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最終更新日:2024/06/11
チャットボットとは、会話形式で入力されたテキストや音声に対して、プログラムが自動応対するコミュニケーションツールです。Microsoft Teamsには、このチャットボットが搭載でき、社内向け問い合わせへの自動応対などに役立てられています。
そこで本記事は、Microsoft Teamsにチャットボットを導入して業務効率化やDX推進を目指す企業担当者に向け、Teamsで動作するチャットボット「Teams bot」とは何か、Teams botにできること、Teams botのメリット・デメリットを解説します。
また、業者の導入支援を受けたい場合や、より高度な処理をしたい場合におすすめな「Teamsと連携できる外部のチャットボット」も紹介します。ぜひ自社施策にお役立てください。
Microsoft Teams(マイクロソフト チームズ)とは業務効率化のためのコミュニケーションアプリで、メンバー間のチャットやWeb会議、スケジュール共有などが可能です。
「Microsoft Teams (無料)」のプランで利用できる主な機能は以下になります。
機能 | 概要 |
チャット機能 |
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Web会議 |
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クラウドストレージ |
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セキュリティ |
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その他 |
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出典:Microsoft Teamsビジネスにおけるチームワークを無料でブーストします。|Microsoft
TeamsはビジネスチャットツールとしてSlack、ChatWork、 Googleハングアウトなどと比較されますが、上表のようにもっと多機能です。そしてOffice 365 との連携性が高い強みもあり、小規模事業者から大企業まで広く導入されています。
また、Teamsは基本的にチーム、社内向けのアプリです。この点で、大規模・不特定多数向けのコミュニケーション機能が中心の「Microsoft SharePoint」と区別されています。
Teams botとは、Microsoft Teams上で動作するチャットボットです。特定のキーワードやフレーズにプログラムが自動応対します。
Teams botはMicrosoftの「Power Virtual Agents」が代表的ですが、ストア内で提供されている製品もまとめてTeams botと呼ばれます。社内に公開したTeams botはチームまたは組織全体で活用可能です。
Teamsを導入すれば、例えば次のような処理を実現できます。
これらは後ほど詳しく説明します。
Teams botは、どのようにしてチャットボットとして機能するのでしょうか。Microsoft純正のTeams bot「Power Virtual Agents」の仕組みを見てみましょう。
「Power Virtual Agents」では、大まかに次の3つを組み合わせて自動応答しています。
例えば「休み」というトリガーフレーズを入力しますと、休暇制度のトピックが選択されます。そして対話のなかで「有給」や「産休」などの言葉が使われると、会話フローに従って条件分岐されて対話が進み、ユーザーは必要な情報にたどり着けるわけです。
Power Virtual Agentsでは、こうした設計をノーコード・ローコードで作成できます。つまり、簡単なチャットボットなら、基本的には文字入力とボタンのクリック操作だけで作れます。
ここでは、Power Virtual AgentsのTeams botで実現できる5つの項目を紹介します。
これらによって、業務効率化や人手不足の解消、DX推進など、自社の課題を改善できます。
Teams botを活用すれば、社内向けの問い合わせの一部を自動応対できます。問い合わせへの応対をシナリオ化できますので、定型的な疑問の多くを、FAQなどよりスムーズに解決してもらえるでしょう。
また、標準で使えるPower Virtual AgentsのTeams botは、チャットボットをより使いやすくするための人工知能(AI)機能も搭載されています。標準のままでは外部連携のチャットボットより劣る部分はありますが、出張費の精算方法などのように内容が限定されるものなら、かなり柔軟に対応可能です。
この結果、対応スタッフの業務負荷を減らしたり、本業に集中できる環境を整えたりできます。また、人件費削減にもつなげられるでしょう。24時間365日応対できるため、社員の利便性も向上します。
情報システム部門のヘルプデスクも同じように自動化できます。例えばチャットツールやWeb会議ツールの使い方などをQ&A形式で登録しておけば、有人対応の時間を減らせられるでしょう。
近年はコロナ禍をきっかけに普及したリモートワークによって、ヘルプデスクの負担増大に悩む企業は多く、そのサポートとしてTeams botを挿入する企業も増えています。
チャットボットによって自動化するメリットは、業務効率化のほかにもあります。1つは回答にばらつきがないため一貫した対応が取れる点です。もう1つは応対データを蓄積してチャットボットの対応範囲を広げていけば、業務の属人化を予防できる点です。
チャットボットで対応できない複雑な問い合わせは、Teams bot経由で担当者につなげます。すべての疑問や問題をシナリオ登録するのはむずかしく、AIの対応にも限界がありますので、この有人連携機能はよほど割り切った使い方をしない限り不可欠です。
ただし、有人連携を実現するには「Power Automate 」と組み合わせて機能を実装するか、外部のチャットボットの連携が必要です。スムーズに有人連携できる外部チャットボットツールは後ほど紹介します。
チャットボット経由で会議室、ミーティングルームの予約ができます。もともとTeamsでは「予定表」を操作して予約できますが、チャットボットの「会議の予約」経由でも同様の操作が可能です。
チャットボットはOffice365と連携していますので、会議室の空き状況を確認したり、会議室の使用予約をしたりする操作がスムーズです。また、Teamsの「スケジュール アシスタント」を併用しますと、全員が出席できる時間を見つけられます。
Teams botは大事な仕事のミーティング時間や約束事を思い出させるリマインダーとしても活用できます。例えば、オンライントレーニングの期限が迫っている場合に、受講していない社員に完了を促すメッセージを送信できます。
また、チャットの会話に基づいて、特定のユーザーにフォローアップタスクを割り当てるような設定も可能です。
Microsoft Teamsでチャットボットを活用する方法には、次の2つの方法があります。
それぞれの特徴を解説します。
Teams botは、先に解説したPower Virtual Agentsを活用するのが代表的な方法です。Power Virtual Agentsなら、追加料金なしでTeamsにチャットボットを追加できます。
また、Microsoftのストア内で提供しているTeams botを利用する方法もあります。ただし、「天気情報を提供する」「夕食の予約」など特定の動作に限定したアプリ、またはプログラムが多いため、企業の求める機能を実装できないケースも多いことでしょう。
アプリとして提供されているものは、 「Azure Bot Services」(ボット構築のための統合開発環境)を用いて、以下の手順で比較的簡単に実装できます。
こちらの方法がおすすめなのは、高度な機能が必要なく、定型的な質問にだけ回答できるチャットボットを短期間で作成したい場合です。
なお、Teams botの多くは無料ですが、なかには有料のものもありますので、利用前に確認しておきましょう。
外部のチャットボットとは、社内ポータルサイトやWebサイト上で使えるチャットボットです。これらのチャットボットの一部はTeams、LINE WORKS、Slackなどとの拡張性を備えています。
外部のチャットボットとTeamsを連携させる際は、APIと呼ばれるインターフェース用のプログラムを用います。この際、専門的な知識が必要になりますが、多くのベンダーは導入、運用支援サービスを提供しているため、技術的なハードルは少ないでしょう。
また、Teamsの設定ウィザードに従って必要な設定も行います。こちらはチャット画面の色やアイコン、応答メッセージなどの設定ですので、専門的な知識は要りません。
技術を持った人材がいるなら、チャットボットを自社開発する方法もあります。この場合は、Microsoft Teamsでの正常動作が確認されている「Microsoft Bot Framework」を使うと良いでしょう。以下のサイトに情報が載っています。
Teams botのメリットをおさらいすると、次のとおりです。
一方、以下のデメリットもあります。
応対シナリオを一から作成するのは大変ですし、応答ログを解析してAIをチューニング、メンテナンスするのも簡単ではありません。チーム内の単純なチャットボットならノーコード、メンテナンスなしで運営できるかもしれませんが、通常は専任の人材が必要になるでしょう。
AI搭載のTeams botでも、微妙な言い回しや、漢字の間違いなどの「表現のゆれ」に十分に対応できません。このためチューニングを重ねなければ、見当違いのトピックが表示されたり、意味のない応答をしたりする場合があります。
したがって、専任の人材を確保しにくい中小企業などでは、ベンダーが提供する外部チャットボットを導入したほうが良いケースが多くあります。
ITリテラシーの高い人材がいない場合や、より柔軟で有人対応に近いチャットボットを設置したい場合は、外部チャットボットツールの利用をおすすめします。先に紹介したデメリットも、各ベンダーが提供している機能やサービスによって、解消できる部分が多いからです。
まず、設定に一定以上のリテラシーが必要な問題は、各ベンダーのサービスによって解決します。通常、各ベンダーは導入・運用支援を行っています。そして、よくあるQ&Aをまとめたデータを用意しており、CSVファイルでインポートできるようにしています。これをテンプレートにして調整すれば、準備の負担を大幅に減らせるでしょう。
また、AIもTeams botに比べて高度なものが多いです。製品にもよりますが、深層学習(ディープラーニング)や自然言語処理 (NLP)を備えたものは、表現ゆれにも柔軟に対応でき、自然な会話が可能です。また、自ら学習を続けるため、チャットボットを運用するほど賢く、使いやすくなっていきます。これによって、メンテナンスの負担も軽減できます。
ここではMicrosoft Teamsに連携可能な外部チャットボットの製品を紹介します。
上記は一例にすぎません。資料をまとめて請求したい場合は下のリンクからダウンロードできます。
BEDORE Conversation for Workplaceは、株式会社PKSHA Workplaceが提供する高い日本語認識能力が強みのチャットボットです。
はじめから5,500万超の言葉が登録されているため、表現ゆれや漢字間違いなどが多い日本語でも精度良く応対できます。また、メールやチャットログ、マニュアルなどから自動的にFAQを作成できるため、導入準備を効率化できます。
導入した企業によると、住宅手当についてなど、人に聞きにくい多くの質問にBEDORE が応対しており、社員へのサービス向上を達成できたとのことです。AIの性能が高いため、ヘルプデスクだけでなく、例えば技術部での操作方法確認や総務部の資料検索など、幅広い業務に活用できます。
ASBOTはチャットボットを経由して、さまざまな外部システムと連携させられるのが特徴です。例えば「管理職会議のスケジュールを調整してほしい」などと指示すると、各メンバーとチャットしながら、予約管理システム、勤怠システム、メールサーバーなどと連携して、スケジュールを調整し、自動通知できます。
また、ASBOTは独自の「聞き返し機能」を搭載しており、応答精度を高めています。そして、このやり取りを自動学習して、さらに賢いAIに成長させることが可能です。
ASBOTは2週間の無料トライアルができます。チャット対応や会議室予約、メール送付など一通り機能を試してみてはいかがでしょうか。
OfficeBotの最大の特徴は、「非構造化データの構造化」という技術を用いた、ドキュメント学習AI機能です。つまり、FAQを設定登録していなくても、学習した社内文書のなかから該当箇所を検索し、適切に回答できます。ナレッジを蓄積して、トピックや会話フローを登録するのは手間がかかる作業ですが、こうした作業の一部をAIに代替させられます。
OfficeBotの導入事例に多いのは、顧客ニーズの多様化とともに商品ラインアップが増え、問い合わせ業務が複雑化している悩みを持った企業です。このような場合、営業から技術部に問い合わせるなどして、双方の生産性が下がってしまうものです。
しかし、OfficeBotのチャットボットを活用すれば、自力で解決できるケースが増え、結果として顧客応対スピードも上がります。公開されている導入事例では、82%の営業担当者が対応の効率化を実感したほか、育成担当者の負担が減る効果もあったということです。
Microsoft TeamsのTeams botを活用すれば、問い合わせ対応の自動化ができ、会議室の予約やタスクのリマインドなどが可能になります。その一方、設定には一定水準のリテラシーが求められることや、表現のゆらぎに対応できない、あるいはチューニングに手間がかかるなどの課題もあります。
チャットボット導入・運用の工数を減らしたい場合は、外部のチャットボットの活用をおすすめします。外部のチャットボットを活用すれば、ベンダーからさまざまなサポートを受けられ、最初から賢いAIで運用をスタートできるからです。
ASmileyでは、本記事で紹介したような高品質の外部チャットボットを多数取り扱っています。目的達成、課題解決に向けたAI製品を探す際にお役立てください。
チャットボットについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
チャットボットとは?意味やメリット、活用事例を徹底紹介
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