OCRとRPAの違いは?連携するメリット5つや導入事例を簡単に解説
最終更新日:2024/04/08
OCRとRPAは異なる技術ですが、連携することで業務プロセスの自動化が高度化され、作業時間の短縮やミスの削減、情報の正確性の向上などのメリットが得られます。具体的な導入事例は、書類処理や請求書の自動処理、在庫管理、顧客データの自動更新などです。
この記事で詳しくご紹介するため、効率化を図りたい人はぜひ参考にしてください。
OCR・RPAとは
OCRとRPAは、いずれも業務効率化のためのツールです。OCRは手書き文字や印刷された文字をデータ化する技術であるのに対して、RPAはパソコンで行う事務業務を自動化する技術のことです。ここでは両者の概要や特徴を詳しくご紹介します。
OCRとは
OCR(Optical Character Recognition)とは、手書きの資料や画像データなどから文字を抽出し、デジタルデータに変換する仕組みやソフトのことです。このOCRにAI技術を組み合わせた仕組みやサービスをAI-OCRと呼び、近年注目されています。
OCRにAI技術が加わることで、文字識別率が上がり、非定型型の文字データや手書きメモまで、あらゆる文字をデータ化することが可能になりました。紙に書かれた文字をデータに変換すれば、編集や検索、分析、閲覧ができるので、あらゆる業務がパソコン上で可能になります。
最近では、病院の問診票の取り込んだり、製造業での検査記録を残したり、名刺管理に使用したり、あらゆる場面でOCRの技術を目にするようになりました。あらゆるフォーマットが読み取れるのも利点と言えます。
RPAとは
RPAとはRobotic Process Automationの略で、人間がコンピューター操作で行う定型業務をソフトウェアによって自動化することを指します。
RPAを導入することによって人的リソースを確保し、生産性の向上が期待できます。定型業務はデジタル技術に任せ、人間にしか遂行できない業務に集中できるので、最近大きな注目を集めているのです。また、複数のシステムを横断して、入力やデータ抽出、編集、参照ができるので連携処理にも適しており導入する企業が年々増えています。
OCRとRPAの違い
OCRとRPAは、両方とも業務効率化に貢献するツールですが、その役割や特徴には大きな違いがあります。OCRは、手書き文字や活字を画像で認識し、テキストデータ化する技術です。主に書類や請求書のデータ入力作業の効率化に使われます。
一方で、RPAはルーチンワークを自動化するソフトウェアロボットです。パソコン作業を自動化することで、労力や時間を大幅に削減できます。請求書をOCRでデータ化し、RPAで自動的に処理することによりで、従業員の手作業によるデータ入力作業の時間とエラーを削減できるでしょう。業務効率化の観点から見ると、OCRとRPAの連携は非常に効果的といえます。
OCRとRPAの連携で実現できること
OCRとRPAを連携すると、あらゆる業務効率化が可能になります。社内で使われている手書き書類の読み取り、入力、データ保存までを自動化し、ミスもなく、非生産的な入力業務で悩まされることがありません。作業手順のシナリオを記憶させるのに専門知識が要らないのも魅力です。
では実際にどんな場面でOCRとRPAが利用できるのかを具体的に見ていきましょう。
経理処理の自動化
月末と月初、経理部門は請求書や経費処理など、帳票に入力する作業に追われます。経理はスポットで誰かに作業を頼むことは難しい業務なので、この時期だけ集中的に忙しくなりがちです。
そこで、紙によるあらゆる帳票を読み取り、データ化して定型処理する技術としてOCRとRPAが連携した技術が活躍します。これまで担当者が1枚ずつ記入事項の確認をし、情報整理をしながら仕訳や支払処理を行っていた経理業務が全て自動化されるのです。
使用している書類のフォーマットが変わったり、新しく追加されたりしても、経理に特化したAI-OCRであれば逐一設定し直す必要もありません。大幅に業務時間を削減できます。
申込書類の登録の自動化
申し込み書類のパソコンへの入力が大きな頭痛の種になっている会社もあるでしょう。顧客が手書きで書いた申し込み用紙を判読し、一つずつパソコンに書き込む作業には膨大な時間と人員が必要です。
しかし、AI-OCRは読み取り精度が非常に高いので、あらゆる文字をデータ化でき、RPAとの組み合わせで、システムへの入力からソートまでもスムーズに行えます。
AI-OCRを導入すると、機械学習が行えるという強みがあることも見逃せません。手書きなどの紙書類をデータ化したものは、人がミスを修正します。そして手書きの申込書の画像と、登録結果を、RPAからAIにフィードバックすることで、AIが自動的に文字パターンのデータを蓄積していきます。結果、ミスも次第に減り、業務時間が短縮することが可能です。
納品書のデータ化と自動照合
商品名や数量など納品書に記載されている文字情報は、従来は人が一つ一つ確認してパソコンに入力していました。そこで、業務時間を短縮するために、OCRを導入してペーパーレス化を進めている企業も多く存在しています。
OCRによってスムーズにデータベース化し、在庫の一元管理や、情報の共有ができるようになりました。紙で情報を蓄積する必要もなくなり、物理的なスペースを確保できることも特徴です。
ここにRPAを組み合わせることで、在庫データを照合しながら、在庫数の確認から商品の売れ行きまで、一連で確認できるようになります。統計データをまとめ、今後の売上プランの設計などに役立てることもでき、ビジネスの場で大いに役立つでしょう。
勤怠登録の自動化
勤怠表の登録は、たくさんの人手と時間が必要な作業です。特に勤怠情報はさまざまな形式であることが多く、勤怠情報の集計はどの企業でも人手不足に拍車をかける大きな課題と言えるでしょう。
しかし、労務を悩ませる勤怠登録の作業時間は、OCRとRPAの連携で大幅に短縮されます。勤怠情報が手書きでも、書類を文字データにおこし、RPAによって自動的な給与管理システムへの登録が可能です。
ネット環境を利用してどこでも打刻できるシステムがあれば、残業や出張などをリアルタイムで記録でき、勤怠状況の更なる効率化も進められるでしょう。担当者が今まで勤怠登録に費やしていた時間を削減し、人手不足解消に繋がります。勤怠登録に特化したソフトもあるので、自社に適した機能を検討する際に有効です。
ダイレクトメールの自動化
ダイレクトメールを配信する際、お客様からもらった名刺情報を一つ一つシステムに入力する手間を省けるのも、OCRの魅力です。いただいた名刺はOCRで文字データにし、RPAによってデータベース化できます。自動入力されたシステムからメールアドレスを抽出し、ダイレクトメールを送付するまで一気に行うことが可能です。
特に営業部門ではダイレクトメールを送付する機会が多いでしょう。手入力の場合、名刺の枚数によっては膨大な時間がかかってしまいますが、OCRとRPAの連携で素早くDMを送付できるようになります。現在、多くの企業がセールス部門への導入を推し進めており、システムを知らなくても、日々接するOCRとRPAの連携事例と言えるでしょう。
OCRとRPAの導入事例
OCRとRPAの連携によって、あらゆる労働環境の改革に役立つと多くの企業や自治体が注目し、期待が寄せられています。すでに導入によって、業務効率化を成し遂げた企業も多数存在しており、今後ますます活用されるようになるでしょう。
ここからは、企業と自治体、それぞれの活用事例を具体的に見ていきます。
企業の事例
三菱UFJニコス株式会社は、三菱UFJフィナンシャルグループの中核で、キャッシュレス決済や基盤の整備など、さまざまなサービスを提供してきました。「NICOS」や「MUFGカード」など、有名ブランドのクレジットカードを発行し、金融機関のカード発行業務を遂行しています。
三菱UFJニコスは業務効率化に伴い、紙の帳票をデータ化するためにOCRと RPAを導入しました。入会申込書が紙帳票なのでデータ入力業務が多く、手書き・活字の両方を精度高く読み取りを行うOCR処理が必須です。
そこで、クレジットカードの審査業務にデジタルナレッジがなくても扱えるシステムを採用。月約450時間、約70%もの業務効率化を実現しました。また、業務プロセスの見直しもできるようになり、現場改善に役立っているそうです。
現在は全国の拠点で機能や使用状況の共有を行いながら、社内全体でOCRとRPAをどこで、どのように活用できるかを検討しています。
自治体の事例
東京都の足立区はこれまで、保育に関わる税申告の処理や申請が一時期に集中することに悩まされていました。しかし、デジタル技術に詳しい職員がいないことで新しい技術導入に足踏みしていたとのことです。
そこで、ソフトバンクの全面的なバックアップを受け、RPAとAI-OCRを導入し、実証実験を行いました。対象としたのは定型作業とルールのある業務で、6業務において年間約1400時間もの削減が見込まれるという結果になりました。6業務は以下の通りです。
- 公的年金の支払い報告の処理
- 区民税・都民税の申告書データ入力
- 児童育成手当現況届の処理
- 職員の通勤届の処理
- 給与所得者の異動届の処理
- 保育士節利用申込書の処理
さらに、時間削減効果だけでなく入力ミスの削減にも期待が寄せられています。専門知識のある企業がバックアップすることで、最適な導入を検討できる前例となっています。
OCRとRPAの連携でビジネスの効率化をはかろう!
OCRとRPAの連携システムは、紙業務が多い職場では特に効率化が進むでしょう。導入の際は、読み取り精度の高さ、セキュリティ、サポート体制が万全であるかどうかがポイントとなります。
また、新しいデジタル技術を導入する際、「システムを導入する」ことが目的化してしまい、実際に作業効率につながる検証が疎かになりがちです。自社内で効率化できる業務があるか、導入の費用対効果をしっかり見極めましょう。
AIsmilyでは、G検定保有のコンサルタントがOCRやRPAの活用相談を無料で承っております。各種比較資料もお配りしておりますのでお気軽にご相談ください。
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