ChatGPT APIとは?始め方や使用時の注意点、活用事例を紹介
最終更新日:2024/03/29
OpenAIが手掛けるChatGPTが話題になっている最中、2023年3月2日に「ChatGPT API」がリリースされました。テキストだけでなく画像処理機能なども備えた最新のAIモデル「GPT-4」にも対応しているChatGPT APIにより、さまざまなアプリケーションに機能を実装することが可能です。
本記事では、ChatGPT APIの概要や登録方法、トークン利用料金などについて詳しく解説します。実際にChatGPT APIを導入している企業事例もあわせて紹介しますので、自社サービスの拡張やChatGPT連携サービスの活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ChatGPTについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
ChatGPTとは?使い方や始め方、日本語対応アプリでできることも紹介!
ChatGPT APIとは?
「ChatGPT API」とは、OpenAIによる自然言語処理のためのAIモデル「ChatGPT」を使用して、開発者が自然言語処理を行う際に使われるAPIです。APIは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略称で、ソフトウェアやWebサービスの間をつなぐインターフェースを指します。
以前は、ChatGPTはブラウザからしか利用できませんでした。しかしChatGPT APIが登場したことにより、開発者は他のソフトウェアやプログラムとChatGPTを連携し、ChatGPTのタスクを実行させることが可能になりました。
リリース当初は言語モデル「GPT-3.5-turbo」を採用していましたが、現在はGPT-4にも対応しています。
ChatGPT APIの安全性とは?
OpenAIのガイドラインには、ユーザーから送信されるデータを秘密保持し、外部に漏れないように厳重に保管していると記載されています。
また、OpenAIのデータをモデル学習に使用しない方針を採っているため、ユーザーのデータが未許可で利用されることを防ぐことができます。
ChatGPT APIを使用する際には必ずガイドラインをチェックして、安全性の確認を行うようにしましょう。
(参考:OpenAIガイドライン)
ChatGPT APIにできること
ChatGPT APIを使うことで、次のようなことができます。
- Eメールなどの文章作成・要約・添削
- 言語翻訳
- 情報検索
- Pythonなどのプログラミングコード作成
- チャットボットシステムや会話型エージェントの開発
- デバッグの検証やエンジニアリング仕様書の要件確認
- 会議の文字起こしと議事録作成
- 新商品の仕様書を元に顧客向けマニュアルの叩き台作成 など
自然言語処理機能を使ったさまざまなタスクへの応用が可能です。また、チャット形式は複数ターンでの会話をベースに設計されていますが、シングルターンでの使用も可能です。
ChatGPT APIの始め方
ここからは、実際にChatGPT APIを始める手順を解説していきます。ここでは、ChatGPT APIをPythonに実装する方法として、以下の4つのステップに分けて説明します。
- OpenAIでアカウントを開設する
- ChatGPT APIのAPIキーを取得する
- Pythonを使ったAPI呼出
- APIの応答例
OpenAIのアカウント開設方法
まず、OpenAIアカウントを開設するために、サイトにアクセスします。画面中央に表示されている「Get started」をクリックし、アカウント作成に進みます。
フォームが表示されたら、メールアドレスを入力します。GoogleアカウントやMicrosoftアカウントによる認証による登録も可能で、希望する方法を選べる点は便利です。
パスワードを入力した後、氏名や生年月日、電話番号など画面の指示に従って必要情報を入力します。最後のステップで電話認証が必要なため、SMS認証が使える電話番号を入力しましょう。
ChatGPT APIのAPIキー取得
OpenAIにサインアップしたら、続いてAPIキーを取得します。サイトにアクセスしたら、APIキーを取得するために「+Create new secret Key」と書かれたグレーのボタンをクリックします。
新しく生成するAPIキーの名称を付けて「Create new secret Key」を選択すると、APIキーが発行されます。このキーは一度だけ表示され、改めて確認することはできないので、必ず保存しましょう。コピーを忘れた場合は、古いキーを削除し、新しいキーを発行して使います。
Pythonを使ったAPI呼出
APIキーを使ってAPIを呼び出すやり方は、アプリケーションや環境によって異なります。ここでは、Pythonを使ってAPIを呼び出す方法を見ていきましょう。
まずPythonのプロジェクトに、OpenAI APIクライアントをインストールする必要があります。Pythonのターミナルまたはコマンドプロンプトで、以下のコマンドを実行します。
[pip install openai]
続いて、コード内で使えるよう、APIキーを環境変数にセットアップしておきます。以下のコマンドの[your_api_key_here]の部分に、前の手順で生成したAPIキーを貼り付けて、コマンドを実行します。
[os.environ['OPENAI_API_KEY']=your_api_key_here]
APIキーを設定したら、PythonコードからAPIを呼び出すために、以下のようなコードを書きます。
[import openai
openai.api_key = os.environ["OPENAI_API_KEY"]
prompt = "こんにちは、私の名前は"
model = "text-davinci-002"
response = openai.Completion.create(
engine=model,
prompt=prompt,
max_tokens=5
)
print(response.choices[0].text)]
上記コードでは、openaiモジュールをインポートしてAPIキーを設定し、関数を使用してAPIを呼び出しています。modelパラメータには、使用モデルの名前を、promptパラメータには、モデルに与える入力テキストを指定します。
max_tokensパラメータは、最大トークン数を入力します。最後に、返信のみを出力する一文を追加します。
APIの応答例
PythonでChatGPT APIを送信した際の、APIのレスポンス例は以下の通りです。
[“こんにちは、私の名前は山田です。私は、ソフトウェアエンジニアでコーディングが好きです。”]
上記のように、GPT-4によってプロンプトに対する自然な文章が生成されています。
ChatGPT APIの料金形態
ChatGPT APIは有料サービスで、利用料金はOpenAIの公式サイト上で「1000トークンあたり$0.002(2023年4月18日時点で日本円で約0.27円)」と掲載されています。
この価格は、ユーザーの間で予想されていたよりもかなり格安であると話題になっています。というのも、ChatGPT APIの利用料金は、OpenAIによる最新の高性能AIであるGPT-4の料金の10分の1以下であるからです。
GPT-4は、2023年4月18日現在、8000トークンの)プロンプトトークンは、1000あたり$0.03(約4.03円)、サンプルトークンの場合は1000あたり$0.06(約8.06円)です。
OpenAIによると、ChatpGPTのAPIリクエストコストが時間が経つにつれて削減されており、2022年12月時点に比べると約90%近くも減ったと言います。そのため、ChatGPT APIにて低料金が実現されています。
ChatGPT API利用時に注意したいトークン消費について
ChatGPT APIは有料であっても、格安で利用できる点に魅力を感じる人は多いでしょう。ただし、安いのには理由があるため、ChatGPT APIの料金が決まる仕組みや特性を理解して使わないと、想定外の高額料金を支払うことになりかねません。
ここでは、ChatGPT APIの利用料金を決めるトークン消費の注意点について解説します。
トークン消費の注意点は、以下の2点です。
- 過去のやり取りを全てmessagesパラメータにセットすると料金が高騰する
- 日本語は英語に比べてトークン数が多い
過去のやり取りを全てmessagesパラメータにセットすると料金が高騰する
ChatGPT APIで文脈に沿った回答を得るためには、過去にやり取りした投稿とChatGPTの応答文を、APIのmessagesパラメータにセットする必要があります。
最初の応答は1つの投稿文のみですが、2回目の応答では「1回目の投稿文」「1回目の応答文」「2回目の投稿文」という3つのメッセージを、messagesパラメータにセットしてリクエストする必要があります。
ChatGPTのAPIの課金単位のトークンは、応答文だけでなく投稿文も対象です。よって、やり取りの回数が増えると、合計トークン数も増加するため、料金も高くなります。
最終的にmessagesパラメータのサイズ上限まで到達すると、1回のリクエストでも料金が高騰する場合があるため、闇雲に過去のやり取りを含める実装は避けるべきでしょう。
日本語は英語に比べてトークン数が多い
ChatGPT APIの課金単位であるトークンは、英語の1単語=1トークンとして計算するための単位で、カンマや「?」などの記号も1トークンとしてカウントされます。一方、日本語の場合、ひらがなは1文字あたり1トークン以上、漢字は1文字あたり2〜3トークンでカウントされるケースが多く見られます。
つまり、日本語でChatGPT APIを使うと、英語よりもトークンの消費量が増える可能性があります。トークン消費が多い日本語で、過去のやり取りを何度も行う仕様で使った場合、利用料金が大幅に高騰することも考えられるでしょう。
ChatGPT APIのトークン使用量を減らす方法
ChatGPT APIの利用料金を安く抑えるためには、トークン使用量を減らす工夫が有用です。ここでは、トークン使用量を抑えるための3つのコツを紹介します。
トークン使用量を抑えるためのコツは、以下の3つです。
- messagesパラメータに含める回答数を制限する
- max_tokensのパラメータ上限を設定する
- 英語に翻訳してAPIリクエストを行う
messagesパラメータに含める回答数を制限する
先述した通り、ChatpGPTを使った過去やり取りを、APIのmessagesパラメータにすべて追加していては、トークン消費量がどんどん上がり、料金も高額になってしまいます。そのため、messagesパラメータに含める回答数を制限し、トークンが大量に使われることを未然に防ぐ方法がおすすめです。
messagesパラメータの回数の目安としては、過去3回分あれば、ある程度文脈に沿ったやり取りは可能とされます。ただ、場合によっては回数を確保しないとタスクを完了できないこともあるので、確認しながら調節しましょう。
max_tokensのパラメータ上限を設定する
APIの応答で消費するトークン数の上限を、max_tokensのパラメータで設定することで、トークン消費量を抑制できます。max_tokensで応答文の量を減らすと、過去やり取りを含めても、トークン数を少なく抑えることが可能です。
ただ、max_tokensが小さいと、回答結果がすべて返ってこない可能性があります。その場合、文脈に沿って続きを投稿し、返答を促せば機能します。なお、トークンの利用上限設定は、ChatGPT APIの他、Whisper APIなどOpenAIの多くのAPIで使えます。
英語に翻訳してAPIリクエストを行う
日本語で利用するのではなく、英語に翻訳してからChatGPT APIを利用するだけでも、トークンの節約につながります。先述の通り、英語は1単語1トークンであるのに対し、日本語はひらがなでも1文字で1トークン以上消費します。漢字に至っては、2〜3トークンが必要で、文章を打っていると小さな差が積もりに積もって大きな金額の差を生みます。
日本語を英語に翻訳してからAPIリクエストを送り、英語の応答を日本語に翻訳することで、トークン量は削減できます。翻訳の手間はかかりますが、オンライン上の自動翻訳ツールなどを活用すれば簡単に英訳、和訳が可能です。
ChatGPT APIの活用事例
ChatGPT APIの活用事例は、以下の3つです。
- Duolingoの事例
- Khan Academyの事例
- Khan Academyの事例
各サービスにおけるChatGPT APIの実装が、サービスの性能やユーザーエクスペリエンスにおける変化などについて解説します。自社のChatGPT API活用を検討する際の参考としてご覧ください。
Duolingoの事例
毎月5,000万人以上のユーザーを持つ言語学習プラットフォーム「Duolingo(デュオリンゴ)」は、ChatGPT APIを用いて、新しいサブスクリプション「Duolingo Max」を開発しました。
AIチャットパートナー機能と、間違えた箇所の文法説明という2つの新機能を備えたこのプランは、ユーザーの利用傾向をAIが学習データとして蓄積し、効率的に学習を進められるよう進化していく仕組みです。
ユーザーの多くが抱える「文法を習得したい」というニーズに応えるため、同社はAIと文法マニュアルを組み合わせたコーチング機能を実装したいと考えていましたが、当時はGPT-3でも難しい状況でした。しかし、ChatGPT APIを導入し、GPT-4を使うことで、想定よりも早く実装することに成功しています。
Khan Academyの事例
無料オンライン学習サービスの「Khan Academy(カーン・アカデミー)」では、ChatGPT APIを導入し、GPT-4を使ったAI搭載アシスタント「Khanmigo」のリリースを発表しています。Khanmigoは、生徒のための仮想家庭教師と、教師向け授業アシスタントという2つの機能を持つAIプログラムです。
Khanmigoは、まだ試験運営の段階ではありますが、GPT-4の特性である自由形式の質問やプロンプトの理解を活用し、生徒1人ひとりの学習ペースや興味のある内容に対応したユーザーエクスペリエンスの提供を試みています。
初期テストでは、生徒の勉強内容の関連性を明確化し、コンピュータープログラミングの特定の内容を教える、といったこともKhanmigoによって近い将来提供できる可能性が高いとされています。
Stripeの事例
事業者向けのオンライン決済システムを手掛ける「Stripe(ストライプ)」は、ChatGPT APIを使用して、Stripeのソフトウェアを扱う開発者ユーザーのサポートの品質向上や、不正行為の予防対策に取り組んでいます。
以前からStripeでは、カスタマーサポート部署での対応の振り分けや問い合わせ内容の要約にGPT-3を利用してきました。ChatGPT APIによるGPT-4では、ユーザーの質問を理解し、広範な技術文書をユーザーの代わりに読み込んで、関連部分を特定し、解決策を素早くまとめる、という一連の流れを瞬時に実行します。その結果、技術的な質問や、難易度の高いトラブルにもよりスピーディに対応できるようになったと言います。
また、クラウドベースの技術者支援用Discordコミュニティの運営において、悪質なユーザーがフォーラムに入り込み、機密的な情報を盗み出すような不正行為を予防する目的でも、ChatGPT APIが活躍しています。GPT-4がコミュニティ内の投稿の構文を分析するだけで、疑わしいものにフラグを立て、投稿者をスピーディに確認しています。
ChatGPT API まとめ
2022年11月にChatGPTが公開されて以来、多くの開発者が待ち望んでいたChatGPT APIが、2023年3月にリリースされました。ChatGPT APIにより、多くのアプリケーションからAPI経由で、テキスト作成や自動対話などの自然言語処理機能を活かしたシステムを利用できます。
トークン消費量で料金が計算される課金体系のため、日本語利用や過去のやり取りの読み取り量などによっては高額になる可能性がある点には注意が必要です。自社向けサービスへの最適なChatGPT APIの実装により、さらなる事業拡大や企業発展が見込まれるでしょう。
ChatGPTの使い方から実装例まで、基本情報は下記記事をご覧ください。
ChatGPTとは?使い方や始め方、日本語でできることを紹介!
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