エクセルでのテキストマイニングのやり方|関数や注意点・活用ポイントを解説
最終更新日:2023/12/22
テキストマイニングは、テキストデータの中から有益な情報を抽出することであり、エクセルで行うこともできます。「テキストマイニングのやり方を知りたい」「エクセルで行う方法があるか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、テキストマイニングの概要やメリット、活用するポイント、エクセルを用いた方法についてわかりやすく解説します。
テキストマイニングとは?
テキストマイニングとは、膨大なテキストデータを解析し、テキストデータの中から有益な情報を抽出することを指します。マーケティング調査やアンケート集計、コールセンター業務などで活用することが可能です。テキストマイニングの活用方法としては、たとえば以下のようなものが挙げられます。
- 顧客アンケートの分析
- 口コミ分析
- トレンド分析
- 市場予測
- SNS分析
- コールセンターの問い合わせ内容分析など
テキストマイニングを活用するメリット
テキストマイニングを活用するメリットは、主に以下のとおりです。
【テキストマイニングの活用するメリット】
- 数値として表せないデータの分析ができる
- データ解析の作業効率がアップする
- 顧客ニーズをより深く知ることができる
- 業務上の課題などを定量的に把握することができる
- 将来の商品・サービスの需要予測に役立つ
テキストマイニングを活用することで、作業効率化や顧客ニーズ・業務課題の正確な把握、商品・サービスの高精度な需要予測などを実現できます。
テキストマイニングはツールを使用しなくてもできる
テキストマイニングができるツールにはさまざまなものがあります。中にはテキストマイニングに特化したツールも存在しますが、高度なテキストマイニングでなければ、必ずしも専用ツールが必要というわけではありません。簡易的なテキストマイニングであれば、エクセルでも行えます。
エクセルの関数機能を活用することで、これまでテキストマイニングの経験がない担当者でも、手軽にテキストマイニングを行うことが可能です。
エクセルでのテキストマイニングのやり方
ここでは、テキストマイニングをエクセルで行う方法について、以下のステップにしたがって紹介していきます。
【エクセルを使ったテキストマイニングのやり方】
- 対象の文章を単語に分解する
- 各単語の数を集計する
- ワードクラウドを作成する
上記のステップを踏むことで、エクセルでも簡単にテキストマイニングを行うことが可能です。
1.対象の文章を単語に分解する
まずは対象の文章を単語に分解します。エクセルでテキストマイニングを行う場合、文章をそのまま入力した状態では正しく分析を行えません。そのため、文章を単語に分解し、それぞれの単語レベルで解析する「形態素解析」を行う
必要があります。
たとえば、以下のような文章に対して、単語の区切りに空白を入れる「分かち書き」を使って各要素に分解します。
元の文章:ユーザーは商品Aに興味を持っています
分解後:ユーザー は 商品A に 興味 を 持って います
上記のように文章を単語レベルで分解することで、各単語の頻出数(単語が使われている数)の計測が可能です。なお、単語を正確に集計するためには、「ユーザー」と「ユーザ」などの表記ゆれを修正することにも注意しましょう。
2.各単語の数を集計する
単語に分解したら、各単語の頻出数を集計していきます。各単語の数を集計する際は、以下のようなエクセル関数を使うと便利です。
関数の名前 | 関数式 | 用途 |
COUNTIF関数 | =COUNTIF(範囲,検索条件) | キーワードなどの条件を設定し、個数をカウントできる関数 |
SUM関数 | =SUM(範囲) | 指定した範囲の個数の合計をカウントできる関数 |
INDEX関数 | =INDEX(配列,行番号,列番号) | 行と列の番号を指定してデータを抽出できる関数 |
ただし、データが膨大な場合やアンケート結果など表現が多岐にわたる場合は、エクセルの関数だけでは集計が難しいケースもあります。
3.ワードクラウドを作成する
各単語の頻出数を集計したら、ワードクラウドを作成します。ワードクラウドとは、各単語の頻出数に応じて、それぞれの単語を文字の大きさや色を変えて図示したものです。ワードクラウドを使用することで、各単語の頻出数を視覚的に捉えられます。
ワードクラウドは、エクセルの無料のアドイン機能やフリーソフトを利用し、データ範囲を選択するだけで作成できます。ワードクラウドのサンプルは以下のとおりです。それぞれの単語が大きさや色で分かれており、「Asia」や「Africa」の頻出数が多いことが一目でわかります。
エクセルを利用したテキストマイニングの注意点
エクセルを利用してテキストマイニングを行う際は、以下の点に注意する必要があります。
【エクセルを利用したテキストマイニングの注意点】
- エクセル関数を覚える必要がある
- エクセル関数を手作業で入力していく手間がかかる
- 大規模なデータのテキストマイニングには活用しにくい
- 専用ツールに比べるとテキストマイニングの精度がやや劣る傾向にある
- 高度なテキストマイニングは実施しにくい
エクセルでのテキストマイニングは、小規模なデータに対してテキストマイニングを行いたい場合に適しています。また、高度なテキストマイニングを行いたいわけではなく、手軽にテキストマイニングを試してみたい人などに向いているといえます。
テキストマイニングを効果的に活用するポイント
テキストマイニングを効果的に活用するポイントは、主に以下のとおりです。
【テキストマイニングを効果的に活用するポイント】
- テキストマイニングをなぜ行うのか目的を明確にする
- 分析結果を元にPDCAサイクルを回す
テキストマイニングを行う目的を明確にしたうえで、継続的にPDCAサイクルを回すことで、テキストマイニングの活用効果を高められます。
テキストマイニングをなぜ行うのか目的を明確にする
テキストマイニングを行う際は、「なぜテキストマイニングを行うのか?」という目的の部分を事前に明確化することが重要です。目的を持たずにテキストマイニングを行う場合、可視化された膨大なデータの中でどの項目に着目すればよいのかわからず、せっかくデータを可視化しても十分な活用効果を得られません。
たとえば、商品改善のヒントを得たい場合は、顧客の要望や意見を収集することをテキストマイニングの目的に設定することが有効です。それにより、顧客アンケートやコールセンターの問い合わせ履歴などを中心にテキストマイニングを行い、有益なデータを効率的に抽出できます。
分析結果を元にPDCAサイクルを回す
目的の明確化に加えて、分析結果を元にPDCAサイクルを回すことも重要です。PDCAサイクルとは、「Plan」(計画)・「Do」(実行)、「Check」(検証)、「Action」(改善施策)の頭文字をとった言葉であり、PDCAサイクルを回すことは改善活動において大事なポイントとなります。
たとえば、テキストマイニングで顧客の要望や意見を収集した後は、それらのデータを踏まえて実際に商品改善などに取り組むことが大切です。そして商品改善後にあらためてテキストマイニングを行い、顧客の声の変化を捉えていくようにしましょう。
このようにPDCAサイクルを回すことで、顧客ニーズの変化に対応しながら既存商品の改善や新商品の企画などを行っていくことが可能です。
まとめ
テキストマイニングは、テキストデータの中から有益な情報を抽出することであり、顧客アンケートの分析やトレンド分析などに活用できます。テキストマイニングによって、作業効率化や顧客ニーズの正確な把握などにつながります。
テキストマイニングには専用のツールも存在しますが、簡易的なテキストマイニングであればエクセルの活用が便利です。テキストマイニングを行う際は、事前に目的を明確にしたうえで、継続的にPDCAサイクルを回していくことをおすすめします。
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