Claude 3.5 Sonnet(ソネット)とは?新機能や使い方・活用事例9選を解説
最終更新日:2024/09/10
Anthropic社は、2024年6月21日に最新AIモデルである「Claude 3.5 Sonnet」を公開しました。「Claude 3」からアップデートされ、最上位モデルであるOpusに比べて2倍の処理スピードを低コストで実現しています。マルチモーダルの高速処理が可能で、LLMにおけるAI技術に新たな基準をもたらすと期待が集まっています。
本記事では、Claude 3.5 Sonnetの概要や使い方、料金体系、GPT-4oやGeminiなど他のLLMとの比較について解説します。Claude 3.5 Sonnetの活用例も紹介しますので、最先端のAIツールの特性を理解し、自社における生成AIの活用を検討する際にぜひ参考にしてください。
Claude 3.5 Sonnet(ソネット)とは
Claude 3.5 Sonnet(クロード 3.5 ソネット)は、2024年6月21日、アメリカのAnthropic社からリリースされた生成AIツール「Claude」シリーズの最新モデルです。
前モデルのClaude 3.5 Opusを超える性能を備え、Claudeが得意とする自然な言い回しの生成に加えて、コーディングスクリプトやチャート生成機能が強化されています。テキストや図、デザインなどのWebコンテンツの生成からデジタルマーケティングまで、幅広い分野での活用に期待が集まっています。
Claude 3.5 Sonnetのニュースリリースについては、こちらの記事もご覧ください。
参考:Anthropicが「Claude 3.5 Sonnet」をリリース。先代の「Claude 3 Opus」を上回る性能
新たに搭載されたArtifacts機能とは
Claude 3.5 Sonnetでは、新たにArtifacts(アーティファクト)機能が導入されています。Artifacts機能とは、AIチャットで作成・編集しているドキュメントやデザインを、リアルタイムで表示できる専用ウィンドウのことです。生成コンテンツを視覚的に確認しながら進められるため、作業効率化を促します。
Artifacts機能で生成できるコンテンツの一部を以下に示します。
- マーメイド図(シーケンス図)
- ベクターデータ(SVG画像など)
- Webサイトのコード(HTML/CSS/JavaScript)
- フローチャート
- マーケティング用チャート(SWOT分析など)
- グラフ・図解
Claude 3.0とClaude 3.5の比較
Claude 3.5 Sonnetの魅力の一つとして、Claude 3の最上位モデルOpusを超える性能を打ち出している点が挙げられます。以下は、Anthropic社が公開しているベンチマークの比較表です。
引用:Introducing Claude 3.5 Sonnet
Claude 3.5 Sonnetでは、知能・推論能力に関するベンチマーク全体において、Opusを上回っています。特に大学院レベルの推論やコーディング、数学問題解決ではClaude 3.5 Sonnetの指標が大きく上回っており、複雑な指示を理解して専門的な回答を生成することが可能です。
また、処理スピードはClaude 3 Opusの約2倍を実現しており、大きく進化を遂げた最新モデルをより低コストで利用できることがわかります。
Claude 3.5 SonnetとGPT-4o・Geminiとの比較
Claude 3.5 SonnetとChatGPTの最新モデルである「GPT-4o」、そしてGoogleの生成AI「Gemini」とを比較してみます。Anthropicが公開しているベンチマークによれば、コーディングの熟練度やテキストベースの推論・多言語数学・大学院レベルの推論など6つの指標でClaude 3.5 Sonnetが最高評価を得ています。
ただし、GPT-4oは数学問題解決では大きくリードしているという特徴もあります。なお、公式なデータとして公開されていない指標もあるため、モデルの完全な比較は難しいですが、総合的に見るとClaude 3.5 Sonnetは高い性能を搭載していると言えます。
Claude 3.5 Sonnetの使い方
Claude 3.5 Sonnetはすでにリリースされており、ブラウザ版Claude.aiとiOSアプリにて利用できます。デフォルトモデルに設定されているため、Claudeにアクセスするとすぐに使い始めることが可能です。
なお、Claudeはパスワード不要で登録が可能です。認証方法として、「Googleアカウントでログイン」または「入力したメールアドレス宛に届くURLを確認」のいずれかを選ぶ必要があります。利用環境に応じて使いやすい方法を選択すると良いです。
Claude 3.5 Sonnetアプリでの使い方
ClaudeのiOSアプリでも、Claude 3.5 Sonnetを利用可能です。iPhoneやiPadでアプリをダウンロードした後、上記と同じ方法で認証を行えばチャット画面が開きます。モデルはすでにClaude 3.5 Sonnetに設定されているため、そのまま対話を始めることが可能です。
Claude 3.5 Sonnetの活用例
ここからは、Claude 3.5 Sonnetを使ってできることを具体的に紹介していきます。Artifacts機能を利用することで、さまざまなシーンや用途で作業効率化や作業スピード、品質の向上といった効果が期待できます。具体的な活用例として、以下の9点が挙げられます。
- 図解・グラフの作成
- 漫画制作
- SVGアニメーション制作
- 簡易ゲームの開発・プレビュー
- 3次元シミュレーションの制作
- サイト構築
- フローチャート・手順書の作成
- 手書き資料からスライド作成
- LP制作
図解・グラフの生成
Artifacts機能を用いることで、図解やグラフを瞬時に生成できます。例えば、CSVデータからグラフを作成した場合、データをアップロードする際に縦軸と横軸をテキストで指定することでグラフが出力されます。
グラフの様式は、後から変更することも可能です。また、スタイルや部分的なカスタマイズにも対応しており、テキストで変更できるため専門的な知識は不要です。例えば、折れ線グラフの数が多く、見づらくなっている場合は表示条件を絞ることで変更されます。
出力形式は、コンテンツ内容に応じて、「.tsx」「.html」「.svg」などさまざまなファイル形式が選べます。
漫画制作
Claude 3.5 Sonnetを使って、漫画を制作することも可能です。また、背景やストーリーの作成から依頼できるため、AIチャットでのやり取りだけで3コマや4コマの漫画を短時間で書き上げることができます。
ただ、細かな設定はプロンプト設定で具体的に指示する必要があります。例えば、1コマあたりの登場人物やセリフの数、セリフ1つあたりの文字数などを指定することで、希望する仕上がりに近づきます。
SVGアニメーション制作
Claude 3.5 Sonnetは、簡単なアニメーションの制作にも対応しています。ベクターファイルのSVGアニメーションを作りたい場合、台本となるデータを与えて「SVGアニメーションにしてください」と指示するだけで変換されます。
ただ、現時点では高精度なものに仕上げることは難しいです。プロンプトでの指示を通じて、グラフや図解を動かすことやGIFファイル程度の動画なら問題なく制作できます。また、プレゼン資料などでの活用も期待されます。
簡易ゲームの開発・プレビュー
チャットで「シューティングゲームを制作してください」と入力するだけでも、ボタンを押して遊べる簡単なゲームを出力することができます。
Artifacts機能により、コードの調整や機能追加をリアルタイムで行えるため、エラーが発生した際にも短時間で解消できます。RPGのような本格的なゲームは作れませんが、効果音を付けることや使いやすいUX・UIに仕上げることは、テキスト指示だけで実現可能です。
他にも、テトリスやインベーダーゲームなどの基本的なゲームコードを生成し、動作確認するといった使い方も可能です。
3次元シミュレーションの制作
Claude 3.5 Sonnetでは、3Dシミュレーションの制作が可能です。新製品の開発プレゼンテーションや研究発表といった場面で活用できます。また、ホームページやLP上に装飾として追加する方法も有効です。
サイト構築
さまざまなWebサイトの構築も、Claude 3.5 Sonnetを用いることで効率化が可能です。プロンプトの入力だけでhtmlやCSSコードの作成が可能な上、リアルタイムでデザインやレイアウトを確認しながら編集を行えます。
また、複数のページを持つWebサイトやECサイトにも応用できますが、実務化する上では課題も残されているため、細かく修正していく必要があります。
フローチャート・手順書の作成
Claude 3.5 Sonnetでフローチャートや手順書を作成すれば、業務効率化を促すことが可能です。フローチャート図は、プロンプトでの文章入力はもちろん、ファイルをアップロードして「内容をフローチャートにしてください」と入力する方法でも作成できます。
完成したドキュメントは、mdファイルでダウンロード可能です。業務フローやコールセンターの応対業務について、マニュアルを作成したい場合などに役立ちます。
手書き資料からスライド作成
ドキュメントをアップロードし、内容のスライドを生成することも可能です。新しいタスク内容について「スライドにしてください」と指示すれば、瞬時にスライドが完成します。
また、それまでやり取りしてきたチャットの対話内容をスライド化することも可能です。手書きの資料でも、読み取りができれば対応できます。スライドのデジタルデータを作成することで、ペーパーレス化の促進にもつながります。
スライドショーは、デフォルトではReactファイルで出力されます。また、現在パワーポイントには対応していませんが、将来的には出力形式が増える可能性もあります。
LP制作
LP制作にもClaude 3.5 Sonnetを活用できます。簡易的なものになりますが、Webページと同じ要領でプロンプトで指示を出すだけで、レイアウトを反映したLPが完成します。LP制作にかかる工数を減らしたい場合には役立ちます。
Claude 3.5 Sonnetの料金体系
Claude 3.5 Sonnetは無料版でも利用でき、Artifacts機能も含まれています。ただ、回数上限が設定されており、有料プラン「Claude Pro」へアップグレードすることで、使用回数を5倍に増やせます。
まずは無料プランから始めて、使う頻度が増えてきた段階で月額20ドルの有料プランへの移行を検討しても良いでしょう。
なお、企業や複数人で使いたい場合はTeamプランが用意されています。各プランの代表的な違いは以下の通りです。
プラン | Free | Pro | Team |
料金 | 無料 | 月額$20 | 1人あたり月額$30 |
機能 | ・Claude.aiとiOSアプリ
・Claude 3.5 Sonnetのアクセス |
・Claude3のOpusとHaikuプランの利用
・追加費用なしですべての機能が使える ・プロジェクトやドキュメントのコードの生成 ・Freeの5倍の使用回数 ・新機能の早期アクセス |
・Proのすべての機能を含む
・Proより高い使用上限 ・グループチャットの使用と共有 ・請求と管理の一元化 |
用途や環境に合ったプランを選びましょう。
Claude 3.5 SonnetのAPI料金
Claude 3.5 Sonnet APIの料金は、トークンごとに金額が設定されています。
Claudeモデル | インプット(100万トークンあたり) | アウトプット(100万トークンあたり) |
Claude 3.5 Sonnet | $3 | $15 |
Claude 3 Opus | $15 | $75 |
Claude 3 Haiku | $0.25 | $1.25 |
最高性能かつ高額なOpusに比べると大幅な差額があり、費用対効果を求める人にとって3.5 Sonnetは最適なモデルです。
Claude 3.5 Sonnetの課題と将来性
Claude 3.5 Sonnetでは、前モデルであるClaude3からさまざまな進化を遂げていますが、生成物の精度は十分とは言えないケースも見られます。業界では、動画生成への注目度が高いこともあり、アニメーションや3Dシミュレーションにおける精度は急速に進化する可能性があります。
なお、Anthropic社はClaude 3.5 Sonnetの公開時に、2024年後半ごろ「Claude 3.5 Haiku」と「Claude 3.5 Opus」をリリースする計画があることを発表しています。新モデルの詳細については明らかになっていませんが、早くもClaude 3.5 Sonnetの次のモデルが登場するかもしれません。
まとめ
Claude 3.5 Sonnetは、前モデル「Claude 3 Opus」を上回る進化を遂げています。GPT-4oなど他のLLMモデルと比べて、多くのベンチマークで高い数値を打ち出しており、高性能なモデルをより低コストで利用できる点が魅力です。
ブラウザ版とiOSアプリ両方が無料で公開されており、お試しでトライすることも可能です。今回紹介した活用例を参考に、自社における業務効率化や生産性の向上に役立つ生成AI導入を検討してみてはいかがでしょうか。
生成AIサービスの企業一覧を以下より無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
よくある質問
Claude 3.5 Sonnetの無料制限はありますか?
Claude 3.5 Sonnetは無料で使用できますが、無料版には回数制限があり、1日に入力できるメッセージ数に上限が設定されています。制限を超えて使いたい場合には、有料のProプランにアップグレードする必要があります。
Claude 3.5 Sonnetは日本語対応ですか?
Claude 3.5 Sonnetは日本語にも対応しています。今回紹介したWebサイトやLPの構築、漫画やアニメーションの制作も含め、ほとんどの日本語プロンプトに対応可能で、正しく出力されます。
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