生成AI

最終更新日:2025/07/25
AIエージェントは、AIを含めた様々な技術を組み合わせ特定のタスクを遂行するように設計された自律的なシステムです。LLM(大規模言語モデル)による高度な自然言語処理を基盤に、情報の検索・整理、ユーザーとの対話、外部システムとの連携などを通じて、さまざまな業務を支援します。
本記事では、AIエージェントの基本的な仕組みや主な種類、導入によるメリット、生成AIとの違いについて、わかりやすく解説します。人的リソースの最適化や業務コストの削減を目指す企業にとって、有用なヒントになるはずです。
AIエージェントとは、複数のAI技術やデバイスを組み合わせた高度なAIシステムです。人が設定したゴールに対して、自ら必要なデータを収集してタスクを決定し、目標達成に向けて遂行します。
単なる生成AIツールとは異なり、目標達成に向けてタスクを計画・実行したり、状況に応じて判断を下したりする能力を備えている点が特徴です。
近年では、こうしたAIエージェントが業務の自動化や効率化に貢献する手段として注目され、さまざまな業界で活用が進んでいます。
AIエージェントと生成AIは、どちらもAI技術を活用した仕組みですが、役割と行動範囲が異なります。
両者の相違点を以下表にまとめました。
AIエージェント | 生成AI | |
役割 | タスクの自律的遂行と目標達成 | コンテンツ生成 |
動作のきっかけ | 一度の目的指示で継続的に処理 | ユーザーからの指示 |
動作のスタイル | 能動的・自律型 | 受け身・反応型 |
強み | 長期的な処理や複雑な業務の自動化 | 高速・柔軟なアウトプット生成 |
活用例 | カスタマーサポート、自動運転、チャットボット、音声アシスタント | ChatGPT、Gemini、Claude、DALL-E など |
AIエージェントは、業務やタスクの自動実行や最適化を得意とし、複数の工程にまたがる作業を一括して任せたいケースに適しています。一方、生成AIはコンテンツの生成に特化したAIであり、大量の学習データをもとに、テキスト・画像・音声・動画などをユーザーの指示に応じて柔軟に生成することが主な目的です。
AIエージェントは、人間から与えられた目的を起点に、必要なタスクを自律的に計画・実行する機能を持ち、外部ツールとの連携を通じて実務を支援することが可能です。一方で生成AIは、あくまで入力された指示に対して反応的に生成を行うため、明確なプロンプトや命令が必要となります。
このようなAIエージェントの特性は、変化の激しいビジネス環境において、業務の効率化やリソース最適化、さらには需要予測や在庫管理などの業務プロセスを支える役割として活用が期待されています。
生成AIの基礎知識や仕組み、使い方などについては下記記事で解説していますのであわせてご覧ください。
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AIエージェントは、人の指示を理解し、必要な作業を自律的に進めてくれる存在です。その背景には、さまざまな先進的な技術が組み合わさったアーキテクチャがあり、それぞれが役割を分担して動いています。
AIエージェントは、以下の技術的な構成で動作します。
これらの要素は「AIエージェントをどう作るか」「中身がどうなっているか」に注目したものです。
また、AIエージェントを「自律的に行動する存在」ととらえ、以下の4つの基本構成要素に分解して説明することができます。
多くのAIエージェントは、複雑なタスクを自動化するために、目標を決定し、情報収集を行った上でタスクを実装する手順を通ります。
ここでは、AIエージェントの主な特徴を紹介します。
AIエージェントの大きな特徴のひとつは、自律的に判断・行動できる能力です。生成AIはユーザーの入力に対して応答する仕組みですが、AIエージェントは設定された目標や目的に基づいて、自らタスクを計画・実行し、必要に応じて行動を調整します。
また、事前に定義されたルールや条件に従うだけでなく、環境の変化や取得した情報に応じて柔軟に対応することができます。そのため、複数のタスクを並行して処理したり、状況に応じて優先順位を判断したり、必要なリソースを適切に割り当てたりといった、より高度な業務管理も可能です。
AIエージェントでは、すでに実行したタスクから学習してパフォーマンスを向上させることが可能です。継続的な自動学習を通じて性能を常に向上させ続けることができ、環境に応じて判断や意思決定を進化させるため、より高品質な成果物を返せるようになります。
AIエージェントは、単独でも機能しますが、複数のエージェントが連携するマルチエージェントシステム(MAS)の一部となる場合があります。供給チェーンの管理や大規模プロジェクトなど、複数タスクの効率的な管理が求められる環境でも、円滑に業務を遂行できます。
AIエージェントの構築は、従来のように専門的なプログラミングスキルを必要とするだけでなく、ローコードやノーコードで対応できるツールやサービスも登場しています。特定のプラットフォームでは、業務機能の最小単位を組み合わせることで、簡単に「AI社員」としてのAIエージェントを構築できます。
「AIエージェント」と一言で言っても、分類方法によってさまざまな種類に分けられます。ここでは、AIエージェントの主な6つの種類について解説します。
単純反射エージェントとは、「反射エージェント」と呼ばれる種類の1つで、最もシンプルな仕組みを持ちます。現在の認識に基づいてアクションを起こすタイプで、事前に入力された条件と行動のルールに基づいて動作します。
仕組みはシンプルでスピーディな応答が可能ですが、複雑な判断を要する業務には不向きです。また、情報が欠落していても他のエージェントとやり取りすることはなく、準備ができていない状況に遭遇すると適切に対応できない可能性があります。
具体例として、特定のキーワードに反応する自動応答チャットボットや、決まった時間に施錠するスマートロックなどがあります。
モデルベースの反射エージェントは、前述した単純条件反射エージェントと同じ「反射エージェント」の1種です。過去の経験と現在の状態、モデル、反射など内部の環境に基づいた意思決定を行う点が特徴で、新しい情報を受け取るとモデルは更新されていきます。
単純反射エージェントと異なり、メモリーに情報を保存できるため、部分的に観測可能で変化する環境にも対応できます。ある程度高度なアプローチも可能ですが、ルールには限界があるため注意が必要です。
例えば、自動運転車の技術開発やお掃除ロボットなどに利用されています。お掃除ロボットは、家具などの障害物を先に感知し、ぶつかることなく周囲を清掃します。また、すでに清掃したエリアのモデルを保存することで、繰り返し作業しないように設定されています。
目標ベースエージェントは、名前の通り特定の目標を達成するために最適な行動を選択するモデルです。現在の行動から導かれる結果について、予測と推理を行い、意思決定を行うため、より柔軟なアプローチが可能です。
目的達成に向けた動作シーケンスを検索し、行動前に一旦アクションを計画します。これにより前述の反射エージェントよりも高い有効性を示す可能性があります。
具体例としては、自動運転システムや倉庫内のルート選択システムなどがあります。また、ナビゲーションシステムは、目的地までのさまざまなルートの中からベストな選択肢を推奨してくれます。
効用ベースエージェントは、単に目的を達成するだけで終わらず、効用や報酬を最大化するための行動を選択してくれるモデルです。複数の選択肢から最も満足度が高いものを選択できるため、複数のシナリオで目標達成ができるシーンで、最適なシナリオを選択したい場合に役立ちます。
具体的には、金融市場でのトレーディングボットがあります。また、同じナビゲーションシステムでも、最短で目的地に辿り着くという条件に加えて、燃費の良さや通行料の低減、渋滞を回避できる、といった一連の基準に基づき、効用を測定して最も適したルートを示せるものも例として挙げられます。
学習エージェントは、過去の経験から継続的に学習し、パフォーマンスを時間の経過とともに向上させる能力を持つモデルです。与えられたタスクを繰り返しこなしながら自己改善を続けることができ、最適なアクションを習得していきます。
例えば、対戦型ゲームのAIプレーヤーなどで、プレイデータを大量に学習させ、人間を上回る戦略を編み出すことも可能です。また、ECサイトでのパーソナライズされたレコメンデーションシステムは、エージェントが特定の商品やサービスに関するユーザーの行動や好みを追跡し、学習します。新しい推奨事項が追加される度に自動的に実行され、エージェントの精度が向上していきます。
階層型エージェントは、階層状に配置されたエージェントの組織的なモデルです。上位レベルのエージェントが、タスクを小さなサブタスクに分解し、下位レベルのエージェントに割り当てます。
下位エージェントは、担当のサブタスクを実行するために独立して動作し、進捗レポートを上位エージェントは集まった結果を分析し、全体としての目標を達成できるよう調整する流れです。
階層型エージェントは、規模が大きく複雑なシステムを効果的に管理できます。例えば、製造業の生産ラインや物流倉庫など、多数のロボットが連携して現場の作業を進めるシーンで役立ちます。
AIエージェントを導入することで、企業やビジネスにどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、おもに4つのメリットを解説します。
AIエージェントを導入することで、これまで人間が対応してきた業務を任せることができ、人件費の削減につながります。例えば、カスタマーセンターにおける電話応対を、スタッフではなくAIエージェントに置き換えれば、人員を減らせる上、24時間体制で問い合わせ対応が可能になります。また、迅速かつ正確な情報を提供でき、顧客満足度の向上も期待できます。
AIエージェントの活用によって、業務プロセスの自動化が実現し、業務効率化が進みます。具体例としては、経理部署の請求書の処理や各店舗の在庫管理といった作業をAIエージェントに任せることで作業スピードの向上が期待できます。
また、業務を担当してきた人は、本来の重要な仕事に割く時間を増やせるため、事業成長にもつながります。
AIエージェントが特定のタスクを行うことで、入力ミスなどのヒューマンエラーの削減につながります。AIエージェントでは、目標やゴールは人間が設定しますが、タスクの実行には人間が介入することがなく、自律的に行動できます。
学習データに基づいて業務を確実に実行するため、人的ミスが軽減され、業務品質や顧客満足度の向上が期待できます。
AIエージェントは、ユーザーに合わせてパーソナライズされたサービスの提供を可能にします。ユーザーの行動履歴や過去の購入履歴をAIエージェントに分析させることで、個々のニーズに最適化された製品・サービスの提案が実現します。
また、継続的な学習により精度が高まる特性を活かし、顧客がリピートするほど提案の質が上がることも期待できます。よって、顧客満足度の向上やリピート率、顧客エンゲージメントの増加につながります。
AIエージェントを導入するにあたって、知っておくべき注意点を解説します。
AIエージェントは、生成AIと特性は異なるものの、学習データをもとに業務を実行する点は同じです。そのため、学習データの質や内容によって、対応品質は変わります。データセットに偏りがある場合、AIエージェントの対応結果も偏ったものになることは大いに考えられます。あるいは質が低い場合、業務の質が落ちるか、判断を誤ってしまう可能性もあるため注意が必要です。
人間が適切なデータを選ぶとともに、正確なデータ処理を行い、定期的にデータを更新することによって、AIエージェントの業務の品質を維持することができます。
AIエージェントでは、個人情報を含む機密情報を取り扱う場合があり、情報漏えいのリスクには注意が必要です。プライバシー保護やセキュリティ対策として、以下のような施策を検討しましょう。
AIエージェントを導入し、最大限の効果を得るためには、性能を活かせる高いスキルが求められます。また、安全かつ適切にAIエージェントを運用するためにも、専門的なITスキルを持つ人材が必要です。
具体的には、データサイエンティストやAIエンジニアなど、専門技術や知識を持つ人材の採用と育成などが挙げられます。また、AIエージェントを利用する人間も、AIの基礎的な知識や使い方を理解しておく必要があります。該当する社員への教育研修やeラーニングなどもご検討ください。
AIエージェントが活用されるシーンやサービスの事例には、以下があります。
上記以外にも、AIエージェントは幅広い分野で能力を発揮できます。
国内最大級のAIポータルメディア「AIsmiley」を運営する株式会社アイスマイリーは、「AIエージェントカオスマップ 2025」を公開いたしました。掲載数は合計で51サービスです。
AIエージェントサービスを体系的に分類し、各企業が自社に最適な製品を選びやすくすることを目的として、本カオスマップを作成しました。
自律型AIエージェント、業務自動化、生成AIプラットフォーム、特化型AIエージェントの4つのカテゴリ別に分類し、それぞれをカオスマップとしてマッピングしております。
本資料に掲載されているサービスURLやAIエージェントサービスの提供会社を記載した一覧表(Excel)は資料請求後、企業ご担当者様に無償でご案内いたします。ぜひサービスの導入検討や比較にご活用ください。
AIエージェントは、目標を達成するために自ら情報を収集し、必要なタスクを判断、実行するシステムです。生成AIと違って自律的に稼働することができ、複数のAI技術やデバイスを組み合わせて複雑なタスクにも対応します。
身近なところでは、スマートホームや自動運転などにも採用されています。AIエージェントの活用は、自社の業務や作業を任せられる「AI社員」などを通して、企業の成長や業務効率化などをよりいっそう促すことが期待できます。
アイスマイリーでは、「AIエージェントサービスの提供企業一覧」を無料でダウンロードいただけます。自社におけるAIエージェントの活用を検討する際に、ぜひご活用ください。
AIエージェントの人気サービスには、「AgentGPT」や「AutoGPT」などがあります。AgentGPTは、ブラウザ上で独自のAIエージェントを構成し、実行できるシステムです。ユーザーが目的に合わせて名前や機能を設定し、自分専用のAIアシスタントとして自律的なAIエージェントを作成できます。
また、AutoGPTは、ChatGPTの「GPT-4」モデルを活用したAIエージェントです。自然言語処理と機械学習のアルゴリズムを組み合わせ、繰り返しのタスクや複雑な作業を自動化できます。
多くのAIエージェントでは、さまざまな機能を連携させてタスクに対応しています。具体的には、スマートホームでは、カメラや人感センサー、音声入力に加え、LLMによる状況理解や機械学習による予測などが相互作用し、機能しています。
また、 医療診断支援エージェントでは、MRIやCTなどの医療画像や電子カルテ、問診データとともに、画像診断AIやLLMによる症例分析が組み合わされています。
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