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最終更新日:2023/12/20
量子コンピュータについて解説
IT技術の進歩を受けて、世界的に注目を集めているのが「量子コンピュータ」です。国内でも企業による導入事例が増えており、AI技術の進化にも大きく貢献することが期待されており、理解や活用の必要性が高まっています。
本記事では、量子コンピュータの仕組みや機能、AI技術との関係性などについて解説します。量子コンピュータが持つ将来性を理解し、活用方法を検討するためにぜひお役立てください。
機械学習について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
機械学習とは?種類や仕組み、活用事例をわかりやすく簡単に説明
量子コンピュータ(Quantum Computer)を一言で表すと、「量子力学を用いて高速計算を実現するコンピュータ」のことです。物理学の1つである量子力学は、原子や電子といった非常に小さなものの動きに関する理論を意味します。
量子力学では、原子や電子、光の粒(光子)など微小なものや、極端に低温まで冷やした物質において、日常にはないような不思議な現象が起きることが確認されています。量子力学特有の物理状態である「重ね合わせ状態」や「量子もつれ状態」などが代表例です。
こうした量子力学特有の物理状態を積極的に用いることで、従来の計算機よりも高速かつパワフルな量子計算を実現できるようになりました。量子コンピュータは、従来のコンピュータとは本質的に異なるポテンシャルを持ち合わせていることが明らかになりつつあり、圧倒的な処理能力を発揮できる次世代コンピュータとして研究開発が進められています。
そもそも「量子」とは一体何を意味するのでしょうか。文部科学省のWebサイトでは、「粒子と波の性質をあわせ持った、とても小さな物質やエネルギーの単位」が量子の定義と説明されています。
宇宙に存在するすべてのものは分子や原子で構成されている、というのが物理学の前提です。原子は原子核をつくる陽子と中性子、原子の周りを回る電子によって構成されていますが、この構成材料こそが、物理学において「量子」と呼ばれています。
電子は、常にスピン(回転)しているとされ、量子コンピュータはこの回転を計算に活かすというアイデアから生まれたという説が有力です。
量子は、はるか昔から科学者たちが研究を続けている一大テーマであり、粒であるという「粒子説」と、波動であるという「波動説」の2大論説による対立が続いてきました。近年になって、「量子は粒子性と波動性をあわせ持つ特殊な存在」という結論に達しています。

量子コンピュータの仕組みを理解するために、従来のコンピュータである古典コンピュータとの違いについて見ていきましょう。いずれのコンピュータも計算を行うためのシステムであることは変わりありませんが、仕組みが異なるため、性能や活用方法にも差があります。
古典コンピュータとは、従来使われてきたコンピュータで、力の作用や電磁気といった古典物理学の特性を採用しています。
一般的には、演算論理装置(CPU)や制御装置、主記憶装置(メモリ)、入力装置、出力装置という5つの装置から構成されます。計算機としてのコンピュータの原型が誕生した時代、アメリカで開発された2進数による演算が組み込んだ「ノイマン型コンピュータ」が代表例です。
2進法では、情報を「0」「1」のいずれかに変換して処理します。この2進数を用いた表現方法はbit(ビット)と呼ばれ、ビット情報を半導体内のスイッチのON/OFFに対応させることで、古典コンピュータの計算処理が行われる仕組みです。「0」と「1」は、コインの表裏のようなもので、どちらかだけの情報が送信されます。
量子コンピュータは、量子力学における「量子の重ね合わせ」という特性を活かして計算処理を行うコンピュータです。回転している量子の「0」と「1」どちらでもあるような状態を利用し、古典コンピュータに比べて膨大な量子ビットによる大量な情報処理を高速で実現します。
量子計算に特化した電子回路「量子ゲート」を用いる量子コンピュータは、「量子ゲート方式」と呼ばれ、「Qubit(「0」と「1」のいずれでもある状態)」と量子ゲートによる計算が可能です。
例えば、10ビットの情報を処理する問題の場合、従来の古典コンピュータでは、2進法により10乗分の計算を網羅的に実施するステップが必要となり、計算回数は1,024回と膨大でした。
一方、量子コンピュータでは、量子の重ね合わせによって、各ビットに「0」「1」2通りの組み合わせを同時に持たせることができ、1,024通りすべてを1度の処理で実行します。
量子ゲートにはさまざまな種類があり、より多く組み合わせることで多様かつ複雑な計算に対応することが可能です。
量子コンピュータにはいくつかの種類があります。ここでは、量子コンピュータの主な3つの種類について、特徴や仕組みを見ていきましょう。
万能量子コンピュータとは、量子ビットの数が十分に多く、万能な量子計算が可能な量子コンピュータです。「任意の量子状態から、別の任意の量子状態へ十分な精度で変換できる」ものを指します。
量子ビットの数が増え、計算が複雑化すると、ノイズの影響も大きくなりやすい点が課題です。そのため、量子ビット数を増やしても、実験的な難しさを抑えられるスケーラビリティや、計算処理に影響を及ぼすノイズの作用を排除するエラー耐性を獲得する必要があり、万能量子コンピュータはその特性を持ち合わせています。
ただし、技術的難易度が高く、現在の技術水準ではまだエラー訂正の初期段階の実験に留まっているのが事実です。アルゴリズムの獲得や研究開発によって、万能量子コンピュータの応用分野はさらに広がっていくと予測されています。
非万能量子コンピュータとは、量子力学特有の物理状態を用いて計算を行う、あるいはそれを目指すコンピュータのことです。量子ビットの数を一定量まで増やし、量子力学を活かした計算の実行を可能にしています。量子コンピュータに特有のノイズをある程度受け入れている「NISQ(ニスク)」も非万能量子コンピュータの1種です。
万能量子コンピュータのようなスケーラビリティやエラー耐性は備わっていませんが、量子ビットを有限かつ少数にすることでノイズを抑えつつ、エラー耐性が不十分でも計算精度をある程度維持できます。量子ビットの数は多くないとはいえ、古典コンピュータよりも高速計算が可能です。
ただ、非万能量子コンピュータが社会に有用な計算が可能であるとは限らず、活用には社会に有用なアルゴリズムの発見が重要とされています。
非古典コンピュータは、量子計算を目指す開発段階のコンピュータや、量子コンピュータ荷分類されていても優位性が明確ではないものなどを指します。例えば、計算性能において優れた点がない量子コンピュータなどが例です。
コンピュータの量子計算などで、古典計算よりも優位な計算ができているのか、という回答は難しく、多くの実験データや研究開発のために、ある程度の開発期間を要します。古典計算よりも優位な計算を実証することを「量子スプレマシー」といいますが、量子スプレマシーがなく、開発段階にあるものが、非古典コンピュータという括りといえるでしょう。

量子コンピュータでの計算方法にも種類があります。ここでは、「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」の2つの量子計算モデルについて見ていきましょう。
量子ゲート方式は、古典コンピュータの回路や論理ゲートの代わりに、量子回路や量子ゲートを用いて計算を行う計算モデルです。量子回路において、計算の手順を示した量子アルゴリズム(回路図)へ計算前に落とし込みます。
その後、量子アルゴリズムに基づいて、適切に量子ゲートを組合せ、量子ゲートの羅列(量子回路)を作成。量子ゲート方式では、この量子回路に従って量子ビットの状態を操作、測定して計算結果として読み出します。
万能な量子計算をこなす最もスタンダードなモデルであり、量子コンピュータ研究の初期から用いられているものです。代表的な量子アルゴリズムであるグローバーのアルゴリズムでは、従来は1億回の計算量が必要であった探索を、理論上1万回に減らすことが可能とされています。
量子アニーリング方式は、制約条件のもとで多数の選択肢から最適な選択を決定する「組み合わせ最適化問題」に特化したモデルです。1998年に、東京工業大学の物理学者の西森秀稔氏を中心とするグループが提唱しました。
物流分野でコストや移動距離が少なくなる最適な経路探索、勤務条件や個人スキルといった条件をもとに適切な人員配置を決める、といったテーマで活用できます。
量子アニーリング方式は「初期化」「量子アニーリング(計算)」「測定」という3段階構成です。量子ビットに電磁波を加えて重ね合わせ状態を作った後、「0」「1」いずれかに振り分けられた状態へと変化させます。最後に状態を測定して結果を算出することが可能です。
量子コンピュータは、AI(人工知能)や機械学習といったシーンで本格的に活用され始めています。最大の影響として考えられるのが、「量子機械学習(Quantum Machine Learning)」を用いた学習能力の向上です。
AIの研究開発の進化とともに、効果的に活用するために高性能なハードウェアの必要性が急速に高まっています。大量のデータと高速情報処理を必要とする機械学習に、量子コンピュータを組み合わせることで、取り扱えるデータ量と学習回数が増え、従来型では解決できなかった問題の解決にもつながるでしょう。
量子コンピュータは確率論的に答えが導き出される点が特徴です。そのため、機械学習など大量のデータをより効率的に処理することが重視される分野では、量子コンピュータの活躍が期待できます。

現時点で明確化されている量子コンピュータによって実現できることは、主に以下の項目です。
素数は「1とその数字以外で割り切れない数字のこと」です。一見法則性がないように並ぶ素数ですが、「無限の素数が存在する」と証明した数学者も登場しています。量子コンピュータの高速処理やアルゴリズム開発によって、現在見つかっている最大の素数よりもさらに大きな素数を効率的に発見できる可能性は高いでしょう。
また、素数の謎が解明されることで、世の中で使われている暗号も圧倒的な早さで解読できるようになるという説があります。さらに、謎に満ちているビッグバンなどの宇宙の謎も、量子コンピュータの実用化が始まれば、一歩ずつ解明されていくかもしれません。
量子コンピュータはまだ開発段階にあり、実用性を持つ量子コンピュータの完成は各企業が掲げるゴールでもあります。今後さらなる研究開発によって進化改良を遂げると推測されており、未知なる可能性を秘めているといえるでしょう。
世界的な企業がすでに量子コンピュータの実用化に踏み出している、というニュースが公表されています。Googleが開発した「Sycamore」や、IBMが開発した「IBM Q(Quantum)System One」は非万能量子コンピュータで紹介したNISQ(ニスク)の代表例です。
中でも「Sycamore」は、2019年9月に量子超越性(スーパーコンピュータよりも優れているという証明)を達成していると発表されました。また、「IBM Q(Quantum)System One」は東京大学と日本IBMが共同で、2021年7月より稼働を開始しています。
デンソーやリクルートといった企業は、ニスクや量子アニーリング方式といった量子コンピュータを用いたスマートファクトリーの実現や、顧客ニーズ分析の精度の向上などにおける実証実験をスタートしました。
加えて、IntelやAlibabaなど名だたる企業が続々と量子コンピュータの研究開発に乗り出しており、人材競争も激化しつつある状況です。今後より多くの企業が、量子コンピュータの開発、導入に着手していくでしょう。

量子コンピュータは、量子の特性を活かした計算処理とアルゴリズムを用いた新しいコンピュータです。従来型の古典コンピュータとは異なる仕組みを採用しており、実現によってこれまで解けなかった問題の解消や時間短縮、作業効率化といった恩恵をもたらすと期待されています。
万能量子コンピュータはまだ開発途中であり、エラー耐性やスケーラビリティといった課題はあるものの、伸び代が多いと言い換えることも可能です。無限の可能性を秘めている量子コンピュータの進化に、世界中が期待を寄せています。
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