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【AI・人工知能EXPOレポート】Stability AI日本代表ジェリー・チー氏が語る、生成AIの未来とは?

最終更新日:2024/04/03

2023年5月11日(木)に、第7回AI・人工知能EXPO【春】特別講演「生成AIの未来」が開催されました。本講演には「Stable Diffusion」の開発元Stability AI 日本代表のジェリー・チー氏が登壇しました。

第7回AI・人工知能EXPO【春】のメディアパートナーを務めるAIsmileyが特別講演のレポートをお届けいたします。

画像生成AI「Stable Diffusion」の使い方

ジェリー・チー氏は過去に外資系や日本の企業、スタートアップなどの会社で機械学習やアナリティクスの経験の後、2023年1月にStability AIにジョインし、日本支社のStability AI Japan株式会社を設立しました。

Stability AIは2022年8月に画像生成AIモデルの「Stable Diffusion」をオープンソースでリリースし急成長を遂げている英国のスタートアップ企業です。また、2023年4月には「StableLM」というオープンソース大規模言語モデル(LLM)もリリースしています。

Stability AI Japanは、日本企業や組織のための生成AIモデルを開発し、日本に特化したAIを提供していく予定です。日本の企業やクリエイター達のスキルがAIによって拡張されることを目指しています。

「Stable Diffusion」はテキスト入力や簡単な線画での入力などによる画像生成や画像加工などが可能な生成AIモデルです。講演では具体的な活用事例を見せながら実際にどのようなことが生成AIで可能なのかを紹介。Stable Diffusionを使うと、テキストを入力するだけでエッフェル塔の背景を変更したり、アニメやホラー風といったイラストのテイスト変更が簡単にできます。

他にも超解像技術で低解像度の写真から高解像度の写真の作成したり「こんな画像を作りたい」「このように画像を編集したい」などの要望に沿って様々な手法で出力画像のコントロールや編集が可能です。

生成AIの活用例と各企業の動向

Stable Diffusionはもちろん、さまざまな生成AIを活用した事例は増えています。ホームページやアプリなどのUI生成、広告クリエイティブ、プロモーションなどにも、実際に活用が始まっています。また、リアルな人間の画像を生成した動画やアニメーションの背景を自動作成するなど、幅広い利用が期待されています。

また、言語モデルは文章の作成や要約、構成、翻訳などの活用だけでなく、コードの作成や開発プランの作成など、ソフトウェア開発にも利用できます。スマホゲームをAIで再現できないかという試みもあり、近い将来、ほぼ完全に自動化された簡単なゲームが作成できるようになると考えられています。

AI研究は今後も指数関数的に増加すると予想され、AI市場は2030年には200兆円に達する予測を凌ぐ勢いで急速に拡大しています。生成AIスタートアップへの投資額の増加や有名大手企業とパートナーシップ締結など、企業の業績にAIが影響し始めています。

コミュニティとオープンソースAIで「AIの民主化」を

ここでジェリー・チー氏は「今後、AIの寡占化あるいはAIの民主化、どちらの未来になっていくか」と会場に問いかけました。「AIの民主化」とは、多くの企業がAIを導入し、自分たちでカスタマイズして活用している世界だと説明。会場の多くの人は「AIの民主化」に挙手し、ジェリー・チー氏もまた、AIの民主化が進むだろうとコメントしました。

なぜAIの民主化が成功するのか、その理由としてオープンソースのAIの「性能の蒸留」「価格」「コミュニティ」「カスタマイズ」を挙げています。

ジェリー・チー氏は、この中でも「コミュニティ」が最も重要だと考えます。オープンソースモデルは誰でも利用することができるため、例えばStable Diffusionのコミュニティでは「ユーザー」「開発者」「クリエイター」などのコミュニティがさまざまな実験を行っています。その結果を互いに共有することで、ツールを使うユーザーやクリエイターだけでなく、AI開発者もより良いものを開発するといった良いサイクルが生まれます。

ですが生成した内容の正確性やセキュリティ問題、ブラックボックス問題などの課題は依然残っており、Stability AIをはじめ、多くのAI企業がこの課題の改善に向けて取り組んでいます。

今後、例えば「絵の描けない小説家が漫画を描けるようになる」や「コードが書けなくても自然言語を活用しソフトウェアの開発を行える」など「できなかったことができるようになる」という動きが生成AIの民主化により進んでいき、ビジネスのパラダイムシフトが起きるとジェリー・チー氏は紹介します。

生成AIの登場により、今や誰でもクリエイターになれる時代です。生成AIのスタートアップとのパートナーシップもどんどん増えていくと予想されるため、より会社の生産性や創造力が上がっていくでしょう。今後も生成AIを盛り上げていくとともに人間は「どんなAIを、どういう風に組み合わせて良いものを作り上げていくか」などのキュレーターやプロデューサーとしてのスキルを磨いていくことが重要だとコメントし、講演は幕を閉じました。

ジェリー・チー氏の講演は立ち見が出るほど注目度が高く、Stability AIをはじめとする生成AIの活用例や、AIの未来を分かりやすく紹介しており、よりAIが身近なものになると感じました。Stability AIの画像生成AI「Stable Diffusion」は無料で利用できますので、是非使ってみて実際に生成AIを体感してみてはいかがでしょうか。

Stability AI 日本公式Twitter

NexTech Week 2023【春】
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