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最終更新日:2025/04/01
Manus(マヌス)は、2025年3月6日に中国で正式発表された最新AIモデルです。リリース直後から中国国内のSNSやニュースメディアで話題を集めています。発表日の夜にクローズドで公開されたβ版は招待制で、その性能や操作性は世界的な注目を集めています。
本記事では、Manus の特徴や OpenAI「DeepResearch」との比較、招待コードの入手方法などについて詳しく解説します。
Manus(マヌス)とは、中国のスタートアップ企業が開発した最新AIモデルです。テキストやコードの生成、Web検索といった汎用的なタスクを自律的に実行できる性質で、ユーザーが設定した目標やゴールに向かって作業を続けることが可能です。
現在、Manus のβ版は招待制として公開しており、招待コードがあるユーザーのみ利用できる仕組みでしたが、コードの高額転売が行われるなど世界的に注目が高まっています。
Manus を開発したのは、中国・北京のスタートアップ企業「Butterfly Effect(北京蝴蝶效应科技有限公司)」です。創業者の肖弘(シャオ・ホン)氏が、2022年に同社を創業後リリースしたブラウザ拡張型のAIアシスタント「Monica」は、今回開発された Manus の基盤となっています。
また、共同創業社の季逸超(ジー・イーチャオ)は、Manus について「アイデアと実行のギャップを埋める次世代AIであり、AGI(汎用人工知能)の一端を垣間見る可能性がある」と語っており、Manus の開発に注力していることがわかります。
Manus は、ユーザーの指示を受けて自律的にタスクを処理できるAIエージェントとして機能する以外にも、多くの利点があります。ここでは、Manus の主な5つの特徴を詳しく紹介します。
Manus は、「思考を行動に変える自律型AIエージェント」として位置づけられたモデルです。ユーザーが入力したゴールを達成するために自ら情報を収集・分析し、タスクを計画、自動実行して完結します。
具体的には、課題を理解・計画するプランナーや情報検索用のナレッジなど、専門的な下位AIが含まれており、各自が役割を分担して協調するマルチエージェント仕様です。また、各ユーザーには仮想環境が割り当てられ、その中でWebブラウザ操作やファイル管理などを通して、アプリ操作やプログラム実行を実現しています。
上記の構成により、従来のAIチャットボットでは難しかった自律動作を継続的に実行することが可能になっています。
第三者のレポートによると、Manus のコアモデルとして、Anthropic の Claude 3.5 Sonnet と、中国企業の Alibaba が手掛けるAIモデル「Qwen」が採用されていると報告されています。主軸となる Claude に、ファインチューニングした Qwen を併用することで、自律型AIとして高い実行性能を搭載することに成功しています。
Manus では、AIが自律的にタスクを実行するプロセスをリアルタイムで可視化できます。「Manus のコンピュータ」と呼ばれる画面で、データ処理の過程や結果がわかりやすく表示されるため、ユーザーは Manus の高度なデータ処理能力をその場で確認できます。
また、必要に応じてユーザーが介入できるため、AIと人間による協働の最適化が進みます。まるで人間のアシスタントが作業しているように表示される独自設計によって、自律的なタスク処理をサポートしている点も特徴です。
Manus は、外部ツールを直接操作することが可能です。Manus の内部で29種類のツールを呼び出せる仕組みを搭載し、Webブラウザの自動操作やExcelの表作成などを人間の手を介さずに自動的に完結できます。
代表的なツールには、ブラウザ操作を行うオープンソースの「Browser use」があります。ユーザーの代わりにWebサイトの閲覧や検索結果の取得などを行います。他にも、Python実行環境など多くのオープンソースプロジェクトが活用されており、従来のように別々のアプリケーションを行き来せずに、シームレスな処理を実現します。
Manus は、ユーザーがPCを閉じた後もバックグラウンド上で動作を継続できます。画面を閉じていても、タスクを非同期で処理し、完了したら結果が通知される仕組みです。
大量のデータ分析やWebスクレイピングなど、長時間を要する処理を依頼する場合でも、Manus がクラウド上で作業を続けられるため、タスク管理の効率化を促します。
Manus 公式サイトで公開されている以下のグラフを見ると、GAIA(一般的なAIアシスタントのタスク処理能力指標)においてManus は高い評価を得ています。
参考:Manus
Manus は、すべての難易度においてSOTA(最高性能)を達成しています。GAIA のレベル1では、OpenAI「Deep Research」の正解率が74.3%であるのに対し、Manusは86.5%を記録しています。また、レベル3では、Manusは57.7%というスコアを打ち出しており、OpenAI「Deep Research」の47.6%を上回っています。
特に、外部ツールの活用や論理推論能力が高く評価されており、Manus が世界トップレベルの自律型AIエージェントであることを裏付ける結果となっています。
現在公開されている Manus のβ版は招待制で、利用には招待コードが必要です。以下の手順で招待リクエストを申請できます。
リクエストが承認されると、メールで通知が届きます。ログイン情報を使って利用を開始しましょう。
現時点では Manus は完全無料です。ただし、アクセス過多などの理由で、以下のエラーメッセージが表示されるケースが報告されています。
ピークタイムを避ければ正常に動作する可能性が高いですが、クラウド動作に関しては指示を出しても稼働していない場合もあるなど、不安定な状況にあります。
Manus の活用事例を紹介します。
ユーザーの指示がおおまかなであっても、Manus は必要な情報を集めて分析し、目的を達成するために自律的に作業可能です。
Manus は、自律型AIエージェントとして最新かつトップクラスの性能を持ちあわせていますが、注意点も存在します。ここでは、Manus の利用前に押さえておきたい注意点を2つ紹介します。
Manus に入力したデータや生成された内容は、サービス提供側に送信されることがわかっています。ただ、中国当局のアクセスの可否など、明らかにされていない点もあり、懸念の声が挙がっていることは事実です。
機密情報や個人情報を入力した場合、サーバー上に保存されてAIの改良などに用いられる可能性が高いでしょう。他のAIツールと同様に、機密情報の使用は避けた方が無難です。
Manus がWebブラウザの閲覧などで収集したデータが、規約違反などに該当するリスクが指摘されています。法的側面を考慮し、情報源や取得データのライセンスを確認し、必要に応じて許可を得た上で利用することが重要です。
Manus は、単なるAIチャットボットの域を超え、自ら考えてタスクを完結する自律型AIエージェントとして機能します。「アイデアや思考から行動を生み出す」という理念のもと、ユーザーのおおまかな指示から関連情報を収集し、計画立案やタスクの細分化と実行、成果物の提供までを自律的に実行できます。
現時点では招待制ですが、順次一般公開される可能性が高く、世界のAIエージェント市場に大きな影響を与えると考えられます。
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Manus の利用規約には、生成コンテンツの権利はユーザーに帰属することが明記されており、商用利用自体は可能です。ただし、第三者へのサービス自体の提供や再配布は認められておらず、Manus の機能を盛り込んだアプリなどの提供には、事前の許可が必要である点に注意しましょう。
Manus では、日本語を含む複数の言語が利用可能です。中国語や英語の他、日本語、スペイン語など10以上の言語に対応しており、多言語翻訳も利用できます。複雑なタスクでも、日本語で指示を出すことで日本語出力の精度が上がる可能性があり、伝達ミスや誤解を避けるためにも日本語で入力すると良いでしょう。
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