無人コンビニの仕組み・メリットを解説!事例もあわせて紹介
最終更新日:2024/04/11
昨今の少子高齢化に伴う人材不足により、コンビニ業界においても人手不足が原因となって閉店に追い込まれる店舗は少なくありません。そのため、多くのコンビニチェーンが省人化のための取り組みを進めている状況です。
そんな中、最近では店員が一人も駐在していない「無人コンビニ」が登場するなど、コンビニ業界でも人手不足の対策が進められており、大きな注目が集まっています。そこで今回は、コンビニ業界において特に大きな注目を集める無人コンビニの仕組みや、その具体的なメリットについて詳しくみていきましょう。
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高輪ゲートウェイ駅の無人コンビニ「TOUCH TO GO」の仕組み
2020年3月に開業したJR高輪ゲートウェイ駅では、改札内にAIを搭載した無人コンビニの「TOUCH TO GO」が設けられています。この「TOUCH TO GO」では、従来のコンビニで行われるバーコードのスキャンなどが必要なく、顧客が商品を取るだけで購入することができます。そのため、商品を直接自分のバッグに入れてしまっても問題ありません。
なぜこのような形でショッピングが行えるかというと、天井に設置されたカメラと店内の赤外線、そして商品棚に設置された重量計のデータを組み合わせることで、AIが「誰が何を購入したのか」を正しく判断できるからです。
そのため、出口に設置されたタッチパネルに表示されている内容(購入したものと金額)を確認した上で、Suicaなどの交通系電子マネーを端末にかざすことで決済が完了となり、ゲートを通って店舗の外へ出ることができます。なお、2020年6月以降はクレジットカードにも対応する予定のため、今後ますます利便性は向上していくでしょう。
(参照:TOUCH TO GO高輪ゲートウェイ店紹介動画|YouTube)
ちなみに、今回JR高輪ゲートウェイ駅で導入された無人コンビニ「TOUCH TO GO」は、2018年にJR赤羽駅で行われたホーム上の無人決済店を進化させたものとなっています。JR赤羽駅の無人決済店で取り扱われた商品の数は約140アイテムでしたが、JR高輪ゲートウェイ駅の「TOUCH TO GO」では約600アイテムに増加しており、弁当や惣菜、酒類なども扱っています。
また、JR赤羽駅の無人決済店に設置されたカメラの数は約100台でしたが、「TOUCH TO GO」では約50台にまで減少されたそうです。ここからさらに半分近くまでカメラを減らすことを目標にしているといい、よりスマートな店舗になっていくことが期待されます。
ただ、現状は100%の精度で判別できているというわけではなく、未完成であるため、当面の間は「1度に入店できる人数を7〜10人」と制限した上で、営業が行われるそうです。
(参照:高輪ゲートウェイ駅にAI無人決済コンビニ、商品はスキャン不要で自分のバッグへ/JR東日本「TOUCH TO GO」(タッチトゥゴー)|食品産業新聞社ニュースWEB)
ローソンでも「深夜無人化」の実証実験を開始
(参照:コンビニクライシス:実証開始の「深夜無人ローソン」には日本の未来があった | Business Insider Japan)
大手コンビニチェーンのローソンでも、深夜帯の無人運営店舗実験が行われました。ただ、ローソンの場合、厳密には無人運営時間帯でもバックヤードに最低1名の店員が常駐しているため、完全な無人というわけではありません。発注作業などの裏方作業をバックヤードで行い、何かしらのトラブルが生じた際に対応するという仕組みになっています。
この実証実験の主な狙いとなっているのは、「売り場の無人化」です。正確には深夜の時間帯の省人運営であり、今後の人手不足に対応していくための重要な実験となっているそうです。
この実証実験が行われたのは、神奈川県横浜市のローソン氷取沢町店であり、期間は2019年8月1日から2020年2月29日まででした。見た目は一般的なローソンとまったく同じではあるものの、日本ではまだ全国に18店舗しか導入されていない現金対応のセルフレジが設置されています。そのため、スマホアプリを利用した「スマホレジ」によって店員を介さずに商品を購入することが可能です。
また、他のローソンとの違いとして、監視カメラの数がやや多くなっていること、入り口の自動ドアにセキュリティ端末が設置されていることが挙げられますが、注意深く観察しない限りは他のローソンと同じ店舗のように感じられるでしょう。
ただ、実際に深夜の無人運営が開始されると、一般的なコンビニとは利用方法が大きく変化します。まず、自動ドアがロックされるため、一般的なコンビニのようにスムーズな出入りはできません。
ローソンアプリを所有している場合であれば、ホーム画面最下部に表示されている実証実験のアイコンをタップしてQRコードを表示させ、そのコードをかざして入店するという仕組みです。アプリを所有していない場合には、入り口の端末に設置されたカメラの前に立ち、顔を撮影することで入店が可能になります。
無人である以上、やはりセキュリティの強化必要不可欠ですから、どうしても入店の手間が増えてしまう点は否めません。ただ、常連客向けにQRコードの印刷されたカードを配るケースなども想定されているため、今後利便性は高まっていくでしょう。
中国では無人コンビニに失敗した事例も
人手不足が深刻化する現代において、無人コンビニには多くのメリットがあるように感じられますが、中国では無人コンビニの普及に失敗した事例も存在します。「Bingo Box」は、2017年頃から無人コンビニを出店し始め、一時は400店舗まで増加しましたが、2018年以降から減少し始め、現在は中国からほぼ姿を消しているそうです。
その原因として考えられているのは、セルフレジで精算するために必要となるRFIDという電子タグのコストが増加したことです。また、セルフレジでの精算が面倒だったり、入店するためのドアロック解除が面倒だったりと、顧客の不満が大きかったことなども、「Bingo Box」が失敗に終わった原因のひとつと考えられています。
こういった事例を踏まえると、日本においても無人コンビニが必ずしも成功するとは限らないでしょう。ただ、大規模なショッピングモールやホームセンターなどでは、有人のレジに長い列ができるケースも少なくありません。そのような場所においては、セルフレジが重宝される可能性も高いといえるでしょう。
そもそも、無人コンビニの「人を減らす」という目的は、顧客が望んでいるものではありません。あくまでも、人手不足を解消するための手段として企業側が行っているものなので、無人コンビニが顧客の満足度を低下させてしまうようなものであれば、全国的に普及される可能性も低いと言わざるを得ないでしょう。
とはいえ、AIの技術はいまも進歩を続けていますので、今後より利便性の高い無人コンビニが全国的に広がっていくかもしれません。どのような技術で人手不足という問題が解消されていくのか、ますます期待が集まります。
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