顔認証システムとは?メリットや活用事例、導入のポイントをわかりやすく説明
最終更新日:2024/03/12
顔認証システムは、人の顔を認識して個人を特定する技術のことです。顔認証システムは、アクセス制限や入退室管理など、さまざまな分野で多く利用されています。このシステムを導入することにより、セキュリティの強化や利便性・顧客満足度の向上が期待できるのです。
本記事では、顔認証システムのメリットや活用事例、導入のポイントについてわかりやすく解説します。顔認証システムの導入を検討している方は、ぜひ最後まで記事をご覧ください。
AIソリューションについて詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
AIソリューションの種類と事例を一覧に比較・紹介!
顔認証AIとは
顔認証システムは、生体認証の一つで一意性の高い「顔」の情報を元に個人を特定し、認証する技術を言います。
顔認証システムの主な仕組みは、次のとおりです。
- 事前に顔の情報をカメラや赤外線センサーなどを利用して、データベースに登録する
- 認証が必要な時には、カメラや赤外線センサーを利用して顔情報を読み取り、データベースに保存されている情報と照らし合わせる
- 読み取った情報が保存されているものと一致した場合には「認証成功」となり、システムやデータなどが利用できるようになる
顔の情報は個人によってそれぞれ異なるため、顔認証システムはなりすましが困難な認証システムと言えます。身体的特徴であるために、認証のためのデバイスを所有したり、新たにパスワードを設定したりする必要はありません。
そのため、近年ではオフィスビルの入退管理にも利用され、不審者の侵入を防ぐ重要な役割を担っています。
顔認識AIの仕組み・作り方を知りたい方はこちらをご覧ください。
顔認証システムの種類・仕組み
顔認証AIには、大きく分けて2つの種類(認証方式)が存在します。一つが画像のみを取り込んで認識する「2D顔認証システム」、もう一つが赤外線カメラを用いて顔を立体的に認証する「3D認証システム」です。
2つの認証方式を一覧にまとめると、次のとおりになります。
メリット | デメリット | |
2D顔認証システム | ・非接触で認証が可能 ・身体的特徴のためなりすましが困難 ・専用の機材が不要(スマホやタブレットで認証可能) ・パスワードや物理的な認証デバイスが不要 |
・光の影響によリ認証できないことがある ・髪型やメイク、マスクなどの変化により認証失敗になることがある ・第三者が顔写真を使用して認証するリスクがある |
3D認証システム | ・立体的に顔認証を実施するため、2D顔認証システムよりも精度が高い ・光の影響を受けにくい ・髪型やメイクが変わっても影響を受けにくい |
・赤外線認証に対応した設備が必要 ・設備を導入するための初期費用や維持費用がかかる |
このように、2D顔認証システム・3D顔認証システムにはそれぞれメリット・デメリットがあり、用途によって使い分けることが重要です。
また、「顔」という個人情報を扱うため、情報管理には十分に注意し、漏えいなどのリスクに備えなければなりません。2つのシステムの詳細については、次項にて詳しく説明します。
2D顔認証システム
2D顔認証システムは「ビジュアル方式」とも呼ばれ、幅広い用途で利用されています。
認証方法は次のとおりです。
- スマホやタブレットなどで顔を撮影し、その画像から情報を抽出する
- 顔のパーツ(目・鼻・口)などをテンプレート化して、データベースに登録する
- 認証時には、撮影された顔画像とデータベースに登録されている情報が一致するか比較する
- 情報が一致すれば「認証成功」となり、システムやデータが利用できるようになる
2D顔認証システムは、特別な機器がなくても利用可能です。しかし、光の影響や髪型・メイクが違うと認証制度が下がるなどのデメリットもあります。
2D顔認証システム(ビジュアル方式)のメリット・デメリット | |
メリット | ・非接触で認証が可能 ・身体的特徴のためなりすましが困難 ・専用の機材が不要(スマホやタブレットで認証可能) ・パスワードや物理的な認証デバイスが不要 |
デメリット | ・光の影響によリ認証できないことがある ・髪型やメイク、マスクなどの変化により認証失敗になることがある ・第三者が顔写真を使用して認証するリスクがある |
2D顔認証システムは、主に次のような用途で使用されています。
- スマホやタブレットなどのデバイスのロック解除や決済時
- オフィスの入退室管理
- 試験の替え玉受験や本人以外のイベント参加などのなりすまし防止
3D顔認証システム
3D顔認証システムは「IR方式」とも呼ばれ、2D顔認証システムよりも精度が高い認証方式です。
認証の仕組みは次のとおりです。
- 2D顔認証システムに赤外線センサーを活用することにより、立体的に顔情報を抽出する
- 抽出したデータをテンプレート化して、データベースに登録する
- 認証時には、カメラと赤外線センサーを利用してデータベースに登録されている情報と比較する
- データが一致すれば「認証成功」となり、システムやデータの使用が可能になる
3D顔認証システムは、赤外線センサーを活用することにより、光の影響や髪型・メイクが変わっても認証失敗になる確率が低いという特徴があります。しかし、専用の機器が必要になるため、導入および維持費用がかかるというデメリットがあります。
3D顔認証システム(IR方式)のメリット・デメリット | |
メリット | ・立体的に顔認証を実施するため、2D顔認証システムよりも精度が高い ・光の影響を受けにくい ・髪型やメイクが変わっても影響を受けにくい |
デメリット | ・赤外線認証に対応した設備が必要 ・設備を導入するための初期費用や維持費用がかかる |
3D顔認証システムは、主に次のような用途で利用されています。
- 空港の出入国管理
- オフィスの入退室管理
顔認証システムを導入するメリット・効果
顔認証技術を活用することのメリットとしては、主に以下の4点が挙げられます。
- セキュリティレベルが高い
- 非接触で認証できるため衛生的
- 専用の装置が不要なので導入しやすい
- 不正抑止につなげられる
さまざまなシステムがデジタル化していく中、セキュリティの強化は必須とされています。また、コロナ禍により、認証システムも非接触であることが求められているのが現状です。
顔認証システムは、セキュリティの強化や非接触で認証ができることから、現在の状況に適している認証システムと言えます。
4つのメリットについて、次項より詳しく見ていきましょう。
セキュリティレベルが高い
現在はさまざまなタイプの認証技術が存在しますが、顔認証技術は他の認証技術と比べてセキュリティレベルが高いのが特徴です。人の顔に関する情報は、物理的な鍵(ICカード)や暗証番号のように盗まれることがありません。また、偽造も極めて困難であるため、より強固なセキュリティを実現できるのです。
顔認証技術と同程度のセキュリティレベルを誇る技術として、指紋認証や静脈認証といった技術も挙げられますが、これらは「使いやすさ」という観点では顔認証技術に劣ります。指紋認証や静脈認証の場合、指を機械に置いて認証しなければなりませんが、顔認証であればカメラに顔を向けるだけで良いからです。
セキュリティレベルの高さはもちろんのこと、利用者が特にストレスを感じることなく認証できるという点も、大きな魅力といえるでしょう。
非接触で認証できるため衛生的
顔認証システムは、カメラに顔を向けるだけで認証を行えます。そのため、指紋認証や静脈認証などのように体の一部を機械に接触させる必要がありません。非接触であれば、ウイルスの感染拡大を抑えることにもつなげられるため、衛生面でも大きなメリットがあるといえるでしょう。
特に昨今は新型コロナウイルスの影響により、多くの人々が衛生面に敏感であるため、利用者に安心感を与えられるという点もメリットといえるのではないでしょうか。
専用の装置が不要なので導入しやすい
顔認証技術を搭載したシステムは、他の生体認証システムのように専門の機器が必要ありません。Webカメラとデータ保存用のサーバーさえ用意できれば利用を開始できるため、導入ハードルの低い技術といえるでしょう。
不正抑止につなげる
顔認証システムを利用する場合、「いつ・誰が入室したのか」というデータをログとして正確に残すことができます。そのため、もしオフィス内で問題行動が発生した場合でも、瞬時に原因を突き止めることができるのです。
オフィスへの出入りがすべて記録されることになるため、外部からの侵入を防げるのはもちろんのこと、従業員による内部不正の抑止にもつなげられるのは大きな魅力といえるでしょう。
顔認証システムを導入するデメリット・問題点
顔認証AI技術を活用することで、さまざまなメリット・効果を得られることがお分かりいただけたかと思いますが、決してデメリット・問題点が存在しないわけではありません。
- セキュリティのリスクが高い
- 制度にムラがある
- なりすましのリスク
このように、顔認証システムはセキュリティの強化ができる反面、リスクも大きいという特徴があります。
また、精度のムラやなりすましのリスクがあることも注意しなければなりません。顔認証AI技術を活用するデメリット・問題点について詳しくみていきましょう。
セキュリティのリスクが大きい
顔認証AI技術を用いる場合に使用される顔データは、個人情報に該当します。その個人情報を顔認証という目的以外で使用したり、流出・漏洩したりした場合には、法的に罰せられる可能性もあるため注意が必要です。
こういった事態を避けるためにも、データの管理や運用の方法をあらかじめ明確化し、適切な体制のもと運用していくことが重要になります。適切な管理体制のもと運用できれば大きなメリットを得られるため一概にデメリットとはいえませんが、セキュリティのリスクを伴うという点は把握しておく必要があるでしょう。
精度にムラがある
昨今は、AIの技術が飛躍的に向上しているため、顔認証AIの精度も少しずつ高まってきている状況です。とはいえ、導入する顔認証システムによっては精度にムラが生まれてしまうケースも少なくありません。
特に昨今は、新型コロナウイルスの感染対策として多くの人がマスクを着用しているため、マスクをした状態でも認証できる技術が求められます。システムによってはマスクを着用していても高い精度で認証できますが、マスクを外さなければ高い精度で認証できないシステムの場合、利用者にとって大きな手間となってしまいます。
こういった点を踏まえると、マスクを着用していても高い精度で認証できるシステムを選択するのが好ましいでしょう。
なりすましのリスク
指紋を複製されるリスクがある指紋認証と比べれば安全性は高いものの、顔認証システムにも少なからずなりすましのリスクは伴っています。ただ、近年はなりすましを防ぐ整体検知が搭載された顔認証システムも多くなってきているため、不正に認証をくぐり抜けられてしまうリスクは低くなってきているといえるでしょう。
現在はさまざまな機能を持つ顔認証システムが存在しているため、「なりすましのリスク」にも目を向けながら、自社にとって最適な機能を搭載したシステムを検討していくことが大切になります。
顔認証システムの活用シーン
顔認証技術の仕組みやメリットについてお分かりいただけたかと思いますが、具体的に顔認証技術はどのような領域で活用されているのでしょうか。ここからは、顔認証の活用領域について詳しくみていきましょう。
- 企業のセキュリティ
- 企業サービス
- 機器組込み
- 国家インフラ・エリアセキュリティ
企業のセキュリティ
企業のセキュリティとは、企業が保有する情報資産(企業に蓄積されたノウハウや経営に関することなど資産として価値のある情報)を守るための対策のことを言います。情報資産が第三者に渡ってしまうと多大な損失となるため、企業のセキュリティを強化する必要があるのです。
企業のセキュリティは、次のようなものが挙げられます。
- 情報漏えいの防止
- 不正アクセスの防止
- マルウェア(コンピューターウイルスのような不正かつ有害な悪意あるプログラムの総称)への感染防止
企業のセキュリティ強化にはさまざまな方法が考えられます。その中でも、顔認証システムはパスワード入力や特定のデバイスを持ち歩く必要がないため、導入しやすい認証システムの1つと言えるでしょう。
中でも、次のようなケースで顔認証システムは広く利用されています。
【企業のセキュリティにおける使用例(一例)】
- 出退勤管理
- 社員が使用するデバイス(社用のPCやスマホ)のロック解除
- 勤怠管理
- 特定の部屋への入室制限
企業サービス
企業サービスとは、企業が提供するサービスのことで、顧客満足度の向上に重要な役割を果たします。
たとえば、会員制の飲食店の場合は、顧客から会費を受け取る代わりにワンランク上のサービスを提供するのです。
主な企業サービスの例として、次のようなものが挙げられます。
- SaaS型のクラウドサービス
- 宿泊業
- 飲食サービス業
- 生活関連サービス業(美容院・リラクゼーションサロンなど)
企業サービスにも、顔認証システムは利用されています。たとえば、ホテルのチェックイン時に顔認証システムを導入すると、フロント業務の効率化が進み、顧客もフロント滞在時間が短縮が可能です。このように、顔認証システムは企業サービスとも相性がよく、効率よく導入することで、顧客満足度の向上や自社の業務改善が期待できます。
【企業サービスにおける使用例(一例)】
- ホテルのチェックイン
- SaaS型のクラウドサービスの本人認証
- 飲食店での決済
機器仕込み
機器組込みとは、スマホやタブレットなどに顔認証システムが搭載されているように、さまざまな機器に顔認証システムの技術を組み込むことを言います。
顔認証は、パスワードや暗証番号などよりもセキュリティの高い認証システムのため、勝手にロックを解除される・不正に入室されるなどのリスクを軽減できるのです。
- コインロッカーのロックや解除
- スマホやタブレットのデバイスのロック解除
- 部屋への入退室やシステムのアクセス制限
顔認証システムが搭載されたデバイスでは、パスワードの入力や認証のためのデバイスを所持しなくて良いという特徴があります。また、両手が荷物で塞がっていても、顔を認識させるだけでロックが解除されるので、日常生活の利便性も向上します。しかし、顔認証システムのセキュリティも万全ではないので、なりすましや誤認識などのリスクには十分に注意しなければなりません。
【機器組込みにおける使用例(一例)】
- スマホやタブレットなどのデバイス
- 金庫やロッカー
- 玄関や資料室のドア
国家インフラ・エリアセキュリティ
国家インフラ・エリアセキュリティとは、国家のインフラや地域を守るために実施するセキュリティ対策のことを指します。国家インフラとは、国民の生活に欠かせない基盤のことで、問題が生じると国民生活に大きな支障が出てしまいます。
また、エリアセキュリティに関しても、国民が生活する地域の安全性が保たれていないと安心して生活できません。このような、国家インフラ・エリアセキュリティにおいても、顔認証システムは活用されています。
- 旅行客の身元の確認や入国審査を実施する
- 街の監視カメラに顔認証システムを搭載して、防犯や犯罪捜査に活用する/li>
- 政府機関や軍事施設などの重要施設に、不審人物が侵入しないように監視する
顔認証システムは、日常の生活のみならず国民の生活を守るために大きく貢献しています。ただし、顔情報は個人情報に該当するため、情報漏えいのリスクや個人情報保護法の遵守など、さまざまな問題をクリアしなければならないのも現状です。
【機器組込みにおける使用例(一例)】
- 出入国管理
- 町の防犯カメラや監視カメラ
- 公共機関の入退出管理
顔認証システムの導入ポイント
顔認証システムを導入する際のポイントを5つ紹介します。
- 認証制度で選ぶ
- 導入規模で選ぶ
- セキュリティで選ぶ
- 他システムとの連携性で選ぶ
- 費用で選ぶ
これらのポイントを考慮する必要がある理由を、次項にて詳しく説明します。
認証制度で選ぶ
顔認証システムを導入するときには、認証精度が高いものを選ぶようにしましょう。
なぜなら、認証精度が低いと次のようなリスクが考えられるからです。
- 本人であるにもかかわらず認識されない(本人拒否)
- 本人ではないのに本人と認識してしまう(他人受入)
- なりすましのリスクがあがる
このように、認証精度が低いとさまざまな問題が発生する恐れがあるのです。そのため、認証精度が信頼できるものを選ぶ必要があります。
認証精度で顔認証システムを選ぶときには、次のようなことに重点を置くといいでしょう。
FAR(False Acceptance Rate:誤認証率) | 本人でない人物が誤って認証される確率。FARが低いほど、誤認証のリスクが低くなる |
FRR(False Rejection Rate:誤拒否率) | 本人であるにもかかわらず、認証されない確率。FRRが低いほど、正確な認証が可能になる |
EER(Equal Error Rate:当価エラー率) | FARとFRRが等しくなるときの値。EERが低いほど、認証精度が高くなる |
導入規模で選ぶ
顔認証システムを選ぶときは、導入規模も重要なポイントとなります。導入規模は、次のような基準で選ぶといいでしょう。
- 利用する人数
- 施設の大きさ
たとえば、商業施設などの大規模かつ多くの人数が利用するような場合は設置台数が多くなります。また、セキュリティの問題上、認証精度も高いものが必要となるでしょう。一方、数人程度で利用する場合には設置台数も1台〜数台でよく、認証精度がそれほど高くなくても対応できる可能性があります。
導入規模で顔認証システムを選ぶ場合の基準はこのようになります。
利用する規模および人数 | ・利用する規模が多くなるほど、顔認証システムの設置台数は増える ・大人数の認証が必要な場合は、認証精度が高いものが必要になる |
運用方法 | どの程度認証したいのかによリ必要な顔認証システムの精度が異なる |
コスト | 大がかりな顔認証システムは費用がかかるため、規模に応じたシステムを選ぶようにする |
セキュリティで選ぶ
顔認証システムがどれほどのセキュリティ対策を施しているのかも、重要なポイントとなります。
なぜなら、顔認証システムは個人情報を扱うからです。顔認証システムそのもののセキュリティが不十分で情報漏えいや不正アクセスが発生すると、大きな問題に発展します。
顔認証システムをセキュリティで選ぶ際には、次のようなことを基準にするといいでしょう。
外部からのセキュリティ対策 | 不正アクセスや情報漏えいへの対策は、個人情報保護のためにも重要なポイントとなる |
データの暗号化やアクセス制限 | 顔認証システムに万が一不正アクセスされても、データの暗号化やアクセス制御によりデータの保護が可能になる |
監視ログの保存 | 顔認証システムへの不具合が発生した場合、監視ログを確認することで原因を把握できる可能性がある |
他システムとの連携性で選ぶ
他システムとの連携性も、顔認証システムを導入する際のポイントとして挙げられます。顔認証システムは、勤怠管理システムなどの他のシステムと連携させる機会も多いのが特徴です。そのため、今使っているシステムに連携できる顔認証システムを導入すると、利便性が上がり作業効率の向上が期待できます。
具体的なポイントとして、このようなものが考えられます。
APIの使用 | APIが使用できる顔認証システムであれば、他のシステムとの連携が簡単になる |
データ形式の互換性 | 顔認証システムと他のシステムのデータが同じ場合は、データのやりとりがスムーズにできるようになる |
費用で選ぶ
顔認証システムを利用する際には、導入のための初期費用や継続して利用するための維持費用がかかります。そのため、導入する際には、自社の予算内で適した顔認証システムを選択することが重要です。
顔認証システムを費用で選ぶ場合には、次のような点に注意しましょう。
導入費用 | 導入費用には、機械の購入や設置、システムの構築費用などがある |
運用費用 | 機械をレンタルした場合はレンタル費用、システムを利用するための維持費用や管理のための人件費などが毎月かかる |
顔認証システムを続けて利用していくためには、性能とコストのバランスが大きなポイントとなります。使用環境や用途に応じて、適した性能とコストのバランスを見極めるようにしましょう。
顔認証システムの製品・サービス一覧
顔認証システムは数多くありますが、その中からおすすめを8つ紹介します。
- Mercury Cloud
- AimeFace
- Vareal Face Recognition
- MAL Face Recognition
- Gravio
- EG-Keeper
- VI-Checker
- FaceMe(R)
それぞれにどのような特徴があるのか、見ていきましょう。
顔認証クラウドサービス「Mercury Cloud」
日本コンピュータビジョンが提供する「Mercury Cloud」は、高精度な顔認証APIのクラウドサービスです。柔軟な展開とコスト効率に優れ、何らかのトラブルが発生してもサービスを提供可能な可用性や、高レベルのセキュリティを提供します。マスク着用時の認証に最適なアルゴリズムを搭載している「Mercury Cloud」は、高精度な顔認証が可能です。2,000万人の顔データが登録可能で、高速な顔検出・比較・検索・属性検知が行えます。
また、使い勝手のよいOpen APIを用いたシンプルな開発で実装可能なのも魅力の1つです。
【「Mercury Cloud」がおすすめな企業】
- 顔認証システムを、現在使用しているシステムやサービスに統合したい企業
- マスク着用時でも顔認証が必要なイベント関連企業や商業施設など
Mercury Cloudについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
日本コンピュータビジョン、マスク着用時の顔認証に最適なAPIクラウドサービスの提供を開始
顔認証システム「AimeFace」
株式会社アイメソフト・ジャパンが提供する「AimeFace」は、認識精度99%*を達成した顔認証システムです。(*: データベースへの登録人数が100名までの場合。100名以上の場合は数によって精度が変わります。)
カメラで撮影された映像から顔の特徴点情報をリアルタイムで抽出し、当人を特定できます。また、マルチモーダルAIをベースにした顔登録機能も搭載されており、音声による顔登録が可能です。そのため、受付システムなどでリアルタイムの顔登録が可能になります。
【「Aime Face」がおすすめな企業】
- ホテルや旅館などの観光業界
- 受付業務を非接触・非対面で効率化したい企業
顔認識率99%以上のAIエンジン「Vareal Face Recognition」
Vareal株式会社が提供する「Vareal Face Recognition」は、顔認識率99%以上のAIエンジンです。輪郭や目の位置などのユニークな特徴を分類に特化したアルゴリズムに変更したことで、対象人物を100%認証できるようになりました。また、認証機器に触れることなく入退室の管理が可能であり、新型コロナウイルス対策としても効果的です。
さらに、入退出の登録も簡単に行うことができ、鍵やカードキーの管理も必要ありません。オンラインで事前に顔写真を登録できるため、民泊用マンションのスマートセキュリティシステムの実現が可能です。
【「Vareal Face Recognition」がおすすめな企業】
- セキュリティを重視する企業や施設
- 感染症対策が求められる企業や施設
顔認証を導入できる「MAL Face Recognition」
VITALIFY Asiaが提供する「MAL Face Recognition」は、あらかじめ登録された顔データを元に、入力された顔画像をリアルタイムで照合・判別できるAIモデルを組み込んだソフトウェア開発キット(SDK)です。外部通信せずに高速に操作することができ、顔の登録時間は10秒ほど、顔の認証(判別)時間は1秒以内、そして認識精度は98%と、極めて高い精度を誇る点も大きな魅力といえるでしょう。
【「MAL Face Recognition」がおすすめな企業】
- 外部通信なしで顔認証システムを利用したい企業
- 短時間、かつ高性能な顔認証システムを求めている企業
顔認証や人の動きなどの画像AIとIoTのセンサーデータを「Gravio」エディション上で簡単に統合活用
アステリア株式会社が提供する「Gravio 」は、顔認証や人の動きなどの画像AIとIoTのセンサーデータを簡単に統合活用することができるソリューションです。
グローバルで豊富な実績のある台湾Gorilla Technology社の顔認証・人の動き認識を実現するAI画像推論機能を搭載。登録済の人物検出・年齢層・性別などの「顔認識・特徴検知機能」や、不審なうろつきや入退室数カウントなどの「動き検知機能」を搭載しています。
また、複数のGravio Hub(エッジコンピューティングリソース)を管理、制御することもできます。ブロックチェーン機能を内蔵しており、監査ログの改ざん防止、悪意のあるアクションの起動などを抑止できるのも大きな特徴のひとつです。
【「Gravio」がおすすめな企業】
- IoTセンサーデータと顔認証や人の動きなどの情報をAIで統合的に活用したい企業
- セキュリティ能力の高いシステムを利用したい企業
※Gravio新たな機能を実装し新Gravioにリニューアルしました。
エッジで処理可能な顔認証パネル「EG-Keeper」
「EG-Keeper」は、マスク着用者の顔認識と体表面温度検知がエッジで処理可能な顔認証パネルです。エッジ処理によって高速かつ正確に顔認識を行えるAIエッジ解析カメラ「Eeye(イーアイ)」によって、マスクを着用した人でも高精度に顔解析を行うことができます。
また、サーモグラフによって体表面温度を検知してくれる機能も搭載されているため、顔認証と体表面温度検知を併用する形で、入退出の管理を行うことが可能です。
そんな「EG-Keeper」は、エッジ解析による解析処理であるため、サーバでの解析が必要なく、 システム費用がかからない点も魅力の一つといえるでしょう。さらに、ライセンス費用もないので、ランニングコストがかかりません。こういった点は、予算が限られた企業にとっては大きな魅力といえます。
【「EG-Keerer」がおすすめな企業】
- 病院や商業施設の体温スクリーニングをしたい企業
- 初期費用のみで顔認証システムを利用したい企業
AI顔認証監視システム「VI-Checker」
株式会社ヴィンクスが提供する「VI-Checker」は、顔認証と、それをトリガーとした自動化システムです。AIによる画像解析で、事前に登録されている人以外の顔を検知すると、その画像を保管し、自動で通知・対応します。また、動線のトレースを行うことにより、人物の追跡が行えるのも特徴のひとつです。
【「VI-Checker」がおすすめな企業】
- 防犯カメラと組み合わせて、防犯対策や事故を未然に防ぎたい企業
- さまざまなデバイスと直接連携し、効率的に監視したい企業
「FaceMe(R)」ディープラーニングを使用したエッジデバイス向けのリアルタイムAI顔認識エンジン
サイバーリンク株式会社が提供している「FaceMe(R)」は、ディープラーニングを使用したリアルタイムAI顔認識エンジンです。高速な認識速度と高い認識精度、そして広い認識範囲を、画像処理による最適化と最新のAIエンジンで実現しています。
Windows、Linux、Android、iOS 用にデザインされているため、クロスプラットフォームでの開発に最適です。
【(FaceMe(R)の詳細を見る)おすすめな企業】
- 高い精度の顔認証システムにより、なりすまし防止を強化したい企業
- 顔認証システムに高い柔軟性を求める企業
顔認証を導入している事例を紹介
顔認証技術は、さまざまな業界で導入され始めています。ここからは、実際に顔認証技術を導入している事例についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 無人化店舗 「SECURE AI STORE LAB」
- GPUを搭載したエッジデバイス「Edge AI Box」
- 顔認証で検温「Thermal camera hub」
- AI検温ソリューション「SenseThunder(センス・サンダー)」
- AI顔認証システム「SAFR(セイファー)」
- マスク着用中のAI顔認証機能を追加した「FaceMe(R)」
- 万引き防止AIカメラの活用
- 富山市の顔認証決済システム
無人化店舗 「SECURE AI STORE LAB」:小売業界
(参照:「未来型無人化店舗」が最新AIを駆使して新宿に7月オープン もはやスマホも不要「手ぶらでお買い物」へ | ロボスタ)
株式会社セキュアでは、未来型無人化店舗の「SECURE AI STORE LAB(セキュアエーアイストアラボ)」を2020年7月にオープンしました。この無人化店舗は住友新宿ビル地下1階にあり、来店客の利便性や新しい購入体験、そして店舗の無人化・省力化や効率化といったものが主な目的とされています。
そんな「SECURE AI STORE LAB」の大きな特徴として挙げられるのが、「顔認証による入店」です。来店者は、事前に登録を済ませておけば手ぶらで買い物することができ、手に取った商品も自動認識されます。そのため、決済をするためのレジ待ちなどもありません。
これは、顔認証によって来店者一人ひとりを明確に把握できるからこそ実現できるサービスといえるでしょう。ちなみに、「SECURE AI STORE LAB」に設置されている顔認証システムは、AIソリューションを提供する株式会社ヘッドウォータースが開発したものです。
NVIDIA CorporationのGPUを搭載したエッジデバイス「Edge AI Box」:介護業界
(参照:「映像エッジAI」を活用した介護AIソリューションの導入に向けた検証環境の構築および実証実験を開始|株式会社メディクルードのプレスリリース|PR TIMES)
介護業界においても顔認証技術は積極的に活用され始めています。その代表的な事例として挙げられるのが、Genki Groupの株式会社メディクルード、EDGEMATRIX株式会社、株式会社NTTドコモ、パナソニックi-PROセンシングソリューションズ株式会社が共同で開発した、介護AIソリューションです。
この介護AIソリューションでは、徘徊などの検知(動体分析による異常行動アラート)や
高齢者転倒検知、侵入検知、職員メンタルチェック(顔認証と勤怠データベース)、夜間・昼間時の見守りシステム、誤薬検知といったものを実現でき、業務効率化に伴う職員の負担軽減が期待できます。
介護業界では特に人手不足が深刻化しているため、こういったソリューションの活用によって職員の負担を軽減できるのは大きなメリットといえるのではないでしょうか。
顔認証で検温「Thermal camera hub 」:医療業界
(参照:発熱者の検知、管理者負荷軽減を実現!サーマルカメラ用ポータルサイト「Thermal Camera Hub」の提供を開始|フューチャースタンダードのプレスリリース|PR TIMES)
映像解析AIプラットフォームの「SCORER(スコアラー)」を運営する株式会社フューチャースタンダードでは、サーマルカメラ用ポータルサイトの「Thermal Camera Hub」を提供しています。このポータルサイトでは、「SCORER(スコアラー)」を活用することで、サーマルカメラのログデータの一括管理が可能です。ユーザごとのID/PWをもとにポータルサイトへログインすれば、サーマルカメラの検知ログを一覧でチェックすることができ、カメラごとのソートも行えます。
そのため、発熱検知をされた来場者を確認したり、カメラごとの検知数を閲覧したりと、管理者の負荷軽減を図ることができるわけです。医療業界も人手不足が深刻化している業界のひとつですので、このような顔認証機能によって業務負担を軽減できるのは大きなメリットといえるでしょう。
ソフトバンクが開発したAI検温ソリューション「SenseThunder(センス・サンダー)」
(参照:体温検知・AI検温ソリューション | SenseThunder | ソフトバンク オフィシャルサイト)
ソフトバンク株式会社が開発した「SenseThunder(センス・サンダー)」は、AI顔認識技術と赤外線カメラを活用して、マスクを着用したままでも検温ができるAI検温ソリューションです。
イオンモールへの納入が発表され、大きな注目を集めました。具体的には、AIを活用した独自の認証デバイスとサーモグラフィカメラを組み合わせることで、わずか0.5秒で個人認証と体温測定の両方が実行可能です。高精度かつスピーディーに検温ができるようになり、より高度な感染症対策が期待されています。
セキュリティゲートでマスクを外す必要がないAI顔認証システム「SAFR(セイファー)」
(参照:リアルネットワークス、AI顔認証SAFR™に新機能追加―マスク着用でも認証可能|PR TIMES)
「SAFR(セイファー)」は、認識精度99.8%という高い精度を誇り、競合他社の3倍~5倍のスピードで処理が可能な顔認証システムです。「マスク着用時でも顔認証を行える機能」が搭載されているため、マスクを外さなくても高性能で顔認証が可能なことも、特徴の1つと言えます。
「SAFR(セイファー)」はは、動画による顔認証も得意としており、100ミリ秒以内でライブフィード動画の中から顔の特定が可能です。さらに、肌の色の違いによる認識能力の差を評価するテストでも高い成績を残しています。さらに、NTTドコモが5Gソリューションのひとつとして採用するなど、大きな注目を集めています。
台湾のサイバーリンクもマスク着用中のAI顔認証機能を追加
サイバーリンクが提供する「FaceMe(R)」には、2020年6月にマスク検出や着用時の顔認識が可能な機能が追加されています。また、体表面温度の測定を行うサーマルカメラの統合や、映像内の人数カウント機能も追加され、さらに利便性が向上しました。
「FaceMe(R)」は、高精度なアルゴリズムが備わっており、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が行う顔認証技術ベンチマークテストでも世界上位にランクしています。「FaceMe(R)」は顔による非接触型の生体認証の実現が可能で、感染症対策やマスク着用中の入退室管理などに効果が期待できます。
万引き防止AIカメラの活用で万引きを4割減少
ウェッジ株式会社が提供するAIカメラソリューションは、自動防犯や自動見守り、自動監視の実現が可能な顔認証システムです。五感に近い高度なセンシング機能と予知をスピーディーに行うAIが搭載されています。これにより、不審な動きや異常な動きが見られた場合は、リアルタイムの通知や対処も可能です。たとえば、ドラッグストアでの試験運用では、万引きを4割減少させることに成功しました。
また、試験運用が行われたホームセンターでは、危険と検知した人物への声かけにより万引きの減少につながっています。このような形で万引き対策ができることは、個人や少人数で運営している店舗にとって大きなメリットとなるでしょう。
富山市が開始した顔認証決済システムの社会実験
(参照:富山デイズ、顔をかざすだけでお支払い!全国初の試み『顔認証システム社会実験』が富山市で開始に!)
富山市では、顔認証技術を活用した革新的な社会実験が行われています。このプロジェクトは、市民の安全とセキュリティの向上を目的としており、高度なAIとカメラ技術を駆使しているのです。顔認証システムは、公共施設や交通機関などでの利用が想定されており、特にセキュリティが重要視される場所での導入が進んでいます。
また、このシステムはスマートフォンや他のデバイスとの連携も可能で、より利便性の高い生活環境の実現を目指しています。顔認証技術の導入により、個人情報のセキュリティが強化されると同時に、市民の日常生活における手間が軽減される見込みです。
自社に合った顔認証システムを導入しよう
今回は、顔認証技術の仕組みや事例について詳しくご紹介しました。顔認証技術には、セキュリティ強化やサービス向上、そして非接触による衛生面の向上といったさまざまなメリットが存在することがお分かりいただけたのではないでしょうか。
特に昨今は、少子高齢化に伴い人手不足が深刻化しているため、従業員の負担を増加させることなく、セキュリティ強化と業務効率化の両面を実現させる必要があります。その課題を解消する上で、まさに顔認証技術は重要な役割を果たす存在といえるでしょう。
今後は、顔認証AIを搭載したロボットの普及などで、それらの課題が解消されていくかもしれません。どのような形で顔認証AIの活用が広がっていくのか、ますます期待が膨らみます。
なお、以下のページでは、顔認証AIの比較検討に役立つカオスマップをお配りしていますので、ぜひお気軽にご覧ください。
AIについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説
業務の課題解決に繋がる最新DX・情報をお届けいたします。
メールマガジンの配信をご希望の方は、下記フォームよりご登録ください。登録無料です。
AI・人工知能記事カテゴリ一覧
AI・人工知能サービス
- 生成AI
- 画像生成AI
- ChatGPT
- AI研究開発
- LLM
- DX推進
- おすすめAI企業
- チャットボット
- ボイスボット
- 音声認識・翻訳・通訳
- 画像認識・画像解析
- 顔認証
- AI-OCR
- 外観検査
- 異常検知・予知保全
- 自然言語処理-NLP-
- 検索システム
- 感情認識・感情解析
- AIモデル作成
- 需要予測・ダイナミックプライシング
- AI人材育成・教育
- アノテーション
- AI学習データ作成
- エッジAI
- IoT
- JDLA
- G検定
- E資格
- PoC検証
- RPAツール
- Salesforce Einstein
- Watson(ワトソン)
- Web接客ツール
- サプライチェーン
- メタバース
- AR・VR・デジタルツイン
- MI
- スマートファクトリー
- データ活用・分析
- 機械学習
- ディープラーニング
- 強化学習
- テレワーク・リモートワーク
- マーケテイングオートメーション・MAツール
- マッチング
- レコメンド
- ロボット
- 予測
- 広告・クリエイティブ
- 営業支援・インサイドセールス
- 省人化
- 議事録自動作成
- 配送ルート最適化
- 非接触AI
業態業種別AI導入活用事例
今注目のカテゴリー
AI製品・ソリューションの掲載を
希望される企業様はこちら