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最終更新日:2024/04/05
ローカル5Gで実現するDX
「ローカル5G」は、最新通信規格の5Gを独立したエリアで利用できる通信システムです。総務省から基本コンセプトが公表されるなど、社会的に注目を集めているローカル5Gでは、超低遅延の大容量データ通信が可能な5Gにより、地域や業界における個別課題の解決が見込まれています。
この記事では、ローカル5Gについての基礎知識や一般的な5Gとの違い、活用例などを解説します。全国各地で行われているローカル5GとAIを活用した実証実験についても紹介しますので、ローカル5Gを活用したサービスや技術の開発を検討している方は、ぜひお役立てください。
5Gについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
5Gとは?特徴や仕組みとAIへの活用事例を紹介
まず「ローカル5G」とは何なのか、基礎知識を紹介します。5Gという言葉を見かける機会は増えましたが、ローカル5Gについては初めて聞くという人も多いでしょう。企業や自治体での活躍が見込めるローカル5Gを有効活用するために、特徴や他の通信手段との違いを理解しておくことが大切です。
「ローカル5G」とは、地域や産業のニーズに応じて、企業や自治体が個別に活用できる5Gネットワークです。現在は、多くの企業や自治体が有線LANやWi-Fiを使って、自らの建物や敷地内にプライベートネットワークを構築しています。ローカル5Gでは、従来の通信方法に加えて5G通信が利用可能です。
総務省は2019年12月にローカル5G制度を開始し、各自治体や企業が独自の5Gネットワーク構築を後押ししています。総務省が定義するローカル5Gの基本コンセプトは、下記3項目です。
参照:総務省「ローカル5Gの導入:第1部 特集 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築」
ローカル5Gでは、地域や企業が主体となって特定のエリアや業界でネットワークを構築・運用できるため、より細かな需要に対応できます。
ローカル5Gとは別に、「パブリック5G」があります。パブリック5Gは、ソフトバンクやNTTドコモといった通信事業者が提供する5Gで、2020年3月のサービス開始以降、対応エリアの拡大が進められている最中です。
ローカル5Gとパブリック5Gでは、まず使用エリアが異なります。パブリック5Gはインフラ整備のある場所でしか使用できませんが、ローカル5Gはパブリック5Gのあるなしに関係なく使用可能です。
また、パブリック5Gではトラフィックの多い場所の整備が優先されますが、ローカル5Gは過疎地でもエリア化して柔軟に調整できます。災害時などにパブリック5Gにトラブルが生じた際も、ローカル5Gは自身のネットワークに影響がなければ通常通り利用可能です。
一般的にパブリック5Gはスマホ向けの設計ですが、ローカル5Gでは上り・下りの優先設定も自由に行えます。4K/8Kなど高精細映像のアップロードも、ローカル5Gなら外部要因に左右されずに作業できるでしょう。
5Gの特徴やAIでの活用事例などは、下記記事で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。
ローカル5GとWi-Fiは、いずれも高速通信が可能です。ただ、通信の安定性やセキュリティ面などに違いがあります。
Wi-Fiは移動時の通信は不安定になりやすい一方、ローカル5Gは移動を前提とした仕様です。移動中にデバイスで情報発信やデータ収集を行うといった使い方には、ローカル5Gが向いています。
セキュリティ面では、Wi-Fiは多数デバイスが使える反面、接続機器を制限することが難しいため、ネットワーク側で制限が必要です。ローカル5Gの場合、独自ネットワーク内でSIMカードを使ったSIM認証が使えるため、高いセキュリティを維持できます。
ローカル5Gとパブリック5G、Wi-Fiの違いを表にまとめましたので、ご参考ください。
5Gとローカル5G、Wi-Fiの違い
| ローカル5G(4.7GHz帯) | パブリック5G | Wi-Fi | |
| 通信速度 | 最大10Gbps程度 | 最大10Gbps程度 | 最大7Gbps程度 |
| データ通信量 | 制限なし | 上限あり(契約プランによる) | 制限なし |
| 通信安定性 | 電波を占有するため干渉が少ない、移動中も安定しやすい | エリア内は安定的、地下など場所によって不安定 | 電波干渉による通信不安定的、移動中は途切れやすい |
| 通信エリア | 自社のエリア内 | 全国(通信事業者の展開エリア) | 該当エリア内 |
| 免許 | 必要 | – | 不要 |
| セキュリティ | 高い(SIM認証&独立ネットワーク) | 高い(SIM認証) | 低い(SSID/パスワード、電波漏えいのリスク) |
| 接続端末 | 制限可能 | 契約端末のみ | 制限は困難 |
| コスト | 初期費用500万円~ 月額30万円~ |
月額1,000円~ | 月額5,000円~ |

ローカル5Gのメリットとデメリットについて詳しく解説します。企業や地域でも5G通信環境を確立できるローカル5Gは魅力が多い一方、デメリットもあるため、両方を理解して導入・活用を検討することが大切です。
ローカル5Gのメリットとして、下記ポイントが挙げられます。
ローカル5Gは、無線局免許の取得者のみがアクセスできる免許周波数帯を使います。そのため、キャリアによるパブリック5GやWi-Fiがない地域でも、独立した5Gネットワークによる高品質で安定的な通信を確保することが可能。
パブリック5Gでは、キャリアや契約内容によってデータ通信量に制限がありますが、ローカル5Gでは基本的に無制限です。Wi-Fiも制限はありませんが、接続端末が増えるとつながりにくくなります。
独立したネットワークとSIM認証を併用するローカル5Gは、Wi-Fiに比べて高いセキュリティを標準装備しています。また、接続デバイスを制限できるため、認可のない端末がネットワークに介入し、トラブルを起こす可能性を減らすことが可能です。
ローカル5Gのデメリットとしては、下記点が挙げられます。
ローカル5G普及の障壁ともいえるのが、導入・運用コストです。ネットワークの規模や条件によっても変わりますが、5Gネットワークの構築には最低でも1,000万円以上がかかります。加えて、国が定めている固定電波利用料も別途発生するため、地方の中小企業が容易に導入できるとは言い難いでしょう。
ただ、ローカル5G導入に対する税額控除や特別償却などの措置があり、今後の低価格化も見込まれています。コストと将来的なニーズとのバランスを考慮して検討することが大切です。
また、ローカル5Gの利用には国が指定した無線局免許が必要です。キャリアが手掛けるパブリック5Gや無免許で使えるWi-Fiと違って、利用するまでのハードルが高いといえるでしょう。さらに、自営無線であるローカル5Gは、ネットワークの設計や構築の専門知識も求められます。
ローカル5Gの周波数は、28.2GHz~28.3GHz帯の「ミリ波」と、4.6Ghz~4.9Ghz帯の「Sub6」の2種類です。ミリ波は直線的な電波を持つ周波数帯で、障害物が多い環境では通信距離が狭まります。
ローカル5Gの活用領域は、スマートファクトリーなどに代表されるビジネスの領域から、遠隔医療やスポーツなどエンターテイメントまで多岐に渡ります。
IoTやAIを採用したスマートファクトリーでは、ローカル5Gを用いてデータ収集や解析、監視管理などを、さまざまなシステムを同時に使用可能です。膨大なデータをリアルタイムにやり取りしながら検証と改善を繰り返し、さらなる生産性の向上が見込めます。
ローカル5Gを使った遠隔での機器操作は、医療や介護といった分野にも活用可能です。人間の手では困難な手術や治療も、ローカル5GやAI技術により安全かつ効率的に成功できる可能性が高まるでしょう。また、高齢化が進む地方エリアなど、ドクターや最新医療へのアクセスが難しいという課題も、遠隔医療により解決へとつながります。
さらにスポーツや音楽の映像配信にもローカル5Gを応用でき、スポーツの試合や音楽ライブを多くのユーザーが同時に接続しても、安定した映像配信が可能です。

ここからは、ローカル5GとAIの導入事例を紹介します。ローカル5GとAIとの組み合わせは、すでにさまざまなシーンで導入が開始されているため、自社での導入や活用の検討にお役立てください。

東海北陸自動車道の古城山トンネル(下り線)において、AIとローカル5Gを活用した検証が実施されました。ローカル5Gを用いた総務省選定の実証実験としては初めての案件で、4社が共同で担当。道路保全・点検業務の安全性向上・高度化を目指すプロセスにおいて、ローカル5Gが利用されました。
4Kカメラの高精細映像の伝送、AI画像解析による危険事象の検知、現場の作業者に対する危険事象のアラート通知という一連のプロセスにおいて、迅速なアラートが実現しています。加えて、不注意による高速道路へのはみ出しや、突入車両に対する回避時間の確保など、現場作業者の安全性向上が期待できるでしょう。
また、スマートグラスを装着した現場作業者に対する遠隔支援プロセスも検証されました。熟練技術者からの作業支援を映像と音声で伝送する、というリアルタイム性の高いアクションも、ローカル5G通信により円滑に実現。さらには、少子高齢化に伴う人手不足や熟練技術者の減少といった効果が見込めます。

広島ガスは、天然ガスプラントの点検を含むスマート保安の実現に向け、2021年12月からローカル5Gとともに高性能カメラやAI、ロボットといった先進テクノロジーを併用した実証実験を実施。カメラやエッジAIを搭載した走行ロボットによるガス漏えい検知などの効果を検証しました。
AI走行ロボットの4Kカメラや近赤外線式メタン検知器が動画やデータを収集、エッジコンピューティングサーバーにて分析・処理を行います。人間による判別が難しい無色無臭の天然ガスの漏えいを、自動検知できる仕組みを構築。異常検知情報をいち早く中央制御室へ高速伝送、可視化して、早期に異常を把握できるようになりました。
作業員による毎日の巡回とガス漏えい検査の徹底に加え、ローカル5Gシステムの導入と運営を通して、さらなる保安レベルの確保と業務効率化の実現を目指しています。

河川水位を推定するAI実証実験では、4Kカメラを用いた河川の監視カメラ画像から、ごくわずかな誤差での水位の推定を実現しました。
栃木市にて実施された防災分野の実証実験にて、ピクセル単位で画像を分類する深層ニューラルネットワーク「意味的領域分割モデル(セマンティックセグメンテーション)」技術を搭載したAIモデルを構築。河川を写した画像内から水面が写る領域を認識し、その水面状態の水位がいくつか推定します。
データ取得期間だけでは天候変動が乏しかったものの、高精度なAIの構築に必要な画像データを再現CG画像で補強して、高精度なAIモデルを実現しました。結果、3つの測定地点のうち、2地点で±3.6cmと±3.74cmの誤差での推定に成功。また、残りの地点でも、夜間における光量不足という精度低下の要因の特定と、課題解決手法に関する示唆も得られています。

OKIが開発した映像AIソリューション「外観異常判定システム」は、カメラで撮影した検査対象の部品・製品の高精細映像をAIが映像解析し、リアルタイムで外観異常を自動判定します。
カメラで撮影した検査対象の部品・製品の高精細映像を、ローカル5Gネットワークで伝送。AIエッジコンピューターが解析し、リアルタイムで判定した外観異常を作業者へ通知します。検査画像や製品情報などのデータは管理サーバーに蓄積され、品質管理や分析に活用できる仕組みです。
実証実験では、組立工程での作業ミスの見逃しゼロ化、そして製造工程全体の作業時間を15%削減することに成功しました。従来の目視検査プロセスの自動化により、特に熟練者の技術や経験が必要な作業を高精度で代行でき、作業者の負荷軽減効果も期待されています。
NTT東日本と国立大学法人東京大学と共同で設立した「ローカル5Gオープンラボ」において、物流倉庫の疑似環境とローカル5Gによる高精細カメラ撮影環境を構築。
物流現場を想定した動作を複数人が行い、映像データをAIで分析した結果、人物の検知・特定・追跡(動線把握、ヒートマップ化)への有用性を確認しました。
ローカル5Gの安定高速通信と大容量通信を活用したAI分析は、人の行動や動作といったデータを効率的に取得・蓄積・可視化することが可能です。データ分析結果は、物流倉庫の最適な現場レイアウト設計、人員配置の適正化を通した物流業務の効率化に役立ちます。
IoTやスマートシティ構想の事例が、奈良県三郷町における「街の見守り」の高度化です。ローカル5Gを活用した移動体搭載カメラとAI画像認識を活用して、見守りの高度化を目指します。
坂道が多く、公共交通機関が不可欠な対象地域において、人口減少による人手不足や人通りの少なさ、人治安や防犯の維持が課題です。
自動運転車両に搭載したカメラの高精細映像をローカル5Gによりリアルタイムで伝送、AI画像センシング技術・顔認証技術で解析します。カメラを移動体に搭載することで監視カバーエリアを拡大。不審者のうろつきや高齢者の転倒、車両ナンバーを検知しやすく、顔認証技術で高齢者の徘徊や子どもの連れ去りの即時検知に加え、人手不足問題の解消にもつながると期待されています。

独立したネットワークを構築できるローカル5Gは、大容量通信・超低遅延・多数同時接続という特性を備えた5Gを柔軟に使える通信システムです。接続制限による安全性の確保しやすく、5Gの対象外エリアでも高品質な通信環境を実現できます。
地方エリアや物流倉庫など、さまざまなシーンでローカル5Gの活用がすでにスタートしており、試験的な運用の段階ではあるものの、実験結果や効果からさまざまなメリットが証明されています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速化に貢献するローカル5Gの動向に注目しながら、導入や活用を検討しましょう。
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