生成AI

最終更新日:2026/10/20
東北大学 結晶の向き自動解読AI
東北大学研究グループは、ノイズに埋もれた電子顕微鏡データから結晶の向きを自動解読する機械学習手法を開発しました。電子線に弱い高分子材料の微細構造解析を自動的に行うことが可能になりました。
このニュースのポイント
国立大学法人東北大学の研究グループは、ノイズに埋もれた電子顕微鏡データから結晶の微細構造と向きを自動解析する機械学習手法を開発しました。
4次元走査透過型電子顕微鏡法(4D-STEM)は、電子線を用いて材料内部の結晶の種類と向きを可視化できる測定法です。しかし、高分子材料などの電子線に弱い材料では、電子線量を下げる必要があります。それに伴う多量のノイズが、微細構造解析を困難にするという課題がありました。
また、従来の教師なし機械学習では、結晶の面内回転による見かけ上の違いを別成分として分離してしまう問題もありました。そのため、膨大な数の成分が必要になり、後から回転の対応関係を整理する作業が発生していました。

ノイズと結晶の面内回転という課題に対し、研究グループは「雑音除去」と「結晶成分解析」の二つの機械学習法を組み合わせた、4D-STEMデータ自動解析ワークフローを開発しました。

第一段階の雑音除去では、ノイズを含む観測データのみで学習可能な自己教師あり学習を採用しました。注目する画素の値を参照せず、周囲の情報だけからノイズのない値を予測する構造により、正解データがない実験データにも適用可能です。
本研究ではこの枠組みを拡張し、注目する測定点と周囲の回折図形を同時に入力する深層学習モデル「4D-SSD」を構築しました。隣接する測定点で結晶構造が似ている性質を利用し、ノイズに埋もれた回折スポットを高精度に復元します。

第二段階の結晶成分解析では、雑音除去した回折図形を極座標に変換し、回転角方向に1次元フーリエ変換を行います。この表現では、振幅は回転によらず一定となるため、振幅に非負値行列因子分解を適用し、回転角の違いに惑わされず結晶成分を抽出します。これにより、結晶成分と向きの空間分布を同時に自動的に得られます。
また、開発した手法を、高分子であるアイソタクチックポリスチレンの実測データに適用しました。雑音除去を行うことで、寝たラメラ晶と立ったラメラ晶の分布などが自動的に得られました。さらに、これまで未解析だった微量な結晶成分も新たに検出することに成功しています。
本成果により、低電子線量で測定した4D-STEMデータからでも高精度な微細構造解析が可能になりました。今後は、次世代材料の開発加速への貢献や、次世代放射光施設ナノテラスをはじめとするさまざまな計測データへの応用による計測時間の短縮にも寄与すると期待されています。
出典:国立大学法人東北大学
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