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最終更新日:2024/02/16
澤田光の行政×AI最前線 第13回
人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになるSociety5.0を目指して、行政の情報化が進められています。しかし、自治体の現場では、「実際何に取り組んだら良いのか?」、「やれと言われてもどうしたらよいか分からない」、「そもそも何から手を付ければよいのか?」など、戸惑う声も多く聞かれます。どうしたら自治体でAIの活用が進むのでしょうか。
【澤田光の行政×AI最前線】では、実際にAIを活用した取り組みを行っている自治体の事例をご紹介し、そうした疑問に答えていきます。

兵庫県加古川市は、東播磨地方の中心部に位置し、一級河川「加古川」の水の恵みを受けて発展し、緑に恵まれた自然を満喫できるまちです。
加古川市では、市民の暮らしをより良くするために、さまざまな課題を市民のみなさんと解決する「市民中心の課題解決型スマートシティ」を目指し、デジタル技術を活用したまちづくりを進めておられます。市内に約1,500か所設置されている「見守りカメラ」など、全国に先駆けた多くの取り組みが行われています。
今回はその中でも、「子育て世代に選ばれるまち」の実現を目指して、子どもたちの幸福感を可視化するため、AIを活用した笑顔検知端末を全国の自治体で初めて子育てプラザに設置された取り組みについて、加古川市企画部政策企画課スマートシティ推進担当係長の陰山大輔さんと、同課の十時崇充さんにお話を伺いました。

加古川市企画部政策企画課スマートシティ推進担当
係長 陰山さん(写真左)、 十時さん(写真右)
――子どもたちの笑顔を計測することになったきっかけは何ですか?
――陰山さん
加古川市では、市民の幸福感を定量的に把握してまちづくりに活用していこうと、毎年市民意識調査を実施しています。
市政を運営していくなかで、行政が目指すべきところは、最終的に市民のみなさんが幸福感を感じられるまちなのではないかということで、総合計画のなかでも幸せが実感できるまちを掲げているところです。
毎年実施している市民意識調査は、18歳未満の方がアンケートに回答するのは難しい側面もあり対象外となっています。そこで、子どもたちの笑顔を計測することで、子どもたちの幸福感を可視化してまちづくりに生かしていきたいと考えました。
――具体的にはどのようなことをされているのですか?
――陰山さん
令和4年度に新設した複合施設「かこてらす」内の東加古川子育てプラザに、子どもたちの笑顔を計測するため、笑顔を計測するAIアプリ「スマイラル」を搭載したスマートフォンとタブレットを7台設置しました。
スマイラルは、AIが笑顔を検知し、笑顔の数をカウントするもので、一般社団法人(以下、一社)One Smile Foundationが開発したものです。
「かこてらす」のプレイルームに常設し、子どもたちが集まるイベント時には、その場所にも設置することができます。
イベントの開催日は笑顔が多いことが分かるので、施設の職員と情報を共有し、今後のイベントをよりうまくやっていけるように取り組んでいるところです。

設置場所
出入り口付近(左) プレイルーム(中央) 正面玄関(右)
――子どもたちの笑顔を数値化したものを、どのように活かしていますか?
――陰山さん
笑顔が寄付に変わって、それが地域の中で循環していくという仕組みを一体化するようにしています。
複合施設「かこてらす」は、来場者数が月1万人を超えるような施設ですので、たくさんのお子さんが来られます。そのため、小さいお子さんが来ておもちゃを利用されると、半年ぐらいでおもちゃが傷んでしまいますので、頻繁に新しいものに変えないといけない状態です。
子どもの笑顔の数に応じた寄付を受けることで、笑顔が循環して新しいおもちゃが寄付されるということを実現しました。
具体的には、2023年の2月17日から3月21日までの期間中に、合計3,681件の笑顔を検知したのですが、商業施設のニッケパークタウン様が39周年を迎えるということを記念して、1笑顔3.9円分の寄付をしていただきました。
現金ではなくて、子どもたちが喜ぶ車のおもちゃや、メリーゴーランドなど、合計1万4,356円相当のおもちゃを寄贈していただきました。子どもたちの笑顔が施設の充実につながったという取り組みのひとつになるのではないかと思っています。
※2024年2月8日から、昨年度と同様にかこてらすにてイベントが開催されています。
https://www.city.kakogawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kikakubu/kikakubukohoka/ict/38622.html

資料提供:加古川市
――スマイラルでお子さんの笑顔を検知することで、お子さんの幸せを可視化し、それが寄付としておもちゃに変わるのですね。
お子さんたちは自分たちで寄付はできないけれども、そういうかたちで、寄付したことになるということで循環していくということですね。素晴らしいですね。
スマイラルへの市民の反応はいかがですか?また、カメラというと監視されているイメージもありますが市民の印象はいかがですか?
――十時さん
「かこてらす」に来られた方は、スマイラルのモニターに手を振られたり、帰りに挨拶したりされているのは良く見られます。笑顔が増えれば増えるほど、画面上にいろいろなキャラクターが出てくるので、楽しんでおられます。だれかがスマイラルの前で笑っているのを見て、周りに人が集まってくる。それを見た周りの大人が笑って、笑顔が繋がっています。

――十時さん
プライバシーには十分配慮し、笑顔の画像は記録、保存をしていません。カメラの前を通った人の数、笑顔の数、その日時のカウントのみを行っています。
画像の取扱いに関する説明をカメラの近く掲示し、市民に分かりやすい説明をしています。

スマイラルの近くに掲示している説明資料
資料提供:加古川市
――今後、スマイラルを広げていく予定はありますか? また、寄付については働きかけをどのようにされていきますか?
――陰山さん
今のところは、複合施設「かこてらす」の中で着実に運用していこうと考えています。今後は、笑顔の数の可視化に取り組むなかで、良い循環が多く生まれれば、他の施設でも検討していくことになるのではないかと思います。
寄付については、企業にスマイラルの仕組みを説明しながら進めています。
AIをはじめとしたデジタル技術を活用した様々な取り組みで、人々の暮らしを豊かにする施策を行っている加古川市では、Decidim(デシディム)という、市民などが意見やアイデアを寄せ、議論して政策に結び付けていくデジタル・プラットフォームを、全国で初めて導入しています。市民と共に次々と新しい取り組みに挑戦する加古川市から、今後も目が離せません。
(一社)One Smile Foundation
また、加古川市が設置している(一社)One Smile Foundationのスマイラルは、2023年5月に開催された広島G7サミットで展示されました。(一社)One Smile Foundationのスマイラルを用いた「笑顔を寄付に変える」Smiral(スマイラル)事業は、国内外で数々の賞を受賞されています。スマイラルは、加古川市をはじめ、広島県廿日市市の保育園や、浜松市の高齢者福祉施設にも設置され、全国に広がり始めています。
※(一社)One Smile Foundationのスマイラルは、Digi田(デジでん)甲子園2023の本選にも選出されている(投票期間2024年1月17日~2月18日)。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien/index.html
本連載で取り上げて欲しいテーマや事例がございましたら、お問い合わせフォームにご意見をお寄せください。読者の皆様に寄り添った連載を目指して参ります。
編集:AIsmiley 編集部
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