生成AI

最終更新日:2026/10/26
TOPPANと慶應 量子AI画像生成
TOPPANと慶應大は、量子コンピュータと生成AIを活用した漫画・アニメーション制作支援の実証実験を共同で実施しました。量子コンピュータで生成した画像をAIで高解像度化・着色し、256×256ピクセルのカラー画像の生成に成功しています。
このニュースのポイント
TOPPANホールディングス株式会社と慶應義塾大学は、共同で量子コンピュータと生成AIを用いた漫画・アニメーション制作支援に関する実証実験を実施しました。
近年、画像生成AIは幅広い産業で導入され、アイデアの拡大や表現の検証を行うための新たな支援ツールとしても活用が進んでいます。一方、現在主流の拡散モデルは、ノイズを取り除きながら画像生成する処理を何度も繰り返すため、計算工程が多く生成に時間がかかるという課題があります。
この課題に対し、両者は従来より少ない計算ステップで高速に画像生成が可能なフローマッチングの手法に着目しました。

本実証では、慶應義塾大学の知見を活用して量子回路にフローマッチングの手法を実装しています。キャラクターの構造など画像のコアとなる部分を量子コンピュータで生成しました。
また、TOPPANは背景生成・カラー化・高解像度化を補完する量子とAIのハイブリッドな画像生成モデルを構築しています。これを用いて、マンガ・アニメーションの実用に耐えうる画像生成が可能か検証しました。
手書き数字画像を用いた基礎検証では、現在のコンピュータで量子回路を再現したシミュレーションを実施しました。ハードウェア効率的アンザッツを適用した結果、演算回数を従来設計の約6分の1に削減しています。
指定した数字が正しく生成・識別された割合も、従来設計の16%から78%に向上しました。加えて、1万件の学習データを用いた比較における生成画像の識別精度は、現在のコンピュータによるAIモデルの54.3%に対し、量子モデルでは78.3%となりました。
これは、従来のコンピュータによるAIモデルが陥りやすい局所解(ローカル最適解)を回避し、考えうる選択肢の中からグローバル最適解に近い解(準最適解)を導き出せたためと推察されています。これにより、量子モデルは少量の学習データでも高い性能を維持できる可能性が示されました。
ノイズの影響を受けやすい10qubit(量子ビット)の量子コンピュータ実機でも、指定条件に応じた16×16ピクセルのグレースケール画像を正確に生成しています。さらに、この画像をAIで高解像度化・着色し、実用に耐えうる256×256ピクセルのカラー画像として出力できることも実証されました。
あわせて、本研究の成果はNEDOが主催する「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」において、Cool Japan部門の3位を受賞しました。また、本プログラムのSeason2に採択され、今回の実証結果を踏まえた研究フェーズを2026年10月から開始します。
TOPPANホールディングスと慶應義塾大学は、将来的な技術確立を目指してさらなる研究開発を推進します。今後は、3D・4Dを含む多様なコンテンツ制作などへ応用を広げ、クリエイターの制作支援や持続可能なコンテンツ産業の発展に貢献する用途開発を目指す方針です。
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