生成AI

最終更新日:2025/05/15
近年、さまざまな業界でAI(人工知能)の導入が進み、私たちの暮らしの中でも身近な存在となってきました。とはいえ、「AIについてなんとなく知っているけれど、専門用語や仕組みはよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか。
AIを正しく活用していくためには、基本的な知識の理解が欠かせません。そこで今回は、AIの現場でよく登場するキーワードのひとつ、「アノテーション」についてわかりやすく解説します。
教師データについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AIの精度向上に欠かせない教師データの作成方法とは?
アノテーション(annotation)という言葉には「注釈をつける」という意味がありますが、AIや機械学習の分野では、もう少し専門的な意味で使われています。
簡単に言うと、アノテーションとは、テキスト・音声・画像などのデータに「意味づけ」をする作業のことです。
例えば
といったように、AIが理解しやすいように、データに情報を付け足していく作業がアノテーションです。
AIを賢くするためには、たくさんの「正しい答え付きのデータ」を使って学習させる必要があります。これを「教師あり学習」といいます。
たとえば、「犬と猫を見分けられるAI」を作る場合、AIは最初は犬と猫の区別がつきません。そこで、何千枚、何万枚もの画像に「これは犬です」「これは猫です」とラベル(=アノテーション)をつけた状態で学習させることで、AIが「犬と猫の違い」を覚えていくのです。
近年はビジネスや組織の成長に役立つ重要なデータ群「ビッグデータ」の認知度が高まり、多くの企業で重要視され始めています。しかし、ビッグデータは情報量が膨大であるため、個々のデータをタグ付けし、必要な時に利用できるようにしっかりと管理しなければなりません。そこで必要となるのがアノテーションであり、アノテーションによってデータを分類したりパターン化したりすることで、ビッグデータの管理を効率的に行えるようになるのです。
このような点からも、アノテーションはAI開発やビッグデータ管理に欠かせない作業であることがお分かりいただけるでしょう。
アノテーションは、さまざまな形態のAI開発において必要不可欠な作業です。そのため、アノテーションにもいくつかの種類が存在します。具体的には、以下のような種類のアノテーションが挙げられるでしょう。
これらのアノテーションについて、詳しくみていきましょう。
画像(映像)アノテーションは、電子商取引における商品リスト分類などに活用されているものです。
画像・映像のアノテーションは主に以下の5つの種類に分類することができます。
これらのアノテーションは、画像(映像)の内容を正しく理解しなければ機能しません。そのため、正確にタグ付けされた大量のデータを活用し、その現場測定データを用いて機械学習のアルゴリズムに画像認識(映像処理)の学習を行わせる必要があるのです。
アノテーションというと、画像にラベルをつけるような作業を思い浮かべるかもしれませんが、実はテキストや文章の分類作業もアノテーションの一種です。
たとえば、ある文章が「スポーツの話なのか」「経済の話なのか」「エンタメの話なのか」などを判断して、あらかじめ決められたカテゴリを割り当てていく作業があります。これを行うことで、文章をトピック別に整理できるようになるのです。
具体的には、次のような例があります。
こういった「文章の内容に応じて意味をつける作業」も、AIの学習や自動分類に欠かせない、大切なアノテーションの一部です。
音声のアノテーションは、「音量や音の種類」にタグ付けを行う作業と、「音声の意味」にタグ付けを行う作業の2種類が存在します。具体的な作業方法は、音声を文字に起こしてから単語一つひとつに意味をタグ付けしていくというものです。
主に、音声認識の分野で活用されることが多いアノテーションであり、コールセンターやスマートスピーカーなどで高い精度を実現するために欠かせない作業といえます。
たとえば、コールセンターの場合、「イヤホン」「メーカー」といった名詞だけでなく、「あの」「えー」「うーん」といった感動詞も会話に用いられるため、それらを正しく理解しなければなりません。そのために必要となるのが、一つひとつの単語の意味をタグ付けしていくアノテーションなのです。
ちなみに音声アノテーションは、自然言語解析とも密接な関係にあります。そのため、書き起こした文章を活用してテキストデータのアノテーションを行うケースも少なくありません。
アノテーションにはいくつかの種類が存在することを理解していただけたと思います。では、実際にアノテーションを実施する場合、どのような方法で行えば良いのでしょうか。ここからは、アノテーションの実施方法についてみていきましょう。
アノテーションの知識を持つ人材が社内にいない場合は、専門業者に代行を依頼する方法があります。経験豊富なプロが対応するため、高精度かつスピーディーに作業を進めることが可能です。
ただし、費用がかかるため、予算とのバランスを見て慎重に検討する必要があります。また、依頼前には目的やゴールの共有、複数回の打ち合わせが必要になることもあります。
そのため、技術力だけでなく、コミュニケーションの相性や考え方の一致も重要なポイントとなります。
アノテーションの専門人材がいない、予算も限られているーーそんな場合には、クラウドソーシングの活用が効果的です。最近では、クラウドワーカーと連携したアノテーションサービスも登場しており、手軽に、低コストで依頼できる環境が整いつつあります。
たとえば、「ANNOTEQ(アノテック)」のようなサービスでは、実働100万人以上の体制で、高精度かつ効率的な作業が可能です。工程を専任作業者とクラウドワーカーに分けることで、コストを抑えながら品質も確保できます。
アノテーション作業を効率化したい場合は、自動化ツールの導入も有効です。最近では、画像・動画・音声・テキストなど、さまざまな分野に対応したツールが登場しており、自動運転・医療・スポーツ・ロボット開発などにも活用されています。
さらに、AIによる自動アノテーションだけでなく、人の目によるチェックを組み合わせたツールもあり、コストを抑えつつ精度の高い処理が可能です。
リアルタイムの進捗管理やフィードバック機能など、業務効率を上げる機能も充実してきているため、社内にAIの知識を持つ人材がいる場合は、導入を検討する価値があるでしょう。
TASUKIは、AI開発に使用する教師データの収集・加工サービスです。画像、自然言語、音声等、様々なアノテーションに対応しています。ソフトバンクのAIエンジニアの豊富な開発経験をもとに、さくっと頼めて、高品質な成果を生み出すアノテーション代行システムを構築しています。
AI学習用文字起こしサービスは、一から音声をテキスト化し、要望に応じたアノテーションを付帯するサービスです。文字起こし専門会社として15年以上積み上げたノウハウを活かし、高品質な教師データを提供しています。仕様についての相談も可能なため、目的に沿ったアノテーションを行うことができるでしょう。
(参考:NEC VALWAY_AIデータ作成支援事業の強み)
NEC VALWAY株式会社のAIデータ作成支援は、物体や人物などのテーマによって、画像データ等に最適なアノテーション、タグ付けなどを実施してもらえるサービスです。NEC VALWAYは、各業種で用いるAIの認識精度向上のため、データ作成や正解付けの業務支援で500プロジェクト以上の実績があります。
アノテーションは、精度の高いAIを開発するために欠かせない作業であることがおわかりいただけたかと思います。AIは大量のデータからパターンを学ぶことは得意ですが、そもそも学習に使うデータがなければ、何も始められません。
そのため、近年では「学習データの準備からアノテーションまで」をまとめて請け負うサービスも増えてきています。ただし、最初の学習データが不正確だと、その後のAIの性能にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
トラブルを防ぎ、より信頼できるAIを育てるためにも、アノテーションの精度を高めることが非常に重要です。
AIの技術は急速に進化していますが、その力を十分に引き出すには、大量かつ高品質な学習データの存在が不可欠です。AIを導入・活用していくうえで、この点をしっかり意識しておくことが大切です。
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アノテーション(annotation)とは、「注釈」という意味です。また、「注意を与える」という意味を持つ言葉なのですが、ビジネスシーンにおいては「テキストや音声、画像といったさまざまな形態のデータに、タグやメタデータを付ける作業」のことを指します。
アノテーションの種類は主に「画像・映像データ」「テキストデータ」「音声データ」の3つです。
アノテーションとメタデータは、それぞれ以下を意味する別の概念です。
自社にアノテーションやAIに関する知識を持った人がいない場合、「代行サービス」「クラウドソーシング」「アノテーション自動化ツール」などの選択があります。
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