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PCメーカーのDynabookが、なぜ生成AI導入を支援するのか?現場の課題に寄り添う「伴走」の裏側

最終更新日:2025/07/14

Dynabookが生成AI導入を支援

生成AIは、オフィス業務のあり方を大きく変えようとしています。多くの企業がその可能性に注目する一方で「何から手をつければいいのか」「どう活用すればいいのか」といった課題に直面しているのが実情です。そうした中、PCメーカーとして長年オフィス業務のデジタル化や効率化を支援してきたDynabookが「生成AI導入支援サービス」という新たな形のサービスを開始しました。

なぜPCメーカーであるDynabookが生成AI導入支援に踏み込んだのか。その背景には、自社での試行錯誤と、いま企業に届けたい確かな価値観がありました。

Dynabook株式会社の執行役員 ソリューション事業本部 事業本部長 熊谷 明 氏、ソリューション商品技術部 部長 羽襧田 卓志郎 氏、ソリューション商品技術部 ソリューションSE担当 グループ長 高山 俊輔 氏の三名にその思いとサービスの全貌を詳しくお伺いしました。

法人PC市場シェアNo.1のDynabookが挑む「現場を知る」生成AI導入支援の背景

――まずは御社の事業概要についてお聞かせください。

執行役員 ソリューション事業本部 事業本部長 熊谷 明 氏

――熊谷氏

当社は、一言で言えばパソコンを製造販売している会社です。特徴として、開発から設計、営業、生産、品質、そして保守運用までを豊洲のオフィスに集約している点です。顔を合わせながら開発を進めたり、営業の意見を迅速に取り入れることを大切にしています。この体制が功を奏し、2024年度は法人PC市場で国内シェアNo.1を獲得しました。

また、お客様の現場に深く入り込んで、お客様と一緒になって課題を理解することに力を入れており、PC事業以外にも様々なソリューション事業を展開しています。


――その中で、今回生成AIという新しい領域に踏み込まれた背景についてお聞かせいただけますか。

――熊谷氏

Dynabookはこれまで、オフィス業務のデジタル化、効率化、生産性向上をミッションとして掲げ、常にお客様の課題に寄り添いながら、ニーズに合ったPCを提供し続けてきました。

PCの進化といえば、軽量化やバッテリーの長時間駆動、単純な性能向上などが主なニーズでしたが、ここ数年で生成AIが登場し、これは従来の「ワークスタイルを根本的に変えるような技術」だと感じました。私たちのミッションにこの新しい技術をどう活用し、お客様のワークスタイルを変革していくかが、新たな挑戦となりました。


――生成AIに着目した、新たな挑戦ということでしょうか。

――熊谷氏

実は、この挑戦の初期段階で一度失敗を経験しています。約1億円もするデータセンター向けの巨大なAIサーバーを輸入し、当社のプライベートイベントでお客様に販売を試みました。

来場された経営層や幹部のお客様は、生成AIに関する課題意識は非常に高かったのですが、「何ができるか分からない状況で、1億円かけて導入するのは難しい」という声がほとんどでした。

この経験から、お客様が本当に求めているのは高額なAIサーバーそのものではなく、「生成AIの導入支援」や「活用定着化支援」なのだと痛感し、導入のハードルを下げることと、その後の定着化をいかにサポートするかをコンセプトに、今回のサービス開発に至りました。導入のしやすさを最優先に考え、高性能ながらも価格を抑えた構成のマシンを準備することにしました。

もう一つ重要視したのが「オンプレミス環境」でのサービス提供です。当時、多くの企業がクラウドサービスの情報漏洩リスクを非常に懸念しており「不安」や「怖い」という経営層の声も少なくありませんでした。そこで、オンプレミス環境で生成AIを活用・運用できるよう、定着化に役立つ教育メニューも準備し、サービス化しました。


――オンプレミス環境へのニーズは、やはり高いのでしょうか。

ソリューション商品技術部 ソリューションSE担当 グループ長 高山 俊輔 氏

――高山氏

オンプレミス環境へのニーズはかなり高いですね。先日開催した展示会には警察関係者の方がいらっしゃったのですが、彼らは内部データをクラウドに上げられないという規約上の制約があるので、オンプレミス型のサービスに非常に強い興味を示されていました。文教系の現場でも、生徒のデータ保護の観点からオンプレミス型サービスを求める声は多いです。

クラウド上にどのようなデータであればアップロードして良いか、明確にルールを定めている企業もあります。ただそういった企業はまだ少なく、社内情報の取り扱いに関して厳格なルールを定めていないケースも多いので、オンプレミス型サービスであれば「心配なく使える」という安心感は大きいと思います。

 

――熊谷氏

最も危険なのは、ルールが未整備な企業で、無償のクラウドサービスに従業員が勝手に社内データを上げてしまうケースです。そうしたリスクを回避する上でも、オンプレミス型サービスの導入支援は非常に重要だと考えています。

お客様に寄り添った伴走支援はどのように生まれたのか

――御社の「生成AI導入支援サービス」について、もう少し具体的に教えていただけますでしょうか。

ソリューション商品技術部 部長 羽襧田 卓志郎 氏

――羽襧田氏

私たちは、企業における生成AIの導入から定着までを、お客様と一緒にサポートしたいと考えています。多くのお客様が「どうやって使おうか」「何に使うか」と悩まれているので、まずは簡単なところからユースケースをイメージしていただけるようなご提案を心がけています。

サービスの核となるのが「AIワークステーション」です。これは単なるハードウェアの箱ではなく、その中にローカルで生成AIを利用するためのLLMや生成AIアプリを開発できるDifyをインストールして提供します。このマシンがあれば、お客様はローカルで生成AIが利用できる、または生成AIを活用したチャットボットやAIエージェントのようなアプリ開発ができる環境を手にすることができます。

しかし、生成AIアプリ開発ができる環境があっても、お客様がすぐに使えるようになるわけではありません。そこで私たちが、どのように生成AIで業務アプリを作ればいいか、どのようにすれば社内で生成AIの利活用が定着するか、といった観点で生成AIのスキルアップや活用方法について、お客様と一丸となって相談しながら進めていきます。

 

――環境提供だけでなく、開発や定着まで手厚くサポートされるのですね。今後は、アプリケーションなどのある程度のパッケージもご用意される予定でしょうか。

――熊谷氏

そうですね。将来的には、人に代わり特定業務を実行するAIエージェントを活用したアプライアンスサーバーのような形で、業種特化型や機能特化型のものを提供していきたいと考えています。


――顧客業務に深く踏み込み、伴走型の支援をされる姿勢は非常に魅力的です。このようなアプローチは、どのような背景から生まれたのでしょうか。

――高山氏

お客様にサービスをご提案し販売していくには、まず私たち自身が生成AIを使いこなせないと始まりません。そこでまず、社内でAIサーバーを導入しアカウントを配布して、自社の業務での活用事例を作り上げていくところから始めました。

この経験は、お客様の立場になって同じ悩みを抱えながら試行錯誤することで、より実態に即した支援ができるという私たちの強みにもなっています。

 

――熊谷氏

私たちは今まで「物売り」を得意としてきましたが、生成AI導入支援サービスの準備段階において、単に物を売るだけでなく、お客様の課題に寄り添い、お話を聞いて解決に導くことが必要だと痛感しました。そのために、お客様の課題を受け止め、解決に導けるコンサル体制やチームを、1年以上かけて整備してきました。

そのための具体的な取り組みとして、社内向けに「AIコンサル塾」というものを設けました。生成AIは元々私たちの専門ではないので、社外の生成AI専門家に指導いただきながら、社内で生成AIを実際に使い、知見を深めることでお客様に寄り添えるスキルを身に着けています。

そうして深めた知見を元に実際にお客様に提案をし、その提案経験を持ち寄り、その反応を共有して「こうすればよかった」「次はこうしよう」といった議論を重ねます。また、具体的な課題を与え、それに対しどのような提案をするかというロールプレイングも行っており、まさに塾のような形で社員のコンサルティングスキルを磨いています。


――社内では、この取り組みは好評ですか。

――高山氏

とても好評です。社内のAIワークステーションを利用してオンプレミス環境で誰でも生成AIアプリを作れるようにしているのですが、どんどんアプリが増えています。


――実際に社内で生成AIを活用して、どのような効果がありましたか。

――高山氏

社内規定チャットボットは、総務担当へ社内規程についての質問をするように、チャットボットで質問すると、大量の社内規程から回答を見つけて答えてくれるので、利用者も総務担当者も工数削減でき、非常に評判がいいですね。

従来のチャットボットは、質問と回答を作成・更新するメンテナンス作業が非常に大変で、継続して運用していくのが難しいという課題があり、当社もかつて苦労した経験があります。生成AIを使ったからといって、運用がゼロになるわけではありませんが、これまでより簡単にメンテナンスができるのが強みです。

メンテナンス作業の簡略化に加え正解率向上を目的として、データの整形をAIにやらせる取り組みを社内で行いました。これにより、チャットボットとしてだけでなく、メール対応の自動化や、質問と応答にデータを加工するといった用途にも使えるようになり運用が軽減されて、かつ回答精度も向上しています。


――自社でこれほど積極的に生成AIを活用し、試行錯誤されているからこそ、お客様にも「ユーザー目線」で寄り添えるのですね。

――羽襧田氏

まさにその通りです。物を入れて終わりではなく、導入後もお客様とAIを活用するイメージを作り、一緒に事業を前に進めていく「伴走支援」が私たちのサービスのコンセプトであり、最大の「推しポイント」です。お客様の役に立ちたいという強い思いが、このサービスの根底にあります。

 

――熊谷氏

オンプレミス環境での提供や、お客様と一緒になってアプリケーションを共同開発したり、時には開発代行のような形でサポートできることも「推しポイント」ですね。

 

――羽襧田氏

私たちは数多くのパートナー企業とも連携しているので、生成AI単独で閉じることなく、幅広いソリューションを提供できます。お客様の要望に対して「それは無理です」と回答するのではなく、社内の他部署やパートナー企業とも連携し、多様な提案を可能にする体制を構築しています。

完璧な100点の回答を実現することも重要ですが、時間がかかりそうな場合は、実現できる部分を先出しでスピーディに提案していくことで、生成AIを含めたトータルな提案ができる点が強みだと考えています。特化型のAI系企業が多い中で、多角的な視点から幅広く提案できるのは当社の大きな差別化ポイントだと自負しています。

情シス任せにしない!Dynabookの徹底した伴走支援と今後の展望

――御社の「生成AI導入支援サービス」はどのような企業の方に利用して欲しいとお考えでしょうか。

――羽襧田氏

生成AI導入が難しいと感じられているお客様がいらっしゃいましたら、まずは気軽に会話をさせていただければと思います。私たちがお話を伺ったうえで、何かしらのご提案・サポートをさせていただきます。その内容にご納得いただいたうえで、一緒に取り組んでいくような進め方になるので、まずはご相談いただきたいですね。

 

――熊谷氏

生成AIの導入に関して、様々なリスクや課題に直面して導入を躊躇している経営層の方はやはり多いです。しかしながら、生成AIを導入しないことによる競争力低下は大きな経営課題です。何から始めればよいか分からない、課題やリスクに対してどのように対応していけばよいか分からない、そういった企業の方はぜひお声かけいただきたいと思います。

 

――高山氏

私たちはPCメーカーですので、よく情シスの方とお話をするのですが、生成AI導入に関しては「自分たちではあまり触りたくない」「メンテナンスなどの工数を減らしたい」「問い合わせ対応や他の業務があるからなかなかできない」といった声をよく聞きます。そこを含めて、導入から定着、そして運用支援までワンストップでサポートさせていただきます。

 


――情シス任せにしないということですね。

――熊谷氏

Dynabookは、情シス部門にすべてを任せるのではなく、各部門で実際に業務に携わっている方々にサービスメニューを活用していただき、一緒にユースケースを検討することで、職場への浸透を加速させる支援を行います。

情シス部門にすべてを押し付けてしまうと、そこで止まってしまい、結局定着できません。Dynabookのお客様は情シス部門が多いからこそ、彼らをどうサポートするかが私たちのミッションでもあります。情シス部門がパンクしないよう、定着まで私たちと一緒になって取り組んでいくことが重要だと考えています。情シスに丸投げせず、現場を巻き込むアプローチが成功の鍵だと確信しています。


――本日は貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。

Dynabookが長年培ってきたオフィス業務の効率化への知見と、情シス部門の抱える課題への深い理解があるからこそ「生成AI導入支援サービス」は単なるツール導入に留まらない、真の伴走型支援を提供します。

オンプレミス環境での導入支援や、お客様の業務に合わせたアプリケーション開発、そして導入後の定着化までをサポートする姿勢は、新たなAI技術活用に踏み出したい企業にとって心強い存在となるでしょう。

お客様の課題解決に向け伴走支援をしてくれるDynabook。ぜひ、まずはお問合せしてみてください。

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AIsmiley編集部

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