生成AI

最終更新日:2025/05/19
AWSが提供する「Amazon Bedrock」は、手軽に高度な生成AI機能を利用できるサービスです。APIを通じて文章生成、画像作成、チャットボット構築などを実現できるため、生成AIを簡単に企業のサービスやアプリケーションに取り入れられます。
2023年9月に提供が始まったばかりのサービスであり、その活用法について知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事ではAmazon Bedrockについて、基本機能から具体的な活用方法、料金体系や注意点まで解説します。
Amazon Bedrockは、AWS(Amazon Web Services)が2023年9月に提供を開始した生成AI特化型のサービスです。
Amazon自社開発のTitanだけでなく、ClaudeやLlamaなど、他社が提供する複数の人気基盤モデルを単一のAPIから利用できる点が大きな特徴です。サーバーレス設計によりインフラ管理の手間やスキルが不要で、「従量課金制」で支払う仕組みになっています。
「生成AI」とは、テキストや画像、音声などの新しいコンテンツを生成できる人工知能技術のことです。
従来のAIが「与えられたデータを分析する」ことに重点を置いていたのに対し、生成AIは「新しい何かを作り出す」ことができます。例えば、文章の作成や要約、画像生成、プログラミングコードの作成など、これまで人が行っていたクリエイティブな作業を行うことが可能です。
ビジネスにおいても、マーケティングコンテンツの作成、カスタマーサポート、データ分析の効率化、製品開発のアイデア創出など、さまざまな場面で生成AIが活用されています。
AWSは、機械学習に関するサービスとして「Amazon SageMaker」を提供しています。
Amazon BedrockとAmazon SageMakerの違いは、以下の通りです。
比較項目 | Amazon Bedrock | Amazon SageMaker |
インフラ要件 | ・インスタンスを持つ必要がない ・サーバーレスで提供 |
・基本的にはインスタンスが必要 ・インフラストラクチャの管理が必要 |
主な用途 | ・APIを介して基盤モデルを即座に活用 ・すぐに展開して活用したい場合に最適 ・生成AIの実装に特化 |
・機械学習に必要なモデル学習からデプロイまでワンストップで実行 ・カスタムモデルの構築と展開 |
利用可能リージョン | ・東京リージョンのみで利用可能(2025年2月時点) | ・東京リージョン ・大阪リージョン ・その他複数のリージョンで利用可能 |
セキュリティ要件 | ・一般的なセキュリティ要件に対応 ・入力データは学習に利用されない ・閉域ネットワークに対応 |
・厳格な情報セキュリティ要件に対応 ・独自のセキュリティポリシーの実装が可能 |
向いているケース | ・既存の基盤モデルをすぐに活用したい場合 ・インフラ管理の負担を減らしたい場合 ・生成AI機能の迅速な実装が必要な場合 |
・独自の機械学習モデルを構築したい場合 ・情報セキュリティ要件が厳しい場合 ・自ら機械学習基盤を構築する必要がある場合 |
簡単に言えば、SageMakerが機械学習モデルの構築とデプロイのための総合的なプラットフォームであるのに対し、Bedrockは生成AIに特化しており、すぐに使える基盤モデルを提供するサービスであるという違いがあります。
参照:Amazon Bedrock、Amazon SageMaker
Amazon Bedrockの特徴は、サーバーレスで提供されていることです。サーバーレスとは、サーバーの管理や設定などのインフラ管理をユーザー側が行う必要がなく、必要な時に必要なだけリソースを利用できる仕組みのことです。
この特性により、ユーザーは以下のようなメリットを得られます。
生成AIの機能開発のみに集中でき、特にAI開発の専門知識が限られている企業でも、ある程度、容易に生成AI機能を自社サービスに組み込むことができます。
2023年9月に正式サービスとして開始され、東京リージョンでは2023年10月からサービスが提供されています。
2025年2月時点では東京リージョンのみ利用可能で、大阪リージョンでは利用できないため注意が必要です。
東京リージョンでは、テキスト生成、画像生成、埋め込みなどの主要な機能が利用可能ですが、一部のモデルや機能は利用できない場合があります。
Amazon Bedrockは開発者にとって使いやすい設計となっています。
RESTful APIを通じて基盤モデルに簡単にアクセスできるため、専門知識がなくても、一般的なプログラミング知識とAPI経験があれば利用可能です。テンプレートや既存サンプルを活用すれば短期間で実装でき、開発効率の大幅な向上が期待できます。
S3やLambdaなど他のAWSサービスともシームレスに連携できるほか、コンソール上のプレイグラウンド機能を使えばコードを書かずにさまざまな基盤モデルを試せるため、本格的な開発に入る前に最適なモデルを見極められるというメリットもあります。
Amazon Bedrockでは、AWSが開発した独自モデルと、サードパーティの提供するモデルを合わせて7つの基盤モデルを利用することができます。
以下に主な基盤モデルとその特徴を紹介します。
基盤モデル | 主な利用用途 | 特徴 | 具体的なユースケース |
Amazon Titan (Amazon) |
・テキスト生成 ・画像生成 ・文章要約 ・Q&A |
・個人データに基づくカスタマイズ可能 ・不適切なプロンプトの拒否機能 ・RAG(検索用拡張生成)実装可能 |
・検索の拡張 ・業務用コード・テーブル作成 ・書籍の要約 |
Claude (Anthropic) |
・対話 ・質疑応答 ・文書処理 |
・20万トークンの入力容量 ・OCR機能搭載 ・チャート・グラフの解析可能 |
・バーチャルアシスタント ・メールやデータからの関連文章抽出 ・コーディング支援 |
Stable Diffusion (Stability AI) |
・画像生成 ・ロゴ生成 ・デザイン生成 |
・テキストから高品質な画像生成 ・複雑な構図に対応 ・自然言語による入力可能 |
・広告制作 ・ゲーム用キャラクター生成 |
Meta Llama (Meta) |
・テキスト分析 ・感情分析 ・翻訳 |
・70~700億のパラメータ範囲 ・事前トレーニング済み ・高度な推論能力 |
・AIチャット ・議事録作成 ・コンテンツ作成 |
Jurassic (AI21 Labs) |
・テキスト生成 ・要約 ・表作成 |
・7言語対応(英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、イタリア語、オランダ語) | ・財務レポートの要約 ・商品レビューの分析・要約 ・自然な言語での回答 |
Command・Embed (Cohere) |
・コピーライティング ・テキスト要約 ・対話 ・質疑応答 |
・ビジネス用テキスト生成に特化 ・埋め込みモデルで100言語対応 ・企業向けセキュリティ対応 |
・ユーザープロンプトによる記事作成 ・企業向けテキストの要約 |
Mistral (Mistral AI) |
・コーディング ・テキスト要約 |
・少ないパラメータで効率的な稼働 ・低レイテンシー ・コストパフォーマンスに優れる |
・コード最適化 ・効率的なテキスト処理 |
参照:Amazon Titan、Claude、Stability AI、Meta Llama、AI21 Labs、Cohere、Mistral AI
Amazon Titanは、AWSが独自に開発した生成AIモデルファミリーです。
テキスト生成や画像生成など幅広い用途に対応しており、特に企業での利用を想定した機能が充実しています。
Titanの大きな特徴は、ユーザーの独自データでカスタマイズが可能な点です。例えば、自社の過去の文書データなどを学習させることで、業界や企業特有の知識を持ったAIに育てることができます。また、不適切なプロンプトの自動検出・拒否機能も組み込まれており、企業利用における安全性が考慮されています。
RAG機能との相性も良く、自社のナレッジベースと連携させることで、より精度の高い回答を得られます。例えば、製品マニュアルや社内文書を検索対象とすることで、それらの情報に基づいた正確な回答の生成が可能です。
Claudeは、Anthropic社が開発した大規模言語モデルで、特に長文処理と精度の高い応答に強みがあります。一度に最大20万トークン(約15万文字相当)の読み込みが可能で、長い文書の処理に最適です。
OCR機能も備えており、PDFや画像内のテキストを認識できるほか、チャートやグラフの分析機能も持ち合わせており、データの視覚的表現からも情報を抽出することができます。
具体的な利用シーンとしては、大量の文書やメールから関連情報を抽出・要約する業務や、複雑な質問に対する詳細な回答生成、プログラミングコードの作成支援などが挙げられます。法律文書や学術論文など、専門性の高い長文の処理・分析にも力を発揮します。
Stability AI社が提供するStable Diffusionは、テキストから高品質な画像を生成するAIモデルです。単純な画像生成だけでなく、企業ロゴやデザイン、広告用画像など、商業利用を想定した高クオリティな画像を生成できます。
テキストプロンプトから複雑な構図の画像を生成でき、デザイナーやマーケティング担当者の業務効率化に貢献します。例えば、「山の頂上に立つビジネスマンと朝日」といった複合的な要素を含む画像も生成可能です。
また、自然言語での指示に対応しており、専門的な知識がなくても直感的に操作できる点も特徴です。広告制作やウェブデザイン、ゲームキャラクターの生成など、クリエイティブ業務での活用が期待されています。
Meta社が開発したLlamaは、パラメータ数が70億から700億までと豊富なサイズのモデルが用意されています。パラメータとは、モデルが学習した知識や判断の基準となる数値のことで、この数が多いほど複雑な処理が可能になります。軽量で処理の速いタスクから、より精度の高い複雑なタスクまで対応できるため、用途や利用可能なリソースに合わせて選択できる柔軟性が特徴です。
特に、感情分析やテキストの意図理解、多言語翻訳に強みがあり、ユーザーの感情や意図を読み取ったコミュニケーションが求められるシーンに適しています。
実際の使用例としては、自然な会話ができるAIチャットボットの構築や、会議の音声から自動的に議事録を作成するシステム、マーケティング向けのコンテンツ作成支援などが挙げられます。高度な推論能力を活かした問題解決や意思決定支援にも活用できます。
Amazon Bedrockでは、上記以外にも特徴的な基盤モデルが提供されています。
A121 Labs社が提供するJurassicは、多言語対応に優れており、7つの言語(英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、イタリア語、オランダ語)に対応可能です。特に財務レポートの要約や商品レビューの分析など、構造化されたデータの処理に強みがあります。
Cohere社の提供するCommandは、ビジネス向けテキスト生成に特化したモデルで、コピーライティングや企業向けの文書作成・要約などに最適です。多言語環境でのテキスト分析が可能で、企業のセキュリティ要件にも対応した設計となっています。
Mistral AI は、少ないパラメータ数で効率的な処理を実現したモデルで、低レイテンシーと高いコストパフォーマンスが特徴です。特にコードの最適化やテキスト処理の効率化など、リソース効率を重視するケースに適しています。
Amazon Bedrockを実際に使うための基本的な手順を紹介します。
コンソール上のプレイグラウンド機能を使うと、実際にモデルの動作を試すことができるため、本格的な開発を行う前に適切なモデルの選定が可能です。
以下では、それぞれの機能の活用について紹介します。
テキスト生成機能の使い方は以下の通りです。
生成されたテキストは、そのままコピーして使用したり、修正依頼を出すことができます。
要約機能を使う場合は、長い文章や記事・レポートなどをプロンプトとして入力し、「この内容を要約してください」「この文章の主要ポイントを3つにまとめてください」といった指示を添えると効果的です。
画像生成を行うには、主にStability AIのSDXL 1.0モデルを以下の手順で使用します。
プロンプトは日本語でも入力可能ですが、やや精度が下がる場合があります。「A cat sitting on a beach at sunset」のように英語で詳細な説明や具体的な指示を含めると、より希望に近い画像を得やすくなります。
生成された画像の下にある「保存」アイコンをクリックすると、画像をローカルPCに保存できます。
主要なモデルの言語対応状況は、以下の通りです。
モデル名 | 言語対応 | 日本語処理 | 言語指定の方法 |
Jurassic (A121 Labs) |
・英語 ・スペイン語 ・フランス語 ・ドイツ語 ・ポルトガル語 ・イタリア語 ・オランダ語 |
非対応 | 入力時に目的の言語を指定 |
Command (Cohere) |
・コマンドモデル:主要言語 ・埋め込みモデル:100言語対応 |
対応 | プロンプトで言語指定 |
Amazon Titan (AWS) |
・主要言語対応 ・日本語含む |
対応 | プロンプトに「日本語で」と指定 |
Claude (Anthropic) |
・多言語対応 ・日本語含む |
対応 | 入力時に言語を明示的に指定 |
Stable Diffusion (Stability AI) |
・英語での入力推奨 ・限定的な他言語対応 |
限定的対応(英語入力推奨) | 英語でのプロンプト入力を推奨 |
参照:A121 Labs、Cohere、Amazon Titan、Claude、Stability AI
多言語環境では、目的の言語に対応したモデルを選び、翻訳タスクに「このテキストをドイツ語に翻訳して」など具体的な指示を含めると効果的です。
日本語で利用する場合は、特にAmazon TitanとClaudeが優れた日本語処理能力を持っています。プロンプトの冒頭に「日本語で回答してください」と指定することで、より確実な回答を得られます。
ナレッジベース機能を使うと、自社の文書やデータが構造化された形で保存され、AIが参照できるようになります。ナレッジベースの構築手順は、以下の通りです。
ナレッジベースで対応可能なファイル形式は、以下の通りです。
ファイル種別 | 対応形式 | 用途例 |
テキストファイル | .txt .md |
・一般的な文書 ・マークダウン形式の文書 |
ウェブ文書 | .html | ・ウェブページコンテンツ ・HTML形式の文書 |
Microsoft Office文書 | .doc .docx |
・Word文書 ・レポート |
表計算ファイル | .csv .xls .xlsx |
・データセット ・統計情報 ・分析データ |
PDF文書 | ・固定レイアウト文書 ・公式文書 |
参照:aws|ナレッジベースデータにサポートされているドキュメント形式と制限
RAG機能を実装すると、基盤モデルの一般知識と社内データの正確性を組み合わせた回答生成が可能です。Amazon Bedrockでは「Knowledge Base for Amazon Bedrock」を使ってRAG機能を簡単に実装できます。実装手順は以下の通りです。
コンソール画面のナレッジベース詳細ページにある「テスト」タブから、実際に質問を入力してナレッジベースの応答を確認できます。また、回答の引用元を確認する機能も備わっているため、情報の正確性や出典の検証が可能です。
テスト結果に基づき、必要に応じてデータの追加や修正、インデックス作成の最適化を行うことで、応答精度の向上が見込めます。
Amazon Bedrockの基本的な料金体系や課金の仕組み、モデルごとの料金、コスト最適化の方法などについて解説します。
リージョンによっても価格が異なりますが、日本においては、2025年2月時点で東京リージョンのみで利用可能なため、主に東京リージョンの料金を紹介します。
Amazon Bedrockの基本的な料金プランは「オンデマンドプラン」で、利用したトークン数に基づいて課金されます。トークンは文章の処理単位で、英語ではおよそ3〜4文字、日本語では1〜2文字程度に相当します。
料金はモデルごとに異なり、「入力トークン」と「出力トークン」で料金が変わります。東京リージョンでの主要モデルの料金例は以下の通りです。
モデル名 | 入力トークン (1,000個あたり) |
出力トークン (1,000個あたり) |
備考 |
Amazon Titan Text Express | 0.000275 USD | 0.000825 USD | 汎用的なテキスト生成用 |
Amazon Titan Text 埋め込み | 0.0002 USD | なし | 埋め込みモデル専用 |
Claude Instant | 0.0008 USD | 0.0024 USD | 高速処理向き |
Claude 3.5 Sonnet | 0.003 USD | 0.015 USD | 高精度処理向き |
Llama 3 Instruct(8B) | 0.0003 USD | 0.0006 USD | 基本的な指示タスク向き |
Llama 2 Chat(13B) | 0.00075 USD | 0.001 USD | チャット用途向き |
※2025年2月時点
例えば、Claudeモデルで2,000トークンの質問を入力し、5,000トークンの回答を得た場合、
【入力】2,000トークン ÷ 1,000 × 0.008 USD = 0.016 USD
【出力】5,000トークン ÷ 1,000 × 0.024 USD = 0.12 USD
◆合計:0.016 USD + 0.12 USD = 0.136 USD(約20円程度)
となり、料金は0.136 USD(約20円程度)です。
利用量が多い場合や安定したパフォーマンスが必要な場合は、「プロビジョニングプラン」を選択することができます。このプランでは、時間単位で固定料金を支払うことで、一定量のスループット(処理能力)を確保できます。
契約期間は1ヶ月または6ヶ月から選択でき、長期契約ほど割引率が高くなります。主要モデルのプロビジョニングプラン料金例は以下の通りです。
モデル名 | 1ヶ月契約 (時間あたり) |
6ヶ月契約 (時間あたり) |
削減率 | 特徴 |
Claude Instant | 53.10 USD | 29.50 USD | 約44% | ・高速処理向き ・一般的なタスクに最適 |
Claude | 163.80 USD | 91.00 USD | 約44% | ・高精度処理向き ・複雑なタスクに対応 |
Llama2 PretrainedとChat(13B) | 21.18 USD | 13.08 USD | 約38% | ・基本的な会話処理向き |
Llama2 Pretrained(70B) | 21.18 USD | 13.08 USD | 約38% | ・大規模モデル処理向き |
※2025年2月時点
プロビジョニングプランは、継続的に大量のリクエストを処理する必要がある場合や、レスポンス時間の予測可能性が重要な場合に適しています。例えば、カスタマーサポートチャットボットやウェブサイト上の生成AI機能など、常時稼働するサービスに組み込む場合に検討すると良いでしょう。
Amazon Bedrockの料金体系は「トークン」がベースになっています。トークンとは、モデルが処理する最小単位のことで、単語よりも小さい場合もあります。
トークンの計算方法は言語によって異なりますが、一般的には以下のように考えることができます。
入力トークンと出力トークンは別々に計算され、通常は出力トークンの方が単価が高くなっています。これは、出力生成の方が計算コストがかかるためです。
実際の文章でトークン数を見積もると、以下のようになります。
使用するモデルやトークン化のアルゴリズムによってトークン数が異なるため、プレイグラウンドなどで実際にテストして消費トークン数を確認する必要があります。
各モデルの料金は、パラメータ数や性能に応じて異なります。以下に主要モデルのカテゴリ別料金比較を示します。
モデル分類 | モデル名 | オンデマンド料金 | プロビジョニング料金 |
テキスト処理モデル | Titan Text Express | 入力:0.0011 USD/1Kトークン 出力:0.0022 USD/1Kトークン |
なし |
Claude | 入力:0.008 USD/1Kトークン 出力:0.024 USD/1Kトークン |
1ヶ月:163.80 USD/時間 6ヶ月:91.00 USD/時間 |
|
Claude Instant | 入力:0.00223 USD/1Kトークン 出力:0.00755 USD/1Kトークン |
1ヶ月:53.10 USD/時間 6ヶ月:29.50 USD/時間 |
|
チャットモデル | Llama 2 Chat(13B) | 入力:0.00075 USD/1Kトークン 出力:0.001 USD/1Kトークン |
1ヶ月:21.18 USD/時間 6ヶ月:13.08 USD/時間 |
Llama 3 Instruct(8B) | 入力:0.0003 USD/1Kトークン 出力:0.0006 USD/1Kトークン |
なし | |
埋め込みモデル | Titan Text 埋め込み | 入力:0.0002 USD/1Kトークン 出力:なし |
なし |
※2025年2月時点
基本料金の違いは主にモデルの性能と複雑さに起因し、一般に高品質な出力を生成するモデルほど料金が高く設定されています。
追加機能の利用にも料金が発生し、例えば、ナレッジベースの構築と維持には、ベクトルデータベースのストレージ費用やクエリ処理費用が別途かかります。RAG機能の実装やカスタムモデルの作成にもトレーニングや推論に関する追加コストが必要です。
また、使用するリージョンによっても料金が異なる場合があります。
モデルを選択する際には、タスクの複雑さ、必要な精度、予算、応答速度などを総合的に考慮することが大切です。単純なテキスト生成や要約には費用対効果に優れたLlama3やTitan、複雑な推論や高品質な出力が必要な場合はClaudeというように、用途に応じて選定することがポイントです。
コストを最適化するためには、利用パターンに合ったプラン選択が重要です。少量利用ならオンデマンド、大量継続利用ならプロビジョニングプランが適しています。
例えば、毎日1,000件のカスタマーサポート問い合わせを処理するシステムでは、オンデマンドのClaude Instantモデルを使用すると1ヶ月で約300ドルかかるところ、プロビジョニングプランに切り替えることで1ヶ月あたり約200ドル削減できる可能性があります。
トークン消費を抑えるには、プロンプトを簡潔にし、出力トークン数の上限を設定することが有効です。必要のない会話履歴は削除し、本当に必要な情報だけを含めるようにしましょう。
また、複数のリクエストをまとめてバッチ処理することでAPI呼び出し回数を減らしたり、AWS Lambdaとの連携によるサーバーレス設計でリソース効率を高めることも効果的です。
さらに、AWS Cost Explorerで使用状況を定期的に監視し、予算アラートを設定することでも予期せぬコスト増加を防げます。
Amazon Bedrockを導入するにあたって、いくつかの注意点があります。
ここでは、セキュリティ面、データプライバシー、モデル選択のガイドライン、パフォーマンスチューニングという4つの観点から解説します。
Amazon Bedrockを安全に利用するには、複数のセキュリティ対策が重要です。データ暗号化においては、S3のサーバーサイド暗号化、転送中のTLS/SSL保護、AWS KMSによる暗号化キー管理を実施し、情報漏洩リスクを低減します。
アクセス制御では、最小権限の原則に基づいたIAMポリシーを設定し、必要な機能にのみアクセスを許可します。各ユーザーの役割に応じた権限付与と、APIキーの定期的な更新も欠かせません。
監査機能としては、AWS CloudTrailでAPI呼び出しを記録し、CloudWatchで異常を検知する方法があります。ログの保持期間と適切なアクセス管理も重要です。
コンプライアンス面では、業界標準や規制要件への準拠を確認し、定期的なセキュリティ評価とインシデント対応計画の策定が必要です。企業機密や個人情報を扱う場合は、より厳格な対策を行う必要があります。
Amazon Bedrockでは、送信データがモデルのトレーニングに使用されないことが保証されており、企業の機密情報や個人情報を安全に処理できます。
個人情報保護のためには、データの匿名化や仮名化を実施し、センシティブ情報を処理前に適切に保護することも有効です。システム設計段階から「プライバシーバイデザイン」の原則を採用し、プライバシー影響評価も実施しましょう。
データ保持については必要最小限の期間に限定し、不要データの自動削除機能を導入します。ライフサイクル管理ポリシーの策定と定期的な監査で遵守状況を確認することも重要です。
第三者提供に関しては、データ連携先との契約内容を詳細に定めてデータ保護義務を明確化しておきます。
データプライバシーを確保するための具体的な設定としては、VPC(仮想プライベートクラウド)内での利用やプライベートエンドポイントの活用が効果的です。データがパブリックインターネットを経由せずに処理されるため、セキュリティレベルを高めることができます。
Amazon Bedrockで適切なモデルを選ぶには、まず用途を明確にすることが重要です。テキスト生成が主目的ならClaude、Titan、Llamaが候補となり、画像生成ならStability AIが最適です。多言語対応が必要ならA121 LabsやCohereを、コード生成や技術文書作成にはMistralやLlamaが力を発揮します。
パフォーマンス要件も考慮しましょう。速度重視ならTitan ExpressやClaude Instant、精度重視ならClaudeやパラメータ数の多いLlamaモデルが適しています。長文処理には大きなコンテキストウィンドウを持つモデルを選びます。
コスト面では、予算に合わせたモデル選定が重要です。利用頻度やボリューム、トークン単価とパフォーマンスのバランスも視野に入れてプランを検討します。また将来の拡張性として、自社データでのカスタマイズ可能性やアップデート頻度も選定基準に含めるとより理想的なモデルの選択が可能になります。
Amazon Bedrockの性能を最適化するためのポイントを紹介します。
レスポンス時間を改善するには、小さいモデルの選択やプロンプトの最適化が効果的です。例えば、不要な指示を削除するだけでも処理時間が短縮されます。
リソース使用の効率化には、バッチ処理の活用や埋め込みベクトルのキャッシュが有効です。リアルタイム性が不要な場合は、事前に計算した結果をキャッシュすることで負荷を軽減できます。
需要変動に対応するためには、AWS LambdaやSageMakerの自動スケーリングを活用します。継続的な改善には、CloudWatchでレイテンシやスループット、エラー率を定期的に監視し、パフォーマンス低下があれば早期に対処することが重要です。
実際に、プロンプト最適化とtemperatureパラメータの調整により、応答時間が短縮されたケースもあります。さらに、よくある質問への回答をキャッシュすることで全体的な処理時間を短縮する手法も有効です。
Amazon Bedrockは、AWSが提供するサーバーレスの生成AIプラットフォームで、複数の高性能な基盤モデルを簡単に利用できるサービスです。
Claude、Titan、Llamaなどさまざまな特性を持つモデルから用途に応じて選べ、テキスト生成、画像生成、要約機能などを手軽に実装できます。
ユーザーはインフラ管理の負担なく、APIを通じて最新の生成AI技術を自社サービスに統合し、トークンベースの従量課金制で柔軟に運用していくことが可能です。
専門的なAI知識がなくても、企業の競争力強化や業務効率化に活用できる強力なツールといえます。
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