめよう、と。生成AIのAPIも使っていましたが、トークンのコストがどんどん上がっていく。

それなら、コストを抑えられて、作れる人も多いGASから作り始めるのがいい、ということでGASを書き始めました。さらに、Webのツールやサードパーティとつなぐことを考えるとn8nを使った方が楽なので、今はn8nも使い始めています。

※GAS(Google Apps Script):Googleが提供する、スプレッドシートなどGoogleのサービスを自動化・連携できるスクリプト環境。
※n8n:さまざまなWebサービスをつないで業務フローを自動化できるワークフロー自動化ツール。

―― 生成AIのモデルは、何を使っているのですか。

―― 進藤氏
ChatGPTもGeminiもClaudeも使っています。社内環境としては、認証系はMicrosoftで、カレンダーやメールはGoogleという、両方を使っている形です。

―― 最近、面白いと感じたAIツールやサービスはありますか。

―― 進藤氏
GeminiのCanvasはすごく良かったですね。アプリのモックが作れるので、これまで難しかった「動くもので話す」ことができるようになりました。ノーコードの感覚でモックを作らせて、それをもとにGASで実装し直す、という作り方ができる。ブラウザ上でコーディングして、デモデータで現場に触ってもらい、「こういうことだよね」と確認できたら、GASで実装し直す。エンジニア以外の人がそれをできる状態になったのが革命的でした。

コンソール画面、いわゆる黒い画面への拒否感を飛ばせるのも大きいです。それに、自律型のAIエージェントツールはセキュリティの問題で入れられない会社がほとんどですが、当社の利用環境では、Gemini上で完結できる点も重要だと考えています。

―― これからAIを始める中小企業には、何をおすすめしますか。

―― 進藤氏
「とりあえずスマホを配ってください」とお話ししています。Android端末であれば、契約条件によっては1人あたり月1,000円程度から用意できます。その上で、まずGoogleのスプレッドシートから始めてください、と。対象プランを利用していれば、スプレッドシート上でもGeminiを活用できます。毎日使う環境に置けば、人は自然と便利な機能を使うようになります。それが最も始めやすく、コストも抑えやすい方法だと思います。

日本のAIの可能性──テキストの豊富さとAIネイティブ世代

5年後、AIが「浸透している」世代が社会に出てくる

―― 国内のAIの現状や可能性については、どう見ていますか。

―― 進藤氏
日本はテキストに異様に強い国だと思っています。X(旧Twitter)を見ても分かるとおり、テキストデータがとんでもなく豊富にある。文字の領域に関しては、今後も伸びていくのではないでしょうか。

一方で、日本語には2万種類くらいの文字があります。アルファベットは26文字しかないので、海外と比べるとここが一番大きなハードルで、DXを阻む壁でもありました。ただ、現状の生成AIはその壁をもう超えてしまっているので、処理の面ではそれほど問題にならないと思います。日本は利用頻度も高いので、新しい使い方を見つけていくことが日本の強みになるはずです。

―― 今後、AI活用はどのように変わっていくと思われますか。

―― 進藤氏
AIネイティブな世代が、あと5年ほどで社会に出てきます。今の学生は、AIを使ってデートの場所を調べたり、LINEの返信をAIに考えさせたり、ということを当たり前にやっているんですよね。僕らの世代がGoogleに聞くのが当たり前だったように、彼らはAIに聞くのが当たり前。AIを使うことを意識しなくても、AIが浸透している状態になります。

そして過去を振り返ると、日本はそうした技術がエンタメの世界に広がっていくのが特徴です。ゲームもアニメもそうでした。初音ミクのような、大きなAIコンテンツIPが生まれるのではないかと楽しみにしています。

失敗も共有する「ファーストペンギン」であり続ける

まずは半径5メートル以内の業務から

―― 進藤さんは展示会やセミナーへの登壇など、積極的に情報発信をされています。その理由を教えてください。

―― 進藤氏
三つあります。一つは、「ディップにはこういう取り組みがあるんですよ」と知っていただき、当社の営業に聞いてもらうこと。二つ目は、我々がお客様の代わりに「試すファーストペンギン」であることです。どんどんやってみて、うまくいったこと、いかなかったことを共有するのが大事だと思っています。三つ目は仲間集めです。同じことをやりたい人は世の中にたくさんいるので、一緒にやりましょう、と。

その集大成がDX事業です。我々がやってみて、うまくいったものだけを基本的にお客様にお渡しし続ける。先端のプロダクトではなく、実績があって「枯れている」ものを大事にしています。新しいものをこれから始めるお客様に入れると必ずつまずくので、こけなくていいものから使っていただくんです。

―― 最後に、これからAI活用を始める企業へメッセージをお願いします。

―― 進藤氏
まず、小さくやってみてください。実はハードルはすごく下がっていて、皆さんスマホの予測変換で毎日AIを使っているんですから。いきなり会社全体の業務から考えず、自分の半径5メートル以内の業務、デスク周りから始めてください。議事録をまとめる、メールに返信する、そういった業務からで良いんです。最初から大きく構えると始めるだけでも大変という話になってしまいますから。

まとめ

RPAでの「つまずき」を原点に、AI専門メディア、アクセラレーター、そして全社横断の推進体制へ。ディップのAI活用は、常に「情報がなければ自分たちで作る」「小さく試して、いけそうなら仕組みにする」という一貫した姿勢に貫かれていました。各部署に配置されたアンバサダーが現場を巻き込み、求人原稿の外注コストゼロ、年間約5万時間の削減という成果に結実しています。

そして現在、同社の取り組みは単業務を効率化する「点のAI」から、業務全体を完結させる「線のAI」へと進化しています。「まずは半径5メートル以内の業務から」という進藤氏の言葉は、これからAI活用に取り組む企業にとって、多くのヒントを与える言葉といえるでしょう。

AIsmiley編集部

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