アイトラッキング(視線計測)とは?視線追跡の仕組みや活用メリットを解説
最終更新日:2024/06/19
この記事では、アイトラッキング(視線計測)技術について詳しく説明します。アイトラッキングは、人間の視線の動きを追跡し、分析する技術です。本記事では、アイトラッキングの仕組みや活用メリット、課題などを解説していきます。
アイトラッキングとは
アイトラッキングとは、人間の視線の動きを追跡し、分析する技術のことです。具体的には、専用のセンサーやカメラを使って目の動きを捉え、視線がどこに向けられているかを測定します。この技術により、人間が何に注目し、どのように情報を処理しているかを理解します。
アイトラッキングは、マーケティング、ユーザビリティ研究、ゲーム開発、交通事故防止など、さまざまな分野で活用されています。
アイトラッキングの仕組み
アイトラッキングには、大きく分けて「接触型」と「非接触型」の2つのタイプがあります。接触型は、目に直接装着するセンサーを使って視線を追跡する方法で、サーチコイル法や眼球電位法などがあります。一方、非接触型は、目に触れることなく視線を追跡する方法で、強膜反射法や角膜反射法(PCCR)などがあります。
接触型のアイトラッキングは、目に装着する負担が大きいため、人間を対象とした研究には向いていません。そのため、現在では非接触型の角膜反射法が一般的に用いられています。角膜反射法には、「明瞳孔法」と「暗瞳孔法」の2種類があります。
明瞳孔法
明瞳孔法は、赤外線を目に照射し、角膜表面で反射した光を検出することで視線を追跡する方法です。この方法では、まず赤外線LEDを使って目を照らします。すると、角膜表面で赤外線が反射し、その反射光をカメラで捉えます。同時に、カメラは瞳孔の位置も検出します。角膜反射光と瞳孔の位置関係から、視線の方向を算出することができます。
明瞳孔法は、比較的シンプルな仕組みで視線を追跡できる利点がありますが、まぶしさを感じやすいという欠点もあります。
暗瞳孔法
暗瞳孔法は、赤外線を目に照射し、瞳孔を通過した光を検出することで視線を追跡する方法です。この方法では、まず近赤外線LEDを使って目を照らします。すると、瞳孔を通過した近赤外線がカメラで捉えられます。
瞳孔は黒く写るため、瞳孔の位置を検出しやすくなります。そして、瞳孔の位置から視線の方向を算出します。暗瞳孔法は、まぶしさを感じにくく、明るい環境でも使用できる利点がありますが、アルゴリズムが複雑になるという欠点もあります。
アイトラッキングでできること
アイトラッキング技術を使うことで、人間の視線の動きを詳細に分析することができます。具体的には、以下のようなことがわかります。
- 視線がどこに向けられているか
- 視線がどのような順序で動いているか
- 特定の領域をどのくらいの時間見ているか
- 視線の動きから興味や関心を推測
これらの情報は、さまざまな分野で活用されています。例えば、マーケティングでは、広告やパッケージデザインに対する消費者の反応を分析できます。
ユーザビリティ研究では、ウェブサイトやアプリケーションの使いやすさを評価することができます。ゲーム開発では、プレイヤーの視線の動きからゲームの難易度の調整が可能です。交通事故防止では、ドライバーの視線から注意力の低下を検知できます。
ただし、アイトラッキング技術にも限界があります。例えば、視線の先にある対象が何であるかを特定することはできません。また、視線の動きから感情を読み取ることは難しいとされています。
アイトラッキングの活用メリット
アイトラッキング技術を活用することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 客観的なデータに基づいて分析ができる
- リアルタイムに視線の動きを追跡できる
- 非言語的な情報を収集できる
- 大規模な調査が可能になる
従来の調査手法では、アンケートやインタビュー頼りだったため、主観的な評価になりがちでした。しかし、アイトラッキングを使えば、視線の動きという無意識な行動でも、客観的なデータとして収集・分析できます。また、リアルタイムに視線の動きを追跡できるため、その場の反応を逃さず捉えることができます。
さらに、視線の動きという非言語的な情報を収集できるため、言葉では表現しにくい反応も分析に含めることができます。加えて、アイトラッキングは大規模な調査が可能であるため、少数のサンプルでは得られない知見を得られる可能性があります。
アイトラッキングの活用における課題
アイトラッキング技術は、大きな可能性を秘めている一方で、以下のような課題もあります。
- 高価な機器が必要になる
- 大量のデータを処理する必要がある
- 個人情報の取り扱いに注意が必要
- 視線の動きの解釈が難しい場合がある
アイトラッキングを行うには、専用の機器が必要になります。その機器は高価であるため、導入コストがかかるのが課題です。
また、アイトラッキングで得られるデータは膨大であるため、データの処理にも手間がかかります。加えて、視線の動きは個人情報に該当するため、データの取り扱いには十分な注意が必要です。
さらに、視線の動きから人間の心理を読み取るのは難しく、解釈を誤る恐れもあります。
アイトラッキングを活用したシステム例
アイトラッキング技術は、すでに多くの企業が注目し、システム・ツールで活用しています。例えば、株式会社comipro(コミプロ)が提供する「comiproAI」は、アイトラッキング技術を活用したシステムの一つです。
「comiproAI」は、Webカメラを使って視線の動きを追跡し、ユーザーの興味や関心を分析するシステムです。具体的には、ウェブサイトやアプリケーションの画面上でユーザーがどこを見ているかを可視化し、ユーザビリティの改善に役立てられます。また、オンラインショップでユーザーが商品のどの部分を見ているかを分析し、マーケティングに活用することも可能です。
「comiproAI」は、アイトラッキングの機能だけでなく、AI技術も組み合わせることで、より高度な分析を可能にしています。例えば、ユーザーの視線の動きから感情を推測したり、視線の動きとマウスの動きを組み合わせて行動を予測したりすることが可能です。このように、アイトラッキングとAIを組み合わせることで、ユーザー理解をさらに深めていきます。
まとめ
アイトラッキングを活用することで、ユーザーがどこを見ているのか、どのような順序で見ているのかなどを詳細に分析することができます。
これにより、ウェブサイトやアプリのユーザビリティ改善、マーケティング戦略の最適化、教育や医療分野での応用など、様々な場面で活用されています。
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