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最終更新日:2024/02/26
滋賀県に拠点を置くソフトウェア開発会社として、ICTやビッグデータなど様々なデジタル領域において、多彩な製品を展開してきた日本ソフト開発株式会社(代表取締役会長:藤田 義嗣 代表取締役社長:蒲生 仙治 以下、日本ソフト開発)。ビッグデータの誕生以前から、データ資産の活用に先見を立て、ビッグデータを簡単に高速で処理する「データ整備ツール」の開発に至りました。
今回は、長年コンピュータ業界の最前線で活躍され、10年にわたりビッグデータ活用に取り組まれてきた、BIG DATA R&D本部の岸本行正さんにお話を伺いました。
――開発の経緯を教えてください。
――岸本さん
「REALISMの提供を開始したのは2009年でした。その時期のコンピュータ業界は、システムが資産だという考え方から、データこそが次の時代の資産になるだろう、という認識にシフトしつつありました。弊社は早くからデータ資産化に向けた方針を打ち出し、ビッグデータ処理ができる製品の需要が高まるだろうと予測を立てました。そこで、データ整備ツールとして初めて開発に至ったのがREALISMです。当時はビッグデータという言葉もなく、データ処理に特化した製品も市場にはほとんどなかったため、データ整備ツールとして売り出していくのは大変でした」
――データ整備とはどのような作業のことを指すのでしょうか?
――岸本さん
「膨大なデータを整える作業です。データ整備を行うことにより、書式・形式の異なるデータの統合処理を円滑にしたり、データ分析の精度を向上させたりできる効果があります。例えば、膨大なデータの中から欲しい情報の抽出やデータの集計を行おうにも、データ量が多いとExcel や Access では時間がかかりすぎたり、複数システムにあるデータの統合が難しかったりと、いろいろな障壁があります。しかし、データ整備の段階で、データを統合・加工しておけば、業務効率や精度の面で、効果的にビッグデータが活用できます。REALISMはテキストデータであれば20億件ほどのデータ整備に加え、読込、結合、マッチング、検索、集計、計算、出力などの様々な処理を高速で行えます」
――REALISMはビッグデータに特化した製品ですが、どれくらいの量のデータをビッグデータと呼ぶのでしょう?
――岸本さん
「実際のところ、ビッグデータの定義に明確な線引きはありません。ですが、Excelであれば、100万行を超えてくるような場合のデータはビッグデータと呼んで良いでしょう。20万行ほどのデータをExcelで管理している場合でも、『そもそもアプリケーションが立ち上がらなくて困っている』、『一つの検索に何時間もかかり、作業が滞る』など、極端に業務を非効率にさせてしまっていることもあるかと思います。そのような何か手を施す必要のあるデータもまた、ビッグデータとしても良いかもしれません」
――世界最高速レベルはどのように実現されたのでしょう。また、どれほど速いものなのでしょうか?
――岸本さん
「REALISMは、世界最高速レベルの処理エンジンを使っていることが、実現の要因です。特に、アドホック処理と超高速バッチ処理の速度に関しては、他のどんなツールにも負けません。どれほど高速なのか想像しづらいと思いますが、1億件のテキストデータに対して、検索・集計など、それぞれほぼ 1 秒以内で処理できます。もちろん、億を超えるような、何日もかけて処理していたデータでも、数時間、数分で終わらせます」
――それだけ高度な処理ツールをお客様自身で使いこなせるものでしょうか?
――岸本さん
「REALISMは、ビッグデータをブラウザから手軽に処理できるよう汎用化したもので、ツールとしても使いやすい設計にしてあります。もちろん、プログラムが書けない人でもご利用いただけます。弊社では、講習や体験利用を無料実施したりと、運用のサポートもしっかり行っていますので、操作が心配な方にも安心してお使いいただけると思います」
――では実際に、データ処理はどのような場面で使われているのでしょう?
――岸本さん
「アパレル小売店の事例で言うと、REALISMを使ってビッグデータをマーケティング領域に活用したいというご要望がありました。そのお客様が抱えていらっしゃった課題としては、マーケティングの判断材料が経験や肌感しかなく『顧客の分析ができていない』、また通販サイトと店舗のデータを別システムで管理していたため、それぞれで展開する『販促プロモーションの効果が分かりにくい』ということがありました。REALISMの導入後は、顧客データや購買データを可視化できるようになり、担当者自身で効果測定や、分析を行うことが可能になりました。結果として、今まで感覚的にしか把握できていなかったことがデータで検証できるようになり、店舗運営やブランド戦略などに役立てていただいています。当初はお客様自身も、欲しいデータが取れるのかを懸念されていましたが、思った通り、期待していた通りの分析結果が得られたと言っていただきました」
――岸本さん
「REALISMはAIにも親和性があります。AI開発に取り組まれていた、ある農機の会社ではこんな事例がありました。同社で稼働しているトラクターは移動経路何時何分のときに、エンジンの回転数がどれくらいだったかという数十億件のデータを取るのですが、そのデータも機械センサーが出しているので異常なデータが少なからずありました。そこでREALISMを使い、それらの異常データを調整するなどし、ブラッシングされたデータをPoCに用いたところ、見違えるほど精度が向上しました。テストデータの整備は、プレパレーションとも呼ばれますが、REALISMはAI開発に必要なデータ作成の時間と手間を抑えたいときなどにも使っていただけます」
――REALISMの提供開始から10年が経ちますが、データ処理の対する市場の認識の変化は大きいようですね。
――岸本さん
「まだまだデータ処理自体、広く認識された分野ではありませんが、ビッグデータの活用が重要視されてきたことは明らかに感じています。現在多くの方にご利用いただいているREALISMですが、数年前までは、なかなか見ず知らずの新興技術として相手にされないといった状況もありました。以前、航空会社最大手に営業に訪問した際、『当社では、A社がパートナーとしているから、日本ソフト開発の製品は必要ない』と相手にもされませんでした。しかし、実際にサーバ機器を持ち込み、目の前でデータ整備のデモンストレーションをお見せしたところ、REALISMの処理速度と性能に感心していただき、契約に至ったということがありました。まさにイノベーションのジレンマというのでしょうか、形態の違うものや、革新的すぎるものは、なかなか受け入れてもらえず、その価値が理解されるのは機運が必要なんです。ですが近年、AIやビッグデータという言葉の認知されてきたように、データ処理分野への関心度、さらにはデータ整備ツールのニーズも高まってきていると思います」
――今後のビジョンなどをお聞かせください。
――岸本さん
「今後、データ資産の管理は急務となってくるなかで、REALISMがお客様に貢献できる機会は間違いなく増えてくると思っています。最近ではAIで用いられるデータもほとんどテキスト化されてきているように、画像や音声の脱データベース化を目指す方もいっらしゃるので、そういった方にデータ整備を使っていただきたいですね。
そのためにはやはり、REALISMの性能を体感していただきたいと思っています。現在、10万件から20億件までのデータ処理を一律10万円で行うサービスを開始しております。まずは使ってみて購入をご検討してもらいたいと考えています。
また、継続的な取り組みとしては、弊社の技術を世界に伝えるため、シリコンバレーやシンガポールの展示会に出展するという活動を行っています。ビッグデータ活用の流れは、当然日本だけに限られた話ではありませんから、世界のお客様にもデータ整備ツールを認知していただけるチャンスはあるはずです」
ビッグデータの概念が誕生する以前より、データ活用を推進してきた日本ソフト開発。データ活用の術は、今後のAI社会において、企業の必須スキルであることは間違いありません。
日本ソフト開発は、お客様のデータ活用を新しい次元へ連れていきます。
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