生成AI

最終更新日:2025/05/15
自社でもAIを利用したサービスを新しく開発したいけれど、さまざまなモデルの特徴やプロンプトに対する反応の全体像がつかめず悩んでいる人はいませんか?
AIを利用したサービスを作るためには、モデルの特性を理解し、ユーザーが入力したプロンプトに対してどのような応答が返ってくるのかを事前に検証することが重要です。
この記事では複数のAIモデルを実験できる空間、Google AI studioについて詳しく解説します。
Google AI studioとは、Googleが提供するAI開発向けの実験環境で、さまざまなAIモデルにプロンプトを入力しその応答の違いを比較できます。
コードの知識が必要ないため、エンジニアに限らず開発に関わる複数の職種の人たちがAIモデルごとの出力の違いを比較することができるのです。
このことからモデルとプロンプトの最適な組み合わせを見つけ、よりユーザーのニーズに合ったサービスを開発することができるでしょう。
Google AI studio
Google AI Studioはクラウド上ですべて完結するサービスのため、以下の手順で簡単に始められます。
すでにGoogleアカウントを持っている人は新たに作成する必要はないため、Google AI StudioにアクセスすればすぐにAI開発を開始できるのです。
参考:Google AI for Developers「Google AI Studio のクイックスタート」
Google AI studioではどのようなことができるのでしょうか。
3つご紹介します。
Google AI studioではAIに「会話」をさせるためのプロンプトを実験することができます。
プロンプトというと、AIにしてほしいことを簡潔に伝えるための命令文をイメージする人が多いかもしれません。
しかしGoogle AI studioでは、これをユーザーとAIの会話形式(ターン制)で入力することができ、この形式を「チャットプロンプト」と呼んでいます。
チャットプロンプトでは、会話の流れそのものを設計してGeminiなどのAIがどのような回答をするかを観察できるため、ユーザーの会話体験をデザインしやすくなるでしょう。
AIにプロンプトで指示をする際、文章だけでは内容を表現するのが難しい場合があります。
そんな時に表やフレームワークのような「構造を持った形式」で指示を出す方法が、構造化プロンプトです。
Google AI studioでは構造化プロンプトのサンプルを入力してAIがどのような回答をするかを実験できるため、より複雑な質問に対して精度の高い回答ができるツールの開発に役立つでしょう。
Google AI studioではチューニングという手法を使用して、AIモデルが特定の方法や方向性で動作するように調整することができます。
通常チューニングをするにはGemini APIを使ってサービスとモデルをつなぐ必要がありますが、Google AI studioではその設定は不要です。
ただしGoogle AI studioでチューニングをするには、Google Cloud Platformの有料サービスを利用する必要があります。
モデルのチューニングは、計算リソースをたくさん消費する処理であるためコストがかかってしまい、無料でサービスを提供するのが難しいのです。
Google AI studioでチューニングをすると、例として以下のようなことができます。
既存のモデルでは自社の開発したいサービスに合わないと感じたら、チューニングをして実験するのがおすすめです。
参考:Google AI for Developers「Google AI Studio のクイックスタート」
Google AI studioで使用できるモデルは以下の通りです。
モデルの種類 | 概要 | 入力 | 出力 |
Gemini 2.5 Pro プレビュー |
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Gemini 2.0 Flash |
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Gemini 2.0 Flash-Lite |
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Gemini 1.5 Flash |
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Gemini 1.5 Flash-8B |
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Gemini 1.5 Pro |
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Gemini エンベディング |
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Imagen 3 |
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Veo 2 |
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Gemini 2.0 Flash ライブ |
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特徴と、開発したいサービスでの入力・出力にあわせてモデルを選ぶと効率的に開発ができるでしょう。
参考:Google AI for Developers「Gemini モデル」
Google AI stusioの使い方をご紹介します。
チャットプロンプトは以下の手順で試すことができます。
使いたいモデルにカーソルを合わせると、開発したサービスでそのモデルを使用した場合の料金が事前に表示されるようになっているため、費用が気になる人はチェックしてから選びましょう。
構造化プロンプトは以下の手順で試すことができます。
「構造化された出力」のトグルスイッチをONにすると、Geminiが出力をJSON形式のように整えてくれるため、データの連携がしやすくなるでしょう。
Google AI studioでモデルをチューニングする手順は以下の通りです。
データに含まれるサンプルについては、本番で実際にやりとりするデータ(ユーザーの質問や入力の形式、内容)と似たようなサンプルを使ってチューニングしましょう。
サンプルの内容が実際のデータとかけ離れていた場合、モデルは望ましい回答を生成できなくなってしまいます。
またサンプル数は最低20個あればよいのですが、よりチューニングの精度を高めるためには100個〜500個準備するのが望ましいでしょう。
もしGoogle Cloud Platformの有料サービスを利用していない場合、メニューに「New tuned model」が表示されないため注意が必要です。
参考:Google for Developers「Google AI Studio または Gemini API で Gemini Pro をチューニングする」
参考:Google AI for Developers「Google AI Studio のクイックスタート」
Google AI studioは無料で使えますが、使えるのは「Google AI Studio と Gemini API を利用できるリージョン」というページに記載された国と地域に限られます。
そのため海外でGoogle AI studioを使用したい場合、まず上記のページに含まれているかどうかを確認しましょう。
またGoogle AI studioの機能の中でも、モデルのチューニングをしたい場合はGoogle Cloud Platformの有料サービスの契約が必要です。
Google AI studioを使いたい地域と機能を事前に確認しておくと、かかる料金が明確になるでしょう。
参考:Google AI for Developers「Gemini Developer API の料金」
Google AI studioの利用規約は、Google AI for Developersの「Gemini API 追加利用規約」というページに集約されています。
更新されるとページの一番上に更新された内容が表示されるため、その部分を確認するようにしましょう。
利用規約の中で必ず目を通しておきたいのは以下の部分です。
AIを使用する上での一般的な注意事項も含まれますが、企業の場合Google AI studioを使って競合サービスを作ると規約違反になるので十分注意しましょう。
また入力するデータに個人情報が含まれないようにするのは必須ですが、AIの機械学習に利用されるというのも覚えておきましょう。
Google AI studioは、Googleが定める利用規約にあらかじめしっかりと目を通し、違反行為のないよう注意しながら使うことが大切です。
参考:Google AI for Developers「Gemini API 追加利用規約」
Google AI studioとは、Googleが提供するAI開発向けの実験環境で、さまざまなAIモデルにプロンプトを入力しその応答の違いを比較できます。
ほとんどの機能が無料で利用でき、クラウド上ですべて完結するためたくさんの試行を繰り返せるのが大きなメリットだと言えるでしょう。
この記事も参考にして、ぜひGoogle AI studioを積極的に活用してみてください。
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