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最終更新日:2024/04/04
チャットボットによる社内問い合わせ
ネット通販や企業のWebサイトなどへの普及が著しいチャットボット。最近では、バックオフィスの負担軽減に向けて、社内向けのヘルプデスクとしてチャットボットを導入するケースも増えています。ただ、成功した事例もある一方で、失敗してしまったケースがあるのも事実です。そこで今回は、社内向けチャットボットの成功・失敗例についてまとめました。

ダイキン工業では、メールやネットワークにおける設定や不具合に関する社内問い合わせを受けるヘルプデスクとして、AIチャットボットViiiを活用しています。
導入の目的は、社内からの電話問い合わせに対する対応工数の削減や社員の情報検索にかかる時間短縮のほかに、ユーザーの要望を「見える化」するという狙いがあります。チャットボットであれば質問内容のログが残されるため、社員から寄せられる質問の傾向が把握でき、重点的に対応が必要なジャンルのFAQを絞り込んでアップデートしていくなど、対応品質の向上につながったそうです。
現在は1日100件以上の質問にチャットボットが対応しており、社員の質問に正確に回答できた割合(正答率)は85%に上ります。今後は、メールやネットワークだけでなく、基幹システムおよび部門毎に抱えている質問にも対応していくそうです。

また、求人広告のアイデムでも同様に、社内問い合わせ窓口としてAIチャットボットViiiを活用しています。社内システムの使い方や各種手続きといったバックオフィスに寄せられるFAQが主な内容です。社内の問い合わせ対応の効率化とナレッジの集約化を目的としています。
社員からは、社内システムの使い方や各種手続きに不明点があるときに気軽に問い合わせできる、またリアルタイムでレスポンスが得られると好評を得ているそうです。運用側としても、メンテナンスがしやすいというメリットがあります。社内向けにノウハウを蓄積し、顧客向けサービスの展開も視野にいれています。

株式会社日清製粉グループ本社でも、チャットボットの導入によって社内問い合わせの問題を解消しています。これまでの日新製粉グループ本社では、属人的にヘルプデスクの対応が行われており、対応の質やスピードが問題として挙げられていたそうです。
そこで日清製粉グループ本社では、AIチャットボットの「hitTO」を導入しました。「hitTO」には、既存の社内FAQサイトを再活用でき、ユーザー画面も使いやすく解答への誘導が行いやすいという強みがあったため、従業員約6,000人からの問い合わせを自動化することに成功したといいます。
現在は、総務・人事関連の問い合わせにも対応するチャットボットを設置し、社内全体での生産性向上を図っているそうです。

三菱ケミカルホールディングスグループの中核企業である三菱ケミカル株式会社は、三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨンという3社の統合によって創立した経緯があり、その統合によって生じた問題も決して少なくなかったといいます。
その中でも特に大きな問題となっていたのが、一新された社内管理システムに対する従業員からの問い合わせでした。統合前とは異なるシステムになったことで、多くの従業員の混乱を招いてしまったわけです。
その問題を解決すべく、三菱ケミカル株式会社ではAIチャットボットの「HiTTO」を導入しました。勤怠入力や出張申請など、これまで特に多かった問い合わせの対応をスムーズにするため、学習データの作成代行や支援サービスを活用してチャットボット構築を行ったといいます。
このチャットボット構築により、従業員からの質問への対応を自動化し、従業員側と対応する側双方の負担を軽減することに成功しました。

日用品ショッピングサイト「LOHACO(ロハコ)」の運営などを行っているアスクル株式会社では、急増していた問い合わせへの対応を効率化させるために、2014年からAI型チャットボットの「マナミさん」を導入しています。
ホームページにFAQを設置することで、問い合わせの数を減らしていこうとしている企業も少なくありませんが、やはり「直接問い合わせてしまった方が手っ取り早いだろう」といった考えを持つ人は少なくありません。そのため、FAQを設置するだけでは思うような効率化を図ることができない傾向にありました。また、FAQから必要な項目を探し出すことができずに、諦めて電話問い合わせをしてくる顧客も少なくなかったといいます。
そういった問題を解消するためにチャットボットを導入したところ、問い合わせの3分の1をチャットボットに任せることができるようになり、結果的に6.5人分の人件費削減を実現することに成功したのです。この削減した人件費で新たなサービス開発に充てていくこともできるわけですから、極めて大きな効果といえるのではないでしょうか。
ちなみに、現在はアスクルWebサイトなどで「アオイくん」というチャットボットも導入されています。24時間365日問い合わせ対応を行うことで、顧客満足度の向上にもつなげることができているわけです。

オンライン生命保険の販売などを行っているライフネット生命保険株式会社でも、チャットボットの活用による業務効率化を実現しています。ライフネット生命が導入しているのは、LINEやFacebook Messengerで自動応対を行うことができるチャットボットです。
これまでは、「保険に関する知識がないため電話するのは躊躇してしまう」「小さな子どもがいるため対面での相談は難しい」といった理由から、保険会社への問い合わせを避けてしまっている人が多い状況にあったといいます。
しかし、多くのスマホユーザーが連絡手段として活用しているLINEで問い合わせを行えるようにしたことで、20代から40代の子育て世代を中心に問い合わせ件数が一気に増加したそうです。
1分ほどで最適な保険を見つけられる「ほけん診断」や、性別や生年月日などを入力するだけで見積もりが行える「保険料見積り」などの機能を設けることで、問い合わせ対応の効率化を図るのはもちろんのこと、集客の窓口としての役割も果たすことができています。
「有人対応を行うべき部分」と「チャットボットに任せても良い部分」の棲み分けを図ることで、さらなる業務効率化とサービスの向上に成功しているのです。

日本最大のコスメ・美容の総合情報サイト「@コスメ」を運営する株式会社アイスタイルは、チャットボットによる顧客問い合わせの自動化によって業務効率化を実現しています。チャットボットを導入するまでは、ちょっとした質問に回答するだけでも顧客を長時間待たせてしまうことが課題となっていたそうです。
そこで、チャットボットを導入し、頻繁に寄せられる質問などに関してはチャットボットで自動回答できる仕組みを構築したことで、顧客を待たせてしまう時間を大幅に短縮できるようになったといいます。
なお、チャットボットを導入したことでスタッフの負担も軽減されたため、現在は基本的に1名で有人対応を行う体制となっているそうです。

渋谷のファッションビルである『SHIBUYA109』と『109MEN’S』を運営している株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、コミュニケーションアプリのLINEを活用した自動接客を実現しています。導入されているのは株式会社ファナティックが提供している自動接客チャットボットの「WazzUp!(ワズアップ!) 」で、2017年4月から運用されています。
調べたいキーワードをLINEのトーク画面に送信すると、自動で必要な情報が送られてくるという仕組みです。そのため、ユーザーも会話するような感覚で必要な情報を手にすることができます。
また、顧客対応の自動化だけでなく、公式通販と連動した新着商品紹介や人気商品紹介なども行えるため、セールスの観点でも大きなメリットが得られているそうです。

無添加化粧品やサプリメントなどの販売を行う株式会社ファンケルも、チャットボットを導入したことで顧客対応の時間短縮に成功しています。
もともとファンケルでは、顧客の要望に答えるために「美容相談室」という化粧品関連の質問を行える窓口を設置したり、「サプリメント相談室」という健康食品やサプリメント関連の質問を行える窓口を設置したりして、顧客対応を行っていました。
しかし、2014年に始まったサプリメントの定期便サービスが好調であることが要因となり、一気に電話やメールでの問い合わせが増加し、顧客を長時間待たせてしまう状況が多くなったといいます。一度、解決策として「FAQ(よくある質問)」に誘導するという対策を行ったものの、回答に至るまでの離脱が多く、実質失敗と言わざるを得ない状況だったそうです。
そこでチャットボットを導入し、電話やメールに続く「第3の顧客接点」としたことにより、問い合わせを分散することに成功しました。もちろんチャットボットは自動化も図れるため、顧客を待たせる時間が減り、ストレスの軽減を実現することができたのです。
このように、社内向け、社外向けチャットボットの導入によって業務効率化を実現しているケースは数多く存在しますが、中にはチャットボットで失敗してしまっているケースも存在します。ここからは、チャットボットの失敗事例をみていきましょう。

ただ、残念ながら社内ヘルプデスクとしてチャットボットを導入してみたものの、うまく活用されずに廃止に至ったという例もあります。あのソフトバンクも失敗した一例です。
同社では、IBMの「Watson」をベースにした社内AI「Softbank Brain」を導入。営業担当者がスマホに話しかけるだけで、商談の準備に必要な情報を検索したり、提案に対するアドバイスをもらえたりといった活用を想定していたといいます。
ただ現実は容易ではなく、導入からたった3ヶ月で営業の現場では誰もチャットボットを利用しなくなってしまったそうです。
同社の担当者が感じたのは「“3+1”の壁」の存在です。これはITシステムを導入する際に突き当たる課題のことで、「検討の壁」「構築の壁」「導入の壁」があるといいます。AIの場合はとくに「検討の壁」が重要で、あらゆる業務の側面からスコープし、きちんとした要件定義をしなければ、導入決定まで時間ばかりがかかってしまいます。
また、AIを「使える」ものにするには学習データの作成も重要です。ソフトバンクの事例では、実際のユーザーとなる営業部門から十分なヒアリングをせず、事業戦略部門が営業部門を想定して学習データを作成したため、データがほとんど使い物にならないという「構築の壁」に突き当たることになりました。
最後の「導入の壁」については、完成形を導入するよりもスモールスタートで開始して徐々にブラッシュアップするというやり方のほうが有効だといいます。さらに、AIについては3つの壁に加えて「導入の壁」という課題もあり、新たなシステムを社内に定着させることが必要です。ソフトバンクの事例からは、『社内向けのチャットボット導入には現場のユーザーの声を聞き「検討の壁」「構築の壁」をクリアにしておくことで、そのほかの課題もクリアしやすくなり、社内で活用されるシステムになる』ということが学べるでしょう。

また、チャットボットの導入に失敗してしまうケースとして多いのが、経営層と運用担当者の間でイメージを共有できておらず、全社リリースには至らずに失敗してしまうというものです。
実際にチャットボットを運用する現場の担当者は、一定の領域に対する自動応答をゴールとして定めていたものの、少しずつ目的が逸れていってしまうというケースは少なくありません。これは、経営層が「AI=万能」といった間違った認識をしていることなどが原因として考えられます。
このようなケースでは、プロジェクトが進むごとに業務範囲が広がっていき、さまざまなQ&Aデータをチャットボットに登録することに繋がりがちです。
質問や回答の数が多くなり過ぎてしまうと、肝心の回答精度を高めることはできなくなってしまいます。その結果、プロジェクトがスタートしてから1年以上が経過しても全社リリースに行き着かないという事態を招いてしまうのです。
このような失敗を避けるためには、やはり経営層と現場の担当者がしっかりとイメージを共有しなければなりません。そのためにも、「どの業務において自動応答を行えるようにすれば良いのか」という点を明確にするなど、最初のゴールをしっかりと設定することが大切になります。
また、社内で発生するすべての業務を完璧に熟知している社員が存在しないのと同じように、チャットボットにおいてもすべてのQ&Aデータを登録するのは現実的ではありません。回答精度を高めるためには、適用領域をしっかりと定めた上で、データを蓄積させていく必要があるわけです。そのため、リリース後にも実際に社員から寄せられる質問を確認し、新しい回答を追加していくといった作業が重要になるでしょう。

チャットボットの構築からリリースまでのスケジュールに問題があり、失敗してしまうケースも少なくありません。一般的なプロジェクトでは、一定の精度を担保できる状態で特定の部門だけに公開する「テスト公開」という工程を挟みます。しかし、公開までのスケジュールが短く設定されている場合には、このテスト公開の工程を挟むのが難しいため、いきなり全社リリースしてしまうケースがあるのです。
当然、テスト公開を行わずに全社リリースしてしまえばトラブルも多く発生するため、ユーザーである社員からも不満の声が多くあがってしまいます。チャットボットの導入によって業務効率化を実現できなければ意味がありませんので、その目的を達成するためのスケジュール管理が重要になるでしょう。

このように、チャットボットの導入により成功している企業もあれば、失敗を経験している企業もあることがお分かりいただけたでしょう。
AIを活用するチャットボットにおいて、学習データの作成などは特に重要なポイントといえます。しかし、チャットボットの運用経験が浅い企業などの場合、適切な方法で学習データを作成できるか不安になってしまう場合もあるでしょう。
最近では、そのような不安を解消するための「学習データ作成代行サービス」などを設けている企業も存在するため、それらを活用するのもひとつの手段といえます。
数多く存在するチャットボットの中から自社に適したものを選択するためには、それぞれの特徴やメリットをしっかりと把握することが大切です。失敗を避けるためにも、それぞれのチャットボットの特徴を把握した上で、自社の課題解決につながるチャットボットを比較検討していきましょう。
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