少ない画像データからAIが異常検知!作業の属人化を防止
最終更新日:2024/04/04
近年、多くの業界でAI・人工知能の活用による業務効率化、サービス向上を図る動きが見られます。それは製造業においてもいえることで、AIを活用した異常検知などは、製品の欠陥や傷などを正確に見極める必要がある製造業において重宝されているのです。
そんな、AIを活用した異常検知ですが、一般的には大量の画像データがなければ異常検知の質を高めることが難しいとされています。しかし、近年では数十枚の画像で異常検知を実現するシステムなども実用化されているのです。
今回は、そんな「少ない画像で異常検知を実現するシステム」について詳しくみていきましょう。
製造業では「異常データが足りない」という点がボトルネックに
異常検知は、AIに「正常データ」「異常データ」の双方を学習させることによって、異常を検知する精度を高めていくという仕組みです。そのため、高い精度で異常検知を行うためには大量のデータが欠かせません。外観検査においては、最低でも数千〜数万枚の異常画像を用意しなければならないのが一般的だったわけです。
しかし、そもそも異常が発生するのは稀なケースであり、大半は正常なデータであるため、その異常データを数千〜数万枚も集めていくことは決して簡単ではありません。こういった点から、製造業に限らず、「異常検知の精度を高めるための異常データが足りない」という点がボトルネックになっていたのです。
そんな中、大量の異常データを収集しなくても異常検知を実現させることができる外観検査ソフトが登場し、大きな注目を集めました。それが「gLupe」というソフトです。
少ない正常画像で異常検知が行える「gLupe」とは
株式会社システム計画研究所/ISPが提供している「gLupe」は、わずか数十枚の正常画像を学習させるだけで異常検知を行えるようになるソフトです。外観検査に特化していることから、製造業への導入に有効なソフトとして注目を集めています。
深層学習(ディープラーニング)は、高い精度で学習できることが特徴とされている反面、大量の学習データを用意しなければならないというデメリットがありました。そのため、外観検査に深層学習(ディープラーニング)を導入しようとした場合、どうしてもデータ収集の段階で大きな労力を割かなければならなかったのです。
その点、「gLupe」は深層学習(ディープラーニング)を応用した形のAIを搭載しているものの、ISPの独自技術を活用することで、わずか数十枚の正常画像だけで学習することができるようになっています。必要となる画像の数は検出したい異常によって異なるため一概にはいえませんが、20〜50枚の正常画像があれば評価をスタートすることができるといいます。
(参照:技ラボ gLupe)
利用方法もシンプルな「gLupe」の構成
そんな「gLupe」ですが、形態としては開発キットであるため、既に利用している外観検査システムに組み込んだり、現段階で開発を検討しているシステムに組み込んだりしていくことが可能です。
その「gLupe」の構成として特徴的なのは、より手軽に異常検知の評価を行えるように、学習・評価用のGUIアプリケーションが設けられているという点でしょう。
ドラッグ&ドロップで画像を渡すだけで学習や評価を行うことができるため、異常検知の経験が浅い担当者でも短期間で使いこなすことができるようになります。
また、評価を行う画面においては、「gLupe」が回答した異常度のスコアに応じてヒートマップが表示されるのも特徴です。このヒートマップがあることによって、視覚的にも異常箇所を確認しやすくなるため、よりミスを減らしていくことができるでしょう。もちろん、閾値を変更すればヒートマップ表示も更新されるため、異常の判定に使用する閾値を決める際にも有効活用できることが考えられます。
さらに「gLupe」には、「異常が起きている確率が高い場所を答えてくれる」という特徴もあります。異常が起きているか、起きていないかを示すだけのソフトも存在していますが、「gLupe」は異常が起きている確率をピクセル単位で表示させることが可能です。その異常率を「異常度マップ」として表示させる機能が備わっているため、「異常である確率はどれくらいなのか」といった点を視覚的に確認することができるのです。
なお、異常検知に必要となる学習モデルはエクスポートすることが可能であり、「推論ソフトウェア開発キット」を活用することで外観検査システムへの組み込みが可能になります。
(参照:技ラボ gLupe のご紹介)
(参照:gLupe 製造業向け外観検査ソフトウェア)
推論ソフトウェア開発キットの活用で外観検査システムへの組み込みが可能
推論ソフトウェア開発キットとは、学習や評価を行うGUIアプリケーションから書き出された学習モデルを搭載している推論エンジンを、外観検査システムへと組み込んでいく際に必要となる開発ライブラリです。その形態はWindows DLLとなっており、外観検査システム上からDLLの関数を呼び出すことによって、「gLupe」の持つ推論機能が利用できるようになります。
「gLupe」を使用する上での厳しいルールなどは特に存在しませんが、いくつか注意しなければならないポイントがあります。画像データの撮影方法なども特に厳しく決められているわけではありませんが、どのような撮影方法でも良いというわけではないので注意しましょう。
対象となる物の位置や光の当たり具合などは特にシビアではありませんが、やはり少ない画像データから異常検知を正確に行うためには「一定の撮影条件」であることに越したことはありません。対象となる物の位置や角度、光の当たり具合などをバラバラにしてしまうと、「正常」の定義を定めることも難しくなってしまいます。そのため、撮影条件はできる限り統一させたほうが良いでしょう。
少ない画像で行える異常検知がスモールスタートを実現させる
今回は、少ない画像でも異常検知を行うことができる「gLupe」についてご紹介しました。製造業などにおいては特に異常検知が重宝されるものの、「異常画像データを大量に収集するのが難しい」という点から、異常検知の導入に苦戦している企業も少なくありません。しかし、今回ご紹介した「gLupe」のようなソフトを活用すれば、わずかな正常画像だけでも異常検知を行うことができるようになるわけです。
こういったソフトを活用すればスモールスタートも行いやすくなるため、より多くの企業が視野を広げられるようになるでしょう。進化を続ける深層学習(ディープラーニング)を活用したサービスに、ますます期待が集まります。
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