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最終更新日:2026/04/21
Claude Dispatchとは?
スマートフォンから指示を送るだけで、自宅や会社のPCが自動でファイル整理やデータ集計を進めてくれる、そんな働き方が現実になるツールが「Claude Dispatch」です。
本記事では、Dispatchの基本的な仕組みからセットアップ手順、実際の活用シーンまでをまとめて解説します。

Claude Dispatchは、2026年3月17日にAnthropicが公開したツールです。スマートフォンのClaudeアプリから指示を送り、自宅や職場のデスクトップ上でAIがタスクを実行し、その結果をスマートフォンに返す仕組みです。
従来のAIチャットツール(たとえばChatGPTやClaudeのウェブ版)は、会話のたびに記憶がリセットされ、ファイルの操作には手動でのアップロードが必要でした。Dispatchはこうした制約を大きく変えます。
| 比較項目 | 従来のAIチャット | Claude Dispatch |
| 会話の継続性 | セッションごとにリセット | 単一の永続的なスレッドで継続 |
| タスク実行のタイミング | リアルタイム対話が必要 | バックグラウンドで自動実行 |
| 使用デバイス | 操作中のデバイスのみ | PCとスマートフォン間で同期 |
| ファイル操作 | 手動でアップロードが必要 | ローカルファイルに直接アクセス |
| 複数タスクの並行処理 | 基本的に1件ずつ | 複数の依頼を同時に処理可能 |
DispatchはClaude Coworkの「拡張機能」として動きます。
そもそもClaude CoworkはローカルPCの中で動くAIエージェントツールです。ファイルの整理・フォーマット変換・ドキュメントの自動生成など、複数のステップを組み合わせた複雑な作業を、プログラミングの知識なしで自動化できます。
DispatchはこのCoworkに「スマートフォンからの遠隔操作」を追加した機能と考えると分かりやすいでしょう。
スマートフォン側のClaudeアプリはリモコンの役割を担うだけで、実際のデータ処理はすべてデスクトップ上で行われます。ファイル本体がAnthropicのサーバーに送られるわけではないため、機密性の高い文書でも安心して扱えます。
Dispatchは現在「リサーチプレビュー」段階にあります。製品として一般公開される前の、テスト・改良を重ねる時期です。
具体的には次の点を理解しておく必要があります。
また、使用する際はPCの電源を入れ、Claude Desktopアプリを起動したままにしておく必要があります。PCがスリープや電源オフの状態ではDispatchは機能しません。「PCを完全に放置してどこでも動かせる」というイメージとは少し異なる点に注意してください。

Dispatchを理解するうえで最も重要なのは、「処理はすべてローカルのデスクトップ上で完結する」という設計思想です。クラウドにデータを預けて処理する仕組みとは根本的に異なります。
この仕組みが、セキュリティ面での安心感を生み出しています。
Dispatchのデータの流れはシンプルです。
このフローで重要なのは、スマートフォンとデスクトップの間でやり取りされるのは「テキストの指示と結果」だけという点です。ファイル本体はローカルPCの外に出ません。機密情報が含まれる社内文書や契約書なども、PCの中だけで処理が完結します。
Dispatchは3層のセキュリティモデルで設計されています。
特に承認ゲートは実務で欠かせない仕組みです。たとえばAIが「1,000件のファイルを移動する」前に、必ずユーザーに確認を取ります。操作ミスで大切なデータが消えるリスクを、構造の段階から防いでいます。

Dispatch自体に追加料金は発生しません。対応するClaudeのプランに加入していれば、Coworkの利用枠の中でそのまま使えます。
| プラン | 月額料金 | Dispatch対応 | 提供時期 |
| Max 20x | $200 | 利用可能 | 2026年3月17日より |
| Max 5x | $100 | 利用可能 | 2026年3月17日より |
| Pro | $17 | 利用可能 | Maxプランの翌日より段階的展開 |
| 無料プラン | 無料 | 利用不可 | 展開時期未定 |
| Enterprise / Team | 要問い合わせ | 未発表 | 展開時期未定 |
※2026年3月時点
Proプランへの展開はMaxプランの翌日(2026年3月18日)から段階的に始まっており、すべてのProユーザーへの提供は数週間以内に完了する予定です。

セットアップに必要なのはClaude Desktopとスマートフォン向けClaudeアプリを最新版にアップデートし、QRコードをスキャンするだけです。
所要時間は約90秒〜2分です。APIキーの設定やターミナルの操作など、技術的な作業は一切不要です。
セットアップを始める前に下記の要件を確認してください。
| 要件 | 詳細 | 必須 |
| Claude Desktop | macOSまたはWindows(x64)にインストールされた最新版 | 必須 |
| Claudeモバイルアプリ | iPhone(iOS)やAndroidにインストールされた最新版 | 必須 |
| 対応プラン | ProまたはMaxプラン | 必須 |
| インターネット接続 | 両方の端末でアクティブなインターネット接続 | 必須 |
| デスクトップ稼働状態 | スリープNG、Claude Desktopアプリを開いたまま維持 | 必須 |
Claude Desktopで次の手順を進めます。
QRコードはスマートフォンでスキャンするまで有効です。次のスマートフォン側の手順にそのまま進みます。
スマートフォン側の設定は3ステップで完了します。
一度ペアリングが完了すれば、再設定は不要です(アプリを再インストールした場合を除く)。
設定後はアプリのサイドバーに「Dispatch」が表示され、そこからCoworkのセッションにアクセスできます。

Dispatchの得意・苦手を一言で表すと「情報を読み取るタスク(Readタスク)に強く、アプリを直接操作するタスク(Writeタスク)に弱い」です。
使い始める前にこのパターンを知っておくと、失敗の少ない使い方ができます。
Dispatchが安定して実行できるタスクは次のとおりです。
Notion・Slack・Googleなどの外部サービス(Connector)を経由してデータを読み取る作業は特に安定した動作が確認されています。情報を「取得して整理する」用途に絞って使うと、期待どおりの結果が得やすいです。
逆に、失敗しやすいタスクも把握しておきましょう。
これらが失敗する原因は、Dispatch自体の能力不足ではありません。macOSのアクセス権限の制御や、アプリ同士の通信に依存しているため、OSレベルの制約に引っかかりやすいのです。
「アプリを直接操作する」よりも「ファイルやデータを整理する」用途に向いています。

リサーチプレビュー段階であることに起因する制約が複数あります。使い始める前に把握しておきましょう。
| 制限事項 | 内容 |
| デスクトップ依存 | PCがスリープ・シャットダウン中はDispatchは機能しない |
| シングルスレッド | 複数スレッドの管理は不可。全メッセージは単一の会話に存在 |
| スケジュール実行不可 | 定期的なタスク自動実行には対応しておらず、別途Coworkのスケジュール機能が必要 |
| iPad / Web非対応 | 現時点ではiPhoneとAndroidのモバイルアプリのみ対応 |
| 積極的な連絡なし | Claudeはメッセージへの返答のみ行い、自発的にユーザーへ連絡しない |

Dispatchのリリースは、AIコミュニティで「OpenClawへの公式回答」と評されました。
OpenClawとはClaudeをスマートフォンから操作するためにオープンソースで開発されたツールです。便利さで注目を集めた一方、OAuthの不正使用や商標問題、深刻なセキュリティ上の欠陥が相次いで発覚したことで問題化していました。
| 比較項目 | Claude Dispatch | OpenClaw |
| 提供元 | Anthropic(公式) | オープンソース(コミュニティ主導) |
| 遠隔操作UI | Claude公式モバイルアプリ | WhatsApp・Telegram・Discord等 |
| セキュリティ | サンドボックス隔離・承認ゲート必須 | 設定ミスによるファイル破壊リスクあり |
| データ処理 | 完全ローカル・ファイルは端末外に出ない(プロンプトを除く) | ローカル実行だが脆弱性あり |
| セットアップ | QRコードスキャン(約90秒) | 48ステップ・Node.js環境が必要 |
| 対応LLM | Claude固定 | Claude・GPT・ローカルモデル等選択可 |
| 導入ハードル | 低い(非エンジニアでも可) | 高い(エンジニアリング知識が必要) |
| おすすめの人 | 安全性・手軽さを重視する人・非エンジニア | カスタマイズ性重視・自力で環境構築できる人 |
2026年に発覚したOpenClawのセキュリティ問題の主な内容は次のとおりです。
こうしたリスクを踏まえると、社内の機密情報を扱う業務やITに詳しくない方にはDispatchが向いています。
カスタマイズ性を重視し、自力でセキュリティ設定と環境構築を管理できる方であれば、OpenClawを選ぶ選択肢もあります。ただし、現時点では未解決の脆弱性が多数残っていることを前提として検討してください。

Dispatchが最も力を発揮するのは「PCの前にいない場面」です。移動中・外出先・会議中など、PCに向かえない時間をAIが代わりに働いてくれます。職種ごとの具体的な使い方を見ていきます。
データ集計・文書作成・ファイル整理など、毎日繰り返し発生する定型業務でDispatchは実力を発揮します。
たとえば「今月の売上データをExcelにまとめて、合計と前月比を追加して」とスマートフォンから送るだけで、PC上のCoworkがローカルのExcelファイルを開き、データを集計して保存します。「ダウンロードフォルダの請求書PDFを全部結合して一つのファイルにして」という指示でも同様に動きます。
PCの前に座る時間を確保しなくても、移動中の数分でタスクの実行を指示しておけます。
外出や出張が多い職種にとって、Dispatchは特に相性が良いツールです。
商談後すぐにスマートフォンから「今日の打ち合わせのメモを基に議事録を作って、先方へのお礼メールの下書きも作っておいて」と指示できます。Google Driveの提案資料を参照させながら「この資料をベースにプレゼン用のスライド構成案を作って」と頼むことも可能です。
帰社後にPCを開けば、AIが作成した議事録とメール下書きが完成しています。確認して送信ボタンを押すだけで事務作業が終わります。外出中の時間が実質的な仕事時間に変わります。
情報収集と整理に多くの時間を使う管理職の業務にも向いています。
たとえば、クライアント訪問前の朝、通勤電車の中でスマートフォンからDispatchに指示します。
「先方の会社に関するSlackのやり取りとメールを検索して、直近3か月の重要なやり取りをまとめたブリーフィング文書を作って」と入力すると、会社に到着する頃には、複数の情報源を横断した打ち合わせ前のまとめ資料が完成しています。
SlackとGmailを同時に検索させてまとめるような、複数のツールをまたいだ情報収集作業も、テキストを1回送るだけで進みます。
Dispatchの使い方の中で、最も仕事の生産性を高める可能性があるのが「バッチ処理型の使い方」です。一日の始まりに複数の重いタスクをまとめてAIに割り振ります。
たとえば朝6時に起床し、スマートフォンから次の5つをまとめてDispatchに送ります。
自分は朝食を取り、子どもを学校に送り出して、出勤する。職場についてPCを開くと、5つのタスクが完了しています。人間とAIが完全に別の作業を並行して進める働き方です。

Dispatchに関して多く寄せられる疑問について回答します。
まずは料金やプランについてです。
2026年3月時点では、無料プランはDispatchの対象外です。Max 20x・Max 5xプランでは2026年3月17日から利用可能で、Proプランは翌日(2026年3月18日)から段階的に展開中です。無料プランへの対応は2026年後半を予定していますが、具体的な日程はまだ発表されていません。
現時点(リサーチプレビュー段階)では、Dispatch単体のためだけにMaxプラン(月額$100、$200)に加入するのは費用対効果の面で難しいケースが多いです。Proプランへの展開が完了すれば、月額$17で試せます。Proプランへの提供開始を待ってから判断するのが現実的です。
続いて、動作環境や制約に関してです。
PCがスリープ中またはシャットダウン中は、Dispatchは機能しません。デスクトップが起動しており、Claude Desktopアプリを開いたままにしておく必要があります。スマートフォンはあくまで「指示を送る入力デバイス」であり、処理の実行はすべてデスクトップが担います。
現時点ではiPhone(iOS)とAndroidのモバイルアプリのみ対応しています。iPad・Webブラウザからの操作は対応していません。デスクトップ側はmacOSとWindows(x64)の最新版Claude Desktopに対応しています。
最後に、セキュリティやデータに関してです。
ファイルの実体はローカルPCの中に留まります。Anthropicのサーバーを経由するのは「スマートフォンからの指示テキスト」と「AIからの結果テキスト」のみです。
ただし、指示の内容(たとえばファイルの名前や要約内容)がテキストとして含まれる場合、それはサーバーを通過します。機密性の高いプロジェクト名や個人情報を指示文に含めないよう注意してください。
セキュリティと手軽さを重視する方にはDispatchをおすすめします。公式ツールであり、承認ゲートやサンドボックス設計など安全性への配慮がされています。
OpenClawは複数のLLMに対応しカスタマイズの幅が広い一方、2026年時点では深刻なセキュリティ上の問題が多数確認されています。
自力でセキュリティ管理ができるエンジニアの方以外は、現時点ではDispatchを選ぶ方が安全です。
Claude Dispatchは、スマートフォンから指示を送るだけでデスクトップがタスクを実行してくれる、非同期型の新しいAI活用ツールです。ファイル整理やデータ集計など「読み取り・整理系」の作業に特に強みを発揮します。
現時点ではリサーチプレビュー段階のため、PCを起動したままにする必要があるなど制約もありますが、ProプランまたはMaxプランがあればすぐに試せます。まずは毎日の定型業務を一つDispatchに任せることから始めてみてください。
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