SearchGPTとは?OpenAI社のAI検索の使い方や活用例を紹介
最終更新日:2024/09/26
SearchGPTは、OpenAI社が2024年7月25日(アメリカ現地時間)に発表した新しいAI検索機能です。生成AIモデルの強みとインターネット上の情報を組み合わせることで、より迅速に高精度な回答を出力することが可能になっています。現在はテスト段階であるものの、将来的にはChatGPTに統合される予定で開発が進められています。
本記事では、SeaerchGPTの概要から主な機能、他の検索エンジンやAI検索との比較、主な活用例までわかりやすく解説します。SearchGPTについて理解し、AI検索機能や生成AIツールの運用を検討するためにぜひお役立てください。
OpenAI社のSearchGPTとは
「SearchGPT」とは、OpenAI社が提供する生成AI検索サービスです。ChatGPTと同様に、対話形式で検索したい内容を問いかけることで、インターネット上にある膨大な情報から必要な情報を要約し、回答を生成してくれます。
従来のGoogle検索のようなキーワード検索ではなく、対話の流れを踏まえた上で検索結果を表示できる上、追加の質問にも対応可能です。また、回答の根拠となるソースのリンクも併せて提示することが可能です。
関連記事:OpenAIが新たにAI検索エンジン「SearchGPT」にプロトタイプを発表
ChatGPTにおけるWeb検索性
ChatGPTには、インターネット検索で得られた最新情報から、質問の回答を生成するWebブラウジング機能「ChatGPT Browse with Bing」が搭載されていました。
有料ユーザー向けに公開されていたこの機能は、予期せぬコンテンツの範囲を閲覧し、回答に使用する問題が発生したため、2023年7月に一時的に停止されました。その後、再開したものの、再び使えなくなったと報告されるなど、不安定な状況が続いています。
SearchGPTでは、インターネット上のリアルタイムな情報を参照して回答を生成します。加えて、明確で関連性の高い情報源のリンクも併せて表示でき、回答内容の確認も効率的に行えます。
SearchGPT開発の経緯
OpenAI社はChatGPTを初めてリリースして以来、チャットボットがWeb情報を要約する能力を発揮することが期待されていました。しかし、LLM(大規模言語モデル)では通常、数ヶ月〜数年前のデータを学習に利用するため、最新情報に関するタスク処理には対応できませんでした。
そして、知らないことに対して回答内容を捏造してしまう「ハルシネーション」の現象が発生する可能性もあります。そこでSearchGPTでは、回答に関連するリンク一覧を自動的位に表示し、ユーザーが情報に対する追加質問ができるようにしています。
なお、SearchGPTでは検索拡張生成(RAG)の手法を用いて、ハルシネーションの発生率を下げるように設計されていることも指摘されています。RAGは、検索機能における生成AIの業界標準として、AIが回答を生成する際に信頼できる情報を参照し、ソースのリンクを明示できる仕組みです。
SearchGPTの主な機能
SearchGPTの主な機能やできることについて、今回は以下の3つについて解説します。
- 生成AIを用いたWebリンク収集
- 収集した情報の要約や視覚化
- 情報の引用元の表示
生成AIを用いたWebリンク収集
SearchGPTでは、インターネット上の膨大な情報を検索するだけでなく、Webリンクをまとめて提示することが可能です。GoogleやYahooといった従来の検索エンジンでは、キーワードを入力して検索し、関連情報を自ら探していく必要がありました。
一方、SearchGPTは生成AIを活用して、ユーザーが入力した質問に関わる情報を自動的に収集し、要約を作成します。また、言語によらず、複数の信頼できる情報源から必要な情報を用いて回答を出力できます。
結果的に、従来よりも効率的なWeb検索が実現し、インターネット検索にかかっていいた時間も大幅に短縮できます。
収集した情報の要約や視覚化
SearchGPTでは、収集したWeb情報の要約だけでなく、視覚化にも対応しています。テキストだけでなく、グラフや表、図解などの形式で情報をわかりやすく表現でき、ユーザーのより深い理解を促します。
よって、統計情報のような複雑なデータについて、専門知識がなくても直感的に理解しやすくなります。また、SearchGPTは、希望や好みに応じてカスタマイズでき、より適した形での要約を提案することも可能になります。
情報の引用元の表示
SearchGPTの回答には、ソースとしての信頼性を担保するため参照元や引用元の情報が明示されます。従来の検索エンジンでは、Web上に存在する情報が信頼できる情報源から提供されているかどうかを自分で確認する必要がありました。
SearchGPTでは、提供された情報がどこから得られたのかが回答と併せて表示されるため、即座に確認できます。必要な場合には、ソースを閲覧してより詳しい情報を調べるなど、次のアクションもスムーズに起こせます。
SearchGPTと他のAI・検索エンジンとの違い
SearchGPTの他にも、AIを搭載した検索システムは存在します。ここでは、SearchGPTと似た検索機能を持つMicrosoft Bing・Google・Perplexityの主な違いを見ていきます。
SearchGPTとMicrosoft Bingの違い
SearchGPTがAI機能を搭載したチャットボットであるのに対し、Microsoft Bingは検索エンジンにAIを盛り込んだツールです。
また、SearchGPTは最新情報を含むWeb検索を基に回答を生成する仕様ですが、Microsoft Bingでは従来の検索結果とAIチャットを組み合わせた複合的な情報を得られます。
Microsoft BingはすでにMicrosoft Edgeブラウザなどで利用可能で、会話のスタイルを「独創性」「バランス」「厳密」の3つから選べるといった特徴もあります。
SearchGPTとGoogleの違い
SearchGPTとGoogleは、根本的な仕様やできることが異なります。ただ、GoogleでもAIによるWeb検索結果の要約生成機能「AI Overviews」を2024年5月に発表し、8月には日本国内向けの提供が公表されました。
Google検索にAI Overviewが組み込まれれば、ユーザーがキーワード検索を行うと、AIが目的の情報に関する概要をスナップショットで表示します。そのため、情報源のWebページを1つずつ確認しなくても、概要を得ることが可能です。
他にも、SearchGPTではGoogle検索と違って広告が表示されないという特徴もあります。
SearchGPTとPerplexityの違い
Perplexityとは、リアルタイムでWeb検索を行い、最新情報の要約と引用を組み合わせて回答するAIサービスです。無料と有料のプランがあり、拡張機能やより高度な機能を使いたい場合は有料プランにアップデートが必要です。
対話形式でやり取りができるため、SearchGPTと同じような仕組みです。
SearchGPTの活用例
SearchGPTの活用例としては、例えば以下のようなものがあります。
- 商品・サービスの比較
- 業界のトレンド分析
- 海外の最新情報のリサーチ
以下で、詳しく見ていきます。
商品・サービスの比較
SearchGPTを使って、複数の商品・サービスを効率的に比較することが可能です。従来の検索エンジンでは、調べたい商品・サービスに関するキーワードを検索窓に打ち込み、検査結果として表示されたWebサイトを閲覧していく必要がありました。
中には、限られた比較対象について商品・サービスの情報をまとめた比較サイトもありますが、1つずつ見ていくのは手間がかかります。
SearchGPTなら、チャットで知りたい内容を質問すると、AIが信頼できる情報源から関連する情報を収集し、必要な情報を整理してくれます。ユーザーが自分で調べる時間や負担を軽減でき、最適な判断を効率的に下すことが可能になります。
業界のトレンド分析
SearchGPTは、さまざまな情報源から最新の情報や関連データを集めて、分析できます。チャット形式のやり取りで、直近のニュースや市場調査データなど、複数のソースからデータを収集し、業界や市場のトレンド分析を依頼できます。
SearchGPTの高度な検索機能により、事業戦略の立案や経営における意思決定につながる洞察を得ることができます。
海外の最新情報のリサーチ
SearchGPTは、言語が異なる情報であっても収集・理解して要約を生成します。例えば、海外の国や地域に関する特定の情報を調べたい場合に、日本語のテキストで入力しても、日本語以外の情報源も参照しながら情報を収集し、回答としてまとめれくれます。ビジネスの海外進出を考える場合にも有用でしょう。
SearchGPTのリスク対策について
SearchGPTにより、情報収集やネット検索が大幅に効率化されることが期待できますが、セキュリティ面のリスクはあるのでしょうか。ここでは、SearchGPTのリスク対策について解説します。
SearchGPTの学習にWeb情報は使われない
SearchGPTにおいて情報収集に使われたWebコンテンツは、AIモデルの学習に使用しないことが公表されています。SearchGPT用のクローラー「OAI-SearchBot」では、回答生成と表示のみを目的としており、OpenAI社のAIモデルのトレーニングには使用されません。
よって、Webサイトから収集された情報はユーザーに提示されるだけであって、AIモデルの学習データに含まれることはありません。
大手メディアとの提携による信頼性の担保
OpenAI社では、SearchGPTの開発にあたって多くの出版社やコンテンツクリエイターと提携し、情報の質と信頼性の担保に努めていると発表しています。AI検索システムにおいて、報道機関の独自情報などの利用により、 潜在的な著作権侵害の問題が懸念されていました、
SearchGPTでは、AIとWeb情報、信頼できるパートナーとの組み合わせにより、ユーザーに価値ある情報を提供することを目指しています。具体的には、「The Atlantic」や「News Corp」といった大手メディア企業と提携し、信頼できる最新ニュースや分析を含む回答を生成するように調整されています。
このような提携により、出版社やコンテンツクリエイターにとっても新たな読者層にリーチできるため、双方にとってメリットが期待できます。
SearchGPTの方向性と将来性
現在、SearchGPTはサービスについての発表がなされた段階であり、正式には公開されていません。また、プロトタイプのため、実際のサービスについては不明な点も多く存在します。ここでは、SearchGPTの方向性や将来性について解説します。
ChatGPTと統合予定:一般公開はこれから
SearchGPTは、現時点では一般公開の予定について明確には言及されていません。ただ、OpenAI社はSearchGPTを将来的にChatGPTと統合する予定であると公表しています。
SearchGPTがChatGPTと統合されることで、ユーザーは自然な対話を通してリアルタイムの最新情報を含む高度な検索を実行できます。ChatGPTの自然言語処理能力により、文脈を踏まえた上でWeb上の情報を要約でき、参照元のリストも出力してくれます。
さまざまな機能の追加
SearchGPTにおいて、今後さまざまな機能の追加も計画されています。例えば、位置情報に基づく検索表示やビジネス向けの便利な機能なども追加される予定です。OpenAI社はユーザーと出版社のフィードバック機能を分析し、段階的に機能を実装していく方針を示しています。
まとめ
SearchGPTは、インターネット上で情報収集を行い、要約を生成できるAI検索機能です。AIが信頼できる情報源から情報を収集し、要約を回答として生成します。また、ソースのリンクも合わせて提示されるため、情報源をすぐに確認できます。
SearchGPTの一般公開は未定ですが、将来的にはChatGPTに統合される計画が発表されるなど、今後の動向に注目が集まっています。
生成AIサービスを提供する企業一覧を、以下にて無料でご請求いただけます。自社の生成AIツールの導入・活用にぜひお役立てください。
よくある質問
SearchGPTはいつから使える?
現時点では、SearchGPTは正式にリリースされておらず、一般公開の具体的なスケジュールも未定とされています。ただ、今後はChatGPTに統合され、ChatGPT上で利用できるようになる可能性が高いです。
最新ニュースを見逃さないよう、OpenAI社のウェイティングリストなどを利用することをおすすめします。
SearchGPTの使い方は?
SearchGPTのプロトタイプでは、対話形式でWeb検索を利用できる仕様になるとされています。キーワード検索ではなく、自然な文章で質問を入力することで、AIが複数の情報源から関連データを収集し、要約や回答を生成します。
文脈を踏まえたフォローアップの質問により、さらなる改善や変更もリクエストできます。
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